2016/02/22 - 2016/02/22
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ちびのぱぱさん
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平安時代から続く焼き物の町、常滑
サザエさんのオープニング映像に使われたり、いろいろな映画やドラマのロケ地にもなっているらしい。
常滑という地名はもちろん知ってはいましたが、ほかは全然わからない……。
行ってみるしかないか……
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
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常滑空港?
ちょっと調べたらわかることですが、雪の千歳空港から降り立った中部国際空港は、実は常滑市にありました。
荷物受取りエリアで、平身低頭する福助人形に出迎えられました。
謝らなければならないのはこっちで、名古屋だと思いこんでおりました。
実に雑な理解です。
ここは知多半島の伊勢湾につくられた人工島。
なんか、成り立ちは関空によく似ているなあ。
中部セントレアのことを名古屋(中部)というふうに表記するわけで、こういうのは良くあること。
札幌の知人は、埼玉の川口のことを「東京」と称してはばからない。
ま、いっか。中部国際空港セントレア 空港
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自らの不明を恥じつつ、ターンテーブルの上に目を遣ると……。
ターンテーブルの上というのは地元用のスペースなのだろうか。
金銀の招き猫が、常滑を宣伝しています。
ネットをかき回して分かったこと。
常滑は、瀬戸や信楽、備前と並び、六古窯のうちの一で、古墳時代から始まった三大古窯のひとつ猿投(さなげ)窯の流れを汲んでいるという。
どうやら、とっても歴史のある焼き物の町だということだけが分かる。
以前に茨城の益子近くに住んでいたのですが、焼き物の町というのは風情があります。
名古屋に出る前に、寄り道をしようと思い立つ。
ちなみに、トランジットでちょっと寄り道という場合は知多バスの「のりほーだい乗車券」500円があります。
http://www.tokoname-kankou.net/buss/
名鉄で往復するより100円安い。 -
温泉もある?中部国際空港
最近の調査で、旅人に人気の空港、世界ベスト25にこのセントレアが選ばれたという。
しかも、成田や関空を押さえて堂々6位入賞。
調査したのは、英国雑誌のスカイトラックス社。
じゃらんの人気投票ではない。
ということは、相当数の外人利用者がここを使って「良かった」って思ったということになるなあ。
セントレアを利用したことのある人に話を聞いたら、評判は上々。
なるほど、確かに良い評価が多いのです。
実際に歩いてみると、広すぎず効率よくまとまっていて利用しやすい。
思うのですが、空港は大きければよいと言うのではない。
茨城空港なんか大きめのバス停くらいですから、とんでもなくストレスがない。
そこに、欲しいものがたくさんあるお店があって、美味しいレストランなどがそこそこあれば、言うことはない。
「あ、温泉もありましたよ。」
と、知り合いが付け加える。
そうですか、温泉もあるのか。
残念ながら、中部のは天然温泉ではありませんでした(入る時間はなかった)。
が、いろいろな割引サービスをしていますから、旅の疲れを癒すのにちょうど良い。
ちなみに、千歳空港には天然温泉もありますが、千歳はすこしでかくなりすぎたかも。 -
味仙 中部国際空港店 グルメ・レストラン
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「味仙」空港店の台湾ラーメン
最近、時々耳にする台湾ラーメン。
この店が、元祖らしい。
台湾出身の店主が、まかないように作ったのが始まりという。
中部空港は、こぢんまりとしている割には、ポイントの高い店が多いように思います。
税込み756円。
どんぶりは小さめだが、中身の量は普通に入っている。
かなり辛い、が、普通の人なら十分に楽しめるレベルと思います。
旨みが十分に利いている。
中国語のなまりのある接客。
周囲の客から聞こえてくる中国語。
一瞬、自分がいる場所が分からなくなる。
この空港、海外の利用客がどんどん増加しているという。 -
陶芸作家の町
空港から常滑まで、あっという間の5分。
駅からちょっと歩くと、陶磁器会館に続く坂道に猫たちのオブジェ。
一つ一つ個性的な作品で、じっくり見ても味わいがある。
これは、質の高い屋外ギャラリーなのだと気付きました。
「招き猫通り」と名付けられているらしい。常滑駅 駅
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とこにゃん
見上げると、さっき駅からも見えた巨大招き猫。
空港のターンテーブルの空きスペースにあった説明では、常滑は招き猫の生産日本一!
