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フランクフルト空港乗り継ぎの間にハーナウを訪れた。フランクフルト空港からはSバーンで約40分、直通電車の終点であるハーナウ中央駅に到着する。短時間の乗り継ぎでも比較的訪れ易い。人口約9万人で、フランクフルトの衛星都市とも言えるが、河川交通の要地で独自の歴史を持つ。12世紀に築かれた城の周囲に発達した集落は、1303年にすでに都市権を得ていたという。<br /><br />ドイツには有名なロマンティック街道の他、ゲーテ街道、アルペン街道、エリカ街道、古城街道などの観光ルートが整備されているが、ドイツ中部の街ハーナウから北部の都市ブレーメンを経てブレーマーハーフェンまでを結ぶメルヘン街道もその一つである。グリム兄弟とその童話や伝説にゆかりの地を結ぶ観光街道で、全長約600km。始点のハーナウはグリム兄弟の生誕の地、終点ブレーメンは、彼らの童話『ブレーメンの音楽隊』で名高い街である。元々、この2つの街を結ぶ街道が古くからあったわけではなく、途中の70以上の街がこの街道に参加し、断片的な道路を結び合わせ観光街道として1975年に整備された。<br /><br />グリム兄弟は『グリム童話集』の編集者として知られているが、ゲルマン語の研究者でもある。5人兄弟の長男ヤーコプ・グリム(1785-1863)は、「ドイツ語文法」を著し、ドイツ語の子音についての法則性は「グリムの法則」と呼ばれている。我々がドイツ語文法で悩まされる動詞、形容詞の強変化・弱変化やウムラウトもヤーコプが整備したものだというから驚きだ。ドイツ語文法をもう少し簡単にしてくれていたら、、、と恨めしくも思う。なお、ゲーテは1749年にフランクフルトに生まれており、35年ほど年長である。<br /><br />兄弟は裕福な家庭に生まれたが、父親が早く死去し、伯母の援助によりマールブルク大学法学部に進学。兄は上記の研究によりベルリン大学教授となるが、次男のヴィルヘルム・グリム(1786-1859)は同じくベルリンで、より自由な立場で著述活動を行った。活発な兄とは違い、あまり体が丈夫でなかったこともあり地道に研究を続け、グリム童話の後半は彼を中心にまとめられた。兄弟はそれぞれの違いを補い合って活躍し、兄弟の理想像を築いている。<br /><br />前置きが長くなったが、ハーナウを訪れた日は今にも降り出しそうなどんよりとした曇天。中央駅からグリム兄弟像のあるマルクト広場までは約2kmあり、通常なら歩く距離であるが、この日は腰痛を抱えていることもありタクシーを拾った。グリム兄弟像は市庁舎の正面にあり、立っているのが兄ヤーコプ、座っているのが弟のヴィルヘルムだ。像の足元にはここがメルヘン街道の出発点であることを記したプレートが設置してある。<br /><br />市庁舎の裏手にあるフライハイト(自由)広場はほとんど全域工事中。ここを通り過ぎるあたりから、雨脚が強くなってとても歩いて観光どころではなくなった。木組みのゴルトシュミーデハウスだけは写真に収めてカフェで雨宿り。早々に切り上げて空港に戻った。<br /><br />フランクフルト空港で少し時間があったので、昨年完成したというショッピングモール、ヒルトンホテルなどが同居する複合ビル、ザ・スクエアを覗いて見た。空港の長距離駅に沿って、ヨーロッパ1長いビル、というのがうたい文句だ。実際にその長さを実感することはできないが、展示された写真でその全景を見ることができる。

ハーナウ滞在記:グリム兄弟の生まれた街でメルヘン街道の出発点(改訂版)

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2013/07/29 - 2013/07/30

4位(同エリア17件中)

2

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ハンク

ハンクさん

フランクフルト空港乗り継ぎの間にハーナウを訪れた。フランクフルト空港からはSバーンで約40分、直通電車の終点であるハーナウ中央駅に到着する。短時間の乗り継ぎでも比較的訪れ易い。人口約9万人で、フランクフルトの衛星都市とも言えるが、河川交通の要地で独自の歴史を持つ。12世紀に築かれた城の周囲に発達した集落は、1303年にすでに都市権を得ていたという。

