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<br /><br /><br />「ホテル加宝」を出て、アムトラックで、サンディエゴに着き、グレイハウンドでティファナの国境を越えたのが、1989年3月6日。<br /> 中南米一周旅行をして、またティファナの国境を越えて、米国に陸路入国したのが、1989年9月26日。<br /><br />僕の1989年の中南米一周旅行は、足掛け7か月、実質6か月と20日かかった。<br />しかし、僕の心の中では、この旅は終わってない。<br /><br />加宝へ帰りつくまでは、僕の中南米一周旅行は完結しないんだ。<br />だって、中南米一周旅行をしたのは、加宝仲間に中南米一周旅行の話を思いきりして、僕がキモチよくなるためなんだから。<br /><br />僕が今まで繰り返し述べてきたとおり、「旅は旅をしただけでは終わらない」。<br /> 旅はそれを語って、成仏させなければならない。<br /><br />素晴らしい旅であるほど、苦難に満ちた旅であるほど、その記憶は生々しく、旅人の心は揺れ続ける。<br /> 旅の記憶は、旅人の心をかき乱し続ける。<br /><br />旅の記憶は、そのままにしておくと、悪さをしてしまう。<br /> 現実生活に戻ることができず、常に心が旅に向かってしまうみたいなこと。<br /><br />だから、旅人は、旅を語らなければならない。<br />ところがこれが難しいんだよ。<br /><br />誰も本気で聞いてくれないからね。<br /> 普通の人は、他人の旅行話なんかどうでもいいから、聞きたくもない。<br /><br />世の中、自分が本気で話したいことがあるのに、軽く受け流されるほどイラつくことはない。<br /> 僕が今までの人生で、一番イラっと来たのは、美容室で話をしていて、つい世界一周旅行をしたと言った時。<br /><br /> 「すごいですね。どこが一番よかったですか?」と美容師が聞いた。<br />でもその言葉は、心のこもってない、表面だけのものだった。<br /><br />読者の皆さんも経験があるでしょうが、日本へ戻ったら、誰も旅の話なんか聞いてくれない。<br />しかし、興味深い旅行者が次々にやってきて、次々に旅立っていく、ロサンゼルスの安宿にいると、話は全く違う。<br /><br />ロサンゼルスは、アメリカ旅行や中米旅行、南米旅行の起点だから、中南米旅行については、誰もが話を聞きたくてたまらない。<br /> 旅行者は次々入れ替わるので、旅の話をしても飽きることがない。<br /><br />中南米一周旅行を終えたなら、ホテル加宝に戻り、しばらく滞在して、思いっきり自分の中南米旅行の話ができる。<br /> 僕にとっては、天国のようなところだ。<br /><br />1989年9月27日、僕は天国、ホテル加宝に、向かう。<br /> 「ルンルン気分で加宝に行こう」という感じかな。<br /><br />気分が高まっているせいか、午前5時には目が覚めて、眠れないまま、ベッドでテレビを見ていた。<br /> 頭をスッキリさせようと、ホテルの自動販売機でコーラを買うと、出てこない。<br /><br />よく見たら、65セントなのに50セントしか入れてなかった。<br /> 精神的に不安定なのかな。<br /><br />午前9時過ぎに、サンディエゴYMCAの546号室をチェックアウトする。<br />そのまま歩いて、アムトラックのサンタフェ鉄道駅へ。<br /><br />中南米一周旅行の最初の日に乗ったのが、ロサンゼルスからサンディエゴへの鉄道だった。<br />だから旅の最後の日にも鉄道を使うのが礼儀ではないかな。<br /><br />列車は午前9時50分に出発。<br /> 料金はロサンゼルスまで片道23ドル。<br /><br />3時間後の午後1時にロサンゼルスのユニオンステーションに到着する。<br />ここからリトル東京4番街のホテル加宝までゆっくりと歩いていく。<br /><br />晴天のロサンゼルスを、バックパックを背負って、ゆったりと歩く。<br /> 別に急ぐことは何もない。<br /><br />ロサンゼルス市役所を通り過ぎ、ホテルニューオータニを通り過ぎ、日米文化センターを過ぎて、4番街へ。<br /> 僕はゆっくりと歩く。<br /><br />ゆっくりと歩くには理由がある。<br /> 僕は加宝へ着くのが怖かった。<br /><br />僕の人生は裏切られ続きだった。<br /> 東大合格絶対確実の成績を取っていた時に、東大の入試が中止された(1969年)。<br /><br />仕方なく入った京大も、京都があまりに田舎過ぎて、面白いことは一つもなかった。<br /> 勉強は全くしなかったので、民間企業に勤めたが、働く気は全くなかった。<br /><br />いま考えると、僕は労働意欲が基本的に欠如しているみたいだ。<br />でも僕の考え方が、世界標準だと思うけどね。<br /><br />日本人は、無駄に働きすぎだ。<br />というか、日本人は、みんなで働くふりをしているだけだが(笑)。<br /><br />結婚した女の子とも、離婚してしまったし。<br />その結婚のせいで、東京の港区にずっと住んでるのは、これだけは良かったけどね。<br /><br />こんなことはどうでもいい、またゆっくり話しましょう。<br /> 僕は、本当に、加宝へ着くのが怖かった。<br /><br />それは、ホテル加宝がなくなっているのではと、思っていたから。<br /> 僕の人生は、裏切られ続きだったことを思う。<br /><br />中南米一周旅行から戻った時に、加宝が潰れていたというのが、最高の裏切りだからね。<br />でも4番街に、ホテル加宝は出発した時のままの姿で、存在してました。<br /><br />僕は何気なく、入口のベルを押す。<br />ガタンと扉が開き、フロントには、なつかしいおばちゃんがいる。<br /><br />「あーら西本先生、戻られるのをお待ちしてました」という。<br />ロビーにいる加宝仲間に「みなさーん、西本さんが帰ってきましたよ!」と声がかかる。<br /><br />知ってる顔、初めての顔、が挨拶する。<br /> 部屋を見せてもらって、3階の隅っこの314号室に決める。<br /><br />1989年秋は、この部屋は一週間(ウィークリーレートで)100ドルだったが、僕だけ特別に95ドルにしてくれた。<br />フロントにいた中国人のおねえちゃんに、クスコで買った、銀製の「TUMIのペンダントヘッド」をプレゼントした。<br /><br /> 中南米旅行に出る前夜にパーティをした「Y谷」くんが、「西本さん、お帰りなさい」と声をかけてくる。<br /> 加宝を出発する前とおんなじだ(笑)。<br /><br />僕の人生も、加宝だけは裏切らなかったね。<br />だから僕は、加宝と、加宝で出会った人たちと、加宝のあるリトル東京と、ロサンゼルスが大好きなんだ。<br /><br />まだ時間は早いので、ヤオハンに、ビールでも買いに行きましょう。<br />そうして、思い切り、加宝の生活を楽しもう。<br /><br />いつかはこれも終わるものだが。<br />しかし、僕は人生で、加宝に出会えただけで、幸せです。<br /><br /><br />

