2015/08/09 - 2015/08/09
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たびたびさん
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赤穂から、備前焼の街、伊部に移動。赤穂線で岡山に抜ける途中なので、とっても効率がいいですね。
最近、ご飯茶碗を割ってしまったので、伊部では、火だすきのご飯茶碗を探します。備前焼は日本六古窯の一つでもあるのですが、体によくて、例えば、花瓶だと入れた水が腐りにくいとかも言われます。見た目だけじゃなくて、機能の面でもすばらしい。10日以上焼くというのは、磁器や他の焼き物だと考えられない長さなんですが、それと何か関係しているのかもしれません。
一方で、やっぱり、ズバリ言ってしまえば若い人にはちょっととっつきにくいかも。たぶん、焼き締めとかの地味なイメージが強すぎるのではないかと思います。それに、備前焼は釉薬をかけることをしないので、焼成の際にかかった灰とか、火の当たり具合で表面に模様ができる。この景色は、ごまとかさんぎり、ぼたもちとかいくつかあるんですが、素人にはちょっと難解でしょう。その中で、火だすきは藁を乗せたところが赤く色づいたもの。藁の掛かり具合を想像して楽しむので、素人から見た場合にはとっても分りやすいんです。
ついでに、焼き物のことで付言すれば、やはり観賞の入口は形。形の美しさがまず重要。これがあって、釉薬の美しさ、色の美しさ。景色の美しさという順番です。焼き物を楽しむのに、パッと見てわかるだろう式のことを言う人もいますが、そういう人は逆にほとんどわかっていない人のように思います。この順番があったうえでの、形の美しさをどう見るか、景色の美しさをどう見るかの問題。そこにまた、技術的な知識が若干入ってきたりしてより深く観賞する手助けになってくるということでしょう。
あれこれついでに言えば。。西洋の食器はデザインとか色合いとか統一感を出しますよね。これに対し、日本の場合は、混ぜることで豊かな景色が生まれる。磁器だけではだめ。そこに陶器が入って、幅ができるんですよね。京焼などはとても変化にとんだ磁器なんですが、それでも京焼だけを使った懐石というのでは場が重たくなってしまうんです。庭でも西洋庭園は花がメインなのに対し、日本庭園では常緑樹を基本として安定感を重んじます。ちょっとしたことなんですが、こんなところにもはっきりと日本らしさって、はっきりした特徴を持っています。
ところで、私は、下手の横好きでもう20年近く、焼き物が趣味みたいになっています。最初は磁器が好きだったのですが、その後は陶器が好きな時期があって、今はまた磁器に戻っている感じ。呉須絵が自分は最終的には一番好きなのかなあと思っていますが、その心境もこれからまたどんなふうに変化していくのやら。そんなことも面白いことかと思っています。
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赤穂から伊部駅に到着。
東備広域観光情報センターは、その伊部駅の構内。ここで伊部の街歩きマップをゲットしてから、窯元巡りをします。
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二階が備前焼伝統産業会館になっているので、まずは備前焼伝統産業会館へ。
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伊部の窯元、作家たちの作品が並ぶ、展示販売場ですから、本当は、こちらで地図と突き合わせながら下見をしておくのがいいのでしょうが、時間がないのでなかなかそこまで用意周到にはいきませんね。
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イチオシ
それに、窯元巡りもいいですが、必ずしもいい作品が窯元にあるわけではなくて、こうした展示場に代表作や自信作を出していることも珍しくない。なので、時間の余裕がない場合だけじゃなくて、ここでじっくり品定めをするのも悪くない選択だと思います。
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それにしても、備前焼って、こんなにきれいでしたっけ?
