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第12部-59冊目<br /><br />プロローグ<br /><br />「やられた…」<br />僕は駅のベンチに座りこんでしまった。<br />ここはタイ.ラオス国境、タイ側の街‥ノンカーイの駅。<br />旅も終わりに近い7日目の事である。<br />バンコクから急行列車に12時間揺られてやって来た。<br />事件は、列車がノンカーイ駅に着く時に起きた。<br /><br />スマホがない!<br /><br />車内で充電をしていて、そろそろノンカーイに着く頃なので、プラグを抜いて荷物をまとめていたら列車はノンカーイ駅に到着し、乗客がバタバタと降り始めた時だった。<br /><br />ん? 今まで、ここにあったスマホはどこに…<br /><br />ポケットにもカバンにもない。<br />顔が一瞬で青ざめた。<br />列車はノンカーイ駅に着いて他の乗客はすでに降り、僕一人が慌てふためいていた。<br />車掌が「ノンカーイに着いているよ」と教えてくれている。<br />そんな事はわかっている。<br />カバンを広げててもない。<br />座席の隙間や床なども見たがない。<br />そんな馬鹿な…<br />今さっきまで、ここにあったのだ。<br />それが何故ないのだ。<br />車内清掃のオバチャン達が作業を始めていた。<br />とりあえず、荷物を持ってホームに降りる。<br />落ち着け!落ち着くんだ… と自分に言い聞かせ、ベンチの上にカバンの中身を一つ一つ並べていく姿は、これから露店でも開くかのようにも見える。<br />やっぱりない…<br />再び車内へ。<br />しかし、ない物はなかった。<br />列車がノンカーイに着いてから30分ほどが過ぎていただろうか。<br /><br />やられた…<br /><br />乗客が降り始め、荷物をまとめているわずかの隙に盗まれたのだ。<br />…そうとしか考えられなかった。<br /><br />実は旅の2日目に、ミャンマーのヤンゴン駅でデジカメをなくすと言う失態もやらかしてしまい、スマホで写真を撮り続けて来たのだ。<br />スマホを無くしたらブログに載せる写真が全て台無しになってしまう。<br />自分の中では細心の注意を払っているつもりでいたのだが、こんな事になってしまうなんて…<br />もう、自分が情けなくて、悔しくてたまらない。<br />デジカメにスマホ… ダブルパンチだ。<br />機械本体より撮り続けてきた写真データを一瞬にして失ってしまったショックが大きく、駅のベンチに座りこんでしまった。<br /><br />駅のベンチにへたこれてしまった僕の姿を駅員や乗務員がたむろして心配そう見る。<br />だが、彼らにもどうする事もできない。<br />僕は「マイペンライ.クラップ」‥日本語に訳すと「大丈夫です」と言うのがやっとだった。<br /><br />それから、どれくらいの時間が過ぎたのだろうか…<br />静かな駅のホームには、僕とトゥクトゥクのおじさんが一人。<br />もう、何もする気が起きない。<br />しかし、前に進むしかない。<br />おじさんに「国境までいくら?」と聞く。<br />おじさんは、客になりそうな僕をずっと待っていたのだ。<br />体を引きずってトゥクトゥクに乗り込み、国境に向かう…。<br />━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br /><br />皆様、こんにちは。<br />オーヤシクタンでございます。<br />第37回海外放浪…今回は、タイ~ミャンマー~ラオスを9日間で周りました。<br />プロローグで述べましたが、今回の旅の写真は、パァ!になってしまいました。<br />写真は、過去の記録写真や合成写真をイメージとして掲載している事をご了承願います。<br /><br />表紙写真‥ツーリングに使ったレンタルバイク(同型車)。<br />※イメージ。<br /><br />旅行期日‥2015年1月25日(土)~2月1日(月) 8泊9日<br />----------------------------------<br /><br />1月27日(月)第3日目 (晴)<br />★エアポートリンク:シティライン<br />スワンナプーム空港→パヤタイ<br />↓<br />★バンコク市バス60番<br />ペッブリー市場→カオサン通り<br /><br />☆宿泊‥バンコク市内:KSゲストハウス<br /><br />※エアポートリンク:シティライン‥45バーツ(171円)<br />※バンコク市バス60番‥11バーツ(42円)。<br />※揚豚スープ‥40バーツ(152円)<br />※ヤムルアムミッ‥60バーツ(228円)<br />※ビアチャーング‥35バーツ(133円)<br />※水‥7バーツ(27円)<br />※KSゲストハウス‥1427円<br />----------------------------------<br /><br />1月28日(火)第4日目 (晴れ)<br /><br />★バンコク市バス556番<br />カオサン→バンコク南バスターミナル<br />↓<br />★特急1等バス.カンチャナブリー行<br />バンコク南バスターミナル7:20→カンチャナブリー9:40<br />↓<br />★レンタルバイク<br /> カンチャナブリー.10:50出発<br />  ↓95キロ(GoogleMap検索で車1:13)<br /> KhrurSakon(サイヨークヤイ入口付近の食堂)<br />  ↓4キロ(GoogleMap検索で車0:10)<br /> サイヨークヤイ<br />  ↓29キロ(GoogleMap検索で車0:26)<br /> ヒンダー温泉.15:30~16:00<br />  ↓36キロ(GoogleMap検索で車0:26)<br /> 国道分岐<br />  ↓16キロ(GoogleMap検索で車0:36)<br /> Koh Mueangkarn Paradaise View Resort.17:20頃<br /><br />☆宿泊‥サイヨーク‥Koh Mueangkarn Paradaise View Resort<br /><br />※トーストセット‥20バーツ(76円)<br />※ヤクルト‥10バーツ(38円)<br />※水‥7バーツ(27円)<br />※バンコク市バス‥15バーツ(57円)<br />※特急1等バス‥110バーツ(418円)<br />※タイ菓子‥25バーツ(95円)<br />※泰面鉄道博物館‥150バーツ(570円)<br />※レンタルバイク‥300バーツ(1140円)<br />※ガソリン‥50バーツ(190円)<br />※昼食‥40バーツ(152円)<br />※サイヨーク入場料‥200バーツ(760円)<br />※サイヨーク駐輪料‥20バーツ(76円)<br />※ヒンダー温泉‥40バーツ(152円)<br />※ガソリン‥40バーツ(152円)<br />※Koh Mueangkarn Paradaise View Resort‥5134円 <br />※ビアリオ‥150バーツ(570円:50バーツ×3本)<br />※氷‥30バーツ(114円)<br />※豚チャーハン‥60バーツ(228円)<br />※豆腐スープ‥100バーツ(380円)<br />----------------------------------<br /><br />1月29日(水)第5日目 (晴れ)<br /><br />★レンタルバイク<br /> Koh Mueangkarn Paradaise View Resort.10:10発 <br />  ↓16キロ(GoogleMap検索で車0:36)<br /> 国道分岐<br />  ↓10キロ(GoogleMap検索で車0:10)<br /> メルファイヤパス<br />  ↓20キロ(GoogleMap検索で車0:20)<br /> ナムトック駅<br />  ↓60キロ(GoogleMap検索で車0:50)<br /> カンチャナブリー.13:55着<br /><br />★ミニバス<br />カンチャナブリー15:40→バンコク.カオサン17:55<br /><br />※ホットコーヒー‥40バーツ(152円)<br />※メルファイヤパス‥50バーツ(190円)<br />※絵ハガキ‥10バーツ(38円)<br />※ガソリン‥40バーツ(152円)<br />※ガソリン‥90バーツ(342円)<br />※昼食‥42バーツ(160円)<br />※ミニバス‥120バーツ(456円)

第37回海外放浪・タイ~ミャンマー~ラオス・その5.サイヨーク国立公園へツーリング。

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2015/01/27 - 2015/01/29

246位(同エリア593件中)

オーヤシクタン

オーヤシクタンさん

第12部-59冊目

プロローグ

「やられた…」
僕は駅のベンチに座りこんでしまった。
ここはタイ.ラオス国境、タイ側の街‥ノンカーイの駅。
旅も終わりに近い7日目の事である。
バンコクから急行列車に12時間揺られてやって来た。
事件は、列車がノンカーイ駅に着く時に起きた。

スマホがない!

車内で充電をしていて、そろそろノンカーイに着く頃なので、プラグを抜いて荷物をまとめていたら列車はノンカーイ駅に到着し、乗客がバタバタと降り始めた時だった。

ん? 今まで、ここにあったスマホはどこに…

ポケットにもカバンにもない。
顔が一瞬で青ざめた。
列車はノンカーイ駅に着いて他の乗客はすでに降り、僕一人が慌てふためいていた。
車掌が「ノンカーイに着いているよ」と教えてくれている。
そんな事はわかっている。
カバンを広げててもない。
座席の隙間や床なども見たがない。
そんな馬鹿な…
今さっきまで、ここにあったのだ。
それが何故ないのだ。
車内清掃のオバチャン達が作業を始めていた。
とりあえず、荷物を持ってホームに降りる。
落ち着け!落ち着くんだ… と自分に言い聞かせ、ベンチの上にカバンの中身を一つ一つ並べていく姿は、これから露店でも開くかのようにも見える。
やっぱりない…
再び車内へ。
しかし、ない物はなかった。
列車がノンカーイに着いてから30分ほどが過ぎていただろうか。

やられた…

乗客が降り始め、荷物をまとめているわずかの隙に盗まれたのだ。
…そうとしか考えられなかった。

実は旅の2日目に、ミャンマーのヤンゴン駅でデジカメをなくすと言う失態もやらかしてしまい、スマホで写真を撮り続けて来たのだ。
スマホを無くしたらブログに載せる写真が全て台無しになってしまう。
自分の中では細心の注意を払っているつもりでいたのだが、こんな事になってしまうなんて…
もう、自分が情けなくて、悔しくてたまらない。
デジカメにスマホ… ダブルパンチだ。
機械本体より撮り続けてきた写真データを一瞬にして失ってしまったショックが大きく、駅のベンチに座りこんでしまった。

