2015/05/15 - 2015/05/15
371位(同エリア1931件中)
玄白さん
最近、温泉に御執心の連れ合いが、女性に特に人気がある温泉、由布院温泉と黒川温泉に行きたいとずっと言っていた。普段は近場で安上がりの宿ばかり利用していたが、今回はちょっと贅沢に女性好みの温泉宿に泊まり、あくせくした観光はせず、ゆったりと温泉を楽しむ4泊5日の九州温泉三昧旅行へ。
旅も終盤。温泉旅行とは言え最終日は観光地巡り。最終日の午後は高千穂峡から熊本市内に入り、天下の名城のひとつ熊本城へ。もう一つの目的は、連れ合いが是が非でも見たいという熊本城公園内の県立美術館細川コレクションの抹茶茶碗の鑑賞と旧細川刑部邸の見学。途中、予定には無かった通潤橋(つうじゅんきょう)に立ち寄ったりしたので、若干時間は押し気味であったが、一通りの観光を終えて、熊本空港へ。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- レンタカー ジェットスター
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高千穂峡を12時過ぎに発ち、国道218号を熊本市を目指して車を走らせる。途中、道路案内標識で「通潤橋」を発見。立ち寄ってみることにした。
以前、写真雑誌か何かで、橋の真ん中からさながらダムの放水のように水が流れ出る写真を見たことがあり、その橋が通潤橋という名前だったことを思い出したのである。
確かに写真で見たとおりの石造りの橋があったが、放水はされていない。
後で調べてみると、5、6月の田植えの時期は田んぼに水を引くために放水は中止されているのだそうだ。放水されていれば、面白い写真が撮れたのに残念! -
熊本市内が渋滞していたりして、思いのほか時間がかかってしまったが、ようやく午後2時半過ぎに熊本城公園に到着。まずは、連れ合い希望の県立美術館細川コレクション展示室へ。
永青文庫というのは、肥後熊本54万石の城主細川家に伝わる膨大な歴史資料、美術品を保管・研究・展示している美術館で東京目白台にある。理事長は、細川家18代当主、細川護煕氏(元日本新党党首、内閣総理大臣)。その中から期間を区切って様々なテーマを設定して熊本県立美術館の一角で展示しているのが、細川コレクションである。たまたま、4月4日から6月28日までは、400年にわたって細川家が収集した抹茶茶碗の企画展示の真っ最中。茶道をたしなむ連れ合いにとっては、垂涎の名品が揃っているので、是が非でも見たいという。
館内は撮影禁止なので、展示品の写真はなし。 -
写真は永青文庫HPより拝借。
茶碗についての造詣は連れ合いに及ぶべくもないが、細川家伝来の茶碗でもおそらく最高の名品と思われる油滴天目茶碗。これくらいは玄白もわかる。天目茶碗でも、幻の名品と言われる曜変天目に次ぐ貴重な茶碗である。漆黒の釉薬をかけて焼かれた茶碗だが、その表面に銀色の斑紋が浮かび上がっている美しい茶碗である。
油滴も曜変も12〜13世紀に中国福建省建窯で焼かれたもの。油滴天目については、再現が成功したということのようだが、曜変天目については、近代の名工といわれる多くの陶芸家が復元を試みるも、未だに成功していない -
次に訪れたのは、旧細川刑部邸。細川家三代・忠利の弟、刑部小輔興孝が創建した武家屋敷。もともと熊本市東子飼町に延宝6年(1678年)に下屋敷として建て、その後も元禄、宝永年間にも造作を追加していった、風雅な上級武家屋敷である。
平成2年から4年の歳月をかけて熊本城三の丸の敷地に移築された。 -
唐破風屋根、式台付の正玄関。横に御次玄関を備えた格式の高さが伺える玄関。
重臣の訪問時と当主だけが、この玄関を使うことができた。 -
表御書院。当主が重臣たちと面談した、いわば応接室である。
この部屋に限らず、邸内はかしましい中国人団体客などはおらず、とても静かで落ち着いた雰囲気がよい。 -
イチオシ
中庭に面した円窓ノ御間の丸窓。風雅な部屋である。
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御台子の間に飾られていた茶道関係の品々
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書斎付の茶室「観川亭」
連れ合いは、すでにアラカンの歳。被写体としての魅力は失せ、本人も写真に写りたがらない。しかし、茶室を前にしたときだけは、必ず記念写真を撮ることになっている。 -
風呂場。
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台所。
当主細川家の縁者である格式高い武家屋敷なので、様々な仕事をする使用人も多く、台所の規模は大きい。 -
抹茶処「喜遊亭」
連れ合いの一番の関心事は、ここで抹茶をいただくこと。 -
抹茶一杯¥400也。最初、菓子が袋入りで出てきたのには、いささか興醒め。
なにやら、観光土産の饅頭のような菓子。もう少し品がある生菓子が欲しかったな〜。
保健所の指導で、袋に入れて出さなければいけないのだそうだ。 -
次に熊本城へ。内堀に沿って建つ白いしっくいと黒塀、灰色の石垣のコントラストが美しい長塀が見えてきた。
築城したのは戦国大名、加藤清正。豊臣秀吉の子飼いの武将だったが、石田三成との折合いが悪く、秀吉亡き後、関が原の合戦では徳川方につき、戦功をあげたので、肥後の国52万石を所領。
しかし、もともと豊臣系の武家だった加藤家は清正の死後、加藤家は改易となり出羽庄内に配流となっている。改易の理由は諸説あるようだが、豊臣家の忠臣だったことから徳川家に警戒されたという説が有力らしい。 -
