ウラジオストック旅行記(ブログ) 一覧に戻る

プチェラーマーヤのぼうけん(5)

1いいね!

1990/09/01 - 1990/09/01

787位(同エリア813件中)

0

0

JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

■ライフスタイルはフレンチシック

 テレビ、ビデオ、冷蔵庫、洗濯機、CDラジカセ、電子レンジ、電気鍋、炊飯器、電気ポット、などの文明生活必需品を日本から持ち込んだ。2部屋プラス玄関ホール、バストイレが、私の領域だ。ベッドカバーとカーテンはフリルの付いた赤いサテン地で、壁紙は黄緑色だった。じゅうたんも赤かった。ロシア人は本当に赤が好きだ。どこの家もだいたい部屋の中は赤っぽい色だ。寒い国だからだろうけれど、私は何としてでも模様替えをしたかった。家具の配置も全部変えた。大型の家具は男の子達に運んでもらったが、その他はほとんど自分でやった。掃除をしてくれていたマリヤが、毎日どんどんかわっていく部屋に驚いていた。海をイメージしたバスルームにはクジラの絵をタイルー面に描いてしまった。鏡の木枠にも幾何学模様をペイント、ペパーミントグリーンのバスルームができあがった。トイレも同色で、もらった花をドライフラワーにして、小さい香水ビンをおいていた。全体のテーマはフレンチシック。

 人生において大切なことは、快適に生活することである。日常生活が快適に行われて初めて、仕事もうまくゆくものである。ウラジオストックでも、私のライフスタイルで押し通すつもりでいた。「郷に入っては、郷に従え」という諺があるが、それもある程度までである。

 自分のスタイルとその土地の文化風習の双方をうまくミックスさせて、はじめてその意味があるのだ。

 キッチンがないのが玉に傷ではあったが、バスルームとリビングルームをうまく利用した。あとは慣れるものである。快適な私のウラジオ生活が始まった。

■AS lN ROMA, DO AS…

 ホテルから会社までは1キロ位だろうか。どちらも中心地にあり、便利だった。毎朝、運転手がホテルの部屋までノックしに来る。運転手付きなのだ。日本時間にあわせて、ロシア人社員より少し遅めに出社していた。帰りも車があったが、買い物をするために、歩いて帰っていた。行き帰りとも車だと、全く歩くことがない。外の世界と無縁になってしまう。ウラジオストックにいながら、街を全然知らない駐在員も多いのだ。日本人ビジネスマンが狙われる、というのも理由の一つだろう。

 狙われないためには、まず、いかにも外国人という格好はしないこと。外貨ショップや高級レストランに常時出入りしないこと。目立たない事である。こういうところでは、郷に入っては、、、の諺に従うべきである。ロシア人と同じ様に生活をすることが、自分の身を守る事につながるのである。あるいは、まったく一人歩きをせず、リスクを侵さないかである。

■ああ津軽海峡冬景色

 私の上司は、ホテルの隣の部屋に住んでいた。仕事で精一杯だったのかもしれないが、とても出不精で買い物を全くしない人だった。缶詰とインスタント生活だった。料理もやったことがないらしい。はじめのうちは、かわいそうでついでに食料を買ってあげていたが、ここまでする必要があるのだろうか、と思う様になり、やめてしまった。かわいそうだったが、私生活までめんどうみられない。わりきることにした。

 ホテルの隣同士で、独身女性の華やかな生活と、料理の出来ない男の一人暮らしという、明暗に分かれた。留学時代の友人もたくさんいて、いつも来客でにぎやかだった私の部屋に比べて、隣の部屋からは、いつもうら悲しい演歌が闘こえてきていた。窓から見えるアムール湾も、サンフランシスコの海と津軽の海に分かれた。私生活では、忍の一字だったろう。日本人ビジネスマンはこうやって外国でがんばっているのである。仕事以外に生活そのものに苦労している人が多いようだ。料理の出来る人とそうでない人で明暗に分かれるようだ。趣味のあるなしも重要な要素だ。本質的に外向的でない人は、一層苦労が多いかもしれない。

