2016/03/02 - 2016/03/03
3位(同エリア97件中)
shiqueさん
- shiqueさんTOP
- 旅行記40冊
- クチコミ3件
- Q&A回答0件
- 57,298アクセス
- フォロワー34人
タイのウボンからラオスのパクセまで国際バスで移動し、
パクセの街もいつものようにお散歩散策してみました。
そして次の日、今回最大のイベント、ワット・プー探訪。
片道40kmをレンタルバイクで行っちゃいました。
乾季ならではの幻想的な風景が展開する
世界遺産ワット・プー探訪を中心とした第二弾。
ご覧頂ければ幸いです。
- 旅行の満足度
- 3.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩 バイク
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
4日目。
本日のイベントはウボンからラオスのパクセまで
国際バスを利用しての陸路での移動です。
9時30分発のバスに乗るため
宿でタクシー(80B)を呼んでもらい
北部バスターミナルに着いたのが午前8時。
国際バスは白を基調に青いラインがカッコ良いバスで
番号は999、銀河鉄道を彷彿させる夢の番号。
冒険の旅へと私たちを連れて行ってくれるには
思わず笑ってしまうほど、ぴったりの番号です。
行くぞ、メーテル! -
国際バスチケット、200B也。
全席指定席の大型バスで、
私たちの席がA5とB5です。
出発1時間半前で3分の1以上の席が
既に売れている事になります。
この路線はガイドブックにもあるように
早めのチケットキープが必要なようです。 -
バスチケットを買ってから出発まで1時間半あります。
当然ですがバスを待つ以外ターミナルではやる事もなく
ベンチでひたすら時間を潰すことになります。
行商なのだろうか、大きな荷物を持った地元の人達
決して綺麗には見えないボサボサ髪のバックパッカーたち
カーゴパンツにガラガラを引っ張った中年日本人二人
バスターミナルで偶然にも出くわす人間模様
想像力を働かせ、目に映る人々と大量の物を
一つのストーリーとして紡ぎ合わせるのは
結構楽しいバスターミナルでの娯楽ですね。
しかし、ウボンの朝は肌寒くてダウンは離せません。 -
ウボンから2時間弱でボーダーに到着。
手荷物だけを持ってバスから降り、タイ出国ゲートへ。
出国手続きは流れ作業的で、何の問題も無く完了。
その後サイトでよく見る20cm程の鉄製の棒をまたいでラオスに入国。
そこから道順も無い埃っぽい道を結構歩き
イミグレーションのあるこの建物に到着。
ビザを免除されている日本人はパスポート提出だけで
入国カードの記入や口頭の審査、賄賂の請求もなく
3分ほどでパスポートを受け取り入国完了。
他の外国人は写真のように、ずーと待たされる事となります。
日本のアジア諸外国に対する貢献の恩恵を
こんな所でも私たちは享受することがある訳です。 -
午後1時過ぎ、パクセの街が見えてきました。
パクセの街はメコン川にかかる
ラオス・日本大橋を渡った辺りが中心街ですが
バスは国道13号線に突き当たると
右折してどんどん中心から離れていきます。
最終的に到着したのは中心地から西に8?も離れた
やけに埃っぽい、南部行きバスターミナルでした。
ターミナルで周りを見渡すも、
バイクタクシーやローカルバスは見当たらず
旅行代理店が運行しているソンテウしかないようです。
料金は80B、国際バスが200Bですからかなり高いですが
他に足のない旅行者は仕方なく皆乗り込みます。
西洋人で満杯になったソンテウはダーオファン市場経由で
13号線沿いのパクセトラベルを目指し爆走します。 -
宿の前の銀行で両替も済まし、午後3時遅めの昼食。
本日宿泊の Alisa Guest House から400mほど東にある
センダーオでミー・ナムのミックス、20000Kip。
ミックスなので具はアヒル、豚、鶏、ワンタンがのってます。
具は色々楽しめますが、スープはあっさりで物足りません。 -
太陽がだいぶん傾き始めた午後4時
夕食の物色もかねて宿の近所を散策して
たどり着いたのがチャンパサック・ショッピングセンター。
手前左側にはオレンジの屋根が目立つ平屋建てで
野菜、肉、魚、雑貨などを戸板に乗せて売る
アジアによくある天井の高い一般的な市場があります。
右側には空気を入れて膨らます子供用のアトラクションが
雲一つない空にそびえ立ち、子供たちを楽しませています。
正面奥には3階建てのとても質素な感じのする
パクセで一番の近代的なショッピングセンター。
まだそれほど人出は多くありませんが
私たちは当然、見学ツアーを開始しました。 -
市場の周りには数多くの屋台が出ており
あちこちからいい香りや煙が立ちの登っています。