駅のベンチにへたこれてしまった僕の姿を駅員や乗務員がたむろして心配そう見る。
だが、彼らにもどうする事もできない。
僕は「マイペンライ.クラップ」‥日本語に訳すと「大丈夫です」と言うのがやっとだった。

それから、どれくらいの時間が過ぎたのだろうか…
静かな駅のホームには、僕とトゥクトゥクのおじさんが一人。
もう、何もする気が起きない。
しかし、前に進むしかない。
おじさんに「国境までいくら?」と聞く。
おじさんは、客になりそうな僕をずっと待っていたのだ。
体を引きずってトゥクトゥクに乗り込み、国境に向かう…。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

皆様、こんにちは。
オーヤシクタンでございます。
第37回海外放浪…今回は、タイ~ミャンマー~ラオスを9日間で周りました。
プロローグで述べましたが、今回の旅の写真は、パァ!になってしまいました。
写真は、過去の記録写真や合成写真をイメージとして掲載している事をご了承願います。

表紙写真‥ツーリングに使ったレンタルバイク(同型車)。
※イメージ。

旅行期日‥2015年1月25日(土)~2月1日(月) 8泊9日
----------------------------------

1月27日(月)第3日目 (晴)
★エアポートリンク:シティライン
スワンナプーム空港→パヤタイ

★バンコク市バス60番
ペッブリー市場→カオサン通り

☆宿泊‥バンコク市内:KSゲストハウス

※エアポートリンク:シティライン‥45バーツ(171円)
※バンコク市バス60番‥11バーツ(42円)。
※揚豚スープ‥40バーツ(152円)
※ヤムルアムミッ‥60バーツ(228円)
※ビアチャーング‥35バーツ(133円)
※水‥7バーツ(27円)
※KSゲストハウス‥1427円
----------------------------------

1月28日(火)第4日目 (晴れ)

★バンコク市バス556番
カオサン→バンコク南バスターミナル

★特急1等バス.カンチャナブリー行
バンコク南バスターミナル7:20→カンチャナブリー9:40

★レンタルバイク
 カンチャナブリー.10:50出発
  ↓95キロ(GoogleMap検索で車1:13)
 KhrurSakon(サイヨークヤイ入口付近の食堂)
  ↓4キロ(GoogleMap検索で車0:10)
 サイヨークヤイ
  ↓29キロ(GoogleMap検索で車0:26)
 ヒンダー温泉.15:30~16:00
  ↓36キロ(GoogleMap検索で車0:26)
 国道分岐
  ↓16キロ(GoogleMap検索で車0:36)
 Koh Mueangkarn Paradaise View Resort.17:20頃

☆宿泊‥サイヨーク‥Koh Mueangkarn Paradaise View Resort

※トーストセット‥20バーツ(76円)
※ヤクルト‥10バーツ(38円)
※水‥7バーツ(27円)
※バンコク市バス‥15バーツ(57円)
※特急1等バス‥110バーツ(418円)
※タイ菓子‥25バーツ(95円)
※泰面鉄道博物館‥150バーツ(570円)
※レンタルバイク‥300バーツ(1140円)
※ガソリン‥50バーツ(190円)
※昼食‥40バーツ(152円)
※サイヨーク入場料‥200バーツ(760円)
※サイヨーク駐輪料‥20バーツ(76円)
※ヒンダー温泉‥40バーツ(152円)
※ガソリン‥40バーツ(152円)
※Koh Mueangkarn Paradaise View Resort‥5134円
※ビアリオ‥150バーツ(570円:50バーツ×3本)
※氷‥30バーツ(114円)
※豚チャーハン‥60バーツ(228円)
※豆腐スープ‥100バーツ(380円)
----------------------------------

1月29日(水)第5日目 (晴れ)

★レンタルバイク
 Koh Mueangkarn Paradaise View Resort.10:10発
  ↓16キロ(GoogleMap検索で車0:36)
 国道分岐
  ↓10キロ(GoogleMap検索で車0:10)
 メルファイヤパス
  ↓20キロ(GoogleMap検索で車0:20)
 ナムトック駅
  ↓60キロ(GoogleMap検索で車0:50)
 カンチャナブリー.13:55着

★ミニバス
カンチャナブリー15:40→バンコク.カオサン17:55

※ホットコーヒー‥40バーツ(152円)
※メルファイヤパス‥50バーツ(190円)
※絵ハガキ‥10バーツ(38円)
※ガソリン‥40バーツ(152円)
※ガソリン‥90バーツ(342円)
※昼食‥42バーツ(160円)
※ミニバス‥120バーツ(456円)

同行者
一人旅
一人あたり費用
15万円 - 20万円
交通手段
高速・路線バス バイク
旅行の手配内容
個別手配
  • バンコクに戻ってきた。<br />タクシーは勿体ないので、エアポーリンクと路線バスでカオサン通りに向かった。<br />※イメージ。<br />━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />①<br />バンコクに戻って来た。<br />ゴールデンミャンマー航空はLCCだが、ドンムアン空港でなく、スワンナプーム空港に着陸した。<br />エアポートリンクに乗って市内へ向かい、パヤタイ駅から路線バスに乗ろうとしたのだが、乗りたいバスがなかなか来ない。<br />仕方ないので、ベッブリー通りからバスに乗ろうと歩き始めた。<br />バンコクは暑い。<br />時間は夜10時をまわっていた。<br />この時間、ミャンマーは涼しくて過ごしやすかったのだが、バンコクは少し歩くだけで汗が出てくる。<br />10分弱歩くとペッブリー通りに出た。<br />路上にたくさんのテーブルが並び、美味しそうな匂いが周囲を漂っている。<br />空腹だった。<br />しかし、ここは我慢してバス停に急ぐ。<br />ペッブリー市場の近くに人がたむろしている場所があった。<br />バス停の看板はなかったが、歩道で人がたむろっている場所がバス停である事が多い。<br />バスが来ると、人々はバスを目がけていく。<br />すると、宿の近くまで行くバス‥60番のバスが来た。<br />乗ると、冷房がびんびんにきいたバスで、体から汗が一気にひいていく。<br />11バーツ(42円)払って10分ほど乗った所がカオサン通り。<br />カオサン通りは安宿が多く、貧乏旅行者の聖地とも呼ばれているが、最近は単なる貧乏旅行者が集まるだけでなく、タイ人の若者も集まる街に様子が変わっている。<br />通りはネオンが光り、屋台や露店が建ち並び、たくさんの人で賑わっている。<br />今のカオサン通りは賑やかすぎて、ゆっくりと休める環境ではないので、少し離れたバンランプーと言う地域にあるKSゲストハウスと言う安宿を予約しておいた。<br />宿に着いたのは夜11時をまわった頃だった。<br />ファンと水シャワーがあるだけの質素な部屋だったが、それなりにきれいで、大きな窓があるのはうれしかった。<br />窓無しの独房部屋に入れられると、部屋に光りが入らず外の様子もわからない。<br />窓がないとミジメに感じてしまう。<br />窓の有無は、部屋選びの重要な要素であるが、ネット予約で安い部屋を選ぶと窓無し独房にあたる確率はたかい。<br />ちなみに、宿代は1427円‥フロントのおばちゃんの態度がイマイチたが、泊まる事にはなんの問題もなかった。<br /><br />部屋に荷物を置いて、夕食の買い出しに出た。<br />屋台で、揚げ豚肉の入った麺料理を「サイ.トゥン.ドゥワイ」と言って、持ち帰りにしてもらった。<br />「サイ.トゥン.ドゥワイ」とは、タイ語で「袋に入れて」と言う意味だ。<br />タイでは麺料理だろうがなんだろうが、ビニール袋に入れて持ち帰りにする事ができる。<br />麺、スープ、具材、調味料を別々のビニール袋に入れ、袋の口をに輪ゴムでとめる。<br />このとめ方が器用で、漏れる事が絶対にないのがすごい所だ。<br />1人前‥40バーツ(152円)。<br />買ってから、僕はある事に気づいた。<br />「これ、どうやって食べたらいいんだ…」<br />部屋で食べようと持ち帰りにしてもらったのはいいが、器がない。<br />どうしようかな‥と思いながらブラブラしていると、ヤムと言う辛いサラダを作っている屋台があった。<br />ヤムとは和えると言う意味で、ヤム料理で有名なのはヤムウンセンではなかろうか。<br />ウンセンは春雨の事で、訳すと‘和えた春雨’となる。<br />地元民仕様に作ってもらうとメチャメチャ辛い。<br />この屋台に使い捨ての丼容器が山積みつれていたので、ヤムルアムミッを頼んで、丼容器に入れてもらった。<br />ルアムミッとは、英語で言ったらミックスにあたる。<br />野菜・海老・イカ・春雨・ソーセージなど色々な具材を辛いソースで和えたサラダだ。<br />コンビニでビールと水を買って宿に戻り、水シャワーを浴びて夕食にした。<br />ビールに辛いヤムルアムミッは相性が良い。<br />そして、空いた器にビニール袋に入った麺料理を入れていく。<br />鶏ガラ風のサッパリとしたスープ。<br />タイ麺料理は、ナムプラーや唐辛子、砂糖、唐辛子酢の4点調味料セットを自分の好みで入れて味を調える。<br />持ち帰りでも、この4点セットは小袋に入ってちゃんとついてきた。<br />具材はカリカリに揚げた豚肉と、タイ料理にはかかせないパクチー。<br />そして、麺は米で作ったセンヤイと言う平打ち麺かと思ったら、米で作ったマカロニのような麺であった。<br />長さは5センチ位で、マカロニ同様、麺に空洞がある。<br />味はセンヤイと同じだが、チュルルンと言う舌触りが僕好みで、スルッと入っていく。<br />今までタイには何度も足を運んで来たが、この米マカロニは初めて食べる味だった。

