2014/05/16 - 2014/05/18
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nitarikujiraさん
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19歳の春、私は大学受験に失敗し、京都に出た。
予備校に通うために。
姪の結婚式に出席するために京都を訪れ、ふと思いつき、久々に昔住んでいた下宿近辺を訪ねてみた。
-
「下長者街通り七本末西入る」にあった下宿は収容所の様なプレハブの小屋で、窓はなく、日中はずっと西陣織の機織り機がガッシャン、ガッシャンと鳴り続けていた。
女人禁制(!)で、鬱屈した男10人ほどが、ほとんどお互い口もきかず、暮らしていた。 -
道に迷いながら、何とか記憶に引っかかった下宿の入り口。
そう、ここだ。
正面に愛想の悪い家主のお婆さんが住んでいた家があり、その先を曲がると平屋の収容所があった。
知らない人間が入ってくると、「あんた誰?誰です?」と叫びながらお婆さんが飛び出してきた。
ずっと監視していたのだろうか。
なんとなくドキドキしながら足を踏み入れてみた。
当然のことであるが、お婆さんは飛び出してこない。 -
収容所はなく、貸し駐車場になっていた。
まあ、そうだろうな、と思いながら通りにもどった。
記憶に引っかかるような建物は・・・ない。 -
歩いて、近所では一番の繁華街であった千本中立売りという交差点を目指した。
その交差点から北の千本通りと西の中立売りはアーケード街になっていて、よく食事とパチンコに通ったものだ。 -
週の半分は通った定食屋さんは場所が分からなかった。
KINGというパチンコ屋さんは、あれからも商売繁盛していたようで、新築に生まれ変わっていた。
アーケードは撤去されていた。 -
どんどん記憶が蘇ってくる。
そう、この路地の奥には中立売りミュージックというストリップ劇場があった。
残念ながら入ったことはなかったが、妖しい大人の世界への入り口であった。
入ってみたいが入る根性も金もなく、前を通り過ぎたものだ。
まだ営業していたら入ってみようかと思ったが、もちろん影も形もなくなっていた。 -
そこで、また、思い出した。
ストリップには行かなかったが、日活ロマンポルノの映画館に入った記憶がある。
3本立てで破格の値段であったが、本当にしょうもない映画であった。
まさか、この時代、とっくにつぶれているだろうと思いながら最後に訪ねてみると、何と現役営業中!
おじさんが入っていく。
建物はそのまんまだ。 -
周囲を圧倒する昭和の香り。
どうやら相変わらず3本立て。
もしかして、値段据え置き?
しばし呆然と、ポルノ映画館の前で佇む。
完全にタイムスリップした。
根拠のない自信と、それと裏腹に泥沼に立っているような不安感。
爆発しそうな欲望と、押しつぶされそうな重圧。
何物でもない自分。
自分とは繋がりのない世界。
当時の気持が蘇り、身体と同期する。
今にもあの映画館のドアから19歳の私が出てきそうな、そんな感じだ。
19の春。私は確かにここにいた。
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