中でも一番がこのクルクル回るやつ。
一番下は焼き始め、上の段はもう焼けている様です。
注文すると横に座っている怖い顔のおばさんが
ナタのような大きな包丁で切ってくれるようです。
相棒はこの回転体を笑顔でじっと物色、
店のおばさんは一言も発せずじっと相棒を眺めています。
私の頭の中の時間を刻む時計の歯車は
いつの間にか丸焼きにされた鶏に形を変え
グルグルとアジアの時間を刻んでいました。 -
チャンパサック・ショッピングセンター内は閑散としています。
エスカレーターで2階に行ってみると
スーパーのような店舗は閉店セール中で
ほとんど品物が無く、旅行者には使えません。
オープンなフードコーナーは見晴らしも風通しも良いのですが
店番のお姉さんの前の料理しか無いらしく、これも使えません。
なんとものんびりしたショッピングセンターですが
お姉さんにはしっかりハエを追っ払う仕事をしてもらいたいものですね。 -
本日の夕食は、サワディ・パクセ・レストラン。
宿から東へ100m程行った13号線沿いにあります。
ラープガイ(写真上)、20000Kip
カオニャオ、5000Kip
シーフード炒めライス(写真下)、20000Kip
ラオビール2本、20000Kip
味は普通に美味しく量も十分です。
ただ、Wifiがつながり難かったり、接客がイマイチだったりしたので
私たちの中では、二回目の無いレストランとなりました、残念。 -
Alisa Guest House では部屋でネットが継らないので
レセプションの前で情報チェックしなければなりません。
宿は国道13号線沿いですが交通量は少なく
大都市のような喧騒はありません。
この場所は裏路地で夕涼みをしている感じです。
隣のレストランのメローな生演奏も聞こえて来て
静かな雑踏の中でのんびり出来ます。
悪くはありません。
今日一日は概ね順調に進みました。
陸路での出入国では理不尽な金銭要求はなく
初めての街での移動も至ってスムーズ。
両替屋や食事、買い物も問題は無し。
旅行者にとってパクセ中心部は結構便利です。
明日は世界遺産のワット・プーにバイクで行く予定です。
GPSは無いですが、一本道なので何とかたどり着けるでしょう。 -
5日目、ラオス2日目。
今朝は少しゆっくりで7時起床
7時半には朝食を求めて散歩開始です。
宿から南東にゆっくり歩いて6分ぐらいの所に
バイクと人が集まる数件のローカル店舗街を発見。
ネット情報にあった、カオピャックの店に違いありません。
しかし、どれがお勧めだったか全く覚えてなかったので
当然、一番お客さんが多い店で朝食となりました。 -
注文して店の横の簡易テーブルで待っていると
お手伝い女の子がお茶と野菜を運んで来てくれました。
店の周辺の景色を眺めたり、周りの人達の食べ方をチェックする間も無く
運ばれて来たのが、カオピャック・カオ(写真)、10000Kip。
具は白身魚と揚げたオニオン。
出汁は魚の味が結構効いた、日本人好みの味で美味しい。
基本がアッサリなのでテーブルのアイテムによる味変も楽しい。
また、大量のハーブや野菜が食欲を増進させてくれます。
お粥でなく雑炊風のお米だった事が残念ですが
ラオス最強の朝食と言えるでしょう。 -
朝食からの帰り道
道沿いで激しい煙を巻き上げ
スペアリブを炭火で焼く屋台を発見。
そのとなりでは革靴と猫が干してありました。
この周辺では日本猫より少し顔が丸い猫たちが
私たちを訝しそうな目付きで迎えてくれました。 -
13号線沿い、宿近くのカオ・チー・パーテ屋台。
カオ・チー・パーテはバケットのサンドウィッチです。
切り込みを入れたバケットにレバーパテを塗りこんで
野菜、鶏肉、サラミ、パクチーをはさみ
更にチリと醤油ベースのソースをかけたサンド。
本当に美味しいです、しかも6000Kip。
この店は地元客が多く、とても人気店のようです。
本日はバイク遠足のオヤツとして1本購入。 -
前日にパクセトラベルでバイクをレンタル予約
料金はセミオートマで60000Kipです。
パクセトラベルの評判は色々ですが、私たちにとっては普通でした。
ただ、実際ムカつく店員が一人いるのも事実ですし
数軒隣にもっと人気の店もありましたから
お勧めのエージェンシーという訳ではありません。
さて、バイクに乗ったら先ずはガソリンを満タンにし
ラオス・日本大橋を超えて、ワット・プーへGo! -
パクセからワット・プーまでは約40km。
治安及び道路状況が悪い状態では
外国人個人のバイク移動は有りえませんが
2016年3月時点では問題なしと判断しました。
ラオス・日本大橋を渡り、一度左折すると後はひたすら直進です。
右手にはなだらかな山がどこまでも続き
左手は木々の向こうに時々メコン川が見え隠れします。
道はキレイに舗装されていて車の量は少なく
快適なドライブが続きます、が如何せん遠い!