    バンコクに戻ってきた。
    タクシーは勿体ないので、エアポーリンクと路線バスでカオサン通りに向かった。
    ※イメージ。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    バンコクに戻って来た。
    ゴールデンミャンマー航空はLCCだが、ドンムアン空港でなく、スワンナプーム空港に着陸した。
    エアポートリンクに乗って市内へ向かい、パヤタイ駅から路線バスに乗ろうとしたのだが、乗りたいバスがなかなか来ない。
    仕方ないので、ベッブリー通りからバスに乗ろうと歩き始めた。
    バンコクは暑い。
    時間は夜10時をまわっていた。
    この時間、ミャンマーは涼しくて過ごしやすかったのだが、バンコクは少し歩くだけで汗が出てくる。
    10分弱歩くとペッブリー通りに出た。
    路上にたくさんのテーブルが並び、美味しそうな匂いが周囲を漂っている。
    空腹だった。
    しかし、ここは我慢してバス停に急ぐ。
    ペッブリー市場の近くに人がたむろしている場所があった。
    バス停の看板はなかったが、歩道で人がたむろっている場所がバス停である事が多い。
    バスが来ると、人々はバスを目がけていく。
    すると、宿の近くまで行くバス‥60番のバスが来た。
    乗ると、冷房がびんびんにきいたバスで、体から汗が一気にひいていく。
    11バーツ(42円)払って10分ほど乗った所がカオサン通り。
    カオサン通りは安宿が多く、貧乏旅行者の聖地とも呼ばれているが、最近は単なる貧乏旅行者が集まるだけでなく、タイ人の若者も集まる街に様子が変わっている。
    通りはネオンが光り、屋台や露店が建ち並び、たくさんの人で賑わっている。
    今のカオサン通りは賑やかすぎて、ゆっくりと休める環境ではないので、少し離れたバンランプーと言う地域にあるKSゲストハウスと言う安宿を予約しておいた。
    宿に着いたのは夜11時をまわった頃だった。
    ファンと水シャワーがあるだけの質素な部屋だったが、それなりにきれいで、大きな窓があるのはうれしかった。
    窓無しの独房部屋に入れられると、部屋に光りが入らず外の様子もわからない。
    窓がないとミジメに感じてしまう。
    窓の有無は、部屋選びの重要な要素であるが、ネット予約で安い部屋を選ぶと窓無し独房にあたる確率はたかい。
    ちなみに、宿代は1427円‥フロントのおばちゃんの態度がイマイチたが、泊まる事にはなんの問題もなかった。

    部屋に荷物を置いて、夕食の買い出しに出た。
    屋台で、揚げ豚肉の入った麺料理を「サイ.トゥン.ドゥワイ」と言って、持ち帰りにしてもらった。
    「サイ.トゥン.ドゥワイ」とは、タイ語で「袋に入れて」と言う意味だ。
    タイでは麺料理だろうがなんだろうが、ビニール袋に入れて持ち帰りにする事ができる。
    麺、スープ、具材、調味料を別々のビニール袋に入れ、袋の口をに輪ゴムでとめる。
    このとめ方が器用で、漏れる事が絶対にないのがすごい所だ。
    1人前‥40バーツ(152円)。
    買ってから、僕はある事に気づいた。
    「これ、どうやって食べたらいいんだ…」
    部屋で食べようと持ち帰りにしてもらったのはいいが、器がない。
    どうしようかな‥と思いながらブラブラしていると、ヤムと言う辛いサラダを作っている屋台があった。
    ヤムとは和えると言う意味で、ヤム料理で有名なのはヤムウンセンではなかろうか。
    ウンセンは春雨の事で、訳すと‘和えた春雨’となる。
    地元民仕様に作ってもらうとメチャメチャ辛い。
    この屋台に使い捨ての丼容器が山積みつれていたので、ヤムルアムミッを頼んで、丼容器に入れてもらった。
    ルアムミッとは、英語で言ったらミックスにあたる。
    野菜・海老・イカ・春雨・ソーセージなど色々な具材を辛いソースで和えたサラダだ。
    コンビニでビールと水を買って宿に戻り、水シャワーを浴びて夕食にした。
    ビールに辛いヤムルアムミッは相性が良い。
    そして、空いた器にビニール袋に入った麺料理を入れていく。
    鶏ガラ風のサッパリとしたスープ。
    タイ麺料理は、ナムプラーや唐辛子、砂糖、唐辛子酢の4点調味料セットを自分の好みで入れて味を調える。
    持ち帰りでも、この4点セットは小袋に入ってちゃんとついてきた。
    具材はカリカリに揚げた豚肉と、タイ料理にはかかせないパクチー。
    そして、麺は米で作ったセンヤイと言う平打ち麺かと思ったら、米で作ったマカロニのような麺であった。
    長さは5センチ位で、マカロニ同様、麺に空洞がある。
    味はセンヤイと同じだが、チュルルンと言う舌触りが僕好みで、スルッと入っていく。
    今までタイには何度も足を運んで来たが、この米マカロニは初めて食べる味だった。

    パヤータイ駅 (BTS)

  • バンコクに一泊して、カンチャナブリーに向かう。<br />南バスターミナルまで、タクシーはもったいないので市内バスで行った。<br />※イメージ。

    バンコクに一泊して、カンチャナブリーに向かう。
    南バスターミナルまで、タクシーはもったいないので市内バスで行った。
    ※イメージ。

  • カンチャナブリー行の特急1等バス。<br />タイの1等バスはトイレ付き4列シートを意味する。<br />カンチャナブリーまで110バーツ(418円)快適だった。<br />※イメージ。<br />━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />②<br />翌朝、6時にチェックアウトした。<br />バス停で路線バスを待っていると、すぐに南バスターミナルに行く511番のバスが来た。<br />ラッキーと思いながら、バスに乗り込んだのだが、ドライバー氏から「南バスターミナルまで行かないよ」と言われ、ショボくれてバスを降りる。<br />それから、なかなかバスは来なかった。 <br />タイと言う国の交通機関は、大半がバンコクを起点に網羅されている。<br />北部及び東北部に向かうバスは、北バスターミナル。<br />東部に向かうバスは、東バスターミナル。<br />そして、南部に向かうバスは、南バスターミナルと、バンコク中心部からやや離れた場所にあるバスターミナルから発着している。<br />僕がこれから向かうカンチャナブリー行のバスは、南バスターミナルを起点としており、カオサン通りから路線バスで南バスターミナルに行こうと試みたのだった。<br />なかなか来ないバスを待っていると、どこからか‥すぅ~とタクシーがやって来て、僕の前に停まり、ドライバー氏は「バスは来ないからタクシーに乗りな」と言う視線を僕にぶつけて来る。<br />タクシーの方が早い事はわかっている。<br />値段の差も、日本円にしたら数百円である。<br />しかし、ビジネスクラスには金を払うくせに、こう言う所では「バスで行ってやる!」とへんな意地をはる心境になってしまうのだ。<br />結局、15バーツ(57円)のバスに乗る為に待った時間は30分。<br />511番ではなく、556番のバスで南バスターミナルに向かった。<br /><br />南バスターミナルは数年前に移転し、バンコク中心部から遠くなってしまったのだが、巨大ショッピングモールが併設された立派なバスターミナルである。<br />朝帯は、プーケット、グラビ、ハートヤイなどタイ南部からの長距離夜行バスが続々と到着する。<br />カンチャナブリー行のバスは7:20であった。<br />発車まで少し時間があったので、ベンチに座って、トーストセットとヤクルトで朝食にする。<br />トーストセットは、カオサン通り近くの露店で買った物で、トースト2枚、目玉焼き、ソーセージ、バターとジャムが詰められていて、20バーツ(76円)。<br />欧米人が多いカオサン通りならではの朝食弁当である。<br />カンチャナブリー行の特急バスは、きれいなバスとは言えなかったが、エアコンが心地よくきいていて、快適であった。<br />昨夜の睡眠時間が少なかった事もあり、睡魔が襲い、気がついたら眠っていた。

    カンチャナブリー行の特急1等バス。
    タイの1等バスはトイレ付き4列シートを意味する。
    カンチャナブリーまで110バーツ(418円)快適だった。
    ※イメージ。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    翌朝、6時にチェックアウトした。
    バス停で路線バスを待っていると、すぐに南バスターミナルに行く511番のバスが来た。
    ラッキーと思いながら、バスに乗り込んだのだが、ドライバー氏から「南バスターミナルまで行かないよ」と言われ、ショボくれてバスを降りる。
    それから、なかなかバスは来なかった。 
    タイと言う国の交通機関は、大半がバンコクを起点に網羅されている。
    北部及び東北部に向かうバスは、北バスターミナル。
    東部に向かうバスは、東バスターミナル。
    そして、南部に向かうバスは、南バスターミナルと、バンコク中心部からやや離れた場所にあるバスターミナルから発着している。
    僕がこれから向かうカンチャナブリー行のバスは、南バスターミナルを起点としており、カオサン通りから路線バスで南バスターミナルに行こうと試みたのだった。
    なかなか来ないバスを待っていると、どこからか‥すぅ~とタクシーがやって来て、僕の前に停まり、ドライバー氏は「バスは来ないからタクシーに乗りな」と言う視線を僕にぶつけて来る。
    タクシーの方が早い事はわかっている。
    値段の差も、日本円にしたら数百円である。
    しかし、ビジネスクラスには金を払うくせに、こう言う所では「バスで行ってやる!」とへんな意地をはる心境になってしまうのだ。
    結局、15バーツ(57円)のバスに乗る為に待った時間は30分。
    511番ではなく、556番のバスで南バスターミナルに向かった。

    南バスターミナルは数年前に移転し、バンコク中心部から遠くなってしまったのだが、巨大ショッピングモールが併設された立派なバスターミナルである。
    朝帯は、プーケット、グラビ、ハートヤイなどタイ南部からの長距離夜行バスが続々と到着する。
    カンチャナブリー行のバスは7:20であった。
    発車まで少し時間があったので、ベンチに座って、トーストセットとヤクルトで朝食にする。
    トーストセットは、カオサン通り近くの露店で買った物で、トースト2枚、目玉焼き、ソーセージ、バターとジャムが詰められていて、20バーツ(76円)。
    欧米人が多いカオサン通りならではの朝食弁当である。
    カンチャナブリー行の特急バスは、きれいなバスとは言えなかったが、エアコンが心地よくきいていて、快適であった。
    昨夜の睡眠時間が少なかった事もあり、睡魔が襲い、気がついたら眠っていた。

