2016/04/02 - 2016/04/02
61位(同エリア214件中)
玄白さん
四月に入り関東一円では桜のたよりが続々届いている。靖国神社の標本木を前に気象庁職員の開花宣言を実況中継し大勢のギャラリーが取り巻いたり、大勢の外国人も花見に日本を訪れるなど、今年も世の中は桜フィーバーで盛り上がっている。昨年まで桜追っかけで忙しかった我が家は、世の動向に背を向け、観光とは無縁の名もない田舎で穴場的撮影スポットを探し出すのがマイブームとなっている。
茂木町のミツマタ群生に続き、今回は花粉にもめげず那珂川町富山地区の里山の杉林の中に群生するイワウチワを見に出かけた。あまり観光資源に恵まれない那珂川町で最近知名度が上がっているのが、温泉トラフグ。化石海水に由来する塩分が濃い温泉でトラフグを養殖し、近隣の店、温泉旅館で提供したりネット販売しているのである。少し値段は張るが、以前から気になっていたので、今回温泉トラフグを賞味してきた。ついでに馬頭地区にある広重美術館で、昭和を代表する写真家の一人、秋山庄太郎展をやっていたので、そちらも回ってきた。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 自家用車
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イワウチワの群落の前に、同じく那珂川町にあるカタクリ山公園へ。本来はこちらが今日のメインのはずだったのだが・・・
栃木県内のカタクリの群落は、佐野市の三毳山が有名なのだが、那珂川町の観光協会のHPを見ていたら、小さな里山全山にカタクリが自生しているところがあるという情報をキャッチ。面積は関東随一というキャッチフレーズだ。 -
公園入口に小さな池があった。小振りの花をつけたハクモクレンが池の畔に咲いていた。
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池の淵にはミズバショウが咲いている。葉がずいぶん大きくなって、花のピークは過ぎようとしているが、まだまだ、見頃といったところ。
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傷んでいない花を探して、数枚アップで。
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おっ、カタクリの株が・・・
しか〜し、まだ花びらが反り返っておらず、カタクリ独特の花の形になっていない。 -
さらに順路を進んでいくと、よく整備された木道になってきた。木道の左側の斜面一面、カタクリが群生している。
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しかし、どの株も花びらは閉じたまま・・・
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一番開いた状態の花でもこの程度。やはり、日が射さないと花びらが反り返るあの形にはならないんだな〜。
このところ、ずっと花曇りの冴えない天気が続いており、晴天を待ち切れずに出かけたのだが、やっぱりダメだったか・・・ -
しかも、しばらく雨は降っていなかったので、地面が乾ききってなんとなく埃っぽく、葉にも勢いがない。
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というわけで、ここでは写欲が沸かず、早々に退散してイワウチワの群生が見られる富山地区へ移動。
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途中、見渡すかぎりの田んぼの農道に枝ぶりがよい枝垂れ桜を発見。思わず車を停めて、一枚カメラに収める。
今年は桜には背を向けて・・なんていきがってみても、やっぱり桜には魅かれてしまうのである。 -
イワウチワ群生地の一つ、那珂川町の富山という集落へ。近くには舟山という別の集落にも群生地があるようだが、今回はここだけに集中する。
途中から未舗装の林道を走った里山のふもとに到着。 -
イチオシ
この里山は個人の私有地だが、山林の持ち主と集落の有志でイワウチワ保存会を結成して、自生しているイワウチワの保護と遊歩道の整備などをしているとのこと。
整備費として入山料¥200を支払う。
10年前に、杉林の手入れで入山した持ち主が、杉林の中で1Haもの広大な範囲にイワウチワが自生しているのを発見したのだという。 -
まずは案内板に従って遊歩道をざっと一回りして撮影ポイントを探すことにする。大した標高差はないが、傾斜はきつい。イワウチワ群生地の標高差は5~60mくらいだろうか。
遊歩道マップの③と④の中間地点にちょっとした展望台があり、向かいの里山が眺められる。そちらの山には見頃を迎えた桜が見える。数は少ないが、そこだけ切り取ってみると、かの有名な吉野の山桜の風景に似ていなくもない。←ちょっと言い過ぎか! -
大体状況は掴めたので、撮影タイム。
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株の大きさは5〜15cmほどで、地面にへばりつくように自生している。葉の形がウチワのようなので、イワウチワをいう名前が付けられたそうだ。
一本の茎の先に3cmくらいの薄いピンクの可憐な花を横向きにつけている。
