2017/09/16 - 2017/09/19
39位(同エリア316件中)
Pメテオラさん
- PメテオラさんTOP
- 旅行記51冊
- クチコミ18件
- Q&A回答20件
- 133,547アクセス
- フォロワー44人
2017年9月、ビルバオを再訪した。
ビルバオは、かつての商工業都市から、現代アートや美食目当ての観光客も集まる文化産業都市に大きく変容した。
街は輝いていた。街中は、とってもすがすがしい。治安はとても良い。
現代ビルバオの魅力は、おしゃれで伸び盛りな躍動感。中規模都市ならではの落ち着いたたたずまいも持ち合わせている。
また来たい場所であるが、「これが最後かもしれないから、心して見よ」というささやきが聞こえるようになってしまった。それが少し寂しい。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
- 航空会社
- エールフランス
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
Ⅰ ビルバオのシンボルに直行
ビルバオの市街地は緑の丘陵に挟まれている。中央部の高層ビルが立ち並ぶあたりが都心のアバンド地区。右の赤い建造物はサルベ橋:Puente la Salbeで、その右隣りが、現代ビルバオのシンボル、グッゲンハイム美術館。アルチャンダ公園 広場・公園
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いまや、ビルバオと言ったらグッゲンハイム美術館である。ご当地の発音は、ムセオ・「グッグアイム」。
観光するなら、何を差し置いてもグッゲンハイムに直行だ。
ビルバオのシンボルであり、都市再生プロジェクトの大成功例のお手本であり、ビルバオ観光の目玉である。
「「グッグアイム」を語ることなくして、ビルバオを語ることなかれ」
赤いアーチが印象的な隣接の橋、アクロス・ロホスと一体化した姿が最も美しいとされている。その中でも、夕陽に照らされる光景を、少し離れた場所から見たときがベストだそうだ。
写真のような雨模様ではなく、是非、晴れ女、晴れ男になって最高の姿を堪能してほしい。グッゲンハイム美術館 博物館・美術館・ギャラリー
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グッグアイムのあるネルビオン川沿い一帯は、きれいに整備された遊歩道になっているので、その気になれば朝な夕なに美術館を拝むことができる。
晴れ間が出てきた朝に行ってみると、チタン合金でできた花びらをイメージした壁や屋根が朝の陽ざしに輝いていた。2017年のビルバオを象徴しているようだ。
右脇は、屋外展示オブジェで、クモをイメージしたママン:Maman という彫刻。 -
雨上がりの夕陽に照らされるグッグアイムと、これまた有名な、花で作った犬のオブジェ「プピー」(パピー):Puppy。犬は、ネルビオン川沿いではなく、反対側の都心部を向いて鎮座。たぶん、見つめているのは、何かの建物ではなくてビルバオの未来。期間限定のオブジェだったのが、いつの間にか常設展示になったそうである。そばで見ると、とてつもなく巨大。その一方で、ちょっと枯れかかった花があったりして、手入れが大変だなあと、他人事ながら同情する。
グッゲンハイム美術館 博物館・美術館・ギャラリー
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美術作品は撮影厳禁。けれども内部の構造は撮影可。ガラス多用とはいえ、意外と控えめな造りである。展示作品の評価については各人各様であるが、私は、けっこういける抽象画があると思う。けれども、映像作品は、あまり独創性ないなあ、という印象。
みんな、あまりの現代アート度合いに呆然とするのか、けっこう静かに鑑賞している。 -
これまた、定番の屋外展示作品「チューリップ」。背後には、黒光りする金属球を積み重ねたオブジェ「高い木と目」:Tall Tree and The Eye がのぞく。下の池の噴水も作品のひとつだそうだ。
朝な夕なに、散歩とかジョギングしながら、何度でも目にして自分なりに観察してみたい。外のオブジェは、24時間タダで見られる。
グッゲンハイム美術館に満足したら、ビルバオを知り、街中を楽しむことにしよう。 -