道沿いに民家はほとんどありません。
時々放牧中の牛が数頭、前を横切るだけの長閑なドライブ。
乾季のラオス南部は空に雲一つ無く、どんどん温度が上昇して行きます。
景色にも飽き、お尻も痛くなってきた頃
左手にチャンパサックの街が見えてきたので
街中を走る側道に入り街並み見学。
街中に架けられた橋は橋脚は金属ですが道は木です。 -
猛スピードでぶっ飛ばしていないので
ワットプーに辿り着くのに1時間半以上かかりました。
途中に道案内はほとんど有りませんが
流石に世界遺産、近くに来ると道がきれいになり
お土産屋が軒を連ねているので場所は直ぐわかります。
乾燥しきって砂埃の舞う駐車場には車はほとんど無く
一頭の痩せた牛が大声で泣きながら歩いていました。
時間は午前11時少し前、
日陰が無いこの遺跡で水分を切らすのは命にかかわると判断し
駐車場の売店で水を急遽買い足しました。
おやつに持参したカオ・チー・パーテも
日陰のベンチで食べて、エネルギー補給完了。
入場料は50000Kip、値上げされていました。
入り口からチケット売り場、展示ホールまでは
通路があり日陰を進めますがその後は
乾季の遺跡高温地獄が待ち受けています。 -
最初の聖池(バライ)に向かってしばらく歩いていると
後方から電動カートバスが追い掛けて来ました。
暑さで歩く気力を既に無くしていた私たちが
さっそく値段交渉に入ったことは言うまでも無い。
ところが何とこのバス無料との事、ラッキー!
なるほど外国人の入場料が上がっていたのは
バス代込みの料金に変更されたと言うことだったようです。
私たちがバスに乗ってしばらく走ると
頭にタオルをかぶって歩く西洋人を発見。
「乗りなさいよ、タダだよ! 急いで!」
「助かった、ありがとう。」
歩く事に不安を覚えていたのは、私たちだけでは無かったようです。
ぐるっと池の周り半周で約1Kmの道のりを
4分程の快適なドライブで到着したのは
聖池の東側、石造りのテラスがある場所です。
写真は全ての人の勇気を挫く聖池です。 -
ここまで来るとワット・プーの全体像が見えてきました。
両側にリンガ塔が並べられた参道が
奥の小高い丘に向かって伸びています。
その丘の後方の切り立った山は
さしずめカイラスと言ったところなのでしょう。
この遺跡探検が今回の旅行の中で
一番楽しみにしていたイベントですから
酷暑にもかかわらず、テンション上がってきました。
オーバーワークにならないように
水分しっかりとって、慎重に進むとしましょう。 -
最初の参道は直線400m程で、大きめの石が埋め込まれています。
石は綺麗に敷き詰められている訳では無いので少し歩き難いです。
両側に整然と並んだリンガ塔はクメールの匂いがして
アンコールワットなどを彷彿させてくれます。
しかし、倒れたり欠けたりしているものもかなり有り
修復が行き届いていない事がうかがえます。
参道の両側にもバライ(聖池)がある様なのですが
乾季真っ只中のこの季節、水は完全に干上がって
生命感の感じられない茶色一色となっています。
道はまだこの辺は急な上り坂では無いので余裕ですが
あちこちに野良牛の糞が落ちているので要注意。 -
参道を進んで行くと前方に、
二本の大きな椰子の木が見えてきます。
まるで門の様に植えられたその木の向こう側には
白い雪を頂いた様な木々のトンネルが続いるように見えます。
日本人的には梅の花が咲き誇る小道と言ったろ所でしょうか。
視線の低い人間がこの道を進むにつれ
次々と異次元を体現できるような仕掛けが
絶妙に作り込まれた遺跡のようです。
参道の傾斜も少しずつ急になって来ています。 -
二本の大きな椰子の木を超えると風景は一転します。
ひたすら真っ直ぐ続いた参道の先の広場に
沈んだ色合いの大きな宮殿が突然左右に現れます。
その大きさは縦横両方向において圧倒的で
木の門を超えた領域が神の住む聖域であることを