春になると、可憐な花を咲かせるフクジュソウ、カタクリ、イチリンソウ、セツブンソウなどのいわゆるスプリング・エフェメラルという一群の春の花があるが、イワウチワはスプリング・エフェメラルではない。花が終わって夏になっても葉を落とさないのである。しかし、その可憐な花はスプリング・エフェメラルと言ってもよさそうな春の妖精のごとき愛らしい花である。 -
ところどころ、濃いピンクの花を咲かせている株もある。
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イチオシ
淡いピンクの色合いといい、花弁にギザギザがついている形といい、高山植物のイワカガミと似ているが、一本の茎にひとつの花しか付けないのが異なる。
花が咲いていないと、イワカガミとイワウチワを区別するのは難しいそうだ。 -
花の後ろ姿
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アップで後ろ姿。後ろ姿もなかなかよろしい。
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横からの姿
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保存会の人が置いたのだろうか、ミミズク?の置物と一緒に。
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ところどころに置物が置かれている。写真のアクセントとして使ってくださいということかな。
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そんなに珍しい花ではなく、中国地方以北の本州の低山の林床でよく見られる山野草である。
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部分的に濃いピンクのまだら模様がある花発見。
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つぼみの状態の方がピンクが濃い
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遊歩道の階段のそばに咲く
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苔むした倒木のそばで・・・
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イチオシ
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イチオシ
イワウチワは日本固有種で、花言葉は「春の使者」。言い得て妙なる花言葉ではある。
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マクロレンズに切り替えてアップで撮影
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イチオシ
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群生地の入口には休憩所があり、イワウチワの苗や地元の土産物なども売っている。
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休憩所の脇のスペースには、ショウジョウバカマの群落があった。イワウチワほど広くはないが、これも自生しているものだそうだ。
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ショウジョウバカマは漢字で書けば「猩々袴」。猩々とは中国の伝説上の架空の動物で、赤い顔をした酒好きの人間に似た姿をしているという。そんな架空の動物なので色々な芸事の題材でも扱われている。特に能では「猩々乱」という舞が有名なのだそうだ。花を能装束の赤い頭の毛に見立て、葉を袴と見立ててショウジョウバカマと呼ぶようになったというのが、この花の名前の由来だとのこと。
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ちなみにオランウータンも中国語では「猩々」と書くのだそうだ。古代中国でもオランウータンの存在が知られていて、そこから空想上の動物「猩々」が作られたという説もあるらしい。
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イチオシ
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イワウチワの群生地の散策を終えて、いよいよお楽しみの温泉トラフグのランチ。
那珂川町小川地区(旧小川町)にある老舗割烹「みづ乃」へ。 -
温泉トラフグを食べるためには、ほとんどの店が3日前に予約が必要なのだが、「みづ乃」だけは前日予約でもOKということなので、この店を選んだ次第。
昭和2年創業の老舗和食処だが、そんなに気取ったところがなく、気軽に入れる店である。 -
ランチなので、フルコースではなく、てっさ、てっちり、煮凝り、皮の湯引きの4品。これで、\7,200也。
ところで「温泉トラフグ」とは何ぞや? 冒頭でも記したが、那珂川町の温泉は塩分が1.2%も含まれているしょっぱい温泉が湧くところ。この温泉を利用して海なし県の栃木の過疎に悩む田舎町を活性化しようと野口勝明さんという方が「夢創造」という会社を興し、温泉水を利用したトラフグの養殖を始めたのである。