Ⅱ ウスケラの地を想う
ビルバオは、二言語圏の都市である。バスク語と訳されているウスケラ:Euskera と、カステヤーノ : Castellano 、つまりスペイン語の二言語が公用語。たいてい、ウスケラが、はじめに書いてある。
地名表記で、 / (スラッシュ)がある場合は、ウスケラ または スペイン語それぞれの呼び名。その一方、 ー (ハイフン) のときは、二言語合成の地名である。
例えば、ビルバオは、ウスケラで「ビルボ」、スペイン語で「ビルバオ」。けれども、ピンチョスと三ツ星レストランで名高い、かのグルメ都市は、「ドノスティア・サンセバスチャン」で一語。バスク州の州都も「ビトリア・ガステイス」で一語。
あまり悩まなくて大丈夫。ガイジンにそんな細かい知識は要求しないし、大半の地名は「ゲルニカ」:Gernika のように、両言語共通の短い名前だ。 -
ビルバオやバスク州にやって来ると、知る人ぞ知るウスケラの表記があちこちで見られ、ちょっと田舎に行くと、本物のウスケラをしゃべっている人たちがバルにいたりするので、わくわくしてしまう。
その言葉が、一般論として「孤立的な言語」という点では、日本語もウスケラも互角なのであるが、人口規模が違うので、日本語を聞くチャンスより、ウスケラを聞くチャンスの方がずっと少ない。
ホテルの部屋やロビーを見まわしてみよう。TX、Z、K なんかが多用してある文章は、みんなウスケラだ。
メトロの駅も、 / (スラッシュ)表記だから、ウスケラで「サスピカレアク」、スペイン語で「カスコ・ビエホ」だということが分かる。スペイン語の意味は「旧市街」。
ちなみに、ウスケラの綴りは「Euskera」(または Euskara )だから「エ」ウスケラのように書きがちだが、実際の音は「ウスケラ」に限りなく近い。Europe、も「エウ」ロップと発音せず、どちらかというと「ウロップ」のように聞こえるでしょう? -
バス乗り場なんかもウスケラを目にする良いチャンス。せっかくビルバオに来たのだから、ウスケラの語感というか、雰囲気を味わって帰ろう。
半知識人が「バスク語は難解。悪魔の言語」とか言っているが、それは完全にスペイン語目線か英語目線の評価。日本語から見れば両言語ともチンプンカンプンな外国語。だから、スペイン語または英語を介さずにウスケラを学ぶ人がいたら、きちんと上達すると思う。 -
グッゲンハイム美術館やピンチョス食べ歩きがブレークするまでは、バスク一帯は日本人観光客の関心外。それどころか、バスク独立を目指す政治団体ETAが、一部でテロ活動をしたため、政情不安の地ではないかと恐れられていた。歴史的な背景を知り、バスクの人々の数十年にわたった苦しみに心を砕く人がひとりでも多くなるよう願っている。
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2017年4月、ETAは完全武装解除を宣言して、武器を引き渡した。双方ともに積年の怨念を許し合う総仕上げのときが来たようだ。
昔も今も、観光客がふらふらした程度では、ETAや、政治問題をイメージさせる場面に出くわすことは滅多にない。けれども、たまに、最後の政治課題を訴える場面を見ることがある。 -
Ⅲ ビルバオ都心部今昔を楽しむ
グッゲンハイム美術館を見たあとは、気ままに都心部を歩こう。川沿いに散策しても良し、ビル街に分け入り、超現代的なビルやオブジェを見つけてもよい。食べ歩きでもよい。生活目線で各人各様の楽しみができる。
美術館を出て、赤い橋、サルベ橋、ウスケラでサルベコ・スビア:Salbeko Zubia、 の下をくぐって歩いて行くと、白いアーチが弓なりに曲がった橋が見えてくる。スビスリ:Zubizuri で、白い橋の意味。思わずスビスリ「橋」と書きそうになるが、「スビ」が「橋」の意味なので、あぶない、あぶない。高名な建築家のデザイン。
ビルバオ市では、グッゲンハイム美術館の成功を機に、水面下で温めてきた「超モダン建築で町中を再開発するぞ」プランを、どんどん実行することにしたのだ。今後は、川下の旧ドック付近で「運河のある高層住宅街」を作る予定であるが、全体デザインは、かのトーキョー・オリンピック2020年で国立競技場の初回設計コンペに当選した故ザハ・ハディッド氏のプランで行く。日本人には、あまり好評でなかった、あの、金がいくらあっても足りなそうなザハ・ハディッド氏設計プロジェクトの皮算用を知りたい。ズビズリ橋 建造物
