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マレーシアに長期滞在するようになって、小生の最も思い入れのあるドイツの旅行記を最初から改訂作業に取り掛かった。タイトルや文章に不備や不足があるところに手を入れつつあるが、シュツットガルトの旅行記が書かれていないことに気づいたため、追加することにした。シュツットガルトの人口は約60万人、工業、農業、文化的にも南西ドイツの中心都市であり、素通りすることは許されない。<br /><br />ヘルマン・ヘッセの名作「車輪の下」のゆかりの「マウルブロン修道院」を訪ねて、満ち足りた気持ちでシュツットガルトの市街に向かった。中央駅の時計台の上にメルセデス・ベンツのシンボルマークが誇らしげに回転しているように、この街は自動車産業のメッカであり、メルセデス・ベンツやポルシェ、ボッシュなどドイツを代表する企業が本社を置いており、またベンツとポルシェの自動車博物館が競存している。どちらか一つしか訪れる時間はないので迷ったが、長年の憧れのポルシェ、09年1月に新しいミュージアムが完成したポルシェ博物館を訪れることにした。<br /><br />ポルシェのイメージといえば憧れのスポーツカー、手の届かない高嶺の花、性能のみならず芸術品とも呼ぶべき完成された美しいフォルム。遠い昔、カラヤンがポルシェを運転する映像を見て特別なクルマであることを認識した。創業者のポルシェ博士は口癖のように「技術的問題を解決するためには美的観点からも納得のいくものでなければならない」と語ったと言う。その名車が並ぶポルシェ博物館はクルマ好きならずとも美を愛する方なら必見の博物館。約80台の車両とその他の展示品が配置されており、356、550、911、917といったポルシェを象徴する有名な車両が展示されている。車だけでなく建築にも注目、ウィーンのマイスル設計事務所の手による、まるで宙に浮いたモノリスのような斬新、大胆でダイナミックな設計はポルシェのフィロソフィそのもの、訪れる価値は十分ある。<br /><br />ポルシェという自動車会社について少し調べて見た。フォルクスワーゲン・タイプ1を設計した技術者フェルディナント・ポルシェにより、1930年にデザイン事務所として設立された。大戦後の1948年息子であるフェリー・ポルシェによって356が製造・販売され自動車メーカーになった。その後ポルシェ一族は1971年に経営から退き同族経営から脱却。2005年、歴史的に関係の深い大手自動車会社フォルクスワーゲンの株式の20%を取得。2008年にはフォルクスワーゲンを傘下に収めるが、2012年にフォルクスワーゲンが全てのポルシェ株式を取得し、ポルシェはフォルクスワーゲンの完全子会社となった。<br /><br />フェルディナント・ポルシェ(1875ー1951)は、オーストリア生まれの自動車技術者、と言うより自動車の神様と呼ぶべきかもしれない。ダイムラーの古典的名車の数々、レーシングカー、ヒットラーの依頼で設計したドイツ国民車フォルクスワーゲン・タイプ1(ビートル)など、歴史に残る名車を多数生み出した。同時に戦車や軍用トラクター、風力発電機も手がけた多才な人物であった。ヒットラーの信頼厚かったために、当然戦後は戦犯となり不遇の扱いを受けた。彼は天才的技術者ではあったが、政治には全く疎く、その意味ではフルトヴェングラーと共通する。<br /><br />予定時間はあっという間に過ぎてしまって、シュツットガルト中央駅に駆け込んだ。フランクフルト空港に向かうICEの中でウトウトしながら考えた。この街のベンツ博物館、シュツットガルト歌劇場、放送オーケストラなど訪れるためにも再訪しなくてはいけない、と。

シュツットガルト滞在記 : ドイツの誇る名車が並ぶポルシェ博物館を訪ねる

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2013/06/22 - 2013/06/23

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ハンク

ハンクさん

マレーシアに長期滞在するようになって、小生の最も思い入れのあるドイツの旅行記を最初から改訂作業に取り掛かった。タイトルや文章に不備や不足があるところに手を入れつつあるが、シュツットガルトの旅行記が書かれていないことに気づいたため、追加することにした。シュツットガルトの人口は約60万人、工業、農業、文化的にも南西ドイツの中心都市であり、素通りすることは許されない。

