2015/08/29 - 2015/08/30
6位(同エリア64件中)
玄白さん
2015年の紅葉追っかけはカナダ極北のツンドラ紅葉から。
北の大地は、長い冬が終わると春を通り越して一気に短い夏に突入。8月下旬になると、瞬く間に短い秋を通り過ぎ再び長い冬を迎える。そんな束の間の秋、ツンドラ(永久凍土)を覆うヤナギラン、ツルコケモモなどの低潅木が真っ赤に紅葉し、広大な大地はさながら赤い絨毯を敷き詰めたような光景が出現するという。そんな絶景が見られるのは1年の中わずか数日。しかも年によって紅葉の時期が微妙にずれる。数ヶ月前から計画せざるを得ない旅で、こんな絶景にめぐり合えるチャンスは少なく、オーロラを見るより難しいかもしれない。しかし、毎年紅葉の写真を取り続けている自称「紅葉撮影家」の玄白としては、一度は見ておきたい。
というわけで、オーロラと同時にツンドラ紅葉を見る撮影ツアーに参加したのであった。
ツアー日程の概略は以下の通り
8月27日 成田よりバンクーバー経由でホワイトホースへ。
当日23時よりオーロラ撮影
8月28日 バスにて北米最後のフロンティア、ドーソンシティへ移動
夜中にミッドナイトドーム山頂上にてオーロラ撮影
8月29日 ロケハンをかねてツンドラ紅葉のポイント、トゥームストーン準州立公園へ。23時、ドーソンのユーコン川河畔にて3回目のオーロラ撮影
8月30日 寝る間もなく、早朝4時半に再びトゥームストーン準州立公園へ。
グリズリー山脈のモルゲンロートとツンドラ紅葉撮影
9時ごろホテルに戻り、夜のオーロラ撮影に備え、仮眠など。
23時、ユーコン川河畔にてオーロラ撮影
8月31日 クロンダイクハイウェイをひた走りビューポイントで撮影しながらホワイトホースに戻る。夜は、シュワカ湖畔にて最後のオーロラ撮影
9月1日 早朝4時にホテルをチェックアウトし、帰国の途へ 翌日成田着
以上の通り、一般的観光などはなく、ひたすらオーロラと紅葉の撮影のためだけの実にストイックな旅行スケジュールである。
はたして、その成果はどうであったか?
以下単純な時系列ではなく、内容によって5編に分けて旅行記を作成したいと思う。
(1) オーロラ編 (http://4travel.jp/travelogue/11049575)
(2) ツンドラ紅葉編(本編)
(3) ユーコン準州州都ホワイトホース街歩き編
(4) クロンダイクハイウェイドライブ編
(5) ゴールドラッシュに沸いた北米最後のフロンティア、ドーソンシティ編
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 観光バス
- 航空会社
- エアカナダ
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-
8月29日
午前中は、仮眠をとったり、気ままにドーソンの街中をぶらついたりして過ごす。11時より、再びプロカメラマン谷角氏のレクチャアがあった。これは予定外のサービスである。テーマは構図の取り方、HDR、微速度撮影。微速度撮影については、参考になった。
ホテルのレストランでの昼食後、明日早朝のツンドラ紅葉撮影本番に向けてのロケハンを兼ねて、Tombstone Territorial Park(ツームストーン準州立公園)に向けて出発。
ドーソンからホワイトホースに向けてklondike Highwayを4kmほど走ってから、Dempster Highway(デンプスターハイウェイ)に入る。Dempster Highwayを1時間半ほど走ると、今回の撮影ポイントに到着する。
写真はバスのフロントガラス越しの風景。ドーソン近郊のDempster Highway沿いは、ようやく黄葉が始まった。黄葉している木は主にアスペンという白樺に似た木である。別名ホワイトポプラ、カナディアンポプラとも言い、ユーコンでは普通に見られる木である。
左下の黒い影はドライバーのRonさんの頭。 -
北上するに従って、白い雪を頂いた山脈が姿を現してきた。時々、雲が切れることもあるが、直ぐに青空は消えてしまう。山は雪が降っているようだ。
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タイガ独特の鋭く尖がった樹形の針葉樹の林が続いている。
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目的地まであと2kmちょっと。
撮影場所は、標識にあるTpmbstone Interpritive centreと Tombstone Mountain Campground。特に後者が、見晴らしのよい展望台になっている。 -
最初の撮影地、Tombstone Interpritive centreに到着。公園のビジターセンターである。ここでトイレ休憩の後、さっそく撮影開始。
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DempsterHighway
ハイウェイという名だが、未舗装の砂利道である。それでも制限速度は90km/h!