  • カンチャナブリーでバイクを借りた。<br />ヒンダー温泉まで片道約120キロの距離を、バイクで走る。<br />※イメージ。<br />━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />③<br />バンコクから2時間20分。<br />僕を乗せた特急バスは、9:40にカンチャナブリーに到着した。<br />街を散策していると、地元民を相手にした古い市場があった。<br />中に入ると、鮮魚、肉類、野菜など生鮮品が多く、生臭い匂いが鼻孔をくすぐった。<br />生鮮品を扱う隣の通路には惣菜などが並び、こちらは食欲を注ぐいい匂いが漂っている。<br />その隅に、タイ菓子を売っている店があった。<br />並べられているお菓子は綺麗な色彩で、どれも美味しそうだ。<br />その中にカノムモーケンと言う、僕の大好きなタイ菓子が並んでいた。<br />カノムとはタイ語で菓子を意味する。<br />カノムモーケンは外見は洋菓子のようで、食べると焼きプリンのよう。<br />2切れで25バーツ(95円)。<br />コクのある甘さで、僕はやみつきになっている。<br /><br />市場を後に歩いていると、芝生の敷かれたキレイな場所があった。<br />旧日本軍によって泰緬鉄道建設に駆り出され、病気や栄養不足で命を落とした連合軍兵士が眠る共同墓地である。<br />その連合軍墓地の隣には、泰緬鉄道博物館がある。<br />泰緬鉄道は第二次世界大戦中、ビルマ戦線への物資輸送のルートを確保する為に、旧日本軍が連合軍(イギリスやオーストラリアなど)捕虜や東南アジアの人々を労働者として使い劣悪な環境で建設された鉄道である。<br />見学料140バーツ(570円)と安くないが、中に入ってみる事にした。<br />見学者の大半が欧米人‥連合軍の国々の人達である。<br />その中に日本人は僕一人。<br />なんだか居心地が悪い。<br />泰緬鉄道の建設工事で亡くなった人々は連合軍捕虜よりも東南アジア諸国から駆り出された人達の方がはるかに多かった事や、食事の量が日本兵と捕虜で差別されていた事などが展示されていた。<br /><br />ゲストハウスが並ぶ通りに、数件のレンタルバイク屋があり、その中の1件で100㏄のスクーターを借りた。<br />レンタル料は24時間で200バーツ(760円)だった。<br />借りたいのは11:00~翌14:00までで、400バーツになってしまうのであるが、300バーツ(1140円)にまけてもらい、カンチャナブリーを後にした。<br />カンチャナブリーを出発したのは10:50。<br />思ったより遅くなってしまった。<br />これから国道323号線を120キロほど走った所にある、ヒンダー温泉に向かう。<br />タイの国道は日本の高速道路並みである。<br />乗用車は時速100キロ以上で飛ばして行く中を、僕が運転するバイクは時速60キロでトロトロ走る。<br />タイもヘルメットの着用が義務づけられている。<br />バイク屋で借りたヘルメットはシールドがないもので、60キロのスピードでも走っているうちに顔が痛くなってきた。<br />おまけに虫が目に入ってくる。<br />「シールド付きのヘルメットにすればよかった‥」と言っても後の祭り。<br />耐えながら走るしかない。<br />サトウキビやキャッサバと呼ばれる芋類の畑が一面に広がり、遠くには岩肌をむき出しにした岩山がそびえている。<br />やがて、片側2車線の道路が片側1車線になり、田舎の一本道になった。<br />信号のない田舎道なので、乗用車は100キロでぶっ飛んでいるのだが、路肩が広いので60キロでトロトロと走っていても、煽られる事はない。<br />もう少し速度をあげられない事もないのだが、風をモロに受けているので顔面が痛く、時速60キロで走るのがやっとであった。<br />カンチャナブリーから80キロの位置にあるヘルファイヤーパスは、泰緬鉄道建設の時に困難を極めた場所で、その遺構が保存されている。<br />見学は明日にしよう。<br />無言でひたすらバイクを走らせていたのだが、お腹が空いてきた。<br />「どこかに食堂はないのか‥」<br />なにもない風景が続いていたが、道端に食堂を発見。<br />すかさず、バイクをとめた。<br />トタン屋根の下で数組のタイ人が食事をしていて、奥ではおじいちゃんが孫と遊んでいる。<br />のどかな田舎の食堂だった。<br />鶏肉のバジル炒めに目玉焼きをつけてもらい、コーラも注文。<br />メニューがわからなくても、バジル炒めは炒め物の食堂ならどこにでもあるタイ人にも人気の一品である。<br />ニンニクと唐辛子で炒めた肉をナムプラーで味付けし、バジルがアクセントとなり、一度食べたらやみつきになる。<br />ここでの昼食代は、バジル炒め・目玉焼き・ライス・コーラで、40バーツ(152円)と安い。バンコクではありえない値段だった。

    カンチャナブリーでバイクを借りた。
    ヒンダー温泉まで片道約120キロの距離を、バイクで走る。
    ※イメージ。
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    バンコクから2時間20分。
    僕を乗せた特急バスは、9:40にカンチャナブリーに到着した。
    街を散策していると、地元民を相手にした古い市場があった。
    中に入ると、鮮魚、肉類、野菜など生鮮品が多く、生臭い匂いが鼻孔をくすぐった。
    生鮮品を扱う隣の通路には惣菜などが並び、こちらは食欲を注ぐいい匂いが漂っている。
    その隅に、タイ菓子を売っている店があった。
    並べられているお菓子は綺麗な色彩で、どれも美味しそうだ。
    その中にカノムモーケンと言う、僕の大好きなタイ菓子が並んでいた。
    カノムとはタイ語で菓子を意味する。
    カノムモーケンは外見は洋菓子のようで、食べると焼きプリンのよう。
    2切れで25バーツ(95円)。
    コクのある甘さで、僕はやみつきになっている。

    市場を後に歩いていると、芝生の敷かれたキレイな場所があった。
    旧日本軍によって泰緬鉄道建設に駆り出され、病気や栄養不足で命を落とした連合軍兵士が眠る共同墓地である。
    その連合軍墓地の隣には、泰緬鉄道博物館がある。
    泰緬鉄道は第二次世界大戦中、ビルマ戦線への物資輸送のルートを確保する為に、旧日本軍が連合軍(イギリスやオーストラリアなど)捕虜や東南アジアの人々を労働者として使い劣悪な環境で建設された鉄道である。
    見学料140バーツ(570円)と安くないが、中に入ってみる事にした。
    見学者の大半が欧米人‥連合軍の国々の人達である。
    その中に日本人は僕一人。
    なんだか居心地が悪い。
    泰緬鉄道の建設工事で亡くなった人々は連合軍捕虜よりも東南アジア諸国から駆り出された人達の方がはるかに多かった事や、食事の量が日本兵と捕虜で差別されていた事などが展示されていた。

    ゲストハウスが並ぶ通りに、数件のレンタルバイク屋があり、その中の1件で100㏄のスクーターを借りた。
    レンタル料は24時間で200バーツ(760円)だった。
    借りたいのは11:00~翌14:00までで、400バーツになってしまうのであるが、300バーツ(1140円)にまけてもらい、カンチャナブリーを後にした。
    カンチャナブリーを出発したのは10:50。
    思ったより遅くなってしまった。
    これから国道323号線を120キロほど走った所にある、ヒンダー温泉に向かう。
    タイの国道は日本の高速道路並みである。
    乗用車は時速100キロ以上で飛ばして行く中を、僕が運転するバイクは時速60キロでトロトロ走る。
    タイもヘルメットの着用が義務づけられている。
    バイク屋で借りたヘルメットはシールドがないもので、60キロのスピードでも走っているうちに顔が痛くなってきた。
    おまけに虫が目に入ってくる。
    「シールド付きのヘルメットにすればよかった‥」と言っても後の祭り。
    耐えながら走るしかない。
    サトウキビやキャッサバと呼ばれる芋類の畑が一面に広がり、遠くには岩肌をむき出しにした岩山がそびえている。
    やがて、片側2車線の道路が片側1車線になり、田舎の一本道になった。
    信号のない田舎道なので、乗用車は100キロでぶっ飛んでいるのだが、路肩が広いので60キロでトロトロと走っていても、煽られる事はない。
    もう少し速度をあげられない事もないのだが、風をモロに受けているので顔面が痛く、時速60キロで走るのがやっとであった。
    カンチャナブリーから80キロの位置にあるヘルファイヤーパスは、泰緬鉄道建設の時に困難を極めた場所で、その遺構が保存されている。
    見学は明日にしよう。
    無言でひたすらバイクを走らせていたのだが、お腹が空いてきた。
    「どこかに食堂はないのか‥」
    なにもない風景が続いていたが、道端に食堂を発見。
    すかさず、バイクをとめた。
    トタン屋根の下で数組のタイ人が食事をしていて、奥ではおじいちゃんが孫と遊んでいる。
    のどかな田舎の食堂だった。
    鶏肉のバジル炒めに目玉焼きをつけてもらい、コーラも注文。
    メニューがわからなくても、バジル炒めは炒め物の食堂ならどこにでもあるタイ人にも人気の一品である。
    ニンニクと唐辛子で炒めた肉をナムプラーで味付けし、バジルがアクセントとなり、一度食べたらやみつきになる。
    ここでの昼食代は、バジル炒め・目玉焼き・ライス・コーラで、40バーツ(152円)と安い。バンコクではありえない値段だった。

