思いのままに旅するペルー(10) モライの不思議な円形アンデネスとマラスの白いアンデネス

2016/05/03 - 2016/05/03

クスコ滞在中に見ておきたかったモライ遺跡とマラス塩田。ペルー到着日オジャンタイタンボに行く途中に立ち寄るか、それともマチュピチュからクスコへ帰る日か、どのタイミングに組み込もうかとスケジュールを考えていたのだが、この２ヶ所は半日ツアーに参加して効率良く周ることにした。
朝９時に出発して１５時に帰ってくるから、これならクスコの町歩きの時間も確保できる。
私が申し込んだのは、チンチェーロ・モライ・マラスがセットになったツアー。チンチェーロでは遺跡には行かないから、２日間有効の周遊券を利用するチャンスは無かったが、地元女性による染色の伝統技術のデモンストレーションが興味深く、楽しめた。
ツアーだとガイドが一緒だから、珍しい形をしたモライの円形遺跡や、プレインカの時代から続くマラス塩田の解説を聞くことができた点も良かった。
しかも２５ソルで参加できたのは、かなりお得だったと思う。

エリア クスコ(ペルー)

• 旅行の満足度: 4.5

チンチェーロでの染色の見学後は、インカの聖なる谷の景色を眺めながらモライへ移動。この付近の標高は3760mを越えているのだが、それに気付かないくらいに身体はすっかり順応していた。
モライ・マラスをバイクで移動するツアー客が通り過ぎて行った。この周辺はサイクリングコースとしても人気がある。

モライ遺跡に到着。
これまで円形の写真しか見たことがなかったのだが、実際には上段部分は丸ではなく延長部分があった。
現場に来てみないと分からない巨大さ、段々畑の深さに圧倒される。

一段一段が非常に高さのある、モライのアンデネス（段々畑）。
この段差による気温や湿度の差を利用して、ジャガイモ・トウモロコシ・キヌア・カボチャ等の異なる作物の栽培を試みた農業試験場だったと考えられている。
現在のペルーには約3千種ほどジャガイモの種類があるが、インカ帝国時代には更に多くの品種があったようだ。

このアンデネスには雨水の他に、山からの水が流れ混むよう水路が造られていた。
ただし現在このアンデネスで実際の栽培は行われていないため、水路の水はトイレに利用されているとのこと。

ガイドがモライのトイレはインカタイプだからお勧めできない、チンチェーロでトイレを済ませておく方が良いと言っていたが、実際にはどうなんだろう。
モライでは安くない入場料を払っているというのに、トイレの使用料が別途必要だった。

円形段々畑は排水溝も備えており、雨季に大雨が降っても冠水することはなかったそうだ。

８月の第一日曜日、モライのアンデネスでは大地パチャママの神に捧げる祭が行われている。インカの時代から８月は一年の始まりとみなされていたようで、豊穣祈願や良い一年になるよう願いがこめられている。

各段に見える小さなツブツブは階段。階段無しでヒョイと登れる高さではない。

このアンデネスは石灰岩らしいが、水はけの良さが栽培に適しているのかな？

上空写真を見ると、山を深く掘り起こしたような場所であることが分かるのだが、この写真でアンデネスの深さが少しは伝わるかしら？
モライとはケチュア語で「丸くへこんだ場所」を意味するらしいが、その名の通りの形状なのだ。
高山病薬を飲んでなかった私が、もしペルー到着日に、いきなりこのアンデネスに来ていたら、頭痛の苦しみにあっていたかも知れないな。

モライに来たら、あのウズマキの段々をグルグル歩いたり、一番底まで降りて記念写真を撮ったりしたかったのだけど、現在は立入禁止になっていた点が残念だった。

今のアンデネスは修復済のものでオリジナルではないそうだが、遺跡の維持を考えると、やはり歩いてはダメなのね。

これは別の円形アンデネス。

こんな石の山がポツポツと散らばってた。

何か意味があるのか聞きたかったけど、この時は自由行動でガイドが近くにいなかった。

A/TO INTIWATANAMUYU
この道を歩き続けたらマチュピチュにたどり着くんだったかな。

毎日晴れて本当に嬉しかったけど、とにかく暑かった。
モライの標高約3500m、日差しが強いのにサングラスも帽子も被ってないから、いくら日焼け止めを塗っても焼けてしまう。