サンディエゴからアムトラックでロサンゼルスへ3時間。ユニオンステーションから「ホテル加宝」へ歩きながら旅行哲学する@サンディエゴ~ロサンゼルス/カリフォルニア/米国

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1987/09/07 - 1990/05/05

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みどくつ

みどくつさん




「ホテル加宝」を出て、アムトラックで、サンディエゴに着き、グレイハウンドでティファナの国境を越えたのが、1989年3月6日。
中南米一周旅行をして、またティファナの国境を越えて、米国に陸路入国したのが、1989年9月26日。

僕の1989年の中南米一周旅行は、足掛け7か月、実質6か月と20日かかった。
しかし、僕の心の中では、この旅は終わってない。

加宝へ帰りつくまでは、僕の中南米一周旅行は完結しないんだ。
だって、中南米一周旅行をしたのは、加宝仲間に中南米一周旅行の話を思いきりして、僕がキモチよくなるためなんだから。

僕が今まで繰り返し述べてきたとおり、「旅は旅をしただけでは終わらない」。
旅はそれを語って、成仏させなければならない。

素晴らしい旅であるほど、苦難に満ちた旅であるほど、その記憶は生々しく、旅人の心は揺れ続ける。
旅の記憶は、旅人の心をかき乱し続ける。

旅の記憶は、そのままにしておくと、悪さをしてしまう。
現実生活に戻ることができず、常に心が旅に向かってしまうみたいなこと。

だから、旅人は、旅を語らなければならない。
ところがこれが難しいんだよ。

誰も本気で聞いてくれないからね。
普通の人は、他人の旅行話なんかどうでもいいから、聞きたくもない。

世の中、自分が本気で話したいことがあるのに、軽く受け流されるほどイラつくことはない。
僕が今までの人生で、一番イラっと来たのは、美容室で話をしていて、つい世界一周旅行をしたと言った時。

「すごいですね。どこが一番よかったですか?」と美容師が聞いた。
でもその言葉は、心のこもってない、表面だけのものだった。

読者の皆さんも経験があるでしょうが、日本へ戻ったら、誰も旅の話なんか聞いてくれない。
しかし、興味深い旅行者が次々にやってきて、次々に旅立っていく、ロサンゼルスの安宿にいると、話は全く違う。