ドイツには有名なロマンティック街道の他、ゲーテ街道、アルペン街道、エリカ街道、古城街道などの観光ルートが整備されているが、ドイツ中部の街ハーナウから北部の都市ブレーメンを経てブレーマーハーフェンまでを結ぶメルヘン街道もその一つである。グリム兄弟とその童話や伝説にゆかりの地を結ぶ観光街道で、全長約600km。始点のハーナウはグリム兄弟の生誕の地、終点ブレーメンは、彼らの童話『ブレーメンの音楽隊』で名高い街である。元々、この2つの街を結ぶ街道が古くからあったわけではなく、途中の70以上の街がこの街道に参加し、断片的な道路を結び合わせ観光街道として1975年に整備された。

グリム兄弟は『グリム童話集』の編集者として知られているが、ゲルマン語の研究者でもある。5人兄弟の長男ヤーコプ・グリム(1785-1863)は、「ドイツ語文法」を著し、ドイツ語の子音についての法則性は「グリムの法則」と呼ばれている。我々がドイツ語文法で悩まされる動詞、形容詞の強変化・弱変化やウムラウトもヤーコプが整備したものだというから驚きだ。ドイツ語文法をもう少し簡単にしてくれていたら、、、と恨めしくも思う。なお、ゲーテは1749年にフランクフルトに生まれており、35年ほど年長である。

兄弟は裕福な家庭に生まれたが、父親が早く死去し、伯母の援助によりマールブルク大学法学部に進学。兄は上記の研究によりベルリン大学教授となるが、次男のヴィルヘルム・グリム(1786-1859)は同じくベルリンで、より自由な立場で著述活動を行った。活発な兄とは違い、あまり体が丈夫でなかったこともあり地道に研究を続け、グリム童話の後半は彼を中心にまとめられた。兄弟はそれぞれの違いを補い合って活躍し、兄弟の理想像を築いている。

前置きが長くなったが、ハーナウを訪れた日は今にも降り出しそうなどんよりとした曇天。中央駅からグリム兄弟像のあるマルクト広場までは約2kmあり、通常なら歩く距離であるが、この日は腰痛を抱えていることもありタクシーを拾った。グリム兄弟像は市庁舎の正面にあり、立っているのが兄ヤーコプ、座っているのが弟のヴィルヘルムだ。像の足元にはここがメルヘン街道の出発点であることを記したプレートが設置してある。

市庁舎の裏手にあるフライハイト(自由)広場はほとんど全域工事中。ここを通り過ぎるあたりから、雨脚が強くなってとても歩いて観光どころではなくなった。木組みのゴルトシュミーデハウスだけは写真に収めてカフェで雨宿り。早々に切り上げて空港に戻った。

フランクフルト空港で少し時間があったので、昨年完成したというショッピングモール、ヒルトンホテルなどが同居する複合ビル、ザ・スクエアを覗いて見た。空港の長距離駅に沿って、ヨーロッパ1長いビル、というのがうたい文句だ。実際にその長さを実感することはできないが、展示された写真でその全景を見ることができる。

旅行の満足度
4.0
観光
4.0
交通
4.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
3万円 - 5万円
交通手段
鉄道 タクシー 徒歩 飛行機
航空会社
ANA
旅行の手配内容
個別手配

