南紀白浜　長久酒場で食すウツボは意外にも淡白でした

2016/06/04 - 2016/06/05

今日のテーマはグルメ。

舞台は南紀白浜。
居酒屋紀行で名を馳せた太田和彦氏が選んだ日本三大居酒屋の１つ「長久酒場（ちょうきゅうさかば）」に挑戦しました。

長久という和歌山の酒をひやで飲みつつ、現地でないと出会えない海の資源を目で楽しみ、舌で満喫する和の企画。
主人公はウツボ。火にあぶって、ぷーっと膨れた１かけらを甘目の醤油にくぐらせて口に
運ぶと、弾力のある噛み応えに、白身の淡白さが美味。梅雨の重たい1日でしたが少し幸せを感じた瞬間でした。
ウツボは、ここ紀州や高知で食されています。

エリア 南紀白浜(和歌山)

南紀白浜のメイン通り沿いに長久酒場はありました。
周囲にはコンドミニアムが立ち並び、その谷間にポツリと佇む黒い建物が目的地のようです。名称からして、街中に所狭しと並ぶ風景を思い描いていたのですが、予想は大きく外れました。

近づいて行くと、海岸に面する人工的な建物が壁となって酒場を囲い込んでいることがわかります。

長久酒場 グルメ・レストラン

普通の家ではないし、なんだろう。やはり居酒屋なのでしょうか。

まだ日の入り前ですが、暖簾を潜ることにしました。明らかに旅行者ですが主人は暖かく向かい入れてくれました。予約は限定らしく早めに行きました。土日となるとかなり混むようです。

何はともあれ生ビールをまずは持ってきてもらい、それから行くぞという掛け声とともに「流れ子」と現地で呼ぶいわゆる「トコブシ」を注文しました。
メニューにある「亀の手」をお隣さんが食べていましたが、昔食べ過ぎた反省もあり、今回は見送りです。

テーブルの前に置かれていたガスコンロが点火されると、暫くしてウツボが登場です。とてもあのグロテスクな体からは想像ができない、白身の破片が運ばれてきました。皮は否定しようもない獰猛さを感じる爬虫類系の色合いと肌触りですが。

タコぶつとのツーショット。獰猛な海の資源なだけに並ぶと意外に地味。ウツボも小さく刻まれると、タコぶつと寸分違わぬ大きさになってしまう。
ところで、ウツボは小骨が多いので調理がかなり難儀なようです。

「身から炙って」との指令が出されました。
網上で待つこと数分、餅のように膨れてきました。裏に返し、皮をさっと焼いて甘い醤油につけて口に運ぶと、もっちりとしています。
ところでウツボの身が白い理由はマグロのように遠遊せず、岩陰から瞬発力で獲物を獲る筋肉だけが発達したからです。白い筋肉は短距離移動に適しているようです。

長久のひや酒はずしっと体に効いて行き、気がつくと日はすっかり暮れていました。外に出ると、酔いが一気にさめるくらいの雨が降っていました。

ホテルから持ち出したビニール傘をさしながら千鳥足でふらふら道路を渡ると、そこには都合良く足湯がありました。
足湯は副次的な設備なのかもしれませんが、足を漬ける人々にとっては小さな幸せを与えてくれます。何となく得した気分になるものです。

今回の宿泊先はラフォーレ。
南紀白浜を見渡す一番の高台にあります。
お風呂からの見晴らしは見事です。太平洋まで望むことが出来ます。
晴れてくれれば良かったのですが、今回はあいにくの雨。

旅行の目的は「長久酒場」であったので、天気は特にあれこれ言うつもりはないのですが、残念ながら翌朝も小雨の１日。二日酔いながらも、せっかく来たので白浜の海岸を散歩しました。

水は澄んでいました。
白浜は綺麗ですが、最近はオーストラリアから白砂を輸入しているとのことです。

波打ち際で手を潜らせると決して暖かくないのですが、泳いでいる子供たちもいました。

曇天の雲を掻き分けながら、南紀白浜空港に向けて飛行機が降りてきました。
１日３便の飛行機に海岸沿いで出遭うのは幸運かもしれないと、雨で沈んでいた気持ちを少し鼓舞しました。

羽田から１日3便飛んでいます。
温泉に浸かりながら、新鮮な海産物を味わえます。

あっという間に頭上を飛び越えて行きました。

歴史ある「むろのゆ」です。海岸沿いにあります。そもそも南紀白浜は日本三大古湯(白浜、有馬、道後)の1つに数えられる湯治場です。
次回はここにも入りたいと思います。

最近ブラタモリでよく出てくる河岸段丘。見事に積み重なった地層が上方にずれ出しています。

円月島。白浜のシンボル。
春分、秋分の日の頃に夕陽が穴を通じて見られるとのことです。

とれとれ市場は賑やかでした。
最近はアドベンチャーワールドのパンダファミリーが有名になり、行き帰りにここで買い物をしていくようです。

とれとれ市場 鮮魚コーナー グルメ・レストラン

最後に湯浅醤油に寄って帰路に着きました。

湯浅醤油(有) 名所・史跡

複数の醤油が並べられてむらさきと呼ばれる所以が分かりました。

今回の旅行は、現実的感触への欲求を満たす旅となりました。テレビや本で見たり、知ったりしてもしても現実に行ってみて触ったりしないと納得できないものです。また実際に味わうと情報と異なることも多いもの、ウツボを食すことで小さいながらもまた1つ人生経験を積むことができました。