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スビスリは、歩行者専用の橋で写真のように湾曲している。下を流れているネルビオン川の両岸は、街路樹も美しい遊歩道なので、橋を渡ったり、行きつ戻りつしながら歩く。夕方になると、たくさんの市民も歩いている。
正面のツインビルは、トーレス・イソザキ:Torres Isozaki という日本人建築家磯崎新氏の設計による高級マンションである。ビルバオの21世紀モダン建築の中では、大人しい方である。「ちょっと真面目すぎたかな」なのだ。 -
トーレス・イソザキの間をすり抜けて10分くらい歩くと、ビルバオの中心モユア広場: Plaza Moyua に出る。大きな楕円形の美しい広場で、内側は公園になっている。広場の周囲にには官庁や名だたる銀行、ホテルが並んでいる。うす茶色で、壁の装飾が凝った建物はパラーシオ・チャバリと言って、スペイン軍関係の政府庁舎。写真では、その背後に資源電力会社イベルドローラ社の銀色の本社ビルの威容が見える。ビルバオで最も高いビルだ。
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1986年のモユア広場。ヨーロッパの街並みは、100年くらい経ても外観が変わらないことが多い。パラーシオ・チャベリなどは全く変わっていない。
ビルバオのアバンド地区も、1900年前後に現在のような姿になった後は、外観上の変化は少ないと言われている。その一方で、テナントや内装は、時代の波や景気に合わせてどんどん変化している。湾曲した白いコンリート壁のビルは、以前は金融機関が入っていたが、いまでは税務局という話。 -
モユア広場を中間点として、東西にまっすぐアバンド地区を貫いているのがグランヴィアだ。グランヴィアを東の旧市街に向けて歩くと、右側に、壁の装飾が美しい薄茶色の宮殿風ビルが見えてくる。
ビスカヤ県庁旧館で、今では儀式用に利用される。
その先のビル街の上にちょっとだけ頭を出している赤っぽいタワービルが、BBVA銀行本店ビル。これは1980年代からずっとあるビルで、ビルバオ再開発時の建造物ではない。けれども、街歩きをすると、あちこちから見える都心部のランドマークのひとつだ。 -
グランヴィア沿いにあるデパート、エル・コルテ・イングレス:El Corte Ingres。ビルバオは特産品がずらりと並ぶ街ではないので、観光客には少し縁遠い。
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さらに東へ進むとビリビラ広場に出る。メトロのアバンド駅のガラス芋虫状の出入口も左にちらりと見える。広場の周囲にはスペイン最強の銀行、BBVAの本店タワービルをはじめとする金融機関がたくさんある。
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1986年当時のビリビラ広場。建物の外観はほとんど変わっていないが、中のテナントは景気の動きに連れて栄枯盛衰。写真に写っているバンコ・セントラルという銀行は事実上つぶれて撤退。そのビルには、今は別の銀行や保険会社が入っている。
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ビリビラ広場をさらに直進すると下り坂になって、ネルビオン川を跨ぐアーレナル橋:Puente del Arenal に出る。ずっと前は、コンコルディア橋と言っていたような気がしたが、かん違いかも知れない。
ビル街の奥にそびえる赤っぽいタワーがBBVA本店ビル。手前の緑っぽいアーチ状の門構えの建物が、フェーベ:FEVE という国鉄系の狭軌鉄道の始発駅コンコルディア駅舎。橋の左側の線路は、トランヴィアという市電のもの。赤いバスは、市内バスのビルボ・バス:Bilbobus 。 -
30年前の同じ場所。BBVA本店ビルは、永遠の大企業のごとく変わらぬ姿であった。コンコルディア駅と、その背後のマンションも同じだが、市電の線路はなく、橋の右のマンションは古びていた。また、多くの建物の錆と煤をきれいに払ったようだ。
