2014/07/09 - 2014/07/09
28位(同エリア133件中)
玄白さん
今日(7月9日)は、知床への移動途中、神の子池、さくらの滝、釧網本線北浜駅、小清水原生花園を巡る一日です。神の子池は、摩周湖の北4kmのところにある周囲200mほどの小さな池ですが、摩周湖外輪山の伏流水が湧き出し透き通った青い水を湛え、湖底に沈んでいる倒木が幻想的な雰囲気を醸し出している美しい池です。
さくらの滝は、以前は名前すら付いていなかった落差3〜4mの小さな滝ですが、6〜7月にはオホーツク海から戻ったサクラマスが産卵のため遡上し、滝を乗り越えようと何回も跳躍する姿を見ることができるところです。あきらめることなく、失敗しても何度でも跳躍するサクラマスを見ていると感動すら覚えます。
北浜駅は、オホーツク海の波打ち際から20mしかないところにある旅情たっぷりの小さな駅です。映画「網走番外地」のロケに使われました。駅舎の中に「停車場」という軽食・喫茶の店があり、ここのホタテカレーが絶品。
オホーツク海と濤沸湖(とうふつこ)に挟まれた8kmに及ぶ砂丘にある小清水原生花園は、普段は緑一色の単調な草原だが6〜7月には野生のハマナス、エゾスカシユリなどが一斉に咲き、短い夏の華やぎに包まれています。
なお、今回の北海道旅行の概略スケジュールは以下の通り。
7月1日〜2日 フェリーさんふらわーさっぽろにて大洗港→苫小牧港
道央自動車道経由で旭川へ ビジネスホテル1泊
7月3日〜5日 半日、旭山動物園でかわいい動物達に癒され
美瑛をうろついて美しい丘の風景撮影、大雪山旭岳登山
レンタルハウス「絵織の丘」で自炊生活3泊
7月6日〜7日 富良野の花々、星野リゾートトマムでゴルフと
のんびりリゾートライフ2泊
7月8日 屈斜路湖、摩周湖周辺観光、川湯温泉1泊
7月9日〜11日 ウトロに滞在して知床の大自然満喫、 民宿3泊
7月12日 午前中、知床五湖散策、午後、鶴居村へ移動
ホテルTAITO1泊
7月13日〜14日 釧路湿原散策 湿原の中心部キラコタン岬へのガイドツアー
餌付けされていない夏のタンチョウの姿を観察
釧路市内ビジネスホテル2泊
7月15日 苫小牧へ移動、途中池田ワイン城立寄り、船中泊
7月16日 午後、大洗港着、帰宅
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 自家用車
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いきなり、神の子池登場!
川湯温泉からは直線距離にすれば7km程度の近くなのだが、道がないので国道391号を小清水方面に20kmほど行き、道道805号泉、1115号線を裏摩周展望台に向かって10kmほど走って大回りしなければならない。途中、看板が出ているので、未舗装の細い道を登って行くとたどり着ける。目印になるようなものや電話もないので、自分の車のカーナビはマップコードでセットするしかなかった。
(参考 神の子池のマップコード 910216104*34)
当然、ヒグマの生息地なので他に見物客がいないようなときは、熊よけの鈴を持つのが安心だ。 -
イチオシ
わりと広い無料駐車場がある。駐車場から池に行く歩道の入口に看板が立っていて、
「この池は摩周湖(カムイトー=神の湖)の伏流水からできているという言い伝えで「神の子池」と呼ばれています。神の子池の伏流水は一日12,000トンも湧き出ており・・・」というような説明書きが書いてある。
しかし、実際には水質調査の結果によると、摩周湖の水が直接湧き出ているのではなく、湖北側の外輪山に降った雪解け水と雨水が湧き出しているということが判っている。外輪山でも摩周岳(カムイヌプリ=神の山)の伏流水ではない。それゆえ、残念ながら本当は”神の子”の池ではない。
なぜか、この池にはアイヌ語の名前がない。昔は深い原生林の中にあり、アイヌの人達は、この池の存在を知らなかったのかもしれない。 -
神の子かどうか屁理屈は置いておくとして、この透き通ったブルーは、今回の旅で見た美瑛の青い池ともオンネトーとも違うブルーである。強いて言えば、4年前に見た白神山地十二湖のひとつ、青池の色に近いかな。
伏流水が湧き出ている湖底は水深5mあるが、透明度が高いのと水面の屈折作用により、浅く見える。沈んでいる倒木は腐ることがないそうだ。
年間を通じて水温は8℃と一定で岩魚の一種、オショロコマが生息している。残念ながらオショロコマが泳いでいるところは見られなかった。 -
非常に透明度が高く、それゆえ深い湖底から湧き出す水が青く見えるこの池に神秘性を感じる人も多いのであろう。
そのため、ここが北海道のパワースポットだと喧伝する輩が居て、なにか神仏に祈り御利益を期待して賽銭を投げ入れるヤツがいるのだろうか、コインを投げ入れるなという立て札が立てられていた。そんな事をして貴重な自然にダメージを与えて欲しくないものである。 -
神の子池の水は札弦川(さっつるがわ)という斜里川の支流に流れ込み、オホーツク海に向けて長い旅に出る。
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次にさくらの滝に向かう。ここもわかりにくい場所にある。神の子池から道道1115線を戻り、釧網本線の緑駅の手前3kmくらいのところにさくらの滝を示す看板がでているので、そこを右折して道なりに4〜5km走るとさくらの滝駐車場がある。ここもカーナビのセットはマップコードに頼った。
(参考:マップコード 444 228 430*88)
ここもヒグマ出没地域である。 -
駐車場から、いつヒグマが出てもおかしくないような森の小道を50mほど行くと、落差3〜4mの小さな滝がある。
なんの変哲もない、山間部に行けばどこでも見られそうな堰堤のような滝であるが・・・ -
じっと滝を見ていると、1分に1〜2回、魚が滝を飛び越えようとジャンプをするのが見られる。
川を下って海に出たヤマメが鮭のように大きな体に成長し、産卵のために古巣の川に戻ってきているのである。海に出たヤマメはサクラマスとよばれる。