  • クウェーノイ川に浮かぶラフトハウス。<br />川上にあるコテージは宿泊が可能だが高い。<br />※イメージ。<br />━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />④<br />食堂から少し走るとサイヨークヤイ滝入口の看板が目に入った。<br />「少し寄って行くか‥」<br />国道から坂道を下っていくとゲートがあり、そこで料金を払う。<br />入場料が200バーツ(760円)もした。<br />「滝を見るだけにしてはずいぶん高いな」と思っていたら、そこはサイヨーク国立公園での核心部で、サイヨークヤイ滝に加えて、公園内から湧き出る泉から流れ出るきれいな小川が至る所に流れ、洞窟・旧日本軍の調理台・泰緬鉄道の鉄橋跡があり、その間には整備された遊歩道やトレイルがある。<br />ここは単に滝を見るだけでなく、トレッキングを1日ゆっくりと楽しめる大きな公園なのであった。<br />まずは、サイヨークヤイ滝に行ってみた。<br />滝は吊り橋を渡った対岸から良く見え、高さ8メートルと高くはないが、群馬県の吹割の滝を彷彿させるような滝だった。<br />滝が直接流れ込むクウェーノーイ川にはラフトハウスが浮かんでいる。<br />滝を見た後、洞窟や泰緬鉄道鉄橋跡など色々見てまわったら、アッという間に1時間以上が過ぎてしまった。<br /><br />サイヨーク公園からヒンダー温泉まで残り30キロ近くある。<br />この距離が長かった‥。<br />ミャンマー国境のスリーパゴダ峠まで続いている国道323号線は平原の中に一直線にのびている。<br />永遠と続く単調な景色の中を、まだか、まだかとバイクを走らせた。

    クウェーノイ川に浮かぶラフトハウス。
    川上にあるコテージは宿泊が可能だが高い。
    ※イメージ。
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    食堂から少し走るとサイヨークヤイ滝入口の看板が目に入った。
    「少し寄って行くか‥」
    国道から坂道を下っていくとゲートがあり、そこで料金を払う。
    入場料が200バーツ(760円)もした。
    「滝を見るだけにしてはずいぶん高いな」と思っていたら、そこはサイヨーク国立公園での核心部で、サイヨークヤイ滝に加えて、公園内から湧き出る泉から流れ出るきれいな小川が至る所に流れ、洞窟・旧日本軍の調理台・泰緬鉄道の鉄橋跡があり、その間には整備された遊歩道やトレイルがある。
    ここは単に滝を見るだけでなく、トレッキングを1日ゆっくりと楽しめる大きな公園なのであった。
    まずは、サイヨークヤイ滝に行ってみた。
    滝は吊り橋を渡った対岸から良く見え、高さ8メートルと高くはないが、群馬県の吹割の滝を彷彿させるような滝だった。
    滝が直接流れ込むクウェーノーイ川にはラフトハウスが浮かんでいる。
    滝を見た後、洞窟や泰緬鉄道鉄橋跡など色々見てまわったら、アッという間に1時間以上が過ぎてしまった。

    サイヨーク公園からヒンダー温泉まで残り30キロ近くある。
    この距離が長かった‥。
    ミャンマー国境のスリーパゴダ峠まで続いている国道323号線は平原の中に一直線にのびている。
    永遠と続く単調な景色の中を、まだか、まだかとバイクを走らせた。

  • サイヨークヤイ滝‥高さは8メートルと控えめ。<br />※イメージ。

    サイヨークヤイ滝‥高さは8メートルと控えめ。
    ※イメージ。

  • 旧日本軍が掘り当てたと言われるヒンダー温泉。<br />川沿いに露天風呂がある。<br />韓国人で賑わっていた。<br />※イメージ。<br />━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />⑤<br />カンチャナブリーから約120キロ。<br />ヒンダー温泉に着いたのは15:30頃だった。<br />この温泉は泰緬鉄道を建設中に日本軍兵士が見つけたと言う由来がある。<br />ゲートの係員さんに「ホーンナーム?」と聞くと「戻って」と言う仕草をされたので、バイクをユーターンさせて戻る。<br />ところがどこに温泉があるのかわからない。<br />駐車場入口の果物屋さんに聞くと今度は、さっきいたゲートの方を指さすではないか。<br />いったいどっちなんだ?<br />再び、ゲートに向かうと、ゲートの係員さんは果物屋の方を指さしている。<br />???<br />少しの間、路頭に迷ったが原因がわかった。<br />僕は「ホーンナーム?」と聞いていた。<br />温泉?と聞いていたつもりだったが、よく考えたらホーンナームはトイレの事である。<br />よく見るとゲートと果物屋の中間にトイレがあった。<br />どうりで‥<br />ゲートの係員さんと果物屋さんは、トイレの位置を教えてくれたのだ。<br />ちなみに温泉はタイ語で、ナムローンと言うそうだ。<br />ゲートで40バーツ(152円)払って橋を渡ると、川岸にコンクリート作りの露天風呂があった。<br />東屋に荷物を置いて海パンを履いて露天風呂に浸かった。<br />浴槽にはコケが生えていて、お湯は少し濁り、あまりきれいとは言えないが気持ちのいい湯温だ。<br />浴槽は結構深いので立ち湯になった。<br />「ふぅー」とお湯に入ってくつろいでいて耳に入って来たのは韓国語。<br />韓国人の団塊世代グループが来ていて、「ここは韓国なのか?」と思ってしまう。<br />体が火照って来たら、隣りの川に入って体を冷ます。<br />ゆっくりとしたかったのだが、着くのが遅くなってしまった。<br />短い時間ではあったが温泉を堪能したので、宿に向かうとしよう。

    旧日本軍が掘り当てたと言われるヒンダー温泉。
    川沿いに露天風呂がある。
    韓国人で賑わっていた。
    ※イメージ。
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    カンチャナブリーから約120キロ。
    ヒンダー温泉に着いたのは15:30頃だった。
    この温泉は泰緬鉄道を建設中に日本軍兵士が見つけたと言う由来がある。
    ゲートの係員さんに「ホーンナーム?」と聞くと「戻って」と言う仕草をされたので、バイクをユーターンさせて戻る。
    ところがどこに温泉があるのかわからない。
    駐車場入口の果物屋さんに聞くと今度は、さっきいたゲートの方を指さすではないか。
    いったいどっちなんだ?
    再び、ゲートに向かうと、ゲートの係員さんは果物屋の方を指さしている。
    ???
    少しの間、路頭に迷ったが原因がわかった。
    僕は「ホーンナーム?」と聞いていた。
    温泉?と聞いていたつもりだったが、よく考えたらホーンナームはトイレの事である。
    よく見るとゲートと果物屋の中間にトイレがあった。
    どうりで‥
    ゲートの係員さんと果物屋さんは、トイレの位置を教えてくれたのだ。
    ちなみに温泉はタイ語で、ナムローンと言うそうだ。
    ゲートで40バーツ(152円)払って橋を渡ると、川岸にコンクリート作りの露天風呂があった。
    東屋に荷物を置いて海パンを履いて露天風呂に浸かった。
    浴槽にはコケが生えていて、お湯は少し濁り、あまりきれいとは言えないが気持ちのいい湯温だ。
    浴槽は結構深いので立ち湯になった。
    「ふぅー」とお湯に入ってくつろいでいて耳に入って来たのは韓国語。
    韓国人の団塊世代グループが来ていて、「ここは韓国なのか?」と思ってしまう。
    体が火照って来たら、隣りの川に入って体を冷ます。
    ゆっくりとしたかったのだが、着くのが遅くなってしまった。
    短い時間ではあったが温泉を堪能したので、宿に向かうとしよう。

  • Koh Mueangkarn Paradaise View Resort<br />名前の通り、ここはパラダイスだった。<br />※イメージ。<br />━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />⑥<br />ヒンダー温泉から宿までは、国道を36キロ戻り、更に山道を16キロ‥<br />合計50キロ以上走らなくてはならない。<br />できる事なら今夜は宿に早く着きたかった。<br />‥と言うのは、今夜はクウェーノーイ川に浮かぶラフトハウスの宿を予約していたからだ。<br />ラフトハウスには前から泊まってみたいと思っていた。<br />しかし、ネットで予約できるラフトハウスの宿はどこも高かった。<br />AGODAで見つけた、Koh Mueangkarn Paradaise View Resortと言う宿が一番安かったのだが、それでも5134円もした。<br />僕にとっては贅沢宿だ。<br />宿に早く着いて川を眺めながら、ビールを飲み、のんびりまったりしようと思っていたのだが、時間は16時をまわっていた。<br />アクセルを握る手に力が入る。<br />心を無にしてバイクを走らせた。<br />温泉に向かう途中に国道からの分岐を確認していたのだが、なかなか着かない。<br />まだか、まだか‥と走っていたら、ヘルファイヤパスまで行ってしまった。<br /><br />行き過ぎた‥<br /><br />国道分岐を通り過ごしてしまった。<br />「あれれ‥おかしいな?」と思いながらバイクをユーターンさせて、国道分岐まで戻る。往復で20キロもロスしてしまった。<br />国道分岐から宿までまだ16キロもある。<br />そこである事に気が付いた。<br /><br />ガソリンがない‥<br /><br />走るのに夢中で給油をすっかり忘れていた。<br />燃料計の針はEを差しているではないか。<br />ここから、国道上のガソリンスタンドは距離がある。<br />時間はどんどん過ぎていく。<br />せっかくラフトハウスに泊まるのに暗くなってから着くのは避けたかった。<br />どうしようか‥<br />遅くなるのは嫌なのでそのまま国道を離れ、田舎道に入って行く事にする。<br />ガソリンを食わないようにスピードを落として走った。<br />しかし、ガソリンは容赦なく減っていく。<br />気のせいか?<br />アクセルのフケが悪くなっているような感じがする。<br />はたして宿までガソリンが持つのか‥<br />大丈夫だろう‥と国道を離れたのが後悔に変わった。<br />周囲には民家ひとつない。<br />道はやがて未舗装のダート道に変わった。<br />こんな所でガス欠になったら‥<br />そう思うと不安でたまらない。<br /><br />「やべぇなぁ~どうしよう‥」<br /><br />独りでブツブツ言いながらバイクをのろのろと走らせる。<br />そんな不安の中で、僕にはひとつだけ秘策があった。<br />今夜の宿は僻地にある。<br />異国で場所がわからないと大変な目にあう事は今までの経験でわかっていたので、事前にGoogleマップで道順を調べていた時、途中に学校のある集落がある事を確認していた。<br />タイの田舎では、集落にある雑貨店にドラム缶が置いてあるか、瓶に入ったガソリンを売っている事がある。<br />もしかしたら雑貨店があって、ガソリンがあるかもしれない。<br />100%あるとは言いきれないが、それに賭けるしかなかった。<br />ダート道が一旦とぎれ、集落へ入っていくと‥<br />雑貨店があった。<br />そして、そこにはドラム缶があった。<br /><br />「あったー!」<br />心の中でくすぶっていた不安感が一気にひいていく‥<br /><br />僕はすかさずバイクを雑貨店の前にとめた。<br />店には、おばぁちゃんが一人。<br />いきなりやって来た異国人の僕に少しビックリしながらもガソリンを入れてくれた。<br />さぁ、これで大丈夫。<br />先を急ごうと、バイクを走らせる。<br />集落を過ぎると道は再びダート道になり、17:20頃ようやく宿に着いた。<br />本当に周りには何もない僻地だった。<br />目の前にクウェーノーイ川がゆったりと流れ客室のあるラフトハウスが浮かんでいる。<br />宿の若い男性従業員に案内されたのは104号室。<br />まだ新しくきれいな部屋で、温水シャワー・トイレ・エアコン・冷蔵庫・テレビ‥と今まで泊まってきたホテルとは天と地の差だ。<br />そして、テラスの目の前には川が流れている。<br />シャワーを浴びて、テラスで川を眺めながら飲むビールは最高の味だった。<br />夕食は豚肉チャーハンと豆腐スープを注文。<br />今夜の客は僕一人だけらしく、部屋食となった。<br />テラスのテーブルに料理を並べ、川を眺めながらの夕食。<br />そして本日3本目のビールを飲む。<br />日が暮れてから空を眺めると星が一面に広がり、テラスでずっと川と星を眺めて過ごし、何もない所の贅沢を味わえた一夜となった。<br />その晩は、川のせせらぎを聞きながら眠りについた。

