2016/06/23 - 2016/06/23
31位(同エリア116件中)
玄白さん
オーストリア・チェコ一ヶ月のんびり旅の個別旅行記第2弾は、ノイシュバンシュタイン城見学ツアーに組み込まれていたヴィース教会、オーバーアマガウ、リンダーホフ城訪問記である。
ツアーとしてはノイシュバンシュタイン城が目玉であることは当然として、世界遺産ヴィース教会と、ノイシュバンシュタイン城と同じく、ルートヴィッヒ2世の遺物、華麗な装飾が見どころとなっているリンダーホフ城が花を添えるツアーで、オーバーアマガウはオマケ的な扱いである。
だが、個人的には、4か所を巡った中で、オーバーアマガウが最も印象深かった。ツアーではわずか40分ほどの滞在だったが、街の建物の多くの壁がフレスコ画で飾られ、街の通りがさながら絵画美術館のよう。少なくとも半日ほどはゆっくりと滞在してみたいと思わせる美しい村であった。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 観光バス
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
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午後1時過ぎ、ノイシュバンシュタイン城見学を終えて、次の目的地、ヴィース教会に向かう。
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30分ほどのドライブで、ヴィース教会到着。
少し離れた駐車場から歩いて教会へ。ヴィースとはドイツ語で草原、牧草地といったような意味。まさしく、牧草地の中にポツンと建っている。 -
イチオシ
牧草地では、馬がのんびり草を食んでいる。
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教会の外観は、ヨーロッパの田舎にはどこにでもありそうな何の変哲もない地味な建物。だが、一歩教会内部に足を踏み入れると、そこは別世界。外観からは想像できない、白い漆喰に金の装飾が施された絢爛豪華な内装である。そのロココ様式の装飾は、ドイツ最高のロココ様式と評されている。
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1983年には、世界文化遺産にも認定されている。
ただ、残念なことに教会内部は写真撮影禁止となっている。自分で撮影した写真で内部の華麗なロココ装飾を紹介できないのは残念!
現実には、ネットのブログなどでは教会内部の写真をよく見かける。
このあたりの事情について、ダイジェスト版にも記しておいたが、もう一度ここに引用しておこう。(http://4travel.jp/travelogue/11152503 より)
「ところで、4Travelをはじめ、多くの旅行記ブログで教会内部を撮影した写真がアップされている。中にはツアー客の撮影は禁止だが、個人客は撮影OKだという、よく分からぬ(屁)理屈を捏ねて、撮影した写真をアップしている向きもいる。だが、教会入口には撮影禁止という警告が掲げられているし、今回のツアーガイドからも、だれであっても撮影禁止ですよと念を押された。
この圧倒的に華麗な教会の装飾を見れば、それを自分のカメラに収めたいという気持ちは痛いほどよく分かる。実際、警告にも関わらず撮影している観光客もいるし、それを咎める係員がいるわけでもない。しかし、ルールには従わねばならないだろう。
この件について、少し調べてみた。ネット情報なので正確かどうかわからないが、どうも以前はフラッシュさえ使わなければ撮影OKだったようだ。しかし、団体客、特に日本人団体客で、フラッシュを焚いた撮影をする人が多く、それで全面的に撮影禁止になってしまったらしい。たぶん、フラッシュ撮影したほとんどの人は悪気があって撮影したのではないと思う。カメラの自動化が進んだ現在、フルオートで撮影すると、暗い教会内部では自動的にストロボがポップアップしてしまうので、発光禁止モードに設定することすら知らない人が多いのであろう。だが、悪気があろうがなかろうが、ルール違反をやってしまい、結果的に訪れる人の楽しみを狭めてしまうことになったのは残念である。昨今、中国人団体旅行客のマナーの悪さを指摘する書き込みを目にするが、日本人だって威張れるものではない。
いっそのこと、プラハで多く見られたように、撮影する場合には、撮影料を徴収し、そのときにストロボ禁止を徹底するというようにならないものだろうか・・・」 -
教会の反対側にも回ってみた。こちらにも牧草地が広がっている。
この教会の正式名称は「ヴィースの巡礼教会」
この教会の建立はヴィースの奇跡と言われる伝説が発端になっている。その伝説とは、
ある農婦が、シュタインガーデン修道院(シュタインガーデンとはこの地の地名)に放置されていた「鞭打たれるキリスト像」をもらい受け、熱心に祈りを捧げていた。すると数か月後の1738年6月にキリスト像が涙を流す奇跡が起きた。驚いた農婦とその夫は、この牧草地にあった小さな礼拝堂に像を安置したが、その話は瞬く間に広がり、大勢の巡礼者が訪れるようになった。これに驚いた修道院長が、ここに教会を建てるため、その設計を当時の宗教建築の第1人者だったドミニクス・ツィンマーマンという人物に依頼、華麗な天井画は、彼の兄のヨハン・バブティストが描いたとされる。