なお、この滝は堰堤ではなく、自然の滝である。 -
このサクラマスの滝登りで、この滝はちょっとした観光スポットになっている。10年前まで無名だった滝の名前を清里町が公募し、「さくらの滝」という名前になった。もちろん、桜ではなく、サクラマスのサクラにちなんだものである。毎年6月上旬から8月上旬まで滝登りが見られるという。
1時間ほど、サクラマスの滝登りの撮影と観察をしていたが、この間、5組の観光客、カメラマンが来ていた。 -
滝の半分に日が当たっているのだが、日向でジャンプするサクラマスはおらず、みんな日陰の方でジャンプしている。
滝壺から大きくジャンプし、滝を乗り越えようとするのだが・・・ -
大部分、滝の途中で落下してしまう。もう少しで滝の上に行けそうなジャンプを見せるのもいるが、多くは滝の半ばで着水してしまう。
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オット、バランスを崩し、横向きになってしまった。
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イチオシ
1時間ほど観察して延べ100匹くらいはジャンプしただろうか。一匹たりとも成功して滝の上に登れたサクラマスはいなかった。恐ろしく成功率が低い。
数百匹に1匹くらいは、滝登りに成功するのだろうか。滝登りに挑んでいるサクラマスたちも、彼らの親が滝の上流で産卵し、そこで孵化したので、その場所を覚えていて本能に従って自分が生まれた場所で産卵しようと必死なのである。来る日も来る日も滝登りに挑み続けるのであろう。 -
自分が生まれた場所で産卵して新しい命に繋ぎ、産卵を終えれば自らは死んでいく。そのためだけに、失敗しても何度でもあきらめることなくジャンプを繰り返すサクラマスを見ていると、そのがんばる姿、健気さに感動を覚える。なにか、崇高なものとさえ感じる。
最初は撮影に夢中だったが、そのうち、サクラマスに感情移入し、一匹でも滝登りに成功しろと応援するような気持ちになって、滝登りを見ていた。たぶん成功すれば、思わず拍手をしていたに違いない。 -
イチオシ
そんな感動的なサクラマスの滝登りを見たあとは、オホーツク海沿岸に出て、ドライブを続ける。
まずは、釧網本線の北浜駅に行って見る。途中、オホーツク海と濤沸湖の間に広がるどこまでも平らな草原には馬が放牧されている。いかにも北海道らしい景色だ。 -
イチオシ
北浜駅。オホーツク海に最も近い駅である。
高倉健主演の映画「網走番外地」の中で網走駅として登場する駅である。その後も幾多のドラマや映画のロケで使われたそうだ。
オホーツク海の傍の古びた駅舎は、北の果ての旅情をそそそる雰囲気たっぷりで、ロケにも使いやすいのだろう。 -
ただし無人駅ではない。昔の国鉄職員の事務室だったところが、「停車場」という名の軽食・喫茶の店になっている。
「停車場」のオーナーがJR北海道の駅務代行をしている。 -
待合室には、壁や天井いっぱいにここを訪れた旅行者の名刺や切符が張られている。どういう経緯で、こんなことが行われるようになったのかは、よくわからないが、ちょっとした観光スポットになっていることは確かだ。
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待合室からもオホーツク海が見える。浪打際まで20mほどしかない。オホーツク海が荒れたときには、波しぶきが駅まで届きそうだ。
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駅のホーム側に出てみた。改札口はないので、自由に出入りができる。
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ホームの端にあるミラー。ワンマン列車なので、運転士が乗降客の確認のために使うものだ。
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網走側のホームの端に展望台が設えられている。流氷を眺めるために作られたものだろう。
今度は冬に訪れて流氷を見てみたい。 -
イチオシ
展望台に上がってオホーツク海を眺めていると、予定時刻ちょうどに11:51発の網走行きの列車が入ってきた。
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ここから4つ目の駅が終点網走である。
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「停車場」でランチ。北浜駅を訪れたのは、オホーツク海に一番近い旅情たっぷりの駅を見てみたいということもあるが、もうひとつの狙いは、ここのホタテカレーを味わうこと。
ここのホタテカレーは絶品だという評判なのである。 -
停車場の客席部分は昔の列車の客席を使っている。
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天井には列車の網棚がそのままになっている。
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座席に座っていても、オホーツク海がよく見える。
列車のボックス席の座席に座ってカレーが出来上がるのを待っている間、鈍行列車で旅をしている気分になれる。 -
出てきた、出てきた! ホタテカレー
ホタテの貝柱が5個、ごろごろと入っている。ホタテの出汁がきいていて評判に違わず、美味だった。¥950なり。 -
北浜駅を出て斜里方面に引き返す。途中にある小清水原生花園に立寄る。40種類以上の花をつける植物が自生している天然の花園である。
ちょうど今の時期は、エゾスカシユリ、ハマナスなどの花が咲き、一年で一番美しい時期である。 -
原生花園はオホーツク海と濤沸湖にはさまれた砂丘の草原で、長さ8kmに及ぶ。釧網本線が原生花園を貫いている。遊歩道が整備されていて見ることができるのは、原生花園駅の回りだけである。