清正は藤堂高虎、黒田官兵衛と並ぶ築城の名手、特に石垣普請の腕は右に出るものはいないとまで言われている。明治22年の熊本地震で一部が損壊したが、江戸時代の改築の痕跡をそのままとどめている。
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加藤家改易の後、小倉にいた細川忠利が熊本城主となり、その後明治になるまで、細川家が熊本城主であり続けた。細川家になっても増改築が続けられ、秀麗な姿は明治初期まで残っていたが、西南戦争のとき開戦3日前の不審火で、ほとんどの建築物が消失してしまった。
1960年に天守閣復元、1998年から始まった熊本城復元整備事業が始まり、飯田丸五階櫓、本丸御殿大広間などが次々と復元された。 -
イチオシ
熊本城の特徴である大小2つの天守閣。2つの天守閣を有する城は他にはない。
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本丸御殿は2つの石垣を跨いで建てられている。そのため、石垣の間が地下通路のようになっている。この通路は闇り通路(くらがりつうろ)と呼ばれている。
ここを通って本丸御殿に向かう。 -
闇り通路を抜けると本丸御殿と天守閣が面する広場に出る。広場の一角にはシロツメグサの花が咲き、おおきな銀杏の木が植えられている。今は西南戦争後に植えられた銀杏の木だが、もともとは、ここに清正手植えの銀杏の大木があったという。清正は、臨終の際、この銀杏の木が天守閣に届くほどに育ったとき異変が起こると予言したという。それは奇しくも西南戦争の時だったとも言われている。
熊本城が別名銀杏城といわれるのは、この銀杏の木に由来する。 -
本丸御殿大広間。60畳の鶴の間、35畳の梅の間、24畳の桐の間と続く。
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大広間に続く昭君之間。本丸御殿でもっとも格式が高い部屋。
襖や壁には前漢の時代、政略結婚で漢の後宮から匈奴の王に嫁がされた絶世の美女、王昭君の物語が描かれている。しかし、なぜ王昭君の物語が描かれているのだろう??
一説では、昭君之間は「将軍の間」の隠語で、豊臣秀吉の遺児、秀頼に万一のことがあれば、ここに秀頼を迎え、西国武将をまとめて徳川家康に反抗する考えがあったというのだが、これはちょっと眉唾な感じがする。 -
イチオシ
なんとも絢爛豪華ではある。九州の田舎大名の城なので城の規模の大きさ、堅固さは一級でも、文化的にはさほどのことはあるまいとタカをくくっていたが、こんな見事な障壁画があるとは驚きであった。
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釘隠しのような細かいところも手が込んだ細工が施されている。
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金箔の下地に描かれた天井画もきらびやかだ。
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本丸御殿の中に作られた茶室。
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御殿内には、復元された杉戸絵、現存する築城当時の杉戸絵も展示されている。
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天守閣に登ってみる。大天守閣は外観は3層だが内部は6階、地下一階の構造になっている。昭和35年に復元された現在の天守閣は、内部は鉄筋コンクリート作りで、博物館になっていて、1階は加藤家時代、2階は細川家時代、3階は西南戦争関連の資料を展示している。
写真は、最上階展望室からの眺め。 -
先ほどまで居た本丸御殿。
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宇土櫓。小さな城の天守閣に匹敵するほどの立派な櫓である。
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大天守閣から見下ろす小天守閣。
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創建当時の鯱瓦
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事前に入念な下調べもせず、細川コレクションのついでに熊本城も覗いてみるか程度の軽い気持ちで訪れたのだが、想像以上に巨大な城だったので、時間切れですべてを見て回ることができなかった。
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いささか、中途半端な熊本城見学になってしまったが、夕方のラッシュアワー時間帯に市内を抜けて空港まで行かねばならないので、早めに城を後にする。
空港のレストランで夕食の熊本ラーメンを食べてからジェットスター搭乗、帰宅へ。
4泊5日の九州旅行で、半年分くらいたっぷり温泉に浸かった旅であった。由布院で見た豪華列車ななつ星、九重の夢大吊橋など、東日本で生活している者からみると、九州は活気があり、元気な土地柄という印象を持った。3年ぶりの九州だったが、機会があればまた訪れたいと思わせる土地である。
<九州の名湯を巡る旅 完>
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