2002/09/02 - 2002/09/04
1位(同エリア30件中)
エスペラさん
2002年9月4日。深夜2:50頃、激しい雷雨。
6:30、起床。7時より朝食をとり、7:50にホテルを出る。
夜中の雨で道路は水浸し。
ペシャワールで無料診療を行っているJIFFメディカルセンターへと向かう。
ここペシャワールには80年代からのアフガン難民が大量に流入し、正規・非正規の難民キャンプが多数ある。ここではそのキャンプの人たちのために診療を行っていた。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 3.0
- ホテル
- 3.0
- グルメ
- 3.0
- 同行者
- 社員・団体旅行
- 交通手段
- 観光バス
- 旅行の手配内容
- 団体旅行
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これは若いお母さんたちに授乳の方法などを説明しているところ。日本と違い非常に識字率が低いため、こうした絵解きが中心になる。
識字率が低いというと単に文字が読めないということで理解していたが、生活スタイル全体に影響があるということに驚いた。
ここには9.11以降、毎日1000人の人たちが来院しているが、とにかく列は作らない、順番は守らないというでたらめな状態で、元ムジャヒディン(イスラムの聖戦士)という男性が棒で叩くような感じでさばいていた。実は、これは数字も読めないため、番号カードなどが役に立たないからだという。
育児についても日本の常識は全く通用しない。こちらの人たちは甘いものが大好きで、なんと、乳児の与えるミルクにまでたっぷり砂糖を入れるのだ。そういうレベルの教育からやり直していた。
後ろの方の女性は顔を隠している。こちらの女性は写真を撮られることを嫌がる人が多いため、ゆっくりカメラを構えて、嫌な人は顔を隠してねというメッセージを送らないと大変なことになることがある。 -
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アフガンの人たちには長い歴史の中で欧米の血も入っている人たちが多く、この子のような目のぱっちりとした美人さんがたくさんいる。抱いている子は見た目は小さいが、おそらく3歳くらいだろう。極端に栄養状態が悪いために、日本の同年代の子どもの半分ぐらいの体重しかない子が多数いる。
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こうした小さな子どもたちが赤ん坊の世話をしている。
アフガンなどでは小さな子どもがとてもよく働くが、しばしば児童労働へとつながってしまう。 -
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体重を量る様子。この子は2歳だが体重は7.9kg。日本の1歳児の体重。
左の方に見えるのが身長を測る道具。 -
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この医院の体制は医師が7名。うち1名が女性。女性は病気であっても男性に肌を見せるのはとんでもないことなので、女医さんは非常に貴重な存在となる。どうしようもない場合はブルカの上から診察するらしい。
写真は整形の治療中。頸痛が非常に多いらしいが、頭の上にものを載せるからではないかということだった。 -
ここでは治療に来た人たちで栄養が不足していると思われる人たちには食料などを無料で配布している。
粉ミルクの口をはさみで切ってホッチキスで留めているが、これは、横流し防止のためだという。非常に貧しい人たちが多いので、お金に換えることは非難できないが、子どもたちのために使って欲しいというジレンマを抱えての支援だ。
1日だいたい120人ぐらいに配布するため、仕入れも大変だ。麻袋にビスケットや小麦などを10日分を目安にいれて、1000円程度だということだった。 -
右側の女性は看護師。日本のスタッフはペシャワールのクレオパトラと呼んでいた。
パキスタン、アフガニスタンでは看護師の身分が大変低く、教育を受けた人のなり手が非常に少ない。 -
とにかく人が多いので、入り口にはこうしてパンケーキのようなものを売る子どもたちがいた。その他、ゆでトウモロコシやスープのようなものも売っていた。
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ここに来る人たちの95%がアフガン難民で、市内のキャンプから来ている。必ずしも本当の貧しい人たちだけではなく、タクシーで来る人もいるが、一般病院は極端に高いため、こうしたところに来るのだという。また、アフガンの男性たちは驚くほど女性を大切にするので、貧しくてもそういう部分にはお金を使わせるようだ。
大事にするといっても、たとえば、貧困のため、10代前半で結婚する女性も多数いる。また、社会的な活動はとても制限されるので、私たちの物差しで見てしまうと誤ることも多々ある。 -
JIFFに最も近い、カチャバリーキャンプ。ソ連のアフガニスタン侵攻以来20年続く難民キャンプで、当時公称8万人が住むといわれていた。
「アフガン難民」といいながら、20年を経た旧キャンプでは、祖国を知らない子どもたちがすでに成人して暮らしている。
難民キャンプというと、かわいそうな人たちがおなかをすかせて暮らしているイメージがあるが、必ずしもそうではない。多くの人たちは何らかの職業を得て生活しており、貧しいながら生活は自立している。ただし、祖国から離れているために様々な権利は保障されず、また、土地の所有権なども当然ない。
中の治安は決して良くはなく、私たちの場合も、ポリスにお金を払って(200ルピー)、随行してもらった。 -