シェアは約80%とありました。
大衆食堂のテレビの横あたりに、油にまみれて一生懸命招いている招き猫たちは、おおむね常滑が故郷ということか。
場末のスナックのカウンター上とかにも、置かれていそうだなあ。
偉大なるマンネリズムとこなめ見守り猫 とこにゃん (招き猫通り) 名所・史跡
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旅する猫
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うたう猫
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うちに来るんじゃねえ、猫
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……まねきねこ
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かなり寒いですが、道ばたには椿の花が咲いている。
空港のインフォで頂いた地図に従い、常滑陶磁器会館の横から散策をスタートしました。やきもの散歩道 名所・史跡
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さっそく窯が目にはいる。
七福神通りと名が付いた小径の「いそむら窯」。ギャラリー敏 名所・史跡
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良土の常滑
中世においては、常滑一帯に数千から1万基の窯が存在していたとか。
途方もない規模です。
常滑の地名は、地面に粘土が露出してつるつるしていたことから来ているという説があるそうです。
そのくらい土に恵まれていたということなのだろうか。
むかしは、田んぼから取れる本朱泥が用いられて、非常に良質の粘土が手に入ったそうです。 -
1600年の歴史
この中部地方には、古墳時代から猿投窯(さなげよう)という焼き物の一大産地があったのだそうな。
その猿投窯は、尾張連草香(おわりむらじくさか)という人の古墳を飾っていた埴輪を焼いたのが起源とされているらしい。
どんな人なのかというと、継体天皇に娘を嫁がせたという5世紀の大豪族だそう。
この猿投窯の発見は、愛知用水の大工事の際になされ、中世における焼き物の歴史を塗り替えるセンセーショナルなものだったとか。
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陶器伝来
高温の窯で焼く陶器が入ってくるまで、日本では土器が用いられていた。
土器は子供の頃、近くの畑の脇によく落ちていて、子供心にどんな人たちが使っていたのか想像をふくらませたものです。
須恵器と呼ばれる陶器は、4、5世紀に大陸からもたらされたわけですが、どことなく土の延長線上にある土器に比べて、圧倒的にかっこいいわけです。
それを日本でも作れないかと、当時の技術を結集しておこなわれた一大プロジェクト、それが、猿投窯(さなげよう)だったそうな。
いつだって、新しくてかっこいいものを、人間はほしがるものです。
日本史の中でもとりわけ謎めいているこの時期に、海外の技術を導入して改良を加える現代の日本の型が、すでにできあがっていたのだなあ。
そんないにしえの焼き物の流れを今に汲む常滑。
まねきねこ以外にも、いろいろなものを焼いていたのはいうまでもない。 -
でっかい焼き物を作るのが得意だったみたいです。
町ごとタイムカプセル
このあたり、周辺に広がる住宅街とは全く異なる、不思議な景観を残しています。
どうして、この辺りだけ歴史に取り残された魔境のように、存在しているのだろう。 -
常滑の焼き物の里は、まるで迷路のように入り組んでいます。
地図とにらめっこしながら自分の位置を確認しないと、あてどなくさまようことになる。
あちらで猫の額のような畑を耕している奥さんが、通りかかった御近所さんと話し込んでいる。
その向かいの古民家を利用したギャラリーの中で、無心に絵付けをしている陶芸作家。
ゆっくりと、不思議な時間が流れて行く…… -
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人気の鰻屋さん。
少し行くと、先ほどの巨大招き猫「とこにゃん」の後頭部の辺りに出ます。中村屋 グルメ・レストラン
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鰻屋さんの隣では、窯の中を一般公開していました。
この辺りの窯元では、陶芸作り体験や創作小物の展示即売などがあちこちにあって、一日掛けて陶芸に浸ることも出来そうです。 -
だんご茶屋
ちょうど良い場所にあるもんだなあ。
一本90円でした。
「串は、捨てるところがところどころにあるからね。」
茶屋の老夫婦が教えて下さいました。
だんごは、みたらしではなく醤油のあっさり味。
焦げた醤油の香りが香ばしい。
だんごは日本中にあるけど、ここのは串に五個も刺さっている!