ヘルマン・ヘッセの名作「車輪の下」のゆかりの「マウルブロン修道院」を訪ねて、満ち足りた気持ちでシュツットガルトの市街に向かった。中央駅の時計台の上にメルセデス・ベンツのシンボルマークが誇らしげに回転しているように、この街は自動車産業のメッカであり、メルセデス・ベンツやポルシェ、ボッシュなどドイツを代表する企業が本社を置いており、またベンツとポルシェの自動車博物館が競存している。どちらか一つしか訪れる時間はないので迷ったが、長年の憧れのポルシェ、09年1月に新しいミュージアムが完成したポルシェ博物館を訪れることにした。

ポルシェのイメージといえば憧れのスポーツカー、手の届かない高嶺の花、性能のみならず芸術品とも呼ぶべき完成された美しいフォルム。遠い昔、カラヤンがポルシェを運転する映像を見て特別なクルマであることを認識した。創業者のポルシェ博士は口癖のように「技術的問題を解決するためには美的観点からも納得のいくものでなければならない」と語ったと言う。その名車が並ぶポルシェ博物館はクルマ好きならずとも美を愛する方なら必見の博物館。約80台の車両とその他の展示品が配置されており、356、550、911、917といったポルシェを象徴する有名な車両が展示されている。車だけでなく建築にも注目、ウィーンのマイスル設計事務所の手による、まるで宙に浮いたモノリスのような斬新、大胆でダイナミックな設計はポルシェのフィロソフィそのもの、訪れる価値は十分ある。

ポルシェという自動車会社について少し調べて見た。フォルクスワーゲン・タイプ1を設計した技術者フェルディナント・ポルシェにより、1930年にデザイン事務所として設立された。大戦後の1948年息子であるフェリー・ポルシェによって356が製造・販売され自動車メーカーになった。その後ポルシェ一族は1971年に経営から退き同族経営から脱却。2005年、歴史的に関係の深い大手自動車会社フォルクスワーゲンの株式の20%を取得。2008年にはフォルクスワーゲンを傘下に収めるが、2012年にフォルクスワーゲンが全てのポルシェ株式を取得し、ポルシェはフォルクスワーゲンの完全子会社となった。

フェルディナント・ポルシェ(1875ー1951)は、オーストリア生まれの自動車技術者、と言うより自動車の神様と呼ぶべきかもしれない。ダイムラーの古典的名車の数々、レーシングカー、ヒットラーの依頼で設計したドイツ国民車フォルクスワーゲン・タイプ1(ビートル)など、歴史に残る名車を多数生み出した。同時に戦車や軍用トラクター、風力発電機も手がけた多才な人物であった。ヒットラーの信頼厚かったために、当然戦後は戦犯となり不遇の扱いを受けた。彼は天才的技術者ではあったが、政治には全く疎く、その意味ではフルトヴェングラーと共通する。

予定時間はあっという間に過ぎてしまって、シュツットガルト中央駅に駆け込んだ。フランクフルト空港に向かうICEの中でウトウトしながら考えた。この街のベンツ博物館、シュツットガルト歌劇場、放送オーケストラなど訪れるためにも再訪しなくてはいけない、と。

旅行の満足度
4.5
観光
4.5
交通
4.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
15万円 - 20万円
交通手段
鉄道 タクシー 徒歩 飛行機
  • ポルシェ博物館のファサード

    ポルシェ博物館のファサード

  • 流線型モデルの型の展示

    流線型モデルの型の展示

  • クラシックモデルの展示

    クラシックモデルの展示

  • クラシックモデルの前で新婚さんが記念撮影

    クラシックモデルの前で新婚さんが記念撮影

  • 居並ぶ名車たち

    居並ぶ名車たち

  • 居並ぶ名車たち

    居並ぶ名車たち

  • 居並ぶ名車たち

    居並ぶ名車たち

  • レーシングカーの展示

    レーシングカーの展示

  • 真っ黄のポルシェ

    真っ黄のポルシェ

  • 真っ赤なポルシェ

    真っ赤なポルシェ

  • 居並ぶ名車たち

    居並ぶ名車たち

  • 黄色いレーシングカーの展示

    黄色いレーシングカーの展示

  • Porsche RS Spyderの展示

    Porsche RS Spyderの展示

  • 堂々たるシュツットガルト中央駅のファサード、ベンツのシンボルマークが誇らしげに回転する

    堂々たるシュツットガルト中央駅のファサード、ベンツのシンボルマークが誇らしげに回転する

  • シュツットガルト中央駅の列車

    シュツットガルト中央駅の列車

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