2015/09/26 - 2015/09/27
96位(同エリア212件中)
naoさん
広島県東広島市西条は、江戸時代には四日市次郎丸村と呼ばれ、東は古川から西は半尾川に至る、延長約900mの西国街道(旧山陽道)沿いに広がる町で、その中心部に広島藩直営の「御茶屋」と称する本陣を置いた、山陽道の宿場町の中でも最大級の四日市宿として栄えていました。
明治23年の町制施行に伴い「西条」と改称され、町に鉄道が引かれると、元々日本酒の醸造に適した気候風土と良質な地下水に恵まれた西条では、これを契機に街道沿いに連なる商家が次々に酒造りを始めます。
大正時代の中頃ともなると、街道沿いには蔵元の赤い煙突や白壁の酒蔵が建ち並び、「酒都西条」は兵庫の灘、京都の伏見と並び称される一大醸造地へと成長を遂げ、かつての四日市宿の町並みは「酒蔵通り」へと変貌します。
現在、JR山陽本線西条駅の南側に延びる酒蔵通りには7軒の蔵元が点在し、煉瓦造りの赤い煙突が林立する一帯には、今も白漆喰壁となまこ壁の酒蔵、赤い石州瓦葺の屋根に虫籠窓や格子をしつらえた町家など、「酒都西条」の歴史を感じさせる町並みが続いています。
なお、宿場町当時置かれていた広島藩直営の「御茶屋」は、明治維新後は賀茂郡役所として使われ、現在、表御門が復元保存されています。
西条の酒の命ともいえる仕込み水は、龍王山から大きな恩恵を受けています。
龍王山に源を発する地下の伏流水は、流紋岩と花崗岩の入り混じった地層を通過する間にカルシウムやマグネシウムが溶け出て、源流域の軟水を西条特有の中硬水に変え、多量に供給しています。
一般的に、酒造りには少し硬度が高めの水が良いとされていますが、この程よい中硬水が西条の美味しい酒を生む秘密だと考えられています。
各蔵元では、酒の仕込み水として使っているこの水を、一般家庭やレストランなどでも広く使ってもらおうと、自由に汲める水汲み場を設けておられます。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
酒都西条へやってきました。
江戸時代に山陽道の宿場町の中でも最大級の四日市宿として栄えた西条は、大正時代になると兵庫の灘、京都の伏見と並び称される一大醸造地へと成長を遂げ、かつての四日市宿の町並みは「酒蔵通り」へと変貌しました。
JR山陽本線西条駅の南側に延びる酒蔵通りには、現在7軒の蔵元が点在し、煉瓦造りの赤い煙突が林立する一帯には、酒都西条の歴史を物語る町並みが続いています。
では、JR山陽本線西条駅の東側から酒都西条の町歩きを始めます。 -
酒蔵通りにあるカラフルな汚水枡の蓋。
酒蔵通りの光景がモチーフになっています。 -
酒蔵通りに入って先ず現れたのは、西条で一番古い延宝3年(1675年)創業の白牡丹酒造の酒蔵です。
-
兵庫の灘、京都の伏見と並ぶ一大醸造地だけあって、この辺りには蔵元の赤い煙突や白漆喰壁の酒蔵が建ち並んでいます。
-
白牡丹酒造の酒蔵に沿って進みます。
-
白牡丹酒造の酒蔵の先には、賀茂鶴酒造の仕込み水の「福神井戸」があります。
-
西条の酒の仕込み水は、龍王山に源を発するカルシウムやマグネシウムを含んだ地下の伏流水が使われていますが、各蔵元では、仕込み水として使っているこの水を、一般家庭やレストランなどでも広く使ってもらおうと、自由に汲める水汲み場を設けておられます。
-
こちらは四日市宿に置かれていた広島藩直営の「御茶屋」と称した本陣の跡地で、現在、表御門が復元保存されています。
-
こちらの下見板張りの洋館は賀茂鶴酒造の社屋です。
-
赤レンガの煙突が建つ醸造場です。
-
こちらは見学室です。
見学室では、手作りの酒造り用具や酒米など酒に関する資料の展示と、賀茂鶴酒造の酒の試飲や販売が行われています。 -
酒蔵の前には、菰樽がデモンストレーションとして置かれています。
-
賀茂鶴酒造は、西条で最大規模を誇る醸造場なので、複数のレンガ煙突が林立しています。
-
では、酒蔵通りを先へ進みます。
-
こちらは亀齢酒造の酒蔵です。