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アーレナル橋の反対側にわたって、ネルビオン川越しにビルバオ市役所を遠望した。川が曲がる場所に建っているベージュ色の左右対称の建物だ。
左岸は街路樹もきれいな遊歩道となり、川の水も濁り気味とは言え、生き物がいそうな気配である。 -
1986年の同じ場所。市役所も左岸のマンションも変わらない姿を見せている。けれども、左岸はスペイン国鉄の近郊電車の線路が敷かれ、右岸も散歩道とは言えない状況であった。川の水は黒っぽく、製鉄業をはじめとする工場排水やヘドロで水質汚濁が進んでいたという。
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橋の右岸には、ビルバオ全盛時の1903年に落成したアリアーガ劇場が鎮座している。先ほどのFEVEの駅舎前の歩道から眺めた風景である。
アリアーガ劇場は、パリのオペラ座を模して建設されたというが、そう言われると少し似ているかも。もちろん、いまでも現役だ。 -
30年前のアリアーガ劇場をFEVE駅前から見た風景。劇場の周囲は、けっこう雑然としていた。少しずつ、都市再開発事業が始まり、重要建物の周りを整備し始めたころである。
背後の丘のあたりの街並みは、あまり変わっていない。 -
Ⅳ ビルバオ旧市街をのぞく
アリアーガ劇場の南東一帯が、ビルバオ旧市街。サスピカレアク、または、カスコ・ビエホ で、観光客がたくさん集まってくる。
ヨーロッパ旅行をすると、旧市街が観光のメインという都市が多いので、ついつい足が向くが、ビルバオでは最重要観光ポイントではない。新市街のアバンド地区のパリ風の街並みや、ガラス工芸品みたいなモダン建築、街中アートが観光の目玉なのである。
そうは言っても、もう来てしまったのである。
旧市街を歩けば、バスク地方らしい建物が立ち並ぶ通りが縦横に走っている。少し張り出した窓枠をこげ茶色、濃い緑色などに塗ったスタイル。雨の多い土地なので、屋根付きテラスを作って太陽を取り込むようにした。 -
旧市街の真ん中あたりにそびえるサンチアゴ大聖堂。教会の周りにスペースがないので、写真に撮りづらい。ここは、名前のとおり、サンチアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路のひとつだが、ビルバオから巡礼に旅立つ人は、ほぼ皆無。私も、いつの日か巡礼路を歩きたいが、やはり、起点は人気のサンジャン・ピエ・ドゥ・ポールがいいな。歩き始めの景色が、いきなり美しくも過酷な峠道というのが絶対の魅力である。
サンティアゴ大聖堂 寺院・教会
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旧市街で観光客が最も多く集まるのがプラサ・ヌエバ:Plaza Nueva。 写真は朝ぼらけなので、がらんとしているが、夕方から夜になると、アーケードの中に何軒もあるピンチョス・バルも大賑わい。また、昼間は、バスク風のイベントをやることが多いので、音楽が聞こえてきたり、着飾った人を見たときは、広場に入っていくと、楽しい出し物に出会うかも知れない。
新広場 広場・公園
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1986年のプラサ・ヌエバ。広場もアーケードも静寂につつまれ、バルは1軒か2軒しかないイメージだった。それも近所の常連用。まあ、1995年ごろの年間観光客2万5千人が昨今では100万人は軽く突破という激増ぶりだから、仕方がないのである。
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旧市街の西、ネルビオン川に架かる歩行者専用のリベラ橋。この辺も、川沿いの遊歩道がきれいに整備され、橋のアーチが風情を醸し出している。
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リベラ橋から川の上流へ10分ばかり歩くと、ウスコトレン: Euskotren の始発駅アチューリ駅:Atxuri に着く。アーチ型の入口を持った石造りの重厚な駅舎が印象的。アバンドへは少し遠いので、メトロ3号線の開業で電車本数も減り、どことなく寂れてきた。駅前に停まっているのが市電のトランヴィア。
ビルバオ アチュリ駅 駅