ウルバンバ山脈の中でも一番高い山、ベロニカ。
WIKIのスペイン語表示では標高5682ｍとあるが、英語表記にすると6893ｍと差が大きい。

そろそろ集合時間だからバスに戻ったら、ほとんどの人が既に着席しててた。
一番最後に戻ってきたのは隣の席のブラジル人。
ガイドに「みんなにピスコサワーを御馳走するのはロベルタだ〜」とジョークに使われていた。

モライへの往復時に気になってた建物、ちょっとスペインっぽいと思うのだけど。
モライ〜マラスはそう遠くない。すっごく頑張れば徒歩も可能で、車道を使わず近道を歩けば90分程度だと書いてあるブログを読んだことがある。
この日も1人で歩いてる金髪女子を見つけたから、近道がある事を知ってるのか教えてあげたくなったが、まぁ、ヒッチハイクする気だったのかも知れない。

モライは周遊チケットで入場できたが、マラス塩田は含まれないため、ガイドが車内で料金を徴収しにきた。
日差しが強烈だから、今のうちに顔や腕に日焼け止めを塗り足しておく。
そうしていると、山の斜面に貼りつくように広がる、とんでも無いスケールの白い塩田が見えてきた。

バスを降りると、遠くに見える塩田にワクワクしながら、しばらく歩く。

店員が、あれこれ試食を勧めてくれる。ナッツ類が多かった。

まずは土産物店内に集合して、ガイドの説明が始まる。
塩田の説明よりも、塩・チョコ・ニットと土産物の紹介が長く続き、塩やチョコの試食がまわってきた。

どきつい色のバスソルト。

ペルーに行ったらお土産にチョコを買いたいと思っていたから、この可愛いパッケージは好きだったんだけど、この暑さを考えたら中身が溶けてる可能性が高い。
それに、ついうっかりコカのチョコを買わないように気をつけないと。

ばらまき用に小袋の塩を多めに購入。ガイドのイチオシだったRosada（ピンクソルト）をチョイスした。マラスの塩はミネラルが豊富らしい。
ただ、この塩はアメリカの空港で預け荷物のセキュリティチェックにひっかかっていた。帰国後スーツケースを開けると一つ開封されており『お知らせ』の紙が入っていた。
普通、荷物チェックの担当者がマラスの塩を悪い薬と見間違えるかな？
ただの嫌がらせにも思えるんだけど？

そんなこともあり、お土産用に塩を買うなら必要数より一つ多めに購入しておくと安心かも。
ガイドからお土産品の紹介が終わったら、塩田を眺めるなり買物するなり自由時間となった。

店を出ると目の前には白の世界。
白い塩田が山の斜面に沿って果てしなく広がっている。ウユニの白の世界も感動だったけど、マラスの白い棚田も絶景なり。

プレインカの時代から続くマラス塩田、インカ帝国の人々も同じ景色を眺めていたんだろうな。

標高3200mのマラスの谷に、どうして塩田があるのか。
はるか遠い大昔、この高地も海水に浸かっていたから、当時の塩分が深い山の奥に残っているのだろう。
この付近では非常に塩分の高い水が湧き出ている。

この小川の水を舐めてみたら、すっごくしょっぱいんだろうな。

４０００〜５０００個ともいわれる棚田で、その水を天日干しにして蒸発させると塩だけが残る仕組み。１ヵ月程度で10cmほどの塩を採取することができる。

なので、この白い塩田は４月〜９月の乾季にしか見ることができない。

スペイン バスク地方で塩田を見学した時も、やはり白い塩田の風景が見れるのは夏だけだった。

白く輝くマラス塩田。晴れの日に来れて良かった。

遠くから、ガイドが集合時間だと叫んでいるのが聞こえてきた。
土産物の説明に対して、塩田を見る時間がやや少ないようにも感じたが、ツアーの参加者達、そう簡単には戻ってこない。