    Koh Mueangkarn Paradaise View Resort
    名前の通り、ここはパラダイスだった。
    ※イメージ。
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    ヒンダー温泉から宿までは、国道を36キロ戻り、更に山道を16キロ‥
    合計50キロ以上走らなくてはならない。
    できる事なら今夜は宿に早く着きたかった。
    ‥と言うのは、今夜はクウェーノーイ川に浮かぶラフトハウスの宿を予約していたからだ。
    ラフトハウスには前から泊まってみたいと思っていた。
    しかし、ネットで予約できるラフトハウスの宿はどこも高かった。
    AGODAで見つけた、Koh Mueangkarn Paradaise View Resortと言う宿が一番安かったのだが、それでも5134円もした。
    僕にとっては贅沢宿だ。
    宿に早く着いて川を眺めながら、ビールを飲み、のんびりまったりしようと思っていたのだが、時間は16時をまわっていた。
    アクセルを握る手に力が入る。
    心を無にしてバイクを走らせた。
    温泉に向かう途中に国道からの分岐を確認していたのだが、なかなか着かない。
    まだか、まだか‥と走っていたら、ヘルファイヤパスまで行ってしまった。

    行き過ぎた‥

    国道分岐を通り過ごしてしまった。
    「あれれ‥おかしいな?」と思いながらバイクをユーターンさせて、国道分岐まで戻る。往復で20キロもロスしてしまった。
    国道分岐から宿までまだ16キロもある。
    そこである事に気が付いた。

    ガソリンがない‥

    走るのに夢中で給油をすっかり忘れていた。
    燃料計の針はEを差しているではないか。
    ここから、国道上のガソリンスタンドは距離がある。
    時間はどんどん過ぎていく。
    せっかくラフトハウスに泊まるのに暗くなってから着くのは避けたかった。
    どうしようか‥
    遅くなるのは嫌なのでそのまま国道を離れ、田舎道に入って行く事にする。
    ガソリンを食わないようにスピードを落として走った。
    しかし、ガソリンは容赦なく減っていく。
    気のせいか?
    アクセルのフケが悪くなっているような感じがする。
    はたして宿までガソリンが持つのか‥
    大丈夫だろう‥と国道を離れたのが後悔に変わった。
    周囲には民家ひとつない。
    道はやがて未舗装のダート道に変わった。
    こんな所でガス欠になったら‥
    そう思うと不安でたまらない。

    「やべぇなぁ~どうしよう‥」

    独りでブツブツ言いながらバイクをのろのろと走らせる。
    そんな不安の中で、僕にはひとつだけ秘策があった。
    今夜の宿は僻地にある。
    異国で場所がわからないと大変な目にあう事は今までの経験でわかっていたので、事前にGoogleマップで道順を調べていた時、途中に学校のある集落がある事を確認していた。
    タイの田舎では、集落にある雑貨店にドラム缶が置いてあるか、瓶に入ったガソリンを売っている事がある。
    もしかしたら雑貨店があって、ガソリンがあるかもしれない。
    100%あるとは言いきれないが、それに賭けるしかなかった。
    ダート道が一旦とぎれ、集落へ入っていくと‥
    雑貨店があった。
    そして、そこにはドラム缶があった。

    「あったー!」
    心の中でくすぶっていた不安感が一気にひいていく‥

    僕はすかさずバイクを雑貨店の前にとめた。
    店には、おばぁちゃんが一人。
    いきなりやって来た異国人の僕に少しビックリしながらもガソリンを入れてくれた。
    さぁ、これで大丈夫。
    先を急ごうと、バイクを走らせる。
    集落を過ぎると道は再びダート道になり、17:20頃ようやく宿に着いた。
    本当に周りには何もない僻地だった。
    目の前にクウェーノーイ川がゆったりと流れ客室のあるラフトハウスが浮かんでいる。
    宿の若い男性従業員に案内されたのは104号室。
    まだ新しくきれいな部屋で、温水シャワー・トイレ・エアコン・冷蔵庫・テレビ‥と今まで泊まってきたホテルとは天と地の差だ。
    そして、テラスの目の前には川が流れている。
    シャワーを浴びて、テラスで川を眺めながら飲むビールは最高の味だった。
    夕食は豚肉チャーハンと豆腐スープを注文。
    今夜の客は僕一人だけらしく、部屋食となった。
    テラスのテーブルに料理を並べ、川を眺めながらの夕食。
    そして本日3本目のビールを飲む。
    日が暮れてから空を眺めると星が一面に広がり、テラスでずっと川と星を眺めて過ごし、何もない所の贅沢を味わえた一夜となった。
    その晩は、川のせせらぎを聞きながら眠りについた。

  • 旧日本軍が連合軍捕虜や地元民に突貫工事させたヘルファイヤパス。<br />ここでたくさんの犠牲者がでた事を忘れてはならない。<br />※イメージ。<br />━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />⑦<br />翌朝、寒い‥<br />水上のコテージは川からの冷えた空気が建物を包みこむ。<br />朝食は、目玉焼きとベーコン、トーストだった。<br />これは宿代に含まれている。<br />寒いのでホットコーヒー40バーツ(56円)をお願いした。<br />8:30を回ると、山の影に隠れていた太陽の光が僕のいるテラスにあたってきた。<br />肌寒い陽気が一気にポカポカ陽気になり、チェックアウトまで、ぼんやりと川を眺めながら過ごす。<br /><br />このまま、ずっと滞在したい気持ちになったが、旅を進めなくてはならない。<br />名残惜しいが、10時にチェックアウト。<br />田舎道をバイクで走り始める。<br />ダート道をゴトゴト言わせながらバイクから見える風景は、眼下にクウェーノーイ川がゆったりと流れ、テナセリム山脈の山々がそびえていた。<br />山脈の稜線が国境で反対側はミャンマーである。<br />やがて再び集落を抜けていく。<br />ポツンポツンと民家が建ち、道端にはヤギや犬、ネコがぼんやりと座っていて心が和む。<br />今日は迷うことなく国道に出て、ヘルファイヤパスでバイクを駐めた。<br /><br />ここは泰緬鉄道建設の際最も困難を極めた場所で、旧日本軍が連合軍捕虜やアジア人労働者を過酷な労働環境の中、熱帯のジャングルを切り開き、山を崩し、岩山を爆破した。<br />ろくな栄養も与えずに長時間労働を強いられ、病気になった者も多く、たくさんの犠牲者が出る事になる。<br />コンユーの掘削現場で痩せ衰えた労働者を照らし出してゆらめく灯の明かりにちなんで捕虜達はヘルファイヤパス(地獄の業火峠)と呼んだ事が名の由来になっている。<br />この史跡の保護と開発は、オーストラリア人元戦争捕虜トムモリス氏によって提案され今日に至っている。<br /><br />入場は無料たが、寄付箱に50バーツ紙幣を1枚入れて博物館を見学し、木製のきれいな階段を下って線路跡を歩いた。<br />線路跡には今も枕木が残っている。<br />先に進んで行くと岩山を爆破して線路を敷いたコンユー切り通しがあり、オーストラリアの国旗や追悼レリーフが至る所に埋め込まれていた。<br />ここも、昨日の泰緬鉄道博物館同様に欧米人が多く、日本人は僕一人だけ‥<br />「アイツ、日本人だよ!」<br />そんな目で見られているような気がして、なんだか心苦しい。<br />コンユー切り通しに向かって合掌した。<br /><br />泰緬鉄道はタイからビルマに抜けて建設されたが、今はノーンプラドック駅からナムトック駅の間が残っており、爆破された岩壁にへばりつくようにある木製のタムクラセー桟道橋(アンヒル桟道橋)やコンユー切り通し同様に岩山を爆破してできたチョンカイの切り通しなどがあり、昼の列車はたくさんの観光客で賑わう。<br />その終点、ナムトック駅に寄り道をした。<br />たくさんの観光客で賑わう泰緬鉄道の終着駅だが、1日に3往復の列車しか発着しない。<br />駅前には食堂が数件並んでいるだけで、列車に乗って来る観光客を迎えに来た観光バスが待機している。<br />まだ列車が到着していないので、周囲は閑散としとても静かだった。<br />駅から鉄路が少しだけ西に伸びていて、その先は藪、そして低い岩山がそびえている。<br />近くにサイヨークノーイ滝があるので、欧米人が線路づたいに歩いていた。<br /><br />駅から集落を抜け、国道に戻った。<br />国道は所々、並木道になっていて、日本の田舎道にもあるような果物を売る店が並んでいる。<br />今は乾季で果物のシーズンではない。<br />店先には空豆を大きくしたような房に実をつけるタマリンドを並べているようだ。<br />タマリンドは、ペースト状の黒褐色で柔らかく酸味のある果実である。<br />トムソムと言うスープの酸味づけにかかせない。<br /><br />その後、サトウキビとキャッサバ畑の中を一直線に延びる国道をバイクで疾走した。<br />カンチャナブリーはタイ有数の砂糖キビの栽培地で、周辺には精糖産業が成立している。<br />国道を走っていると、砂糖キビを満載したトラックを見かけた。<br />砂糖キビの輸送料金は重量計算なので積載量オーバーを承知の上でトラックから山のようなはみ出さんばかりの砂糖キビを積んでいるので、事故も多い。<br />登り坂はバイクより遅いが、下りになるとシャブでも打ったかのように加速する。<br />バイクの脇をトラックが抜けていく時、風圧でハンドルをとられそうになった事がしばしあって、怖い思いをした。<br /><br />カンチャナブリー市内に入り給油をする。<br />少しだけ時間があったので、泰緬鉄道の象徴とも言えるクウェー川鉄橋に寄ってみた。<br />クウェー川鉄橋は、多くの犠牲者を出した末に完成したので「死の鉄橋」とも呼ばれ、映画「戦場にかける橋」の舞台地になった所でもある事から、今やカンチャナブリーの代表格の観光地である。<br />鉄橋周辺には土産物屋やクウェーヤイ川を眺めながら食事のできるレストランが並び、たくさんの人で賑わっていた。<br />鉄橋は歩いて渡る事もできる。<br />欧米人が多いが中国人も多く、みんなスマホで記念撮影をしていた。<br />余談だが、クウェー川を日本人はクワイ川と呼ぶ事があるが、タイ語で「クワイ」は男性性器を意味するのでタイ人の前でクワイ川と言うと、チ〇ポ川になってしまうから注意が必要だ。<br /><br />13:55<br />少し急ぎ足になったが、バイクを返却。<br />2日間で走った距離は約280キロだった。<br />これは東京から福島あたりまでの距離となる。<br />我ながらよく走ったものだと思う。<br />人質として預けたパスポートを受け取り、バスターミナルに向かった。