ロココ様式はフランス発祥の建築様式だが、ドイツでは後期バロック様式も混在させた独自のものだという。世界遺産に登録されたのは、そういう独自性が評価されたものなのだろう。 -
教会の前の大木には、花をつけた枝にミツバチらしき昆虫が群がっている。
肝心の世界遺産対象のロココ様式の写真がないので、間が抜けた旅行記になってしまっているが、次の目的地オーバーアマガウへ移動する。 -
オーバーアマガウに近づいてきた。村のシンボルのような山、コーフェル山。
頂上に十字架が建てられているのが見える。信仰が強い地域ほど、山の頂上に十字架を建てていることが多い。高いところほど、神がいる天上に近づくということが宗教的背景なのであろう。日本の山にも頂上に神社の祠があることが多い。こういう心情は、民族の違いによらず、人類共通なのだ。 -
オーバーアマガウに到着。ミュンヘンから南におよそ80kmほど、チロルに近い人口5000人ほどの静かな村であるが、この村を有名にしているのが、10年に一度、5か月にわたって100回以上開かれるキリスト受難劇である。これが開かれる年には、世界中から50万人以上の人が、この小さな村に押し寄せるという。
1632年に大流行していたペストが終焉したが、当時の村人たちがペスト終焉を神に祈り、流行が治まったら受難劇をするという誓いをたて、1634年から途切れることなく開催されている。最初は毎年だったようだが、今では10年に一度の開催になっている。最近では2010年が開催年だったので、次回は東京オリンピックの年ということになる。
写真は、その会場となる劇場である。17世紀から続けられている劇の会場にしては、ずいぶん新しい。1990年から9年の歳月をかけて改築されたそうだ。
外からは屋内劇場のようだが、舞台には天井がなく、野外劇のスタイルでの上演である。残念ながら、時間がなく内部を見ることはできなかった。
普段は、オペラやコンサートに使われているようだ。入口の壁には、ヴェルディのオペラ「ナブッコ」の上演予告が掲げられていた。 -
この受難劇の特徴は、その準備、出演、オーケストラ、合唱、裏方仕事などあらゆることを村民だけでやること。5,000人の村民のうち、毎回およそ2,000人が関わり、そのうち1/4は子供達だ。受難劇に関われるのは、オーバーアマガウで生まれたか、20年以上ここに居住している人に限られるという。中には、受難劇の準備、出演で、まるまる1年仕事を休む人もいて、そういう場合は村から生活給付金が支給されるという。
受難劇のストーリーは宗教劇なので多少の演出はあるだろうが、ほとんど毎回同じ。イエスがユダヤ教を非難してエルサレムの神殿に乱入する場面から始まり、最後の晩餐、ゲッセマネの祈り、ローマ総督ピラトによる審判、十字架の道行き、磔刑の場面を経て復活で終わるというもの。
イエス役の村民は十字架の上で20分もじっとしていなければならず、事前に相当なトレーニングをするそうだ。また、かつらなどは使わないので、半年前から役者たちは散髪もしないで昔の風貌になるように髪やひげはそのままにしておくのだそうだ。
古臭い宗教劇と思いがちだが、実際には、超リアルな迫真の演技が展開されるという。さながらハリウッドのスペクタクル映画を舞台に持ってきたような迫力があるそうだ。 -
村のメインストリート。
想像していた以上に観光客がきている。 -
ウルフというホテル。このホテルの窓に飾られた花が見事で、観光のポイントになっているのだが、今年は花付きが悪く、ちょっと寂しい。
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イチオシ
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ホテルにも、店舗にも、普通の民家にも、壁にフレスコ画が描かれている。
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さながら、常設野外絵画展といった感じである。
フレスコ画、厳密にはブオン・フレスコ画というのは、生乾きの漆喰の上に直接顔料をのせて絵を描く手法。その起源は古く、紀元前18世紀にクレタ島からフレスコ画が見つかっている。漆喰が乾き切る前に描画を完了させねばならず、描ける範囲だけに漆喰を塗っては、描画するという手順を踏まねばならないので、画家には左官の技量も求められ、書き直しができないので描画のスキル、スピードに高度な腕前が必要とされる。
歴史は古いが、芸術性の高いフレスコ画が現れるようになるのは、中世末期からルネッサンス時代まで待たねばならない。当時のフレスコ画先進地域はイタリアであり、その代表的芸術家として、ミケランジェロ、ラファエロなどの名前が浮かぶ。特にシスティナ礼拝堂の最後の審判は、人類の至宝ともいえる傑作である。 -
イチオシ
その後、絵画表現の幅が広い油絵の技法が広まってくると、フレスコ画は絵画の主流から外れることになる。
しかし、生乾きの漆喰に顔料が入り込んでから乾燥すると、漆喰表面に透明で丈夫な皮膜が出来、これが顔料の劣化を防ぐので、長い間鮮やかな色が保存され、外部環境にも影響されにくい。そのため、建築物の壁画、装飾などには利用され続けられている。 -
