2015/02/07 - 2015/02/13
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ソフィさん
2015年2月8日 4 復興著しいシェムリアップ郊外で歴史を想う
午後訪ねたバンテアイスレイは、アンコールワットより古い、宗教遺跡。
シェリムアップからバスの移動だったが、初めて見るカンボジアの田舎が興味深かった。
カンボジアは、ベトナム戦争の末期アメリカの爆撃に会い、投下された爆弾は第二次世界大戦で日本が被った3倍と言われている。
またその後の内戦で殺された人数は、数百万人のオーダー、総人口の10%を遙かに超える数。
地雷は至る所に埋められ、四肢を失う人が続出する。
そうした経緯で農地は荒らされ、コメの生産量は数十分の一に縮小した。
こんなに荒らされた風土が、どれほど回復しているだろうか。
「平和は戻って、最近十年ほどで地雷は撤去され、電気や水道などのライフライン工事が進んでいる」
現地のガイドさんの話を、自分の目で確かめたい。
シェムリアップの以前からの街並みを出たあたりから、道路が立派になり、左右に大きな建築現場が目立ち始める。
新しい街づくりの一環で、市役所の建物も出来上がりつつある。
いくつかのホテルが、竣工後の妍を競うように、建てられつつある。
「最近この新開地に街灯が明るく灯るようになって、近くの人々がその下で、日本の花見のように騒ぐのが目立つ」
ガイドさんはこの話を繰り返し、この街の復興ぶりや、そのスピードを誇る。
この街の平和さを知ってもらい、「もっと見に来てほしい」と、我々に訴えているのだ。
もう少し町から遠ざかると、静かな田舎の風景が広がった。
あばら骨が目立つほどやせた牛が放たれ、道や周辺の荒地をうろついている。
とても珍しい風景で、見つけるたびにバスの人たちが指差していたが、やがて見慣れた。
貧しそうに見える集落が点在するが、ガイドさんは「ここの人たちは、貧しい中にも不自由を感じず、幸せです」
気候に恵まれていて、生きる上での不安がないという。
そうならば、アンコールワット以前から、なぜ人々は争ったのだろうか。
これが私の素朴な疑問だった。
その答えのヒントは、富ではなかったろうか。
大地の生産性が高く、生きるために必要な以上の富を生んだのかも・・・。
あるいは海のシルクロード上にあって中継基地となり、豊かさをもたらせたのかも・・・。
インドとシナ、二大文明の狭間にあって、この地区は想像を絶する反射光を放ったかも知れない。
山間地に少数民族がそれぞれの文化を競っい合ったことも、見逃せないだろう。
それらを統一、統率できる力が足りなかった可能性もある。
バンテアイスレイは、詳しく見たわけではないが、人間の楽観性のシンボルのように感じた。
観光中聞こえ続けた美しく涼やかな奏では、クメール音楽。
遺跡背後の木陰に、10人余りの演奏者が奏でてくれている。
私はその一群に近づき、お礼の気持ちを含め、少額の寄付とともにCDを一枚買った。
立ち去る私に対する、真剣な感謝のまなざしが印象に残る。
CDの裏を見ると「地雷被害者楽団」と書いてあった。
2015.2.24片瀬貴文記
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
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