北極海沿岸のInuvikまで続く、カナダでは陸路で北極海まで行ける唯一の道路。途中、400km近くの区間ガソリンスタンドなどはなく、無人の荒野が延々と続いており、万が一の救急施設なんてものもない。もちろん携帯の電波も届かない。ここを長距離ドライブするには、予備タイヤ2個、ガソリン予備タンク、水、食料、キャンプ道具、衛星携帯電話、工具類など装備一式を持っていくことが必須だという。 -
道路脇から銘々、ブッシュを掻き分けてツンドラの中に分け入り撮影ポイントを探す。日本の国立公園では、植生を傷めるため禁止されているような行為だが、ここでは、問題ないという。手付かずの自然のままなので人間のための遊歩道なんてものはないのである。
カナダの自然保護の基本は、手付かずの自然の中に人間に分け入ったとき、人が入った痕跡を徹底的に消すということ。ゴミを持ち帰ることは当然であるし、原野で用を足したら、使った紙さえ持ち帰らなければいけない。キャンプやハイキングでの食事は、絶対に食べ残しを置き去りにしてはいけない。 -
地面には地衣類がびっしりと繁殖していて、歩くとふわふわして足首まで沈み込むほどだ。
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アスペンの木は、それなりの樹齢らしいのだが、寒いために極端に成長が遅い。
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ピークのときには真っ赤に色づいていたはずだが、すでに落葉が始まっている。
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ベリー類の実をつける潅木が多いはずだが、このあたりでは見つけられなかった。
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山の斜面が黄色と赤、さらに新雪の白が加わったパッチワークのようだ。紅葉のピーク時はもっと鮮やかであっただろうに。
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連なる山並みはグリズリー山脈というのだそうだ。未開の地なので、それぞれのピークに山の名前は付けられていない。
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イチオシ
残念ながら紅葉のピークは過ぎてしまってはいるものの、雪を被った山々の裾野に広がる広大な大地の紅葉のスケール感は圧倒的である。日本の山ではお目にかかれない迫力ある光景だ。
実際に自分の目で見たときの感動は、自分の下手な写真では表現できない。 -
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数日前に雪が降ったようで、至るところに、まだ少し雪が残っている。
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鋭く尖った針葉樹の樹形が、いかにも極北らしい。このあたりがツンドラとタイガの境界なのだろうか。
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ごくたまに車が通る。通行量は極端に少ない。およそ半分はキャンピングカーである。
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Tombstone Interpritive centreを後にして次の撮影ポイントへ。バスで10分ほど走ったところにある展望台へ。先ほどよりさらに高度を上げている。曇っているので、風が冷たい。
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イチオシ
先ほどの場所より少し標高が高いので、一層広大な景色が広がっている。
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なだらかな谷が続くその先に、公園の名前の由来となったMt.Tombstone(トゥームストーン山)が聳えているのだが、今日は雲に隠れて見えない。
Mt.Tombstoneの麓までのハイキングルートやバックカントリーでのキャンプが6/26から9月中旬まで出来るようだ。道路の周辺だけからの撮影ではなく、歩いて奥地に入っていけば、更なる絶景がありそうだ。機会があれば、そんなツンドラの荒野のハイキングもやってみたいものだ。 -
雄大すぎる景色で、スケール感覚がわからず、現実感が湧かない感じもする。日本の紅葉のような華やかさ、繊細さはないが、圧倒的迫力である。
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手前の紅葉した草は、ヤナギラン。ユーコンでは至るところに生えていて、ユーコン準州の州花になっている。
極北のタイガ、ツンドラ地域で山火事があると、その跡に大群生することがあり、Fire weedと呼ばれることもある。2年前に初めてオーロラを見にアラスカに行ったとき、土産にFire weedの蜂蜜を買ったが、とても上品な香り高い蜂蜜だったことを覚えている。 -
何度見てもため息が出るほどの雄大な景色。何度も同じところでシャッターを押してしまう。
長い冬が終わり雪が解けるころ及び11月には、ここをカリブー(野生のトナカイ)の大集団が北極海沿岸へ、またそちらから暖かい南の方向へ移動する姿が見られるという。 -