最近は志向が変わってきたのでしょうか。この美しさを見ると、これからの窯元巡りも期待が持てそうです。テンションが上がってきましたよ〜 -
岡山県備前陶芸美術館は、伊部駅を出てすぐ。備前焼は、金重陶陽、藤原啓、山本陶秀 、藤原雄、伊勢崎淳という5人の人間国宝を出していて、こちらにも作品が展示されています。私のお勧めは手練りの作品。リアルで豪快な作品は、備前焼という範疇だけでは語れない芸術性を持っているように感じます。
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さて、そこそこに切り上げて、街に向かいます。今日は、普段使いのごはん茶碗を探さないといけないんです。
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桃蹊堂は、伊部駅から市街に向かうと最初にある窯元。
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店内がとてもきれいに整理されていて、作品を美しく見せる工夫をしていると思います。実直そうなご主人が丁寧に応対もしてくれるので、初心者にも気兼ねなく立ち寄れる窯元だと思います。
でも、私のイメージする茶碗はないようですね。もっと持ち易い形にこだわりたいと思います。 -
一陽窯は、伊部駅から伊部の中心に向かってメインストリートにぶつかったところ。なまこ塀の装飾が目印の外観です。
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お店の規模は、伊部では中間くらいでしょうか。今回は、火だすきを中心に見たので、その視点でいうと、しぶさもほどほど。標準的な作風かと思いました。火だすきの特徴がもっとしっかりあってもいいかなあと思いました。ここもパスですね。
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陶正園は、伊部のメインストリート。
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規模としては、少し大きな方かと思います。火だすきを探したのですが、色調は単色を思わせるシンプルなもの。色合いで見せる作風なので、備前焼にこだわらない人でも比較的選びやすさがあるような気がしました。ただ、ここも典型的な火だすきはなしですか。
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次は、陶泉堂です。同じ並びにあって、規模としてはトップクラスでしょう。
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店内も広くて、品数も豊富です。
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イチオシ
そして、高級品というよりもリーズナブルな普及品といった感じの値段設定なので、そういう意味の安心感もあるのではないかと思います。
これは、まあまあかなあ。でも、ちょっとイメージと違うような。。 -
通りはまだまだ続きます。
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途中で裏通りの方に入ると、
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これは天保窯。伊部市街の裏通りに残る登り窯跡です。
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備前焼の窯は江戸時代に入ってからは効率の良い小さな窯が求められるようになり、この天保窯もその一つなのだそう。10数日で焼成できることから、従来の1か月の焼成からすると大変な効率化となったようですが、
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それでも、10数日というのも他の窯と比べれば破格の長さ。備前焼の基準で考えると、ちょっと気が遠くなるような気持ちになってしまいます。
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もう一度メインストリートに戻って、これは木村興楽園。
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売り場の規模としては、ここもトップクラスです。
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火だすきの茶碗を探しているというと
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イチオシ
女将さんが奥の方からもいろんな作品を持ってきてくれて、とても気さくな感じ。黄土色の土の感じに赤い模様のコントラストが鮮やかで、典型的な火だすき。欲しかったイメージに近いんですが、ちょっとサイズが大きくて、これは私には合わないような。色合いは一番イメージ通りなんですが、使い勝手が悪いのでは困ります。うーん、残念ですねえ。
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続いては、小西陶古。
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イチオシ
説明によると、初代陶古が考案した、目のさめるような桟切(サンギリ)焼が自信作。ただ、この焼き締めた彩色は、備前焼の一つの特徴なんですが、私としてはイメージとして備前焼の難解さにもつながっているように思えてなりません。写真だと右下の作品のような感じなんですが、いかがでしょうか。
ただ、今回は火だすきと決めているので、ここもパスしかないですね。選択肢としてサンギリもあったかもしれませんが、今日はその目線になっていないし、仕方ないでしょう。こんなところで方針変更している余裕はありません。 -
これは、天津神社。
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初めに、鳥居の横に鎮座する
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赤い光沢のある備前焼の狛犬に目が行って、
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さすが伊部だなと感じたんですが、
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よく見ると山門の瓦や参道の敷石など、すべてが備前焼じゃありませんか。
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なるほどねえ。
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むしろこのおびただしい量の備前焼にこそその価値があるように思いました。
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一番奥の本殿は、普通です。
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さらに先に進みましょう。
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小さなお店ですが、いかにも備前焼きですね。しかし、ここには茶碗はありません。
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衆楽館本館は、風情のある大きな建物なんですが、