この二つの宮殿の存在が訴えかけて来ます。
この宮殿をぐるっと一回りし中にも入りましたが
建物自体は回廊で、中心部は更地になっています。 -
宮殿という名の大回廊の広場を過ぎると
本殿へと向かう参道は歩廊と呼ばれる
細く険しい道になります。
歩廊にもリンガ塔は整然と並んで
行くべき道を導いてくれます。 -
歩廊を進むにつれて前方に展開する
季節外れの雪景色が何か分かって来ました。
遠くから綿帽子や雪の様に見えた物は
プルメリアの大木に咲く無数の花でした。
乾季のこの時期、葉はほとんど枯れ落ちますが
花は毎日命を繋ぐため咲き続けているようです。
急峻な参道脇に並んだワット・プーのプルメリアは
花咲爺さんが作り出す幻想的な風景で
ワット・プーの神秘を効果的に演出しているようです。
しかし、こんなにたくさんの花が咲き乱れている
プルメリアの木を今までに見た事が無い。
綺麗という言葉以上の存在感があります。 -
ワット・プー最初の関門、十字型テラス。
歩廊の突き当たりに現れるのがこの階段。
中央の階段はかなり崩れていて通行禁止。
観光客は両サイドに設けられた木製の階段を使って
テラスの上部まで登れるようになっています。
しかし階段設置は最初の段差分だけで
残りの二つ分は滑り易い砂地の斜面に
むき出しになった石をよじ登って行かなければなりません。
と言っても普通の運動神経と体力があれば問題は有りませんが・・・。 -
十字テラスを進むと守門像と休憩所があります。
地元の参拝者たちはここで色々買って
守門像にお供えし祈りを捧げています。
この場所が長い参道で唯一
売り子さんが居る場所となっていますが
私たちに売り込みの声がかかる事はなく
ただ静かに時間だけが過ぎて行きます。 -
かつては楼門があたであろう階段の前に立ち
遥か先に霞む勾配のきつい参道を眺め、相棒が一言
「これは無理!私ここで待ってる。」
「え、世界遺産全部見ないの?」
「うん。」
「ここまで来たのに?」
「うん。」
「俺上まで行くからね。」
「いいよ。」
リタイヤ宣言した相棒を残して、ここからは私一人の探検となります。 -
守門像を過ぎ、デコボコの参道を登って行くと
次に現れる難関がこの階段になります。
十字型テラスと同様に階段はかなり湾曲し
崩壊は時間の問題と言えそうですが通行は可能です。
両サイドにしっかりと立つプルメリアの巨木が
この階段の崩壊を何とか食い止めているのか
巨木の根がこの階段を右往左往に湾曲させて
人間の意志をかつての自然に戻そうとしているのか
結局そんな事はどちらでも良いことで
問題は、木漏れ日に彩られる階段に敷き詰められた
無数の生々しい白い花びらはとても綺麗で
我々人間を昆虫のように引き寄せている事です。
この空間は老木に宿った精霊の魔法によって
創り出された異次元の世界のようです。 -
最後の難関、本殿に向かう最後の階段。
偶然だとは思いますが、周りには誰もいません。
本当に静かで、聴こえてくるのは自分の心臓の鼓動だけです。
参道に影を落とした細い枝には、淡いクリーム色の花が咲き乱れています。
夢の中で何度か見たことがあるこの風景
階段の先に姿を現すのは桃源郷かはたまた地獄か
今この空間では時間がゆっくり流れているのか
時間の軸に対してこの参道が直行しているのか
それとも竜宮城に閉じ込められてしまったのか
神秘的な風景は取り留めもない想像力を掻き立てます。
全ての答えはこの77段の向こうに待ってるはず
プルメリアの花を踏み潰さないよう注意して
私はゆっくりと一歩足を、現実の世界に踏み出しました。 -
最上部まで登って来た人々を待ち受ける展望。
聖池から歩いて来た遺跡の全貌が見渡せる。
遺跡越しには乾季のラオスの大地が広がり
悠久のメコン川も豊かな水を湛え流れている。
ここまで登って来た人だけが見る事のできる絶景。
時間は正午近く、とても暑いが
