2017/03/17 - 2017/03/17
110位(同エリア482件中)
ころたさん
大当たり! いやぁ面白かった。
小金井市にある東京農工大は、工学部と農学部が並立するユニークな大学だが、そのキャンパス内に博物館があることはあまり知られていない。しかも創立130年を誇る。かつては繊維博物館と呼ばれた同博物館は、H20年に農工大科学博物館と名称を変えた。前回旅行記の絹の道資料館繋がりで、この科学博物館で開催されている企画展「収蔵品展―博物館黎明期と蚕病教育」を目当てに出かけたのだ。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 自家用車
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「収蔵品展―博物館黎明期と蚕病教育」って誰が見に行くの?オタッキーにも程があるでしょ。なのになぜか来ちゃいました。農工大科学博物館。
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農工大って最近だとゲス不倫の男の方で有名になっちゃった気の毒な大学だが、ユニークな国立大として確固たる地位を築いている(はず)。そこに博物館があったとは知らなかった。冒頭のオタッキーな企画展を目当てにしたのは、前回旅行記(http://4travel.jp/travelogue/11223347)で訪ねた絹の道資料館でポスターを見たから。
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お客さんこれが大当たりでしたよ。順を追って説明しますね。
まずは入り口で受付をしてもらう。見学無料です。そして館内を見渡すと、広い!2階建てだ。総床面積1000平米!あらっ、見くびってたかしら?東京農工大学科学博物館 美術館・博物館
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まずはお目当てだった企画展へ。「蚕病教育」ってなに?
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その名の通り様々な蚕の病気を紹介しています。大きな模型があったり。
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様々な標本があったり。
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繭にもいろいろな種類があることが分かります。
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そうだよね。明治大正の日本を支えた一大産業だったんだから。当時の力の入れ様も伝わってくる。企画展は全13室ある展示室の一つを使って行われていた。じゃぁ他の部屋は?
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これが驚きの充実ぶりだったんですよ。しかも驚きのオモテナシまでして頂いて。
この科学博物館は前身を繊維博物館と言って、繊維産業の歴史を紹介している。その所蔵品がすごかった。 -
日本の繊維業はここから始まった。教科書でもおなじみ豊田式自動織機。でも実物を見た人は少ないですよね。それもそのはず、現存しているのはここを含め世界で4台。お膝元のトヨタ産業技術記念館と大英博物館、あとどこだっけかな?
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「動くところ、ご覧になります?」
後ろから声を掛けられた。振り返ると受付にいた田山涼成似のオジサンがニコニコしている。
「えっいいんですか!」
聞けば前述の4台の内そのうち稼動できるのはこことトヨタのみ。なんてラッキーな!東京農工大学科学博物館 美術館・博物館
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織機の原理はご存知ですよね。交互に上下する縦糸の隙間をシャトルに乗った横糸が左右に飛び交っていく。これを世界で初めて自動で糸途切れなく機械化したのが豊田式自動織機。その動くところを目撃して俺はひっくり返った!
いくよ~!
https://youtu.be/9NlxC3w0no8東京農工大学科学博物館 美術館・博物館
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どうです。すごいのが分かりました? 特に何がすごいって、動画だと分からないけどシャトルの糸車の糸の量をセンサーで監視していて、それが途切れると新しいシャトルが自動供給される。それを90年以上前の1924年にすべて機械式で行った。
すごい! -
さらにこちらの阪本式自動織機では、シャトル内の糸車だけを補充するように改良された。
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このリボルバーに組み込まれた糸車が、次々に装填されていく。
何て言うか・・・カッコいいのよ! -
自動織機から自動車に転身した豊田に対して、日産は自動車から織機に事業拡張していく。その代表機がこの1968年製のジェットルームという織機。
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それまでのシャトルによる横糸遠しを廃し、横糸をウォータージェットで飛ばして通すという芸当をやってのけた。これまたすごい発想だ!