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Ⅴ 街かどアートを見るぞ
アチューリ駅からアバンド地区に取って返し、BBVA本店そばのスペイン国鉄レンフェ:Renfe のアバンド駅に入る。とても大きな駅舎であるが、今では近郊電車が時折発車する程度。
けれども、2階改札口前に上がってきて後ろを振り返ると、駅舎の壁面いっぱいに作られたステンドグラスと、エスカレーター前のブロンズの顔がデーンと迫ってくる。ビルバオ アバンド駅 駅
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顔には、意図的にヒビ割れが入っている。現代人の苦悩を具現しているように見えて、実は見学者をせせ笑っているのだ。
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ビルバオ市役所前のオブジェ。ご当地出身の作家の作品ということだが、委細は知らず。市役所前に、ひょうひょうと鎮座している感じ。
市庁舎 建造物
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モユア広場まで戻り、ユニークな窓が印象的なパラーシオ・チャバリの右脇の通りを入って行くと、教会前に何やらオブジェ。アルミ箔をくしゃくしゃにした感じをブロンズで作った感じだ。場所は、プラザ・サンホセ。
現在のビルバオには、こういう街角アートがいっぱいある。どこで、どれを見つけるかは、各人各様の運と時間次第だ。 -
モユア広場から南西に伸びる歩行者専用のエルチラ通りを1区画歩くと、鋳物の風鈴を3個置いたような像がある。よく見ると、スペインの誇る巨匠ベラスケスの名作「ラス・メニーナス」:女官たち、の中に描かれている女官をイメージした作品。確かに頭の部分の髪の毛がふんわり広がっている。とっても重そうで、蹴飛ばしても、こっちのかかとが痛くなること請け合いだ。
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Ⅵ 想像超えのビルディング
ビルバオの高速バスターミナルとつながっているメトロまたはトランヴィアのサン・マメス駅:San Mames から1分だけバスターミナルと反対側に歩くと見えてくるのが、アスレチック・ビルバオのサン・マメス・スタディアム。
このごろは日本人サッカー・ファンもときどき入場するらしい。白くて丸いドーナツの側面を見ているような形状が圧巻。 -
サン・マメス・スタディアムから坂を少し上ったところにある大きな交差点の向かいに建っている曲面ガラスのビルが、バスク・テレビ本社。Eitb と、正面左に書いてある。玄関上に人気番組の広告があるが、平均的な日本人は、スペイン語もウスケラも分からないので見過ごしがち。スペイン語2チャンネル、ウスケラ1チャンネルを持っている。
「それがどうした」
「ウスケラで、ドラえもんがしゃべっているんだぞう!」 -
もう一度、モユア広場に戻り、今度は南へ伸びるアラメダ・レカルデ:Alameda Recalde を歩く。2,3分すると、氷砂糖を積み上げたようなビルが左側に見えてくる。外側すべてが反射ガラスで、ほこりもついていないからピッカピカ。「どうせ作るなら、度肝をぬくほど面白いものを」ということでできたのが、バスク州保健局庁舎。
観光写真では有名であるが、誰も中を見たことがないという代物。 -
氷砂糖細工ようなビルの角を右折してビスカヤ広場:Plaza Vizcaya までは1、2分である。ここにもガラスだけでを波打つような曲線を描く壁を作ったビルがある。広場の一辺をまるまる占める長い建物だ。午後からの陽ざしや、夕暮れのオレンジ色の光にガラスが反射して美しい。これは、バスク州政府合同庁舎で、いわゆる公団、公社のような組織のオフィスが何軒も入っている。
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先ほどのバスク州政府合同庁舎から南側へ道ひとつはさんだ場所にあるのが、アスクーナ・セントロア:Azkuna Zentroa。旧穀物取引所兼ワイン貯蔵庫である。20世紀初頭の落成時の外観を残し、内部を大改装。さらに屋上を付け加えて市民カルチャーセンター兼図書館にした。