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陶芸教室とかレストランとかにも力を入れているようで、
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備前焼の販売展示は限られたスペースにしかありません。ただ、こうした施設もあって、伊部の街の厚みが出来ているような気もして、貴重な存在かもしれません。
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さて、ここは一番端っこです。
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備前焼窯元とは銘打ってありますが、
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実質的には、典型的な販売店。いろんな窯元や作家の作品を一堂に揃えて展示販売しています。伊部の街の端っこといった場所にあるので、窯歩きではむしろここまでは来ないかも。車で立ち寄るような立地でもあると思います。
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では、もう一度メインストリートを帰って見ましょうか。まだ東半分を見ただけで、残り西半分が残っていますからね。
西半分に入って、これは宝山窯。小さな窯元の一つです。 -
典型的な窯元と言ってもいいと思いますが、店内に入ると正面に商品が山のように並んでいて、うーん、ちょっと食傷気味かなあ。見せる工夫をもうちょっとしてほしいですよね。
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イチオシ
ただ、むしろ備前焼のお店にはこういう店が多くて、備前焼をとっつきにくくしている原因の一つではないかと思います。ただ、ここのサンギリは悪くないです。
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小川秀蔵は、備前焼の作家。
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さっそく、ご飯茶碗を見せてもらいましたが、紫がかっているyというか、青紫がかっているというか。焼き締めでもちょっと変わった色合いだなあと思って、女将さんに話をすると「よそのは知らないから分かりません」の答え。
ちょっと待ってください。これだけはっきりした特徴なのに、それはないでしょう。この色合いを出すのに苦労しましたとか言ってくれれば、味わい方も変わったんでしょうが、その答えを聞いて一気に冷めてしまいました。「もっと勉強してください!」といいたいです。 -
森陶山は、親子でやっている窯。
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火だすきのご飯茶碗は、どこですかっと。
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ここのは土色と火だすきの朱色のコントラストがいわゆる典型的な加減ですよね。それと大事なのは、茶碗を持った時の手にすっと収まる感じも気に入りました。お店で見るとたくさんの商品に埋もれてしまって目立たないんですが、うちに持って帰って、普段使いすると、この地味に見える茶碗ですが、とっても豪華に映えそうです。それに、備前焼の特徴は、使い込んでいくと表面のザラザラが取れて滑らかな艶々の肌になるんですよね。そこまでの想像をしてこれなら行けそうだなあと思います。これに決めました。
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ご主人と息子さんの技の違いなんかもちゃんと説明できる女将さんの知識にも納得しました。
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やっぱり、窯元はこうでなければいけません。
せっかく縁ができた窯元なので、ツボや -
香炉も確認。
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お茶をいただいて、一服です。
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さて、最後の一軒は、山本雄一・竜一の窯。
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山本雄一は、人間国宝、山本陶秀の長男で、岡山県重要無形文化財保持者に認定されています。
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ただ、販売されている商品は、ほとんどが竜一氏の作品です。
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バランスの良い整った姿の作品が多いような印象。荒々しさよりしとやかな上品さといったところかと思います。
ただ、ちょっと粗野なところが薄れてしまったような。さっきの森陶山の素朴さの方が私にとってはいいでしょう。
これで、伊部の窯元巡りは無事終了。
岡山駅に移動します。 -
岡山駅前で下車してすぐの桃太郎像。ここは、待ち合わせの場所のようですが、鳩がいっぱいいるし、鳩のフンも目立つので、私にとっては実際のところあまりいい気分の場所ではありません。でも、待ち合わせている人は何人もいますので、人気の場所であることは確かなようです。
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岡山駅前から桃太郎通りを少し進むと、西川という小さな川。小さな川ですが、流れる水はけっこうな勢いもあって、豊かな水量がある川です。周囲には桜並木や彫刻のモニュメントが点在して公園として整備されていて、市民の手軽な憩いの場所となっています。
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で、目指していたのはこの野村さん。
デミグラスソースを掛けたカツ丼が、岡山の名物なんです。 -
トンカツが重いのに、そこにまた重いデミグラスソースを掛けてどうするんだよという感じなのですが、今回はそれが心地よく感じて、おいしくいただきました。
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イチオシ
私はこれでたぶん3回目だと思いますが、実は、今までは、全然おいしく感じたことはなかったなかったんですよね。だんだん味がわかってきたのかもしれません。
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商店街を抜けて、駅へ向かいます。
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ちょっと寂しげな商店街ですが、今日の目的は果たしているので、気分はウキウキ。これで、気持ちよく家に帰れるでしょう。
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イチオシ
さて、うちに帰ってさっそく使ってみます。持った感じもピタッと手に収まるし。意外に豪華な感じも、伝わりますか。焼き物は、使って初めてその価値が分かるもの。これから長く付き合っていきたいと思います。
おしまい。
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