2016/05/06 - 2016/05/06
58位(同エリア200件中)
玄白さん
今春の我が家のマイブーム、あまり知られていない穴場スポットを訪ねる小旅行第4弾は、那珂川中流にある青岩という瀬の急流を遡上する稚鮎見物である。
孵化してすぐに川を下り、一冬を海で過ごした稚鮎は、春になるとやがて自分が生まれた川の上流に遡ってくる。体長2〜3cmの小さな鮎たちが、産卵場所を目指して激流をジャンプして懸命に乗り越えようと頑張る姿は感動的ですらある。稚鮎たちは夏の間に急速に成長し、秋になると産卵し次の世代に命を繋ぎ、自らは短い一生を終えるのである。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
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GW終盤、那珂川町を流れる那珂川の川辺は少しづつ緑が濃くなりつつある。
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那珂川は、那須岳麓を源流として栃木県東部を南下し、茂木町付近で進路を東に変え、ひたちなか市と大洗町の間で太平洋に注ぐ関東第3の一級河川である。
大河であるが北関東屈指の清流が流れ、鮎の釣り場として鮎漁解禁になると大勢の太公望でにぎわう。放流もされているが、天然鮎が多いことでも知られている。過去18年間、鮎の漁獲量では日本一を続けているそうだ。 -
那珂川町の「まほろばの湯」という日帰り温泉施設の近くに「青岩」という、滝とは言えないが段差1m以上ある天然の堰のようなところがある。
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産卵場所を求めて遡上してきた稚鮎にとって、この早瀬は最難関なのである。この急流を乗り越えないと上流にはいけない。
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5月上旬になると、海から戻った稚鮎たちが、ここでジャンプを繰り返す姿が見られるのである。
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2〜3cmの小さな魚体で、泡立つ水面のあちこちからジャンプするので、アップで撮影するのがけっこう難しい。広めの画角で撮影し、思いっきりトリミングしてあるので、画質はえらく悪いが、ご容赦のほどを・・・
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イチオシ
2匹でダンスでも踊っているような・・・
しかし当人、いや当魚にとっては、そんな優雅なものではない。激流を乗り越えるために必死なのである。 -
上半身を水面に出し、しっぽを思いきり降って飛び上がるが・・・
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ほとんどの鮎は、高さが足りず、激流に押し戻されてしまう。
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それでも、何度でもジャンプを繰り返す。試練に立ち向かう稚鮎に、思わず「頑張れ!」と応援したくなるような気持にさせられる。
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鮎は、別名「香魚」とも言われる美味な川魚である。川床のコケが主食のため、スイカのような独特の香りがするのである。川の水が汚れてくるとキュウリのような香りに変わるという。
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しかし、鮎の通に言わせると、どこの川で採れたかによって、味や香りが違うのだそうだ。それだけ、日本の自然の豊かさ、奥深さを鮎という魚はその優美な魚体に秘めていると言えるのかもしれない。
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玄白は釣りはやらないが、シーズンになると、鮎の塩焼きや甘露煮が出回るので、たまに買って食べている。しかし、どこで採れた鮎か区別できるほどの味覚は持ち合わせていない。
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しなやかに、銀色の体をくねらせてジャンプする姿は、なかなか絵になる。味もさることながら、その魚体の美しさも、古来から日本人に愛されてきた所以であろう。
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日本書紀にも鮎は登場する。神功皇后が新羅征伐のため九州に出向いたとき、針を曲げて釣り針にし、自分の衣を割いて釣り糸にし、飯粒を餌に「新羅征伐が成功するなら、魚よ、わが釣り針に食いつけ」と唱えて釣りをはじめたところ、鮎が釣り上げられたという。いわば魚占いをしたのである。
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イチオシ
そんな故事から魚偏に占という作りで鮎という漢字が作られたという説があるそうだ。ちなみに漢字の本家、中国では「鮎」という漢字はナマズのことを指していて、アユは「年魚」または「香魚」という字があてられる。
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困難な試練に立ち向かう稚鮎の姿に感動を覚えると言いながら、捕まえて天ぷらにして食べたら美味いだろうなどと、相反するけしからん考えもよぎりながらの、稚鮎が激流に踊る一時間ほどの撮影タイムだった。
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