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糸が噴水で吹き飛ばされているのが、動画で分かるだろうか。
もう脱帽です。
https://youtu.be/KGG6MAOFn2I -
日産はここにとどまらない。今も現役で使用されているこのマシンは、水の代わりにエアジェットで横糸を吹き飛ばす。
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当然、スピードは速くなるし、水に濡れなくて済む。その早くてきれいな事!
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織機から離れて、次は繭玉から絹糸を繰り出す自動繰糸機を見せてもらった。これも動かしてくれました。メーカーはニッサンです。かの富岡製糸場のものより新しくて1974年製。
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これも本当によくできていて、4,5個の繭から糸を繰り出して撚っていくのだが、糸の太さをセンシングしていて、細くなると新しい繭玉を自動で追加していく。今回は試しに動かしてくれたレベルだが、毎週火曜日にはメーカーの担当者が本格的に稼働デモをやるらしい。それも見たい!
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富岡製糸場にはこの前身のマシンがずら~っと並んでいる。日本の近代化を推し進めた工場だ。
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ここまで博物館の田山涼成さん(ちがうって!)はそれぞれのマシンを実際に動かしながら説明してくれた。ここで丁寧な説明にお礼を言って別れた。
うれしいサプライズ、ありがとう! -
1階の他の展示室を覗いてみると、現在の農工大でどのような研究を行っているかを紹介していたり、
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歴代の計算機を展示していたり。
手前のが何だか分かりますか?これも自動計算機なの。手回しのハンドルの回転数により掛け算していく。俺はさすがにこの世代じゃないな。計算尺は使ったけど・・ -
展示室は2階にもある。階段を上がると製糸や機織りを描いた浮世絵のコレクションルームがある。
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繊維産業は江戸時代から一大産業だったんだ。
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歌麿に春章に重政。人気だったんだ。
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風景画や役者絵とはまた異なる、庶民を描いた浮世絵の数々。日本のバルビゾン派だね。
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こちらは自動機以前の手織り機を使って機織りの実演を行っている部屋。
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あ~平日の今日はやっていないのね。土日にボランティアの人がデモしてくれるようだ。
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こういう機織り機でバッタンバッタンと。それもいいよね。
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これは撚糸機。手前に置いた繭から糸を繰り出して、奥の機械でより太い糸にしていく。
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それが機械化されたのが左手のマシン。富岡製糸場の機械はこの年代か。
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ミシンも年代ごとにコレクションしている。
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組み紐も、最初はこうやっていた。
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それがだんだん機械化されていく。ただ撚るんじゃないよ。組み紐そのものの複雑な編み方ができるのよ。
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農工大の歴史はこちらで。
農工大の前身は実に明治7年。当時の内務省の農事修学場と蚕業試験掛と言う組織が。それぞれ農学部と工学部のルーツとなる。その後、東京帝国大学農学部や東京繊維専門学校になり、昭和24年に東京農工大学になった。 -
皇居内で養蚕が行われているって知ってました? 歴代の皇后が自らやられているそうです。
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明治時代の養蚕場の絵。実際に皇居内で養蚕に使用されていたムシロや蚕の敷藁布団等が展示されている。
雅子様、できるのかな? -
まだまだ紹介していない展示室があって、機械や近代産業史に興味のある人には超お勧めです。そして人のいない平日なら、運がよければ機械を動かしてもらえるかも。
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ミュージアムショップはないけど、グッズはありますよ。2階に展示していた浮世絵の絵葉書とか、博物館内で実際に織った絹織物のネクタイとか。
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なんとこれらグッズは自販機でチケットを買って、受付で受け取る仕組み。新ったらしい~。
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とっくに1時を回ってしまった。10時過ぎには入っていたから3時間もいたのか。
腹減った! -
大学なので当然、学食がある。こちらで安くておいしいトンカツ定食を戴いて帰りました。
農工大はゲス不倫の大学じゃない。繊維の大学だ!
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