それを分かっているから、ガイドも早めに号令をかけ始めているのだろう。
今回も最後にバスに戻ってきたのはブラジル人のロベルタだったから、ガイドのジョークに使われていたが、彼女はこの後クスコの町に帰ったらシティーウォークツアーに参加するってことで、またこのガイドと一緒だったのかも知れない。

最後に、もう一度じっくり眺めておこう。

再び土産物店のあいだを通って駐車場へ向う。

ここでツアーバスを降りてオジャンタイタンボに向う1組のカップルがいた。
私がオジャンタからクスコへ帰る際に乗ったコレクティーボも、ここで乗客を乗せチンチェーロを経由した。きっと運転手に頼めば、行ってくれるのだろう。
個人でモライとマラスに行く場合、このバス停が乗換えスポットだ。

この旅行記へのコメント （4）

• 天星さん 2016/07/02 17:18:59

  塩

  塩田に行きたかったなぁ......未だにクイ残る
  あっちゃう！悔いが残る（笑）
  テレビで何度も紹介されるがそこだけは肉眼で見ていない
  うらやましいなぁ.....
  ミネラル豊富な土産の塩、オイラには......
  聞くだけヤボかぁ.....（笑）
  アメリカじゃあ、その塩はヤバい薬かもと
  要チェックされるんだろうね！
  日本社会では、清原や高知被告が話題になってますが......
  女優の高島礼子さんはなんであんな男と結婚したんだろう！
  お父さんは反対してたのに......
  あ、ここはみらべいさんち、芸能話してどーすんだ（笑）
  
  モライ遺跡は農業試験場なのか.....
  塩田も遺跡も大昔は海底で、石灰質土壌とあらば
  水の保水性が良いということ。飽和されれば水吐けがよくなる。
  石灰は現代でも土壌改良材によく使用されています（エッヘン、笑）
  なんてね......多少なりとも水稲栽培や家庭菜園してるんで
  それくらいは知ってるのですが！
  ジャガイモを植えてしばらくは、最初に保水性を持たせ、
  地中のイモを大きくするには飽和させ水吐けをよくして
  育て収穫するってことかな！
  でも、なぜ円形なの？と疑問は残るがアンデスの方は凄いね
  
  土産の塩はなくてもジャガイモの一つくらい　
  あってもいいんじゃあない（しつこい、笑）
  
  天
  

  Mirabellaさん からの返信 2016/07/03 01:53:37

  RE: 塩

  > 塩田に行きたかったなぁ......未だにクイ残る
  > あっちゃう！悔いが残る（笑）
  > テレビで何度も紹介されるがそこだけは肉眼で見ていない
  > うらやましいなぁ.....
  > ミネラル豊富な土産の塩、オイラには......
  > 聞くだけヤボかぁ.....（笑）
  >
  天さん、こんばんは。クイが残る塩田、すっごく広大なんですよね。できればもう少し時間が欲しかったですよ、お土産品の説明長すぎるんだから。
  マラスの塩、空港で検査されたのだけ誰にも渡せなくて残ってるんですよ。あれ、ちゃんと袋を切ってパラパラと塩を落としてチェックしたのか、それとも指をつっこんで舐めて検査したのか、どっちなんでしょうね。
  捨てれずに置いてますが、味見もできずにいます。
  
  > アメリカじゃあ、その塩はヤバい薬かもと
  > 要チェックされるんだろうね！
  > 日本社会では、清原や高知被告が話題になってますが......
  > 女優の高島礼子さんはなんであんな男と結婚したんだろう！
  > お父さんは反対してたのに......
  > あ、ここはみらべいさんち、芸能話してどーすんだ（笑）
  >
  ハハ、そうですよ芸能話はワイドショー好き世代のトラベラーさんとして下さいよ。(笑)　高島さんのお父さん反対してたんですか？それ、知りませんでしたから。(笑)
  
