アフガンは歌わない（２）　爆破

2002/09/02 - 2002/09/13

バスは砂漠の中のＧＴロードをひたすら走る。１５時過ぎにジャララバードに到着し、ようやく小休止をとった。
その後、パンクなどのトラブルもあり、予定よりかなり遅くカブール手前の峠にさしかかったが、かなりの大渋滞。２３時以降は外出禁止令が出されているので、少し焦る。
どうにか２１時過ぎに、食事の場所であるインターコンチネンタルホテルに到着したが、何か騒がしい。
テレビのニュースを見ると、市内で爆破事件が起き、２７人が死亡しているとのこと。その場所は宿泊予定のホテルの前だった。時間通りに到着していたら、巻き込まれていたのかもしれない。
急遽、宿泊は現地ＮＰＯの事務所に変更し、真っ暗な中、懐中電灯と寝袋で夜を明かした。

エリア カブール(アフガニスタン)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 3.5
• グルメ: 3.5

• 同行者: 社員・団体旅行
• 旅行の手配内容: 団体旅行

ＧＴロードはかなりデコボコ。道路にはあちこち大穴が空いていて、橋が落ちている部分もある。これは、かつてソ連が侵攻したときに破壊されたものだそうだ。
写真を撮っておきたかったが、何せ揺れるのでほとんどまともなものはない。
ぐったりとなりながらも、１５時過ぎにジャララバードに到着。ガバレストランで休息を取った。

壊れたのか、途中で作るのをやめたのか、変な造り。
砂漠の空には雲がなく山があると雲ができる。当たり前の事だが、とても不思議な感じがした。

この辺りでは結構高級なレストランだという。
ここでお茶を飲み、時計を１時間３０分戻して、また出発。

レンガ工場らしい。

この写真で分かるように、バスの窓は閉めたまま。砂ぼこりが激しいため、窓を閉めたままで、クーラーは壊れるということで使わない。乾燥しているせいで汗はほとんど出ていないように感じるが、定期的に水を取っていないと簡単に熱射病になるという。
窓を閉め切っていても、砂埃はどんどん入ってくる。日本から持って行ったマスクをするが、これではほとんど役に立たず。マスクの上からさらにタオルをまいても、口の辺りのタオルがすぐに砂で黄色くなってくる。

ペシャワールを出発してはや１２時間が過ぎようとしているが、カブールはまだまだのようだ。
大変だなあと思うのは運転手。こちらで車を借りるとだいたい運転手と助手がつくが、その助手は決してハンドルを握らない。

「スサヒ湖」という名前だと思ったが、ちゃんと聞き取れなかった。
バスは２台で行ったのだが、１台が遅れ、ここで待つことになる。
国境を越えるときは１台では危険なので２台以上で走る。こちらの運転はとにかく乱暴で、抜きつ抜かれつのレースのような運転をする。そんな感じでがんがんとばしていて１台が遅れてしった。強盗にでもとやや心配になったが、パンクをしたということだった。

スイカだろうか？

どの車もがんがん飛ばす。
写真も撮り飽きてきた頃、やっと後続の車が見えた。合流するとあっという間に抜き去っていった。

さらに２時間ほどでやっとカブールに着いた。カブールに入る最後の峠が長く急なつづら折り。大きな車は折り返さないと登れないほど。空を見ると満点の星空。視力は良くないが、それでも天の川がきれいに見えた。
峠を越えてやっと市内に入ると、交差点ごとに検問。バスの中まで入ってきてチェックされる。時刻は２１時。２３時以降は外出禁止になるのでその前に食事をしなければならず、インターコンチネンタルホテルへと急ぐ。
ホテルに着くと、現地コーディネーターの督永忠子さんと合流。パキスタンやアフガニスタンに行った日本人はほとんどお世話になっているだろう。
ようやく食事にありつけると思いきや、国防大臣が来ているからとまた通せんぼ。ＮＨＫの人たちなどがうろうろしていた。なんとなく変な雰囲気を感じながら食堂に行くと、テレビでは市内中心部で爆破が起こったとのニュース。現地の人の説明では、２７人が死亡。さらにカンダハール州知事が暗殺、カルザイが暗殺未遂（ボディーガードが死亡）。9.11を前に、極度の緊張状態にあったのだった。
さらに、爆破が起こったのは宿泊予定のホテル前。非常に危険だということで、急遽、現地のＮＰＯの事務所に宿泊することに。あわててピラフをかきこみ、バスに乗りこむ。
ところが、運転手が「ノーランチ」と車を出そうとしない。もっとチップをよこせということのようだ。現地の人が怒鳴って、やっと出発。２２：３０。
あとで督永さんに聞くと、もともとは別の安全なホテルをとっていたのに、誰かが「気を利かせて」米軍の出入りするような高級ホテルに変更していたとのこと。

翌日現場に行って撮ったもの。

タクシー２台が爆発していた。

この旅行記へのコメント （2）

• ももであさん 2014/10/11 12:33:50

  ダルエスも歌わない

  さかのぼることさらに4年。
  ダルエスサラームへ行った時に、同じような場面に遭遇しました。
  
  ごく平凡な朝にホテルから郊外の田舎へ出かけ、夕方車でホテルへ
  戻っていると、市内が妙に渋滞。
  
  朝は平常だったホテル至近の米国大使館が爆破テロで損壊していました。
  ｢ケニア、タンザニア米国大使館同時爆破テロ｣ 死者250人以上
  それは今なお続く、アルカイダとの闘いの始まりでした。
  
  価値観がまるっきり違うもの同士
  混ざることはなくとも、うまく共存できないものでしょうか。

  エスペラさん からの返信 2014/10/11 20:01:49

  RE: ダルエスも歌わない

  ももであさん、ご訪問ありがとうございます。
  
  残念なことですが、同じような経験をされた方はどんどん増えているように思います。
  個人に何ができるのかは分かりませんが、遠い未来であっても、問題が解決できるよう、自分なりに努力はしていきたいと今も思っています。
  
  > さかのぼることさらに4年。
  > ダルエスサラームへ行った時に、同じような場面に遭遇しました。
  >
  > ごく平凡な朝にホテルから郊外の田舎へ出かけ、夕方車でホテルへ
  > 戻っていると、市内が妙に渋滞。
  >
  > 朝は平常だったホテル至近の米国大使館が爆破テロで損壊していました。
  > ｢ケニア、タンザニア米国大使館同時爆破テロ｣ 死者250人以上
  > それは今なお続く、アルカイダとの闘いの始まりでした。
  >
  > 価値観がまるっきり違うもの同士
  > 混ざることはなくとも、うまく共存できないものでしょうか。