塩分が海水の1/3なので、トラフグにとっては体液の浸透圧を調整するエネルギー負荷が少なく、海水での養殖に比べて2/3の期間で出荷できるまで育つという。しかも、天然物、海水での養殖物に比べてうまみ成分のアミノ酸やコラーゲンが豊富なので味もよい。養殖は廃校になった小学校やスイミングスクールのプールを利用するなど、初期投資も抑えたビジネス展開をしている。海と違って閉鎖空間での養殖なので、肝や卵巣に毒が蓄積することがない。つまり、”幻の美味”、フグの肝を味わえる可能性もあるのだ。ただし、現時点では、「無毒でもフグはフグ、肝や卵巣を提供してはならない、フグ調理免許を有する者しか調理してはならない」という頭の固い役人が作った法律があるので、残念ながら毒はなくても食べることはできない。地方活性化が叫ばれている今日、行政も柔軟に対応してくれれば、もっともっと那珂川町の活性化につながると思うのだが・・・
ともかく、温泉トラフグは、まさに過疎に悩む地方の救世主として注目されているのである。 -
料理写真は下手くそだが、一品ずつ撮影して、記念に残しておこう。なにせ、そんなに頻繁に食べられるものではないので・・・
左上より、煮凝り、皮の湯引きの和え物、てっさ、ひれ酒。
コースにはひれ酒も含まれている。ここで、連れ合いと一悶着。
家を出るときには、昼間だし、車の運転もしなければならないので、「今日はノンアルコールビールにしておくかな」とつぶやいた玄白だったが、店の女将さんが、「ええっ、ひれ酒があるのに飲まなくていいんですかぁ〜、ダンナさん」と誘惑する。そりゃ、そうだ、めったに味わえないフグ料理なのにひれ酒を飲まないなんてと、あっさり誘惑に負けてしまう。そこで、連れ合いの怒りが爆発。「今日はお酒は飲まないって言ったじゃないの! 私は飲めないの〜! この後は車も運転しなきゃいけないの、ズル〜い!」
首をすくめて、連れ合いの怒りをやり過ごし、ひれ酒を味わったのであった。しかも、ひれ一切れで3回ひれ酒が味わえますよと、またまた女将さんの誘惑。ついついお代わりまでしたのであった。 -
お待ちかねのてっちり。
ところで、フグの刺身をてっさ、鍋をてっちりという、その語源は何かというと、「てっ」とは鉄、当たると死ぬ鉄砲から来ている。要するのフグ毒を鉄砲になぞらえているのである。 -
仕上げはてっちりの鍋でこしらえたフグ雑炊。フグの出汁、コラーゲンたっぷりの、美味この上ない。
デザートまでついていたが、これはまあ、オマケといったところ。 -
トラフグを堪能した後は、連れ合いの運転で、10分ほど走ったところにある馬頭広重美術館へ。
木造平屋の外観からは美術館には見えない建物である。 -
この美術館、常設展示としては江戸後期の浮世絵師、歌川広重の肉筆画、版画がメイン。馬頭町生まれの肥料問屋の主が町に寄贈したコレクションに歌川広重の肉筆画が多数含まれていたことが美術館の由来だという。
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建物は、この地域の特産である八溝杉を使ったルーバーが多用された落ち着いた雰囲気の建築様式である。壁は隣町の烏山特産の和紙、床の石材は、県北部の芦野産の石が使われている。2000年に竣工したそうだ。
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この美術館の設計をしたのは、2020年東京オリンピックに向け、国立競技場のやり直し設計案が採用された隈研吾氏である。
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売店は、歌川広重の作品にちなんだ土産物がならんでいる。大きな都市の美術館と違って、平日には訪れる人はとても少なく、静かな環境でゆっくり鑑賞ができる。
なお、、展示室内は撮影禁止となっている。 -
中庭には黄緑色の竹林があり、落ち着いた雰囲気を醸している。
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今回、この美術館を訪れた目的は、昭和を代表する著名な写真家、「秋山庄太郎」特別展を鑑賞すること。
秋山は45歳ごろまでは、女優写真、ポートレートが主要なモチーフだった。今回の企画展でも、戦前・戦後の映画の黄金期に活躍し、ある時突然銀幕から姿を消し、昨年亡くなった女優原節子のポートレートが展示されていた。原節子は写真嫌いで有名で、唯一写真を撮らせたのは秋山庄太郎ひとりだったそうだ。
45歳以降は、秋山の作品は花に移っていく。今回展示されている作品の大部分は花の接写写真である。花の背景を黒くして花の美しさを際立たせる撮影法は、今では当たり前になっているが、この技法を広めたのは秋山庄太郎である。黒バックの秋山という異名をとったほどだ。また、「福島に桃源郷あり」と福島市の花見山を全国的に知らしめたのも秋山である。 -
歌川広重の浮世絵、秋山庄太郎の写真の鑑賞後は、館内にあるカフェ「雪月花」でお茶。その後ふたたび、小川地区に戻り、いつものように、「まほろばの湯」という日帰り温泉で一日の疲れを癒してから帰宅。
朝から晩まで、那珂川町のあちこちを行ったり来たりした春の一日だった。
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