ロサンゼルスは、アメリカ旅行や中米旅行、南米旅行の起点だから、中南米旅行については、誰もが話を聞きたくてたまらない。
旅行者は次々入れ替わるので、旅の話をしても飽きることがない。

中南米一周旅行を終えたなら、ホテル加宝に戻り、しばらく滞在して、思いっきり自分の中南米旅行の話ができる。
僕にとっては、天国のようなところだ。

1989年9月27日、僕は天国、ホテル加宝に、向かう。
「ルンルン気分で加宝に行こう」という感じかな。

気分が高まっているせいか、午前5時には目が覚めて、眠れないまま、ベッドでテレビを見ていた。
頭をスッキリさせようと、ホテルの自動販売機でコーラを買うと、出てこない。

よく見たら、65セントなのに50セントしか入れてなかった。
精神的に不安定なのかな。

午前9時過ぎに、サンディエゴYMCAの546号室をチェックアウトする。
そのまま歩いて、アムトラックのサンタフェ鉄道駅へ。

中南米一周旅行の最初の日に乗ったのが、ロサンゼルスからサンディエゴへの鉄道だった。
だから旅の最後の日にも鉄道を使うのが礼儀ではないかな。

列車は午前9時50分に出発。
料金はロサンゼルスまで片道23ドル。

3時間後の午後1時にロサンゼルスのユニオンステーションに到着する。
ここからリトル東京4番街のホテル加宝までゆっくりと歩いていく。

晴天のロサンゼルスを、バックパックを背負って、ゆったりと歩く。
別に急ぐことは何もない。

ロサンゼルス市役所を通り過ぎ、ホテルニューオータニを通り過ぎ、日米文化センターを過ぎて、4番街へ。
僕はゆっくりと歩く。

ゆっくりと歩くには理由がある。
僕は加宝へ着くのが怖かった。

僕の人生は裏切られ続きだった。
東大合格絶対確実の成績を取っていた時に、東大の入試が中止された(1969年)。

仕方なく入った京大も、京都があまりに田舎過ぎて、面白いことは一つもなかった。
勉強は全くしなかったので、民間企業に勤めたが、働く気は全くなかった。

いま考えると、僕は労働意欲が基本的に欠如しているみたいだ。
でも僕の考え方が、世界標準だと思うけどね。

日本人は、無駄に働きすぎだ。
というか、日本人は、みんなで働くふりをしているだけだが(笑)。

結婚した女の子とも、離婚してしまったし。
その結婚のせいで、東京の港区にずっと住んでるのは、これだけは良かったけどね。

こんなことはどうでもいい、またゆっくり話しましょう。
僕は、本当に、加宝へ着くのが怖かった。

それは、ホテル加宝がなくなっているのではと、思っていたから。
僕の人生は、裏切られ続きだったことを思う。

中南米一周旅行から戻った時に、加宝が潰れていたというのが、最高の裏切りだからね。
でも4番街に、ホテル加宝は出発した時のままの姿で、存在してました。

僕は何気なく、入口のベルを押す。
ガタンと扉が開き、フロントには、なつかしいおばちゃんがいる。

「あーら西本先生、戻られるのをお待ちしてました」という。
ロビーにいる加宝仲間に「みなさーん、西本さんが帰ってきましたよ!」と声がかかる。

知ってる顔、初めての顔、が挨拶する。
部屋を見せてもらって、3階の隅っこの314号室に決める。

1989年秋は、この部屋は一週間(ウィークリーレートで)100ドルだったが、僕だけ特別に95ドルにしてくれた。
フロントにいた中国人のおねえちゃんに、クスコで買った、銀製の「TUMIのペンダントヘッド」をプレゼントした。

中南米旅行に出る前夜にパーティをした「Y谷」くんが、「西本さん、お帰りなさい」と声をかけてくる。
加宝を出発する前とおんなじだ(笑)。

僕の人生も、加宝だけは裏切らなかったね。
だから僕は、加宝と、加宝で出会った人たちと、加宝のあるリトル東京と、ロサンゼルスが大好きなんだ。

まだ時間は早いので、ヤオハンに、ビールでも買いに行きましょう。
そうして、思い切り、加宝の生活を楽しもう。

いつかはこれも終わるものだが。
しかし、僕は人生で、加宝に出会えただけで、幸せです。


旅行の満足度
5.0
  • 加宝の玄関を見る。

    加宝の玄関を見る。

  • 加宝仲間のパーティ

    加宝仲間のパーティ

  • これがホテル加宝。

    これがホテル加宝。

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