川のそばの小高いところに、地面にへばりつくようにして他とは違う鮮やかな紅葉があるのが見えたので、そこまで行って見る。
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すると、思いがけず雷鳥に出くわした。家族だろうか、5羽が雪の中にくちばしを突っ込んで餌を探している風だった。
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イチオシ
人間を見慣れていないせいだろうか、あまり人を恐れる風はなく、5mくらいまでそっと近寄ることができる。調子に乗ってそれ以上近づくと、さすがに逃げられる。
日本の北アルプスに生息する日本雷鳥とは別種でオジロライチョウという種らしい。 -
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イチオシ
これぞ、ツンドラ紅葉。地面を少し掘れば、永久凍土が眠っているはずだ。
ゆるやかな谷の底を流れている川は North Klondike River. 19世紀に砂金が発見されゴールドラッシュに沸いた Klondike River の支流である。 -
このなだらかな谷は、氷河が山肌を削り取ったU字谷である。スイスのラウターブルンネン谷やヨセミテ渓谷などに比べると横幅がとても広い。それだけ巨大な氷河が流れた跡ということなのだろう。
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駐車場まで戻り、ライチョウと対面した辺りをアップで。
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イチオシ
名残惜しいが、タイムオーバー。下見を兼ねてのツンドラ紅葉撮影会第1回は終了。Dawsonのホテルに引き返す。夜23時からは、3回目のオーロラ撮影会だったが、夜になっても雲に覆われ、オーロラ撮影は不発。
明日は、早朝の撮影会。昼間とは違う光景が出現するはずだ。雪を頂いた山の頂上を朝日が照らすモルゲンロートを期待。ひたすら、晴れることを祈る。 -
8月30日
深夜の3回目のオーロラ撮影会は、またしても雲に邪魔されてしまった。2時間ほどの仮眠を摂ってから再びTombstoneへ向けて4時半にホテル出発。
相変わらず、空はどんより曇っているが、Dempster Highwayを北上するに連れて青空が広がってきた。期待に胸が膨らむ。なにせ、オーロラと並んで早朝のTombstoneのモルゲンロートとツンドラ紅葉が、今回の撮影行の目玉なのである。
しか〜し、Tombstoneに近づくにつれて、ふたたび雲が広がってきた。う〜む、よくよく今回は天気に恵まれない。 -
けっきょく、昨日の曇り空と同じ情景での撮影会となった。
一向に写欲が湧いてこないが、眠い目をこすりながら朝早くきたからには、何枚かは撮影しておこう。 -
氷点下2〜3度になっているだろうか。足元からしんしんと冷えてくる。
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朝日も青空もないので、今日は望遠ズームで一部の景色を切取る撮影をメインにする。
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眼下を流れる川をアップで撮影
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7時半ごろ撮影終了し、ホテルに帰還。
帰りのバスの中では、皆押し黙っているが心の中では意地悪な天候の女神に、恨み言を言っているのだろう。しかし、欲を言えばきりがない。日本ではお目にかかれない雄大なツンドラ紅葉(ピークは過ぎていたが・・・)を目の当たりにし、ライチョウとも出会えたことで良しとしよう。
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この旅行記へのコメント (2)
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- 銭形幸一さん 2015/09/08 21:49:33
- (*゚Д゚*)…日本では見ることができない風景ですね
- こんばんは。
ツンドラ紅葉ですか…。
雪と紅葉の組み合わせ、私はまだ見たことがありません。
それにしても景色が雄大ですね。
日本アルプスの紅葉もそれはそれでいいのですがスケールの次元が全く違います。
いいんですか?こんな場所旅行されてしまって…。
今月下旬に行かれる立山がしょぼく見えてしまいますよ。
( ´,_ゝ`)プッ
こんな雄大な景色、カナダかニュージーランド、四川省の四姑娘山くらいでしか見ることができないんじゃないでしょうか。
海外の山登ろうとは思いませんがせめてスイスアルプスくらいは近いうちに行きたいものです。
良い風景見させていただきました。
ありがとうございます。
- 玄白さん からの返信 2015/09/09 18:22:05
- RE: (*゚Д゚*)…日本では見ることができない風景ですね
- 銭形幸一さん、こんばんは
ツンドラの紅葉は以前から一度見たいと思ってました。残念ながらちょっとピークは過ぎていましたが、はるか彼方まで続く赤と黄色に染まった大地は、日本では見られない絶景でした。
日本の山の紅葉も、その鮮やかさ、繊細さで見劣りすることはないと思います。ただし、お盆過ぎからの長雨で、今年の日本の紅葉はちょっと期待できそうもないですね。残念・・・
玄白
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