チロルや南ドイツはフレスコ画先進国イタリアに近かったので、屋外の壁にフレスコ画を描くという文化がいち早く入り込み、根付いたものと思われる。
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イチオシ
壁いっぱいに、キリスト受難劇の様子を描いた巨大なフレスコ画が描かれた建物もある。たしか、これはホテルだったような・・・
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村のメインストリート、ドルフ通り。信号なんてものは無く、のどかな風情である。
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これもホテルだったかな・・・
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この建物の壁絵も見事だが、その前にある金属製の噴水がまたずいぶんと手が込んだ細工が施されている。
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アップで。
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もっとアップで。
骸骨が描かれていたりするので、ペスト記念柱的な意味合いがあるのだろうか。 -
きれいな大理石の窓枠のようだが・・・
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よく見ると、これもフレスコ画で描かれたもの。一種のだまし絵である。
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街の中心を挟んで受難劇劇場の反対側に村の教会があるので、行ってみる。プファール教会という。
簡素な外観の教会で、観光ガイドにも出ていない無名の教会だが・・・ -
中に入ってみると、絢爛豪華な装飾で埋め尽くされている。ヴィース教会の驚きの再来だ。異なる点は、ヴィース教会がロココ様式なのだが、こちらはバロックである。
ヴィース教会と違って、ここでは撮影自由。心置きなく撮影できた。 -
天井のピンク色が印象的
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イチオシ
それほど大きなパイプオルガンではないが、それでもそのオルガンに比べて、天井画の壮大なこと。
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祭壇真上の天井画
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祭壇画を支える柱もとてもカラフル
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あまり時間が取れないので、集合場所に引き返す。
ちょっと無粋な感じがするが、ソーラーパネルを屋根に乗せた民家もある。オーバーアマガウの街並みがもし世界遺産に認定されるようなことになれば、こんなこともできなくなるだろうな・・・
ドレスデンのエルベ渓谷に渋滞解消のため鉄骨の橋を建設したところ、景観を壊したということで世界遺産登録を抹消されたことを思い出す。 -
後にインスブルックで目にすることになるエルカーに似た出窓にも遭遇
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ドルフ通りには、かわいらしいショップが軒を連ねている。
時間があればゆっくり見たいと連れ合いもブツブツ言っている。 -
木彫りの凝った看板が目に付いたので、ちょっと中を覗いてみると・・・
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木彫りの置物の店だった。オーバーアマガウは、木彫りでも有名なのだ。
撮影禁止のシールが貼ってあるが、店の外からの撮影なので許してもらおう。 -
フレスコ画だけでなく、木彫りの彫刻もよく見かけた。
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時間がないと言いながら、しつこく壁絵を撮影。
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受難劇劇場横の小さな公園にて。ロバに乗った聖人?の銅像
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40分ほどのオーバーアマガウ散策を終え、最後の目的地リンダーホフ城へ向かう。
途中、オーバーアマガウのフレスコ画で一番有名な「赤ずきん」の壁絵の家の前を通る。
ツアコンさんが、ドライバーにちょっとでよいからバスを止めて見学するように交渉していたが、ここは交通量が多く駐車禁止だから停められないと頑として聞き入れない。ドイツ人らしい。
やむを得ず、バスの窓越しに一枚。 -
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赤ずきんの家の隣にはブレーメンの音楽隊かな?