    旧日本軍が連合軍捕虜や地元民に突貫工事させたヘルファイヤパス。
    ここでたくさんの犠牲者がでた事を忘れてはならない。
    ※イメージ。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    翌朝、寒い‥
    水上のコテージは川からの冷えた空気が建物を包みこむ。
    朝食は、目玉焼きとベーコン、トーストだった。
    これは宿代に含まれている。
    寒いのでホットコーヒー40バーツ(56円)をお願いした。
    8:30を回ると、山の影に隠れていた太陽の光が僕のいるテラスにあたってきた。
    肌寒い陽気が一気にポカポカ陽気になり、チェックアウトまで、ぼんやりと川を眺めながら過ごす。

    このまま、ずっと滞在したい気持ちになったが、旅を進めなくてはならない。
    名残惜しいが、10時にチェックアウト。
    田舎道をバイクで走り始める。
    ダート道をゴトゴト言わせながらバイクから見える風景は、眼下にクウェーノーイ川がゆったりと流れ、テナセリム山脈の山々がそびえていた。
    山脈の稜線が国境で反対側はミャンマーである。
    やがて再び集落を抜けていく。
    ポツンポツンと民家が建ち、道端にはヤギや犬、ネコがぼんやりと座っていて心が和む。
    今日は迷うことなく国道に出て、ヘルファイヤパスでバイクを駐めた。

    ここは泰緬鉄道建設の際最も困難を極めた場所で、旧日本軍が連合軍捕虜やアジア人労働者を過酷な労働環境の中、熱帯のジャングルを切り開き、山を崩し、岩山を爆破した。
    ろくな栄養も与えずに長時間労働を強いられ、病気になった者も多く、たくさんの犠牲者が出る事になる。
    コンユーの掘削現場で痩せ衰えた労働者を照らし出してゆらめく灯の明かりにちなんで捕虜達はヘルファイヤパス(地獄の業火峠)と呼んだ事が名の由来になっている。
    この史跡の保護と開発は、オーストラリア人元戦争捕虜トムモリス氏によって提案され今日に至っている。

    入場は無料たが、寄付箱に50バーツ紙幣を1枚入れて博物館を見学し、木製のきれいな階段を下って線路跡を歩いた。
    線路跡には今も枕木が残っている。
    先に進んで行くと岩山を爆破して線路を敷いたコンユー切り通しがあり、オーストラリアの国旗や追悼レリーフが至る所に埋め込まれていた。
    ここも、昨日の泰緬鉄道博物館同様に欧米人が多く、日本人は僕一人だけ‥
    「アイツ、日本人だよ!」
    そんな目で見られているような気がして、なんだか心苦しい。
    コンユー切り通しに向かって合掌した。

    泰緬鉄道はタイからビルマに抜けて建設されたが、今はノーンプラドック駅からナムトック駅の間が残っており、爆破された岩壁にへばりつくようにある木製のタムクラセー桟道橋(アンヒル桟道橋)やコンユー切り通し同様に岩山を爆破してできたチョンカイの切り通しなどがあり、昼の列車はたくさんの観光客で賑わう。
    その終点、ナムトック駅に寄り道をした。
    たくさんの観光客で賑わう泰緬鉄道の終着駅だが、1日に3往復の列車しか発着しない。
    駅前には食堂が数件並んでいるだけで、列車に乗って来る観光客を迎えに来た観光バスが待機している。
    まだ列車が到着していないので、周囲は閑散としとても静かだった。
    駅から鉄路が少しだけ西に伸びていて、その先は藪、そして低い岩山がそびえている。
    近くにサイヨークノーイ滝があるので、欧米人が線路づたいに歩いていた。

    駅から集落を抜け、国道に戻った。
    国道は所々、並木道になっていて、日本の田舎道にもあるような果物を売る店が並んでいる。
    今は乾季で果物のシーズンではない。
    店先には空豆を大きくしたような房に実をつけるタマリンドを並べているようだ。
    タマリンドは、ペースト状の黒褐色で柔らかく酸味のある果実である。
    トムソムと言うスープの酸味づけにかかせない。

    その後、サトウキビとキャッサバ畑の中を一直線に延びる国道をバイクで疾走した。
    カンチャナブリーはタイ有数の砂糖キビの栽培地で、周辺には精糖産業が成立している。
    国道を走っていると、砂糖キビを満載したトラックを見かけた。
    砂糖キビの輸送料金は重量計算なので積載量オーバーを承知の上でトラックから山のようなはみ出さんばかりの砂糖キビを積んでいるので、事故も多い。
    登り坂はバイクより遅いが、下りになるとシャブでも打ったかのように加速する。
    バイクの脇をトラックが抜けていく時、風圧でハンドルをとられそうになった事がしばしあって、怖い思いをした。

    カンチャナブリー市内に入り給油をする。
    少しだけ時間があったので、泰緬鉄道の象徴とも言えるクウェー川鉄橋に寄ってみた。
    クウェー川鉄橋は、多くの犠牲者を出した末に完成したので「死の鉄橋」とも呼ばれ、映画「戦場にかける橋」の舞台地になった所でもある事から、今やカンチャナブリーの代表格の観光地である。
    鉄橋周辺には土産物屋やクウェーヤイ川を眺めながら食事のできるレストランが並び、たくさんの人で賑わっていた。
    鉄橋は歩いて渡る事もできる。
    欧米人が多いが中国人も多く、みんなスマホで記念撮影をしていた。
    余談だが、クウェー川を日本人はクワイ川と呼ぶ事があるが、タイ語で「クワイ」は男性性器を意味するのでタイ人の前でクワイ川と言うと、チ〇ポ川になってしまうから注意が必要だ。

    13:55
    少し急ぎ足になったが、バイクを返却。
    2日間で走った距離は約280キロだった。
    これは東京から福島あたりまでの距離となる。
    我ながらよく走ったものだと思う。
    人質として預けたパスポートを受け取り、バスターミナルに向かった。