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1階部は大きな吹き抜けで出入り自由。2階から上に図書館、映画館などの文化施設や、かなり高そうなレストランと、モダンなインテリアの屋上バルがある。
ヨーロッパでは、こうした外観そのまま、内部大改造の建物がたくさんある。勝負は、いかにセンスあふれ、たくさんの人に来てもらえる中身にするか、なのだ。 -
今度は、モユア広場からアラメダ・リカルデを北に100メートルくらい進む。何気なしに建っているのが、ガウディ風のビル。委細不明だが、とても洒落た作りだ。
話題が突然飛ぶが、ビルバオも、都心部や周辺部を含めて、市街地内の電線はほぼゼロ。路地裏にこっそりと張ってあることもない。どの通りを歩いていても、視野は常にすっきり。建物の見栄えを遮り、大きな空を割って小さくするような電線類を目にすることはない。 -
モユア広場のビル街の後ろに顔を出しているガラスとステンレスの牙城のようなビルに向かってふらふらと歩くこと10分。既存のビル街が切れると、ビルバオで一番高いイベルドローラ本社タワービル:Torres Iberdrola が、眼前にすくっと顕れる。この会社は、電力供給ならびに資源エネルギー供給がメイン事業。
ビルバオとバスク一帯は、スペインで三本の指に入る豊かな州なので、有名な会社もいっぱいある。バスクの人々は、良く働き、良く休み、良く飲み食いし、良くしゃべるのだ。 -
また、ふらふらとモユア広場を出て北東の方へ行くと、いつの間にかイソザキ・タワーが伝統的マンションの後方に顔を出した。このあたりのマンションは、たいてい濃い窓枠と縦長のガラス窓がついたバスク風の外観。いわゆる高級マンションである。
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アバンド地区にあるエルサンチェ広場:Plaza Ersanche 。 よく手入れされた公園、整然とならぶバスク風の端正なマンション群。
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Ⅶ 斬新なメトロ・ビルバオ
ビルバオ街歩きの人気者、メトロの出入口だ。ガラスで作った芋虫を半分、埋め込んだような形状をしている。モユア広場にある出入口が頻繁に登場するが、都心部の駅の出入口の半分くらいがこの形。一目でメトロだと分かる優れもの。これはインダウチュ駅の出入口で、階段で入る。 -
実は東京にも、似たような芋虫デザインの地下出入口がある。ガラスの芋虫は、決して超がつくユニークなものではないが、センスのよさ、見栄えのよさ、維持管理の良さなどでビルバオのものが圧倒的に素晴らしい。
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メトロは電車であり、乗り物である。ガラス芋虫内部のエスカレーターや階段を使って地下へ行く。
下から地上を見上げても、ガラス芋虫構造は、開放的で優しい感じのする作りだ。
ビルバオ・メトロの駅や建物は、イギリス人ノーマン・フォスター氏の設計で、ほぼ全線全駅で統一構造、統一デザインだ。再開発事業の一つだから、他人の目をひくデザインを追求したことは当然。当局の意気込みを感じる。 -
メトロの駅の改札階。地下にある駅は99%以上同じデザイン。駅名標を取り換えれば、モユア駅もサン・マメス駅も区別がつかない。
改札階には、自動改札口の他、切符の自動販売機、バリクカードの販売機、駅事務室があり、下のホーム階と一体となった吹き抜けトンネル構造。ホームは、すべての駅で対面式。 -
メトロの電車。都心部ではラッシュ時には4,5分間隔、その他の時間帯でも6,7分間隔で電車が来る。バスク人気質を反映して、電車は安全、正確、清潔で、ラッシュ時でも全員座れる。落書きなし、ホームでのギター演奏もなし。
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Ⅷ 夕暮れのスペイン・タイム
「スペイン・タイム!」
1回か、2回、この言葉を聞いたことのある人は多いだろう。
例えば、バスクの人々を含むスペイン人がフランスへ行くと、観光案内所の人は、「スペイン人の皆さん、フランスではランチは1時からですからね。3時に行くとレストランは全部閉まっていますからね」と、にやりとして言うのだそうだ。
