2015/09/26 - 2015/09/27
40位(同エリア75件中)
naoさん
広島県府中市上下は、福山市の福山駅と三次市の塩町駅を結ぶJR福塩線の、福山駅から約1時間30分ほどの距離にある上下駅を中心に広がる小さな町です。
江戸時代に、石見銀山からの銀の運搬路である銀山街道(別名 石州街道)を統治しようとした幕府は、上下を直轄の天領とし、元禄13年(1700年)には天領代官所を設置します。
これにより、石見銀山から江戸へ銀を運ぶ中継基地として重要な役割を果たすようになった上下は、幕府の公金を扱う御用商人、酒や醤油などの醸造業を営む豪商などが現れ、この地方の政治経済の中心地として繁栄しました。
また、元々山陰と山陽を結ぶ交通の要衝にあって、鉄や米の集積地だった上下は、これを契機に様々な人々や物資が往来するようになると、銀山街道(別名 石州街道)の宿場町としても賑わうようになりました。
「上下」という珍しい地名は、この地が中国地方の背骨に位置する分水嶺であることに由来するもので、ここを境に、北は江の川水系を流れて日本海に注ぎ、南は芦田川水系を流れて瀬戸内海へと注いでいます。
現在の上下には、白漆喰壁、なまこ壁、虫籠窓、格子窓など、伝統的なしつらえの土蔵や町家が連なっており、かつて天領として繁栄していた頃の面影をしのばせる、威厳ある町並みを見ることができます。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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上下駅へやって来ました。
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上下駅は、福山市の福山駅と三次市の塩町駅を結ぶ、JR福塩線にあります。
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読んで字のごとく、「じょうげ」です。
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上下駅はローカル駅特有の、のんびりとした雰囲気に包まれています。
でも、のんびりしているからこそ、旅情をくすぐられる何かを持っています。
では、この駅から町歩きを始めます。 -
駅前の光景です。
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町並みに一歩足を踏み入れた途端に、ナマコ壁の町家が出迎えてくれます。
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旧上下町時代の汚水桝の蓋。
旧上下町の花、あやめがモチーフになっています。 -
名前も看板もノスタルジーに溢れています。
今や、「昭和ロマン」と云ってもいい時代になったようです。
では、駅前通りと直交する石州街道の、駅から西側の町並みから歩くことにします。 -
駅前通りからすぐ西側にある商工会館です。
これは昭和5年に完成した元上下警察署だった建物だそうです。 -
昭和44年、新しい国道の開通に伴い警察の建物が移転した以降、商工会館として使われてきたそうです。
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こちらは写真館の建物です。
2階のガラス窓の桟のデザインが良いですね。 -
写真館の店先に置かれた郵便受けは、本物の郵便ポストに倣って作られています。
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見事ななまこ壁の町家が連なっています。
瓦押さえの円形の漆喰は初めて見る手法ですが、柔らかい表情を与えています。 -
通りを反対側から見たところです。
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では、西側の町並みはこれ位にして引き返します。
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駅前通りから東側の町並みにやってきました。
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東側の町並みには、かつて天領として繁栄していた頃の面影をしのばせる町並みが続いています。
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白漆喰壁が多い町並みの中で、珍しく黒漆喰壁の町家があります。
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宿場町の名残をとどめるように、行灯が置かれています。
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風情ある町並みの中に、上下のシンボル的建物のひとつ上下キリスト教会が見えています。
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各窓の上には、持ち送りで支えられた庇がついています。
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「白壁の道」と名付けられた小道の角にあるメガネ屋さんは、伝統様式の見本市とでも云えるようなたたずまいの建物です。
なお、こちらの2階は江戸末期の武具や豪商の調度品などを展示している、私設資料館になっています。 -
「白壁の道」の光景です。
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「白壁の道」には、行く夏を惜しむように朝顔が咲いています。
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風情ある町並みを飾るアクセサリーとして、最もふさわしい品物です。
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町ゆく人の休憩用にと、床几が置かれています。
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「白壁の道」の先にも、白漆喰壁やなまこ壁の町家が連なっています。
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そんな町並みに溶け込むように、この町のシンボル的建物の一つ、上下キリスト教会が建っています。
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この教会は、明治時代に蔵として建てられたものを、昭和25年(1950年)に教会に改造したものだそうで・・・
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現在も使用されています。
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かつての蔵の屋根の上に増築された八角形の鐘楼が・・・
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この町並みをより一層美しいものにしています。
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黒漆喰壁に卯建をあげた町家は、上下名物のお饅頭屋さんです。
かつてこの町家に使われていたものなのか、はたまたコレクションなのか、鬼瓦が並べてあります。 -
上下キリスト教会から東側の町並みです。
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どちらも1階の店舗を今風に改装しておられますが、見上げると伝統が息づいています。
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上下キリスト教会の東側の外観です。
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白漆喰壁とナマコ壁に卯建を上げた・・・
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左右瓜二つの建物が並んでいるのは、上下を代表する町家だった旧岡田邸を再生し、平成15年にオープンした上下歴史文化資料館です。
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この資料館は、明治末期から大正時代にかけて、自らも女性作家として活躍した岡田美知代の生家ですが、その岡田美知代を世に知らしめたのは、田山花袋の小説『蒲団』のヒロイン、横山芳子のモデルとなったことです。
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上下キリスト教会を背にして並ぶ、妻入り町家の3兄弟。
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緑青を身にまとった、右書きの古風な看板を掲げた薬局。
