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インド東北部ビハール州には数々の仏跡が存在し、その多くはお釈迦様、即ち釈迦牟尼仏の生誕から覚醒、入滅に至る事績の仏教聖地である。言うならば、生誕の地ルンビニ、ここ成道の地ブッダガヤ、説法の地サールナート、それに最後の涅槃の地クシーナガルである。この内、初法転輪の地サールナートはバラナシの郊外あり、一昨日既に訪問して来た。<br /><br />ドライバーに案内されたホテルは、このブッダガヤ(仏陀伽耶)の巨大な石塔が建つ大菩提寺の少し先にあり、そこから歩いても2−3分の至近の場所にある。既に時刻は夕方であるが、陽はまだ高い。インド国内の時差がまだ十分理解できず、今の時刻の午後5時がブッダガヤの標準時の何時頃に当たるかはさっぱり分からないが、いずれにしても近くだから、行くだけ行って閉まっていたら戻れば良いや、との気持ちで出かけた。<br /><br />「マハーボデイー寺院」、日本語では「大菩提寺」と呼ばれているが、流石に大きな仏塔だ。寺院の周辺は大きな木立に囲繞されているが、その巨木の上に石塔が聳え立っている。お釈迦様は、ここにある菩提樹の下で瞑想し、悟りを啓いたのだが、今から2500年以上の昔、この地を治めていたアショーカ王が、その成就を記念してここに最初の仏塔を建立した。それから更に時代が下って、今から1500年程前、ここに今見える高さ53mもある巨大な石塔、卒塔婆が建立されたのだ。<br /><br />一時はヒンドウの支配下に置かれ荒廃した仏塔も、近年になって近隣国のビルマ、セイロン、タイなどの高座部仏教国の援助により、現在見るような神々しい大塔になっている。この搭は7世紀初頭、この地を訪れた玄奘三蔵法師も仰ぎ見ている。寺院の正面に回ると、幸いにまだ開門していた。履物を脱ぎ、素足になって寺院に入る。タイルの冷たさが足の裏に感じる。回りの気温が高いので、ひんやりした感触が気持ち良い。<br /><br />入口から真っ直ぐ正面に四方形の石塔が建っていて、その下部には開口部があって、参詣の人々はその入口に吸い込まれていく。塔の周囲は一段高い廻廊になっていて、熱心な参詣者はお経を唱えながらその廻廊を時計周りに回っている。塔はその廻廊、3m程低くなった中心部に建っていて、廻廊からは階段を下って、塔の内陣に向かう。内陣は10坪ほどの経堂になっていて、正面に金色の釈迦像が静かに参詣者を見下ろしている。人々は殆ど無言で、唱える経も口の中で暗唱し、外には漏れない。各国から集まった仏教徒がその国の言葉でお経を暗唱しているのだろう。<br /><br />遠方からこの巨大な石塔を見た瞬間からある種の感動を覚えたが、石塔の懐、光りの差し込まない、蝋燭の灯りだけで照らされた内陣に入ると、身も震えるような感動に襲われる。以前広島の原爆記念館、江田島の海軍記念館に入った時と同じような身の震えだ。何か大きな目に見えない精神的な包み込み。<br /><br />皆がするように、暫らく釈迦像の前に座り、期し方を回想し、平和と平安を祈る。暫らくそうして、内陣を出て廻廊を歩く。ほぼ正方形の一辺が500m程の石の廊下。一周すれば2キロにはなるだろう。人々は口の中で経を唱え、グルグル何回も回っている。タイ人らしい教徒は友人と二人連れで、何か四方山話のような小声で話しを交わし、足だけは自動的に動いている。タイ人らしい。<br /><br />裏に回ると大きな池があった。蓮池、Lotus Pondだ。お釈迦様は瞑想の前後、この池で沐浴したと言う。2500年前の池が目の前にある。人類が滅びない限り、猶、地球上に存在している限り、この池は2500年後も今と同様に満々の水を湛えているだろう・・。

最悪のインド旅行記(28)ブッダガヤ「マハーボデイー寺院」(大菩提寺)へ。

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2013/10/04 - 2013/10/15

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ちゃお

ちゃおさん

インド東北部ビハール州には数々の仏跡が存在し、その多くはお釈迦様、即ち釈迦牟尼仏の生誕から覚醒、入滅に至る事績の仏教聖地である。言うならば、生誕の地ルンビニ、ここ成道の地ブッダガヤ、説法の地サールナート、それに最後の涅槃の地クシーナガルである。この内、初法転輪の地サールナートはバラナシの郊外あり、一昨日既に訪問して来た。

ドライバーに案内されたホテルは、このブッダガヤ(仏陀伽耶)の巨大な石塔が建つ大菩提寺の少し先にあり、そこから歩いても2−3分の至近の場所にある。既に時刻は夕方であるが、陽はまだ高い。インド国内の時差がまだ十分理解できず、今の時刻の午後5時がブッダガヤの標準時の何時頃に当たるかはさっぱり分からないが、いずれにしても近くだから、行くだけ行って閉まっていたら戻れば良いや、との気持ちで出かけた。