まず訪れたのはキャンプ内の診療所。日本の企業などの寄付で作られた診療所だということだが、スタッフは誰も何という企業から寄付があったのかを知らない。
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中は不潔ではなかったが、設備も乏しく、薬などもそれほど充実しているようには思えない。また、キャンプ全体が水道のない土地であるため、手洗いも右の方にある銀色のタンクから水を出して、普通の石けんで洗うだけのようだった。
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キャンプ内の下水の様子。
アフガンでは下水は家の周りに溝を掘って、そこに垂れ流す。ペシャワールではそれほどでもなかったが、カーブルは非常に乾燥するため、この汚水が乾燥して舞い上がる。そのため、午後のカーブルは悪臭と砂埃に包まれる。当然、寄生虫なども多数発生する。 -
衛生に関する教育が十分でないため、こうして道の真ん中に下水があり、さらに平気でその中を歩いたりする。こうした基礎的な知識は決してその土地の文化を侵すものでもないので、そういう教育こそ重要だと思うが、日本などの援助は形にならないものを敬遠する傾向があるようだ。
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キャンプの中には学校もある。ここは101小学校という女学校の前。イスラム圏は男女別学のところが多い。
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どこの学校をのぞいても、机はない。それになれているので、特別必要ということもないようだ。
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学校のすぐ隣はお墓だった。どれほどの人たちが故郷を夢見、はてていったのだろう。
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これはナンを焼くための窯を作っているところ。
アフガンやインドのナンは細長いアーモンド型をしている。壺のように上が細くなった窯の中で薪を燃やし、その窯の内側にぺたんと貼り付けて焼く。
貧しい人たちの食事は、このナンとお茶だけだ。そのため、日本では滅多に見られない、重症のビタミンの欠乏症などが頻発している。 -
人力で回すメリーゴーランド。
すごいなあと思っていたら、インドには人力の観覧車があった・・・。 -
トラクターにもこうした過剰な装飾が施されている。
向こうにいる黒い服の人がやとったポリス。 -
キャンプの中にはお店もたくさんある。やはり日常品を扱っているお店が多い。
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意外だったのは、ナンを売るお店がたくさんあったこと。これはカーブルでも同じだった。
貧しい地域なのですべて自給自足と思いきや、ナンは買ってくることが多いようだ。 -
飲み物を売っている屋台。さすがに買って飲む勇気はなかったので何を売っているかは分からなかった。
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自転車屋。
日本に比べると車輪は大きめで、フレームは細いという印象。
ここに写っている自転車は日本の物とよく似ているが、フレームの前三角の上のチューブが2本になっている自転車がたくさんあった。 -
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くっきりとした眼はとても美しく澄み、屈託のない笑顔は、日本が忘れてしまったものを数多く胸の中に秘めていることを否応なく知らされる。
その一方、彼らの手は、いつも私たちのポケットをねらっている。あるいは「パイサ、パイサ(お金をちょうだい)」と臆面もなく、私たちの前に両手が突き出される。
子どもたちはもちろん、両親さえも、難民キャンプで生まれ育った世代になりつつある。そしてそこは、ただ、外国の政府や外国人からものをもらうことだけが、唯一の収入となった人々も無数にあふれている。
同行した人の中には日本と違って生き生きしているという感想を述べた人もいたが、私には、現地スタッフが漏らした「重症の栄養失調の子どもは家の中にしかいない」という言葉が重くのしかかった。
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この旅行記へのコメント (2)
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- k.sさん 2015/10/04 22:40:31
- パイサ、パイサを読んで
- エスべラさんへ
今晩は。流石です。難しい問題を淡々と語ることができる、その感性に敬意を表します。
と同時に、私たちに何ができるのだろう、と考えさせられます。異文化の、貧しい人々との付き合い方はどうすればいいのか?
平和ボケした私たちに、ときどきエスべラさんの旅行記は必要です。ときどきでいいので、このような旅行記を書いていただけたら有難いです。無理はしないで下さい。
k.sより
- エスペラさん からの返信 2015/10/05 21:40:28
- RE: パイサ、パイサを読んで
- k.sさん
いつもありがとうございます。
辛い旅はやはり想い出すのもストレスなので、お言葉に甘えて、ぼちぼちと書かせていただきます。
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