このお店の永い歴史が感じられます。 -
ここまで歩いてきた西側の町並みです。
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上下キリスト教会はどの角度から見ても町並みに溶け込んでいるのが判ります。
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瓦屋根に増築された八角形の鐘楼。
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こちらは道具屋さん。
店先に何気なく置いてあるコンサートのお知らせの中に、ジャズファンなら知らない人はいない名前を発見しました。
ピアノの山下洋輔、ドラムスの村上ポンタ秀一、ベースの坂井紅介です。
へ〜っ、山下洋輔トリオがこの町で演奏したようです。 -
ガス灯を上げた医院も・・・
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伝統様式をまとった、風情あふれる建物です。
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こちらの町家には、かつての上下の町並みを写したと思われる、セピア色のパネルが掲げられています。
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ちょっと気になる妻入りの町家がありました。
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伝統的な美しいなまこ壁の2階にはめ込まれたガラス窓の桟が新鮮に映ります。
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卯建を上げた町家が2軒並んでいます。
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別々の町家が並んでいるように見えますが、よく見ると1階の下屋が繋がっているので1軒のお宅のようです。
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確かに、2階の窓格子やなまこ壁は同じしつらえです。
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その町屋の前には、こんな行燈が置かれています。
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こちらの町家の前に置かれたプランターでは・・・
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トマトが栽培されています。
真っ赤に熟れたトマトが美味しそうです。 -
こちらの白漆喰になまこ壁の建物は、明治時代の旧警察署です。
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屋根の上にある見張り櫓が、当時の姿のまま残っています。
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2階窓の庇を支える持ち送りに彫られた植物模様が、いかつい警察署のイメージを和らげています。
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上下キリスト教会の鐘楼が、警察署の見張り櫓と張り合うように町並みを見降ろしています。
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この洋館はパン屋さんです。
こちらのお店は、なんと年に4日しか営業されないそうです。 -
郵便ポストの先に見えているのは警察署の見張り櫓です。
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郵便ポストの手前で北へ直角に曲がっている通りにも、風情ある町並みが続いています。
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上下川に架かる翁橋を渡って風情ある町並みにやってきました。
この先の通りには、かつて山陰と山陽を結ぶ石州街道の宿場町だった頃の名残をとどめる旅館が残っています。 -
一棟の町家ですが、左右でしつらえが全く異なるので、2軒のお宅で使っているようです。
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こちらはカフェです。
お店の奥には、お酒の醸造に使う道具や人形が展示されているようです。 -
こちらは古書屋さん。
こちらも一棟の町家を2軒のお宅で使っているようです。 -
屋根の看板に彫り込んだ店名のロゴがユーモラスで良いですね。
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こちらは古風な看板を掲げた旅館です。
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旅館の提灯を透かして見た町並み。
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お向かいにも旅館があります。
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こちらの旅館は、破風屋根のある玄関が重厚さを演出しています。
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旅館の提灯越に見えていた町家です。
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町並みの先に、芝居や映画の上演等で賑わった翁座が見えてきました。
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翁座は、大正時代に建てられた木造建築物としては県下随一だそうで、今は亡き高田浩吉、鶴田浩二、大友柳太郎など、昭和を代表する大スター達も来演したそうです。
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「実演」と云う言い方に、古き佳き昭和を感じますね〜。
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翁座の前にある中国バスのバス停と銀山街道の案内板。
上下は、江戸時代に石見銀山からの銀の運搬路である銀山街道(別名 石州街道)の宿場町として賑わった歴史を持っています。 -
なまこ壁の町家と郵便ポストのツーショット。
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色とりどりのコスモスが秋の風情を醸しています。
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上下の守り神、亀山八幡宮への参道です。
この先には特に目ぼしいものがなさそうなので、ここから引き返します。 -
翁座から見た南側に延びる町並みです。
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古風な看板を掲げた旅館の辺りまで戻ってきました。
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右手に警察署の見張り櫓が見えてきました。
では、翁橋を渡って郵便ポストが立っていた町並みへ向かいます。 -
翁橋を東に折れた、郵便ポストの先にある町並みです。
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この辺りの町並みは・・・
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弧を描くように続いています。
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この町家は、僅かに虫籠窓の名残を留めています。
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円弧なりに続く町並みをぐるっと廻って、国道432号線へやってきました。
バス停に「上下代官所前」とあるように、後ろの石垣の上辺りには天領時代の代官所跡の石垣がそのまま残っています。 -
旧上下町時代の、カラーの汚水桝の蓋。
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こちらは、上下の財閥だった旧角倉家の外門です。
二階に見張り小屋を置いたこの門は、当時の旧角倉家の勢いを偲ばせてくれます。
「なまこ壁ばかり」と云う印象の残る上下の町並みですが、上下キリスト教会の八角形の鐘楼と相まって、素晴らしい姿を見せてくれました。
また一つ、再訪したい町が増えました。
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