  > モライ遺跡は農業試験場なのか.....
  > 塩田も遺跡も大昔は海底で、石灰質土壌とあらば
  > 水の保水性が良いということ。飽和されれば水吐けがよくなる。
  > 石灰は現代でも土壌改良材によく使用されています（エッヘン、笑）
  > なんてね......多少なりとも水稲栽培や家庭菜園してるんで
  > それくらいは知ってるのですが！
  > ジャガイモを植えてしばらくは、最初に保水性を持たせ、
  > 地中のイモを大きくするには飽和させ水吐けをよくして
  > 育て収穫するってことかな！
  > でも、なぜ円形なの？と疑問は残るがアンデスの方は凄いね
  >
  さっすが天さんは何でもよく御存知。やっぱり無駄に世界を放浪されてきませんでしたね。ワインのブドウを育てるのも石灰質の土地は良いみたいですけど、理由はジャガイモと同じなんでしょうね。
  モライのあの段々畑からジャガイモやトウモロコシがニョキニョキ育つ様子って想像しがたいんですけど、あの場所で研究してたみたいです。インカの人達って勉強家だったんですね。
  円形だと無駄なく水が周るとか？それか、底に水張って星の観察してたんじゃないかしら？あっ、排水溝があったか。(笑)
  
  > 土産の塩はなくてもジャガイモの一つくらい　
  > あってもいいんじゃあない（しつこい、笑）
  >
  ジャガイモなら天牧場にもありそうだし。天さんも畑、円形の段々にしてみては如何でしょう？そしたら答えがみつかるかも♪
  
  みらべい

• れいろんさん 2016/07/01 19:13:00

  モライの円型段々畑

  みらべえ、こんばんは！
  
  モライの円型段々畑、クスコからマチュピチュにヘリコプターで行くとき、上空から見たよ〜。
  
  写真も撮ったんだけど、近くに行ってみてみたかった。
  
  マラスのお塩は美味しかった？？
  アメリカの通関時にあけられてしまったなんて残念だねえ。
  中南米からの荷物のチェックは厳しいって聞いたことがあるけど。
  
  コカ・チョコレートに興味津々です。
  買ってきてもらいたかった。（つかまるか、どうかも確認できたし。）
  
  いろいろ、興味の尽きない旅行記だったよ〜。
  
  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　れいろん
  　　　　　
  
  

  Mirabellaさん からの返信 2016/07/03 01:28:07

  RE: モライの円型段々畑

  れいろんさん、こんばんは〜。
  
  > モライの円型段々畑、クスコからマチュピチュにヘリコプターで行くとき、上空から見たよ〜。
  > 写真も撮ったんだけど、近くに行ってみてみたかった。
  >
  マチュピチュまでヘリで移動したら色んな遺跡が見れて楽しそうですね。
  その中でもモライは目立ちそうだ。その頃だと、まだ段々畑を歩けたでしょうね。
  
  > マラスのお塩は美味しかった？？
  > アメリカの通関時にあけられてしまったなんて残念だねえ。
  > 中南米からの荷物のチェックは厳しいって聞いたことがあるけど。
  >
  お塩は全部お土産に渡してしまって、唯一税関で開けられた塩だけが家に残ってるんですけど、汚い指を突っ込まれてないか気になって味見してないんです。でも捨てるのももったいないし、と放置中です。
  もう一回、天日干しにしようかな？(笑)
  
  > コカ・チョコレートに興味津々です。
  > 買ってきてもらいたかった。（つかまるか、どうかも確認できたし。）
  >
  あんなチョコで捕まったら笑えないですよね。チョコに入れて、コカの味がするのか疑問だけどミント系の味になるんですかね？
  
  > いろいろ、興味の尽きない旅行記だったよ〜。
  >
  あら、そうでしたか？ありがとうございます。ようやく次の旅行記でクスコ最終回です。
  
  みらべい