「マハーボデイー寺院」、日本語では「大菩提寺」と呼ばれているが、流石に大きな仏塔だ。寺院の周辺は大きな木立に囲繞されているが、その巨木の上に石塔が聳え立っている。お釈迦様は、ここにある菩提樹の下で瞑想し、悟りを啓いたのだが、今から2500年以上の昔、この地を治めていたアショーカ王が、その成就を記念してここに最初の仏塔を建立した。それから更に時代が下って、今から1500年程前、ここに今見える高さ53mもある巨大な石塔、卒塔婆が建立されたのだ。

一時はヒンドウの支配下に置かれ荒廃した仏塔も、近年になって近隣国のビルマ、セイロン、タイなどの高座部仏教国の援助により、現在見るような神々しい大塔になっている。この搭は7世紀初頭、この地を訪れた玄奘三蔵法師も仰ぎ見ている。寺院の正面に回ると、幸いにまだ開門していた。履物を脱ぎ、素足になって寺院に入る。タイルの冷たさが足の裏に感じる。回りの気温が高いので、ひんやりした感触が気持ち良い。

入口から真っ直ぐ正面に四方形の石塔が建っていて、その下部には開口部があって、参詣の人々はその入口に吸い込まれていく。塔の周囲は一段高い廻廊になっていて、熱心な参詣者はお経を唱えながらその廻廊を時計周りに回っている。塔はその廻廊、3m程低くなった中心部に建っていて、廻廊からは階段を下って、塔の内陣に向かう。内陣は10坪ほどの経堂になっていて、正面に金色の釈迦像が静かに参詣者を見下ろしている。人々は殆ど無言で、唱える経も口の中で暗唱し、外には漏れない。各国から集まった仏教徒がその国の言葉でお経を暗唱しているのだろう。

遠方からこの巨大な石塔を見た瞬間からある種の感動を覚えたが、石塔の懐、光りの差し込まない、蝋燭の灯りだけで照らされた内陣に入ると、身も震えるような感動に襲われる。以前広島の原爆記念館、江田島の海軍記念館に入った時と同じような身の震えだ。何か大きな目に見えない精神的な包み込み。

皆がするように、暫らく釈迦像の前に座り、期し方を回想し、平和と平安を祈る。暫らくそうして、内陣を出て廻廊を歩く。ほぼ正方形の一辺が500m程の石の廊下。一周すれば2キロにはなるだろう。人々は口の中で経を唱え、グルグル何回も回っている。タイ人らしい教徒は友人と二人連れで、何か四方山話のような小声で話しを交わし、足だけは自動的に動いている。タイ人らしい。

裏に回ると大きな池があった。蓮池、Lotus Pondだ。お釈迦様は瞑想の前後、この池で沐浴したと言う。2500年前の池が目の前にある。人類が滅びない限り、猶、地球上に存在している限り、この池は2500年後も今と同様に満々の水を湛えているだろう・・。

旅行の満足度
5.0

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  • マハーボデイー寺院(大菩提寺)の巨大な石塔は遠くからでも良く目立つ。

    マハーボデイー寺院(大菩提寺)の巨大な石塔は遠くからでも良く目立つ。

  • 高さ53m、巨大な石の本殿だ。

    高さ53m、巨大な石の本殿だ。

  • 大塔の周辺には幾つかの卒塔婆が建てられている。

    大塔の周辺には幾つかの卒塔婆が建てられている。

  • 本殿の裏側には正覚した際の菩提樹も立っている。

    本殿の裏側には正覚した際の菩提樹も立っている。

  • これがその菩提樹だ。

    これがその菩提樹だ。

  • 紀元5世紀頃、今から1500年程前に建てられた石塔。玄奘三蔵もインドへやって来て、この搭を見た。

    紀元5世紀頃、今から1500年程前に建てられた石塔。玄奘三蔵もインドへやって来て、この搭を見た。

  • 塔の周辺は廻廊が回り、一段低く、その中央に立っている。

    塔の周辺は廻廊が回り、一段低く、その中央に立っている。

  • 塔の中央には内陣が穿たれている。

    塔の中央には内陣が穿たれている。

  • 五体倒地して祈るチベット僧。

    五体倒地して祈るチベット僧。

  • 廻廊は一辺約500m。四周を回ると約2キロになる。

    廻廊は一辺約500m。四周を回ると約2キロになる。

  • 大塔の裏には巨大な菩提樹が自生している。

    大塔の裏には巨大な菩提樹が自生している。

  • 更にその裏には大きな池、蓮池が今に現存している。お釈迦様はここで沐浴したと言う。

    更にその裏には大きな池、蓮池が今に現存している。お釈迦様はここで沐浴したと言う。

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