これが、スペイン・タイムの本質である。
9月の午後8時。やっと外もうす暗くなりかけてきた。
街歩きも楽しんだので、夕食前の一休み。ここは、現存するビルバオ最古のカフェ・イルーニャ:Cafe Iruna (nは、n のうえに波線がある字)。1903年創業。アルビア公園:Jardine Albia の南端にあり、内外の人でにぎわっている。たくさんの方がコメントしている有名店。
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カフェ・イルーニャのインテリアは、アールデコ調。天井を見上げると、派手な模様でいっぱい。照明はシャンデリア調。お値段は、普通のカフェより少し高いくらい。
ピンチョス・バルがお好みの人は、同じ通りの並びに伝統スタイルのバルから、モダン・インテリアのバルまで数軒のお店があるので、好きなところを選べばよい。まあ、口ではそう言っても、遊び人風のあんちゃんがバルの前にたむろしていたりすると、イチゲンさんの観光客は入りづらいのも事実である。だからと言って、旧市街の観光ピンチョス・バルもねえ、なのだ。 -
よくありそうなピンチョス・バルの風景。
私は「ピンチョス・バル命」の旅行者ではないので、毎度毎度ピンチョスを食べることはなかったが、それでも、最低一回は、自分自身の手でピンチョス・バルに挑戦することを是非、お薦めする。
当たり前であるが、初心者が超混雑のバルに行くと、まったく注文できないこともあり、大ショック。しかし、どんなに美味しいピンチョスを食べられたとしても、ガイドさんに誘導されたり、注文を代行してもらってピンチョス・バル体験をすることほど興ざめの場面はない、と思う。
分かりますよ、せっかく大金を払ってバスクまでグルメ・ツアーに来たのだから、イチオシとかトップレベルのピンチョス・バルのお薦め品を絶対に逃さず食べたいという気持ち。でも、それでは会社の人事評価制度の目標達成度チェックみたい。旅の日々に、無念や未練、時には200%満足があってこその人生だと思うのですが。 -
カフェやバルで一休みしても、まだ明るい午後8時半のモユア広場。雨も上がり、晴れ間がのぞいているものの、明日も曇りかも知れないのが、バスクの天気。
世界に冠たるユニークな現代建築で文化観光都市を目指すビルバオの心意気と、バスクの人々の気持ちをちょっとでも感じることができた。
明日もビルバオ。
了
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この旅行記へのコメント (8)
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- チャレンジ旅人さん 2018/04/29 16:51:58
- ビルバオ散策の参考になりました
- 去年北スペインの旅でビルバオに寄りましたが、日程の組み方で1日しか滞在できない旅になってしまいました。すっかり虜になってしまい、再訪したいと思うようになりました。今年は、行く所が決まってしまいましたので、来年の旅にしました。前回は、病みあがりの体でしたが、アバンダ地区を歩いてみて、あそこも行ってみたいと夢が膨らみました。旅行記がさらなる夢の広がりになりました。
- Pメテオラさん からの返信 2018/04/29 18:19:41
- Re: ビルバオ散策の参考になりました
- チャレンジ旅人さま。コメントお寄せいただきありがとうございました。再訪の際には、是非、前回よりゆっくりされ、気になる場所にも足を伸ばし、前回にも増して楽しい時間をすごせることをお祈りしています。おそらく、ザハ・ハディード氏監修の運河再開発地区が具体的な姿を見せ始めると、また、新しい魅力が増えると思います。
-
- マリーゴールドさん 2018/04/18 21:31:33
- 打たれた言葉
- 旅の日々に、無念や未練、時には200%満足があってこその人生だと思うのですが。
本当にそう思います。私の場合それらが、また旅をしようという気持ちにつながります。
- Pメテオラさん からの返信 2018/04/19 06:32:07
- Re: 打たれた言葉
- マリーゴールド様。別作品でのお返事と、このコメントありがとうございました。いろいろな方が様々な刺激と驚きと安心を感じるビルバオの記憶がいつまでも続きますように!