  • カンチャナブリーからバンコクまで、ロットゥーと呼ばれるミニバスで移動した。<br />安くて速いのだが、乗客が集まらないと出発しないのが難点。<br />※イメージ。<br />━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />⑧<br />過酷だったが、楽しいツーリングが終わった。<br />バイクを返却してバスターミナルに向かう。<br />暑いのでバイクタクシーに乗って行こうとしたのだが、こんな時に限ってバイクタクシーが1台もいなかった。<br />どうでもいい時は、「タクシータクシー!」と言って寄ってくるのに、必要な時に限ってどこにもいない。<br />仕方ないので、太陽が照りつける道をトボトボと歩く。<br /><br />20分ほど歩いて、バスターミナルに着いたのは14:20だった。<br />もう体は汗ビッショリだ。<br />さて、どうやってバンコクに行こうか‥<br />行きに乗った特急バスの他に、ロットゥーと言うワゴン車を使ったミニバスがあった。<br />バスターミナルの軒下に机が並び、その中に‘カオサン通り’行きのチケット売りがいた。<br />ロットゥーなら乗り換えなしでカオサンまで行ける。<br />120バーツ(456円)払ってチケットを買った。<br />チケットは名刺のような物で、1回乗るとスタンプが押され、12回乗ると1回タダで乗れると言う、日本にもあるスタンプカードのような物だった。<br />僕のチケットにもスタンプがひとつ押されたが、生きている間にこのミニバスに12回乗る事ができるのか‥<br />乗客は誰もいなかった。<br />ロットゥーは速くて便利な乗り物だが、乗客がある程度乗らないと出発しない。<br />しばらく発車しそうにないので、コンビニでサンドイッチと缶ジュースを買って昼食にした。<br />その後、乗って来たのは1人だけで、乗客はなかなか増えなかった。<br />時間は15時をまわっている。<br />30分以上待っているが、出発する気配が全くなかった。<br />僕は少し焦り始めていた。<br />今夜乗る寝台列車のチケットをカオサン通りにある旅行代理店で手配していて、チケットを受け取りに行く事になっていたのだが、オフィスは18時までとの事だった。<br />カンチャナブリーからバンコクまで2時間以上はかかる。<br />これから夕方の時間は道路も混んでくるだろうから、もっと時間がかかるだろう。<br />オフィスが閉まればチケットが受け取れなくなり、寝台列車に乗れなくなってしまう。<br />実は2年前、バンコクからタイ南部のラノーンに行く夜行VIPバスのチケットを持っていて、昼間、カンチャナブリーで遊んでからバンコクに戻ろうと乗ったバスが遅い2等バスで、ラノーン行きの夜行バスに乗り遅れた苦い思い出がある。<br />あの二の舞はくらいたくない。<br />その後、ようやく乗客が増えてきて出発したのは15:35だった。<br />1時間15分、待ちぼうけをくらってしまったが、出発してしまえばロットゥーは速い。<br />地元タイ人も急ぐ時はロットゥーを使う。<br /><br />‥<br />しばらく寝てしまった。<br />窓から見える景色は田園風景から都会に変わっていた。<br />やっぱりロットゥーは速かった。<br />特急バスで2時間20分かかったカンチャナブリー~バンコク南バスターミナルの間を1時間50分で来てしまった。<br />「なんとか18時までにカオサン通りに着けそうだな」と思った。<br />しかし、渋滞が名物のバンコクは甘くなかった。<br />市内に入ると道路は混み始め、僕を乗せたロットゥーはノロノロ運転になってしまった。<br />あと少しでカオサン通りなのだが、念のために旅行代理店に電話をすると、少し位なら18時を過ぎてもオフィスを開けておいてくれる‥との事で一安心。<br />ロットゥーはチャオプラヤー川を渡った。<br />川を渡った所がカオサン通り‥なのだが、停まってくれる気配がない。<br />僕はドライバー氏に「ストップ」と言っているのだが、通じていないのか?<br />そのままカオサン通りを通り過ぎてしまった。<br />タイ語で「止まれ」はなんて言えばいいんだ?。<br />指差し会話帳をパラパラめくっているうちに<br />ロットゥーはカオサン通りから離れていく。<br />ヤバいと思った僕は‥<br /><br />「ヘイ.ミスター!ストップ!」<br /><br />狭い車中で荒っぽい大声をあげてしまった。<br />すると、ドライバー氏はこっちを振り向いたので、「降ろして~」とバリバリ日本語で言うと、なんとか理解してもらえたらしく車を停めてくれた。<br /><br />幸いな事に降ろしてもらった場所は、カオサン通りから歩いて5分位の所であった。<br />すると18:00の時報が鳴った。<br />路上のスピーカーからタイ国歌が流れ、歩いている人がみんな静止している。<br />タイでは朝8時と夕方6時にタイ国歌が流れ、公の場所で国民は起立し静止する。<br />国歌が終わると、何事もなかったかのように静止していた人々は動き出す。<br />タイならではの光景だ。<br />今夜は寝台列車に乗ってラオスに向かう。<br />タイ国鉄の寝台列車は人気があり、特に寝台の下段は当日では確保しにくい。<br />以前はタイ国鉄のサイトでネット予約ができたのだが、時代の流れに反してネット予約はできなくなってしまった。<br />そこで、アンコールサワディツアーと言う旅行代理店に手配をお願いした。<br />アンコールサワディツアーは日本人が経営しており、日本語で対応してくれたのは言葉が不自由な僕にとってどんなに助かった事か。<br />カオサン通りのメイン通りから外れた路地裏のゲストハウスの一角がオフィスだった。<br />世界中を渡り歩いて、そのままバンコクに居座ってしまったようなバックパッカー風の好青年が対応してくれた。<br />寝台列車のチケットを無事に受け取った。<br />駅に向かうとしよう。<br /><br />つづく。

    カンチャナブリーからバンコクまで、ロットゥーと呼ばれるミニバスで移動した。
    安くて速いのだが、乗客が集まらないと出発しないのが難点。
    ※イメージ。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    過酷だったが、楽しいツーリングが終わった。
    バイクを返却してバスターミナルに向かう。
    暑いのでバイクタクシーに乗って行こうとしたのだが、こんな時に限ってバイクタクシーが1台もいなかった。
    どうでもいい時は、「タクシータクシー!」と言って寄ってくるのに、必要な時に限ってどこにもいない。
    仕方ないので、太陽が照りつける道をトボトボと歩く。

    20分ほど歩いて、バスターミナルに着いたのは14:20だった。
    もう体は汗ビッショリだ。
    さて、どうやってバンコクに行こうか‥
    行きに乗った特急バスの他に、ロットゥーと言うワゴン車を使ったミニバスがあった。
    バスターミナルの軒下に机が並び、その中に‘カオサン通り’行きのチケット売りがいた。
    ロットゥーなら乗り換えなしでカオサンまで行ける。
    120バーツ(456円)払ってチケットを買った。
    チケットは名刺のような物で、1回乗るとスタンプが押され、12回乗ると1回タダで乗れると言う、日本にもあるスタンプカードのような物だった。
    僕のチケットにもスタンプがひとつ押されたが、生きている間にこのミニバスに12回乗る事ができるのか‥
    乗客は誰もいなかった。
    ロットゥーは速くて便利な乗り物だが、乗客がある程度乗らないと出発しない。
    しばらく発車しそうにないので、コンビニでサンドイッチと缶ジュースを買って昼食にした。
    その後、乗って来たのは1人だけで、乗客はなかなか増えなかった。
    時間は15時をまわっている。
    30分以上待っているが、出発する気配が全くなかった。
    僕は少し焦り始めていた。
    今夜乗る寝台列車のチケットをカオサン通りにある旅行代理店で手配していて、チケットを受け取りに行く事になっていたのだが、オフィスは18時までとの事だった。
    カンチャナブリーからバンコクまで2時間以上はかかる。
    これから夕方の時間は道路も混んでくるだろうから、もっと時間がかかるだろう。
    オフィスが閉まればチケットが受け取れなくなり、寝台列車に乗れなくなってしまう。
    実は2年前、バンコクからタイ南部のラノーンに行く夜行VIPバスのチケットを持っていて、昼間、カンチャナブリーで遊んでからバンコクに戻ろうと乗ったバスが遅い2等バスで、ラノーン行きの夜行バスに乗り遅れた苦い思い出がある。
    あの二の舞はくらいたくない。
    その後、ようやく乗客が増えてきて出発したのは15:35だった。
    1時間15分、待ちぼうけをくらってしまったが、出発してしまえばロットゥーは速い。
    地元タイ人も急ぐ時はロットゥーを使う。


    しばらく寝てしまった。
    窓から見える景色は田園風景から都会に変わっていた。
    やっぱりロットゥーは速かった。
    特急バスで2時間20分かかったカンチャナブリー~バンコク南バスターミナルの間を1時間50分で来てしまった。
    「なんとか18時までにカオサン通りに着けそうだな」と思った。
    しかし、渋滞が名物のバンコクは甘くなかった。
    市内に入ると道路は混み始め、僕を乗せたロットゥーはノロノロ運転になってしまった。
    あと少しでカオサン通りなのだが、念のために旅行代理店に電話をすると、少し位なら18時を過ぎてもオフィスを開けておいてくれる‥との事で一安心。
    ロットゥーはチャオプラヤー川を渡った。
    川を渡った所がカオサン通り‥なのだが、停まってくれる気配がない。
    僕はドライバー氏に「ストップ」と言っているのだが、通じていないのか?
    そのままカオサン通りを通り過ぎてしまった。
    タイ語で「止まれ」はなんて言えばいいんだ?。
    指差し会話帳をパラパラめくっているうちに
    ロットゥーはカオサン通りから離れていく。
    ヤバいと思った僕は‥

    「ヘイ.ミスター!ストップ!」

    狭い車中で荒っぽい大声をあげてしまった。
    すると、ドライバー氏はこっちを振り向いたので、「降ろして~」とバリバリ日本語で言うと、なんとか理解してもらえたらしく車を停めてくれた。

    幸いな事に降ろしてもらった場所は、カオサン通りから歩いて5分位の所であった。
    すると18:00の時報が鳴った。
    路上のスピーカーからタイ国歌が流れ、歩いている人がみんな静止している。
    タイでは朝8時と夕方6時にタイ国歌が流れ、公の場所で国民は起立し静止する。
    国歌が終わると、何事もなかったかのように静止していた人々は動き出す。
    タイならではの光景だ。
    今夜は寝台列車に乗ってラオスに向かう。
    タイ国鉄の寝台列車は人気があり、特に寝台の下段は当日では確保しにくい。
    以前はタイ国鉄のサイトでネット予約ができたのだが、時代の流れに反してネット予約はできなくなってしまった。
    そこで、アンコールサワディツアーと言う旅行代理店に手配をお願いした。
    アンコールサワディツアーは日本人が経営しており、日本語で対応してくれたのは言葉が不自由な僕にとってどんなに助かった事か。
    カオサン通りのメイン通りから外れた路地裏のゲストハウスの一角がオフィスだった。
    世界中を渡り歩いて、そのままバンコクに居座ってしまったようなバックパッカー風の好青年が対応してくれた。
    寝台列車のチケットを無事に受け取った。
    駅に向かうとしよう。

    つづく。

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