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  • ハーナウ中央駅のファサード

    ハーナウ中央駅のファサード

  • ハーナウからメルヘン街道につながるルート

    ハーナウからメルヘン街道につながるルート

  • 腰掛けているのが弟ヴィルヘルム、立っているのは兄のヤーコブ

    腰掛けているのが弟ヴィルヘルム、立っているのは兄のヤーコブ

  • 病弱な弟を兄が見守っているようだ

    イチオシ

    病弱な弟を兄が見守っているようだ

  • 市庁舎前のマルクト広場

    市庁舎前のマルクト広場

  • 市庁舎前のマルクト広場の一部も工事中

    市庁舎前のマルクト広場の一部も工事中

  • マルクト広場で語らうカップル

    マルクト広場で語らうカップル

  • 市庁舎に植えられた花咲く樹木

    市庁舎に植えられた花咲く樹木

  • 市庁舎の市の紋章

    市庁舎の市の紋章

  • 市庁舎からフライハイト(自由)広場に繋がる道路も工事中

    市庁舎からフライハイト(自由)広場に繋がる道路も工事中

  • 工事中の看板にもグリム兄弟とゴルトシュミーデハウス

    工事中の看板にもグリム兄弟とゴルトシュミーデハウス

  • 市庁舎の裏手にあるフライハイト(自由)広場はほとんど全域工事中

    市庁舎の裏手にあるフライハイト(自由)広場はほとんど全域工事中

  • 木組みのゴルトシュミーデハウスだけは写真に収めた

    木組みのゴルトシュミーデハウスだけは写真に収めた

  • 雨脚が強くなってとても歩いて観光どころではない

    雨脚が強くなってとても歩いて観光どころではない

  • ゴルトシュミーデハウスの前の広場

    ゴルトシュミーデハウスの前の広場

  • 木組みのゴルトシュミーデハウスの近景

    木組みのゴルトシュミーデハウスの近景

  • ハーナウ中心部の再開発計画の看板

    ハーナウ中心部の再開発計画の看板

  • ハーナウからヴィースバーデンに向かうSバーン

    ハーナウからヴィースバーデンに向かうSバーン

  • 昨年完成したというショッピングモール、ヒルトンホテルなどが同居する複合ビル、ザ・スクエア

    昨年完成したというショッピングモール、ヒルトンホテルなどが同居する複合ビル、ザ・スクエア

  • 昨年完成したというショッピングモール、ヒルトンホテルなどが同居する複合ビル、ザ・スクエアの内部

    昨年完成したというショッピングモール、ヒルトンホテルなどが同居する複合ビル、ザ・スクエアの内部

  • ザ・スクエアに展示された写真でその全景を見ることができる

    ザ・スクエアに展示された写真でその全景を見ることができる

  • 空港の長距離駅に沿って、ヨーロッパ1長いビル、というのがうたい文句

    空港の長距離駅に沿って、ヨーロッパ1長いビル、というのがうたい文句

  • 鉄道と立体交差する飛行機の通路

    鉄道と立体交差する飛行機の通路

  • 空港の長距離駅に沿ってヨーロッパ1長いビル、ザ・スクエアの写真

    空港の長距離駅に沿ってヨーロッパ1長いビル、ザ・スクエアの写真

  • こちらも最近オープンしたZターミナル

    こちらも最近オープンしたZターミナル

  • フランクフルトの空港ラウンジ

    フランクフルトの空港ラウンジ

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この旅行記へのコメント (2)

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  • tadさん 2013/08/15 13:06:46
    ここはまだ。。
    この方面はまだ行っていませんね。ところで、ドイツは家内と11月はじめに
    ちらっと行きます。一緒だと、ツアーのほうが便利なので、オランダ、ベルギー、それにケルンとフランクフルトに立ち寄るcourseに参加することにしました。昔のように、仕事を兼ねて、ひとりで動き回るスタイルは、退職して、純粋に遊びの場合、結構、お金がかかるので、家内の名所案内は何度か、ツアーを試していますが、楽であることは確かです。だんだんと老化している証拠でしょうが。。。ただ、来年春はウィーン、ザルツブルク、ミュンヘンと、家内を音楽のゴールデンコースに私が案内する予定です。

    ハンク

    ハンクさん からの返信 2013/09/15 15:25:41
    Salzburger Festspiele
    このところ多忙につきなかなか旅行記に時間を割くことができませんでしたが、やっとティーレマンとラットルの演奏会について書き上げることができました。お恥ずかしい拙文ですが、ご覧いただければ幸いです。ただいまサンクトペテルブルクに出張滞在中で、先週はゲルギエフのローエングリンのコンサート上演を聴くことができました。またの機会に掲載したいと思っています。それではtadさんのヨーロッパ旅行記を楽しみにしています。ハンク

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