-
蔵通りの先にも亀齢酒造の醸造場があるようで、煙突が見えています。
-
こちらは福美人酒造です。
-
杉玉とレンガ煙突の取り合わせは醸造場ならではの光景です。
-
福美人酒造の仕込み水の「恵比寿1号井戸」は・・・
-
酒蔵の中に設けられています。
-
福美人酒造も、賀茂鶴酒造と同様に洋館の社屋です。
-
酒蔵通りの東端にある、賀茂泉酒造が見えてきました。
-
賀茂泉酒造の社屋は、赤い石州瓦葺の伝統的な木造建物が使われています。
-
くぐり戸の付いた玄関の大戸。
-
なまこ壁風の酒蔵。
-
敷地の裏手には、やっぱりレンガ煙突が建っていました。
-
賀茂泉酒造の先にある町家。
西条と云えば酒蔵のある町を連想してしまいますが、今も町並みには、赤い石州瓦葺の屋根に虫籠窓や格子をしつらえた町家をたくさん見ることができます。 -
こちらは賀茂泉酒造の「酒泉館」です。
-
洋館のこの建物は、昭和3年に設立された広島県醸造試験場西条清酒醸造場のもので、「明魂」という銘柄の日本酒の醸造を通じて、酒造技術向上に大きな役割を果たしました。
-
現在は賀茂泉酒造が所有し、カフェ「酒泉館」などとして利用されています。
-
「酒泉館」の前庭には、賀茂泉酒造の仕込み水の「次郎丸井戸」があります。
-
「次郎丸井戸」には、誰でも飲めるようにと・・・
-
グラスが用意されています。
-
筋交いを板壁の表に出した町家。
-
かつては商家だったのか、全面に大きなガラス戸を入れた町家です。
-
L字型に棟を曲げた町家。
L字型に凹んだ部分に門がつけられています。 -
この見事なまでに美しい白漆喰壁となまこ壁の酒蔵は・・・
-
亀齢酒造の建物で・・・
-
「酒都西条」にふさわしい、風情ある景観を見せています。
-
亀齢酒造のレンガ煙突。
-
亀齢酒造の酒蔵の一角には、「万年亀(まねき)」と名付けられた店舗があります。
-
亀齢酒造の仕込み水の「万年亀井戸」は、社屋の前にあります。
-
亀齢酒造の目の前にある町家。
-
こちらの町家の屋根は入母屋造りになっています。
-
東広島市の汚水枡の蓋。
市の花のツツジと市の木のマツをモチーフに、真ん中の市章の周りを取り囲み、さらに、東広島市にある広島大学を象徴するペンと鉛筆も配されています。 -
こちらは西条鶴酒造の社屋で・・・
-
西条鶴酒造の仕込み水の「天保井水」が社屋の前にあります。
-
西条鶴酒造の酒蔵は・・・
-
「酒宝蔵」と名付けられています。
-
こちらは白牡丹酒造です。
-
白牡丹酒造の社屋も、見事な白漆喰壁となまこ壁をしつらえた美しい姿を見せています。
-
白牡丹酒造の仕込み水の「冥加の水」が、その美しい白漆喰壁となまこ壁の前にあります。
-
前面に駒寄せを巡らせた町家。
宿場町時代の名残ですね・・・。 -
2階部分の背が高いので、袖卯建も大型のものにならざるを得なくなってしまいます。
-
2階の一部に使われているなまこ壁が・・・
-
この町家のアクセントになっています。
-
白牡丹酒造の仕込み水、「いちの水」です。
「冥加の水」とともに二つの井戸を持つ白牡丹酒造は、銘柄によってこれらの水を使い分けているそうです。
では、西条駅の東側の町並みはこれくらいにして、もう一軒の醸造場のある西側の町並みへ向かいます。 -
西条駅の西側の町並みにやってきました。
-
こちらは、西条駅の西側の町並みに一軒だけある山陽鶴酒造です。
-
山陽鶴酒造は、杉玉の代わりに菰樽を吊り下げています。
-
日本酒の醸造に適した気候風土と龍王山から流れ出る良質な伏流水の恩恵を受けながら、先人たちの努力と工夫によりコクのある美味しい酒が生みだされる西条は、兵庫の灘、京都の伏見と並び称される一大醸造地へと成長を遂げ、「酒都西条」と呼ばれるまでになります。
そんな先人達の心意気を受け継ぐ杜氏たちの手により、今も美味しい酒が作られ、飲む人に至福の時をもたらせています。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
61