ここの数軒の家は童話のフレスコ画で、人気の場所なのである。ちなみに、この童話の壁絵の家は、すべて、ごく普通の民家である。 -
30分ほどで、リンダーホフ城の入口に到着。
ティンバーフレーミング(ドイツではファッハベルクハウス、フランスではコロンバージュという)の建物にリンダーホフ城の入場券売り場、土産物ショップなどが入っている。トイレもここにある。 -
ここから15分ほど、緑豊かな遊歩道を歩いていくと・・・
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リンダーホフ城の前庭に出る。
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リンダーホフ城も、ノイシュバンシュタイン城と同じくかのルートヴィッヒ2世が作った城である。彼があこがれていたというフランスのルイ14世にあやかって、ヴェルサイユ宮殿内の大トリアノンを模してルネッサンス様式で建てられた城である。内部はロココ様式の装飾がふんだんに施されているが、ノイシュバンシュタイン城と同じく、19世紀後半に建造された時代錯誤の建造物という点では共通している。
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金ぴかの噴水がある池の奥の建物にはヴィーナスの洞窟という人工の鍾乳洞があり、ワーグナーのタンホイザーの世界観に彩られているそうな。そういえばノイシュバンシュタイン城にも人工洞窟があった。ルートヴィヒ2世はこの洞窟内に金色の貝の船を浮かべ、夜な夜な一人で夢の世界に浸っていたと言われている。国王失格の烙印を押されても仕方がないな〜。
残念ながら、時間がなく、ここを実際に見ることはできなかった。 -
城本体の内部はノイシュバンシュタイン城と同じく、入場時間を決められたガイドツアーでの見学のみ。ここもまた、城内部は撮影禁止なので写真はない。
一番印象に残っているのは食堂の魔法のテーブルという仕掛けテーブル。テーブルが小さなエレベータに直結していて、階下の厨房で作られた料理が、エレベーターに乗って無人で王の食卓に上がってくるというもの。給仕の顔を見ないで食事ができるというわけだ。ルートヴィヒの人間嫌いも、ここまで来ると病的というほかない。
写真は、内部の見学を終えて裏庭に出たとき撮影。 -
ポセイドンらしき銅像、あるいはこれもワーグナーのオペラの世界に関係するものなのか?
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城の正面に向かって左側に小さなフランス式庭園がある。
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イチオシ
その庭園から見たリンダーホフ城
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ノイシュバンシュタイン城、リンダーホフ城、いずれもルートヴィッヒ2世ただ一人のための壮大なワーグナーテーマパークである。
メルヘンチックで、きれいで、美しいのだが、空想的、非現実的なものに特有の虚無的な気だるさのようなものを感じてしまう観光ツアーであった。
その点、オーバーアマガウ散策は、村民のしっかりと根付いた信仰心が伺え、現実の歴史に裏打ちされた美しさが感じられるすばらしい体験だった。
ただ、ツアーはやっぱりせわしない。もう少し日程の余裕を見て、個人で行った方がよかったかなとも思った次第である。
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