-
- kiyoさん 2018/03/04 11:33:04
- ビルバオ
- Pメテオラさん、はじめまして。
私のスペイン旅行記にいいねしていただき、ありがとうございます。
昨年11月にスペインを旅行する際、
第一候補として考えたのが、ビルバオでした。
でも、いろいろ考慮した結果、
スペイン南部だけを回ったのですが、
ビルバオはいつか必ず訪れてみたい場所です。
Pメテオラさんの旅行記は解説も詳しく、
すごく勉強になりました。
いつかビルバオを訪れる際には、
参考にさせていただきます。
kiyo
- Pメテオラさん からの返信 2018/03/04 16:56:59
- RE: ビルバオ
- > Pメテオラさん、はじめまして。
> 私のスペイン旅行記にいいねしていただき、ありがとうございます。
>
> 昨年11月にスペインを旅行する際、
> 第一候補として考えたのが、ビルバオでした。
> でも、いろいろ考慮した結果、
> スペイン南部だけを回ったのですが、
> ビルバオはいつか必ず訪れてみたい場所です。
>
> Pメテオラさんの旅行記は解説も詳しく、
> すごく勉強になりました。
> いつかビルバオを訪れる際には、
> 参考にさせていただきます。
> kiyo
>
>
kiyoさま
このたびは、ごていねいなコメントありがとうございました。スペインの旅を楽しまれた様子を気持ちよく拝読しました。次回は、ビルバオも含め、さらに多様なスペインを満喫される旅でありますよう。当方も、アンダルシアも良かったし、いつか、サンチアゴ・デ・コンポステーラにも寄りたいな・・・・と思いつつ、皆様といっしょに世界中を楽しめればと思っています。御礼かたがた。
-
- わんぱく大将さん 2017/09/30 00:40:13
- 見方はいろいろですね
- Pメテオラさん、先日は古いビルバオの旅行記、見ていただいていたようで。
本当は今年の8月、又行きたいなと思っていたのですが、仕事が忙しく、9月には3週間日本で。 それでなくても、昨年のビルバオ旅行記も仕上げていない状態で、これ以上、未完成の旅行記増やしてどうするんだ?というのも実際の所あるのですが。約1カ月日本ではPCも使えなく、その間に4トラのシステムが変わったのか? いただいたコメントに付けたして、コメントが返せませんでした(たぶんスマフォからコメントいただいた?)遅くなってすみません。
ビルバオの旅行記、拝見させていただきました。 人の捉え方、感じ方は様々で。で、書かれる文章が堀田善衛氏を彷彿させるような、勉強になりました。
有難うございました。
大将
- Pメテオラさん からの返信 2017/09/30 08:30:08
- Re: 見方はいろいろですね
- またビルバオに行かれますようお祈りします。スペインの多様性をみんなで感じましょう。
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