ここには気持ちの良い風が吹き抜けて行く。
そう、気持ちの良い風が・・・・あの時と同じ様に。
タイ、カーンペッペの遺跡の頂上に吹いていた
バリ海峡を渡るフェリーの甲板に吹いていた
ジャワ、プラオサン寺院の回廊に吹いていた
色々な所で吹いていたあの風・・・
そうだった、この風を感じるために私はここまで来たのだ。 -
階段を登り切ると正面にこの本殿が現れます。
本殿自体はこじんまりとしています。
天井部のレンガ積みなどは結構崩壊していて
全体として修復が必要とされる祠堂です。
しかし、この本殿には何か強い存在感を感じます。
ここに至るまでの参道において作り込まれて来た
様々な演出効果からそのように感じるのではありません。
支柱に刻まれた神々の姿は余りにも力強く
数千年の時間が流れ本殿が崩壊しても
神々が背負われた柱はそこに立ち続けるような
無限の生命力を感じてしまいます。 -
本殿の入口側壁の天女像は綺麗に残っています。
信仰の一環なのか悪戯なのかは判りませんが
この祠堂の天女は真赤な紅を引いていました。
指で引かれた赤い紅が天女の石像に
生命感や人間味を与えているのは事実ですが
恐れ多くも神仏に対してこの行為がどうなのか
更に世界遺産の文化財に対してこの行為がどうなのか
色々疑問は感じますが、この像はとても存在感があります。 -
本堂の内部のまぐさ石(リンテル)に刻まれた
3つの頭がある象に乗るインドラ神の彫刻。
こんなに状態の良いレリーフのリンテルは
今までに一度も見た事が有りません。
石材が他の石とは明らかに違っていて
光沢があり象牙のように艷やかです。
何百年もたったレリーフとは思えない
生々しい存在感があります。
ただ、クモの巣が貼ったり枯葉がたまったりしているので
掃除はしてもらいたいとは思います。 -
本殿左奥にはこの巨大岩が行く手を阻んでいます。
切れ目の無い一枚岩が裏山の崖を形成していて
岩の下部は那谷で切り込みを入れた様にえぐれています。
天然の祠は信仰の対象となっていて
多くの現地の人々が祈りを捧げる場となっています。 -
巨石でできた祠の奥には日本の神社で見かける
手水舎のような水汲み場があります。
現地の方は祈りを捧げてからこの聖水を頂いています。
私は「いったい水源はどうなっているの?」
と思い、水路の先まで入って行くと
なんと、天井の一枚岩の僅かな裂け目から
勢い良く水が迸り落ちていました。
「自然はすごい」と感嘆しながら写真を撮っていた私は
次の瞬間、脳しんとうを起こすぐらいの勢いで
頭を天井にぶつけてしまいました。
手を合わせることもせず聖地に入った私が
天罰を受けたのは当然の事でした、反省。 -
本殿から右奥には鬱蒼とした山が広がっています。
そんな曲がりくねった山道沿いには
沢山の大きな石が転がっていて
その石にはクメールとは違った彫刻が施されています。
写真の象は実物の象ぐらいの大きさがあり
森の中で突然出くわすとビックリします。
近くでよく見るとリアルで強面の象です。
ワット・プー寺院建立以前からこの土地は
宗教的文化的聖地だったようです。 -
本殿の裏を散策し正面に戻って来ると
ワット・プー全体を一望できる木陰があった。
この木陰には先客の女性が一人いた。
「風が気持ち良いですね。」
「えっ、はい。」
「となり座っていいですか?」
「どうぞ。」
ゆっくりと少し離れた石に腰を下ろすと、
ビックリするくらい心地いい風が吹いていた。
「あの白い花綺麗ですね。」
「はい、プルメリアと言う聖なる木です。」
彼女は私に視線を向けず、独り言のように呟いた。
私は彼女の一人の時間を邪魔してしまった事を少し後悔した。
「・・・・」
私はカメラのファインダーを覗き、この風景を焼き付けるように
ゆっくりと何回もシャッターを切った。
「カシャ・・・、カシャ・・・」
時間はどのくらい流れたのだろうか?