 駐在者にもいろんな人がいて面白かった。世界を飛び歩くビジネスマン、かっこいいというイメージが強かったが、現地で彼らの姿を見て、みんな頑張っているんだ、と思った。この人達に支えられているのだ、企業のなかで先端をゆく人達なのだ。技術者の人達もユニークだった。料理をすればプロ並みという人もいて、その人が出張して来るのを心待ちにしていたりした。と、思えば、男の大胆料理というかなんというか、スケソウダラをまるごと一匹とインスタントラーメンを煮込んだという恐ろしい料理をご馳走になったこともあった。上司も少しずつ慣れてきて、乾燥ほうれん草とコーンビーフを妙めて、焼肉のたれをぶっかけた料理を考案し、喜んでいた。しかし、「切って、妙める」この枠を越える事はなかった。レストランが期待出来ないウラジオストックでは自炊が絶対条件なので、出張者もごっそり食料と鍋を持参していた。とにかく普通の外国ではないのである。それだけに駐在者の苦労も大きいのだ。英語が通じない事が多いので、言葉の面でも大変だ。

■ヘビースモーカー

 ロシアでは、職場で喫煙してはならないと、法律で定められている。もちろん吸ってしまう人もいるが、同室の人から反対されればやめなければならない。何しろ法律で定められているのだから。私の上司は大変なヘビースモーカーで、たばこをくわえていない姿を見るのは、飛行機の中か、エレベーターの中ぐらいのものだった。設立当初、我社に与えられたのはたった1部屋だった。私を含めて女性は当時2人だった。私は、たばこの煙にそなえて、マスクを持参していたが、もう一人の女性の猛反対により、喫煙者は別室での喫煙をよぎなくされた。たばこを吸えないと、考えごとが出来ないようで、上司はいつもいらいらしていた。かわいそうだったが、ありがたかった。日本でも、会社によっては全館禁煙になっているが、法律で定められているとは、ロシアは進んでいるな、と思った。女性、子供の前での喫煙は、日本よりも断然気を使うようだ。以前、ロシア人はよくたばこを吸うな、と思ったが、実のところ日本人の方がずっと多く吸っているに違いない。日本人も、早く本当の意味でのエコロジー感覚、及び、あたりまえのエチケットをわきまえて欲しいものだ。

■契約書差し替え事件

 少し遅れて入社したロシア人秘書は、気の強い人だったが、味方にするととても頼りになる人だった。なあなあで女性の地位が下がってしまうのをとても恐れているようで、客人や上司に対してはお茶を出したが、平社員のお客等にはお茶も出さない徹底さであった。見かねて、ついお茶を出してしまう私に、「そんなことをするから、ずるずるとあなたの仕事になっていくのよ。最初は親切心でも、そのうちあたりまえになってしまうわよ。最初が肝心、男は甘やかしてはいけないのよ。」。理屈ではわかってはいても、なかなか実行出来ない。強いというか、なんというか、、、。そのわりには、雇用条件に、「結婚したら退社する」条件を社長から言い渡されたらしい。それにサインしてしまったのだから、ちょっと首をかしげてしまう。コネなしでは、何も出来ないロシア、要するに平等という言葉は辞書にはないのである。雇われる側はとても弱いということか。

 入社して半年か、一年かたったところで、一寸した事件が起こった。「雇用契約条件がまちがっていたので契約書の一部を差し替えました、これはあなたの控え用の契約書です。」要するにお給料が少し下がるという内容で、契約書の2枚目か3枚目でサインの無いところだったので、そのまま差し替えろというのだ。ロシア人社員はおとなしく差し替えているようだったが、私には納得いかなかった。契約書というのは、そんなものではないのだ。サインした後で、内容を変更するなんて。そんなばかな!私のがんばりでみんなの給料が下がる事はなかった。出張から帰った日本人上司に報告したら、やっぱりあきれていた。本当の資本主義感覚が一般市民に伝わるのはまだまだだな、という感じである。全く違う世界だとわりきって考えると面白かった。が、実際仕事をする上では大変である。世界の常識が通用しない、ここは世界の外側なのである。

(つづく)

この旅行記のタグ

1いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

ロシアで使うWi-Fiはレンタルしましたか?

フォートラベル GLOBAL WiFiなら
ロシア最安 422円/日~

  • 空港で受取・返却可能
  • お得なポイントがたまる

ロシアの料金プランを見る

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

PAGE TOP