関西地方に多いそうで、五個というは五体を表しているのだそうな。
関東あたりに多い四個刺しは、四文銭が出回るようになったからだとか。
歩きながら口にほうばると、ちょうど食べ終わった頃に道ばたに串を捨てる缶が置かれている。
串を投げ入れながら、この缶が置かれた経緯を想像してみました。だんご茶屋 グルメ・レストラン
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廻船の基地だった常滑
散策路には廻船問屋、瀧田家があります。
大変な、おおだなだったみたいです。
散策路がそのまま敷地を抜けていますが、300円で内部も見学できる。
江戸から明治に掛けて、知多半島のこの辺りは尾張廻船の基地だった。
周辺の港もひっくるめて、常滑船と呼ばれていたそうです。
司馬遼太郎の小説「菜の花の沖」などを見ていると、大阪から紀伊半島を周回するのが難所だったみたいで、この瀧田屋の船も何度か遭難した。
いちどで2千5百両もの損失を出したこともあったとか。
常滑市廻船問屋瀧田家 美術館・博物館
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瀧田家の前の坂を上る。
びっしりと酒瓶が並んでいる。
これだけ飲むには相当かかりそう…… -
瀧田家の屋敷から上がって行き、突き当たりを右に進むと、常滑の代表的な風景の一つ「土管坂」。
土管坂 名所・史跡
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明治期の発展
この常滑を大いに発展させたのは、明治時代に急激に需要が増大した近代土管の生産だったといいます。
近代土管の制作に成功した常滑は、どんどん規模を拡大していったのだとか。
土管というのは、早くも6世紀には朝鮮半島から入ってきていたようですが、日本で本格的に使われるようになったのは明治維新以降。
近代化を進める上で欠かすことの出来ない上下水道インフラの、担い手になった。
にわか仕込みの焼き物の知識をたよりに、やきもの散歩道を彷徨う。
「あら〜、あんた今どこよ。」
「まあ〜いやらし、今わたしら土管坂んところよ。」
「うんうん、じゃここで待ってるからね。
妙齢のご婦人たちが、知り合いとはぐれたらしくケータイでやり取りしている。
便利な時代だなあ。 -
同じく明治時代からさかんに製造された焼酎瓶。
ひとつ幾らくらいで取引されたのだろう。
いまでは、もっぱらペットボトル。
たまに、しゃれた酒屋などでこの瓶からコックで酒を注ぐようになっています。
酒がひと味旨くなる?のかもしれない。
鼻を近づけてみても、酒の匂いはしない。
当たり前か…… -
さらに彷徨う……
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海外の作家さんの作品も、辻々にさりげなく置かれています。
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下町ロケット
秋水、というのを耳にしたことがあります。
ナシの品種ではなく、第二次大戦中に日本軍が開発を目指していたロケットエンジン搭載の戦闘機の名前です。
ドイツから命がけで持ち帰った、メッサーシュミットの資料を基に開発を行っていたものの、とうとう完成の日の目を見ることはなかった。
子供時代に、少年誌で読んだ話です。
その秋水の液体燃料の蒸留製造に必要な大瓶を、常滑で作っていたのだとか。
「呂号兵器・マル呂」と言い、今でも市内に記念碑として置かれていたり、お菓子屋さんの看板に使われていたりするらしい。
登窯広場一角にあるこの大きな煙突の横にも、それが置かれていました。
呂号というのは当時の表記でイロハのロ号と言うことで、マル呂というのも同様の意味があるのでしょうか。
……登窯広場展示工房館 美術館・博物館
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最近の日本のロケット技術は、かなりの水準に達しているように見受けます。
秋水はある意味で、日本のロケット開発の草分けだったのかも知れない。
操縦士を乗せたまま、一気に高度1万メートル以上に達し、日本の空を恣に支配していたB29を撃墜して、帰りは滑空して地上に帰還するという計画だったみたいです。
1945年7月7日に行われた第一回試験飛行は、みごと離陸に成功したものの、途中でエンジントラブルを起こして墜落。
操縦していた方は、翌日亡くなられたとのことです。
制空権も制海権も奪われていた日本が、命がけでUボートに乗ってドイツから持ち帰った資料を基に、たった一年で開発を託した。
この常滑も、その技術の一端を担ったわけか。
まさに下町ロケットだったわけだなあ。
開発の主体も、三菱重工だし。 -
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陶芸会館からどんどん奥に向かって進むと、いちばんどんづまりに巨大な登り窯があります。
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明治時代に作られた陶栄窯。
昭和49年まで90年以上にわたり用いられた。
登り窯最上部に取り付けられたこの10本の煙突が、常滑の代表的な景色として取り上げられることが多い。登窯(陶栄窯) 名所・史跡
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実物は、写真で見る程は大きくありません。
「あれ、意外に小さいな。」
とうのは、正直な感想。
だからどうだ、というのではありません。
焼き物の里の地形は起伏に富み、登り窯を作るには適しているように思います。 -
登り窯を上から見渡す。
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下から見上げる……
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連房式になっている。
下からあがる火?撫が渦を巻き、さらに上の房へとあがって行くのだろうか。
効率的な造りだなあ。
真焼(まやけ)という焼き方を実現する。
どんな焼き物なのだろう。
分からないなりに、焼き物をじっくりと鑑賞するようなゆとりが欲しいと思いました。 -
20世紀少年
陶栄窯を過ぎて、少し行ったところに、「20世紀少年」という映画のロケに使われた路地がありました。
主人公の「ケンヂ」が、ハーレーに乗ってこの通りを走ったのだとか。
映画のロケというのは、どうもよく分からない。 -
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ウォーキングコース
常滑「やきもの散歩道」は1.6キロ程のコースで、一時間程度で回れると案内に書かれています。
わたしたちは、気がつくと1時間半程の時間を過ごしていました。
とちゅう、モーレツに歩く高齢者の皆さんの一団と遭遇しました。
みなさん軽装で、カメラなどを構える人は誰もいない。
30人くらいの男女が、とにかく歩く。
「歩こう会」みたいなものだろうか。
陽気におしゃべりしながら、わたしたちと抜きつ抜かれつ。
われわれも、何となくせっせと歩いたので、帰りは早く着きました。
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