「お邪魔しました。」
私は先に立ち去ろうと挨拶をし
彼女の方に視線を向けると、もうそこには誰も居なかった。
彼女が座っていたはずのその岩の上には一輪の美しいプルメリアが落ちていた。
「綺麗ですね。」
私はそう呟き、その花を拾い上げ空を見上げた。
そこには無数の白い花が、天に向かって咲き乱れていた。 -
登る時に見ていた景色とは全く違った風景が
降りる時には目に飛び込んで来るものです。
目に見えない何らかの力によって
プルメリアの老木は円を描くように捻じ曲げられ
こちらとあちらを隔絶する門を作っていたようです。
これを結界と呼ぶならば、やはりこちらは神の世界。
プルメリアが聖木と呼ばれる理由がわかります。 -
緑の葉も無く、日々小枝に無数の花を咲かせ
惜しげも無く、時間を刻むが如く花を散らせる
プルメリアは
時間を操る魔法の花
美し過ぎる魔性の花
その本性を悟られないために
この花は淡い香りを纏っている -
40分程前、一人探検を始めた守門像の所まで戻ってきました。
私一人の世界遺産探検はここで終了です。
見ると相棒は一人でベンチに座っています。
後ろ姿が少し寂しそうです、大丈夫かな?
戻ったらプルメリアの花の話をしてあげよう。
相棒よ、次回の遺跡探検までにはしっかり体力つけましょう。
さて帰るとしますか、と言っても
ここから駐車場まではかなりの距離があります。
思い起こせば、ワット・プーに到着して
意気揚々高いテンションで参道を歩き始めた頃
すれ違う観光客が全て無口だった事を思い出しました。
乾季の正午過ぎ、ワット・プーは厳しい聖地です。
私たちは他の遺跡は諦め、バイクでパクセに戻る事にしました。 -
ワット・プー探検で疲れた私たちは早めの夕食。
13号線沿い、宿の近くのレストラン、ダーオリンです。
写真上は相棒注文のフィッシュベジタブルご飯、20000kip。
昨日の夕食もそうですが、何故海の無いこの国で
あえて海鮮を選ぶのか私には全く分かりません。
しかも気に入ったのはキノコ(フクロダケ)だそうです。
下は私注文のソムタム・チキンセット、25000kip。
3品ともビールのつまみには最高です。
外が明るいうちに飲むビールはやはり最高ですね。 -
本日一番のイベントはやはりワット・プー。
バイクドライブでは、慣れない右側通行に気は使いますが
風を切って進む疾走感と、自由度が大きい観光はやっぱり楽しい。
私たちの旅行にバイクは切り離せない事を実感しました。
パクセの街は旅行者には便利な街ですが
長く滞在する目的は発見できませんでした。
協議の結果、私たちは明日朝8時に
メコン川下流の島、ドン・コーンに向かいます。
暫く移動が続いているので、島でゆっくりするのが目的です。
バス・ボートのジョイントチケット(70000kip)は
もう手に入れてあるので、明朝早起きができれば大丈夫。
今夜は宿飲みも早めに切り上げて寝ることとしましょう。
次回、ラオス最南端ドン・コーン編もよろしくお願いいたします。
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この旅行記へのコメント (5)
-
- Hide Nakajimaさん 2016/06/11 16:49:20
- はじめまして
- 旅行記非常に参考になります
質問させていただきたいのですが、バイクは二人乗り可能でしょうか?
ウチは相方がバイクどころか自転車にさえ乗れないので躊躇してます
- shiqueさん からの返信 2016/06/12 02:05:39
- RE: はじめまして
- こんにちは、Hide Nakajimaさま
掲示板への書き込みありがとうございます。
先ずはご質問に対するお答えですが
東南アジアでのレンタルバイクは排気量が100cc前後なので
基本二人乗りとなっていて、ヘルメットも2人分借りられます。
現地の人は3人、4人と乗っていますが(笑)。
私はいつも相棒を後ろに乗せて走っています。
以前タイでレンタル自転車を借りて遺跡を回っていたとき
乗り慣れない自転車で相棒が転倒したこともあって、
逆にバイクで私が相棒を後ろに乗せて運転するようになりました。
幸いな事に相棒はバイクの後部座席に乗る事を怖がる様子もなく
楽しんでいるようなので、このスタイルが確立しつつあります。
日本では私は基本車移動でバイクには乗りません。
かつて原付にヘルメットがいらなかった頃
50ccのオフロードタイプに乗っていた経験だけで
なんとか今日まで怪我も無くやって来ましたが
海外は日本と違って交通ルールを守らない人が多く
バイクの交通量は半端無く多いので
都心での運転は注意が必要ですし、実際怖いです。
しかし、バリの田舎道やタイ、ベトナムの郊外を
風を切って走るバイクは最高に気持ちいいです。
リスクとメリットの両方を考えて
レンタルバイクを考えることが当然必要となります。
大したアドバイスは出来ませんが
何かお聞きになりたいことがありましたら、遠慮なく連絡ください。
わかる範囲でお答えさせて頂きます。
最後になりましたが、旅行記ご覧いただいてありがとうございました。
shique
- Hide Nakajimaさん からの返信 2016/06/13 00:03:02
- RE: RE: はじめまして
- 丁寧な回答をしていただきましてありがとう御座います。
実はラオス旅行は初めてで7月に、ウンボラチャターニー経由での入国を予定しております。
一便目の国際バスの発車時刻が9:30らしいのですが、国内便がこれに間に合うかな?などとのんびり考えています。
だめなら、次の15時の便で入るしかないねと、いきあたりばったりの予定であります。
実はGWに東南アジアデビュー(タイ〜ミャンマー)をしたところなので、また分からない事がありましたら、お言葉に甘えてご相談させていただこうと思います。
その時は宜しくお願いいたします、では失礼いたします。
-
- motogenさん 2016/06/09 16:13:13
- バイク
- バイク、いいですね。
行ったり戻ったり、自由気ままに行動できます。
やはりレンタルバイクて、パクセからワットプーに出かけた別の人の旅行記には、ポリスが検問をはっていたとありましたが、大丈夫だったようですね。
私もバイクが好きなのですが、免許証がなくて、躊躇してます。
ラオス南部、田舎なのにバイク代やら、バス代、ボート代、他と比べて高い。
完全に観光地化しているのでしょうか。
- shiqueさん からの返信 2016/06/10 15:45:03
- RE: バイク
- こんにちは、motogenさん
旅行記へのコメントありがとうございました。
ポリス検問の件ですが
パクセからワットプーに至るまでの道には2箇所検問所がありました。
検問所はトールゲートのような建物で、車は全車止められます。
バイクは側道があり速度減速だけで通過できます。
今回は行きも帰りも通過だけで免許の提示等は全くありませんでした。
また、パクセからミニバスでベトナムに移動する時も
何度か検問はありましたから、ラオス国内では検問は良くあるようです。
ちなみに私は毎回国際免許を持参しています。
と言ってもカテゴリーBなので本来は車のみで
バイクは厳密に言えばアウトですが・・・。
今までとがめられた事は無いのでOKなのでしょう。
事故等があった時は自己責任という事ですが・・・。
motogenさんもラオスの事はご存知だと思いますが
隣国のタイやベトナムに比べ物価自体が高いようです。
特に移動手段は経済状況、物資の流通量の関係で高いようです。
旅行記にも書きましたがバスターミナルからパクセのセントラルまで80B
キップに換算すると約18000キップです。
以前ビエンチャンでターミナルからセントラルまで20000キップ
だったので、確かに高いですが、ぼられてる感はありません。
観光地価格という側面はあるとは思いますが、
基本は物価が高いのだと私は解釈しています。
バイク一日セミオートマで60000キップ
フルオートマだと100000キップ(高い!)です。
例えばパクセトラベルでワットプーまでのトランスポートを頼むと
乗合のミニバスで一人120000キップですから
二人だと金銭的にも私たちの場合はバイク選択になってしまいます。
ラオスの南部は西洋人に人気があり、たくさんの観光客を見かけますが
まだまだ観光地化されていない素朴な部分が多いと感じました。
まだ残る自然と、素朴な人々の息遣いに触れるための出費だと考え
私たちはラオスを旅行しています。
確かに費用はほかの国に比べかかりますが(汗)。
長々と書いてすみません。
遅くなりましたが、旅行記ご覧いただいてありがとうございます。
次編作成中なので、アップした時はご覧下さい。
shique
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