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ログハウス風のかわいらしい駅舎の原生花園駅。ここにも、北浜駅と同様、店が入っている。後で覗いてみることにしよう。
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砂丘の斜面にエゾスカシユリ(オレンジ色)とエゾキスゲ(黄色)が咲いている。
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エゾキスゲ。ニッコウキスゲとそっくりの花だ。
夕方に咲き始め、翌日の午後まで咲くという性質がある。 -
エゾスカシユリ。
小清水町の町花である。アイヌの人たちは、根っこを掘り起こし鱗茎を食用にしていたそうだ。 -
ハマナス。
森繫久弥作詞作曲の「知床旅情」の歌詞の冒頭にも登場し、オホーツク海沿岸の旅情と結びつけてイメージされる有名な花である。
実際には、北海道だけでなく、日本海側は島根県、太平洋側は茨城県の砂浜に自生している。しかし、最近では自生しているハマナスは減少していて、園芸用に品種改良されたものが園芸店で出回っている。 -
エゾスカシユリとハマナス
かすんで見える山は斜里岳 -
エゾスカシユリの群生
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濤沸湖遠望
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ヒロハクサフジ
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エゾカワラナデシコ。普通のカワラナデシコと外見上は区別がつかない。北海道の植物にはやたら、エゾ○○○と言う名前のものが多い。
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イチオシ
ハマナスとオホーツク海
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ハマナス
背後にはエゾスカシユリの群生 -
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イチオシ
マルバトウキかな?
蜜を吸いにきた虫がホバーリングしている。 -
ハマエンドウ
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イチオシ
エゾスカシユリの群落
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アップで撮影
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エゾノカワラマツバ
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エゾノカワラマツバ
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原生花園の前に東西14kmに渡って拡がっている砂浜は、日本最北端の鳴き砂の浜である。
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海辺まで足を延ばす人はおらず、オホーツク海を独り占めの気分。
砂の上を歩いてみると、確かにキュッ、キュッと鳴った。 -
遊歩道を駐車場の方に戻りながら、しつこく花の撮影を続ける
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今の時期の原生花園では20種類以上の花がみられるそうだが、実際に見ることができた花は、ハマナス、エゾスカシユリ、エゾキスゲ、ハマエンドウ、エゾノカワラマツバ、マルバトウキ、ヒロハクサフジの7種類。ゆっくり、時間をかけて探せば、もっと色々な花を見つけられたかもしれないが、これだけ見られれば良いだろう。
なにより、自然のままの姿が良い。 -
次の網走行きの列車が駅に到着した。
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列車を見送ったあと、駅舎の中に入ってみる。
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そこはクレープハウスというケーキ屋であった。「苺の丘こうも」という苺のハウス栽培をしている地元の農業法人が経営する店で、苺を使ったスィーツがメイン。
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苺の絞りたてジュース。
玄白は苺があまり得意ではないのでパス。 -
隣りの浜小清水駅&道の駅「葉菜野花(はなやか)」の敷地内に本店があり、「そこの苺クレープがおいしいですよ!」という店員のセールストークに乗せられた連れ合いがそちらにも行ってみたいと言い出した。
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クレープハウス本店
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苺のクレープ ¥432也。
連れ合いがクレープを注文し食べている間に、近くの展望台に行ってみる。 -
美瑛の北西の丘展望台とそっくりのピラミッド型の展望台である。
観光客は誰もいない -
展望台の眺め。網走方面。
オホーツク海と濤沸湖に挟まれた砂丘がはるかかなたまで続いている。ここも小清水原生花園の一部なのだろうが、このあたりはあまり花が咲いていない。 -
斜里方面の眺め。靄っているが、うっすら斜里岳が見える。
JR浜小清水駅と道の駅は建物が一体になっている。 -
連れ合いのおやつタイムが終わったので、一路ウトロへ。
途中、オシンコシンの滝に立寄る。 -
国道334号沿いにあって、アクセスが簡単なので、観光バスもひっきりなしに来る観光スポットになっている。
落差80m、幅30mだが、滝の途中まで階段で登って間近で眺められるので、なかなか迫力が感じられる滝ではある。 -
岩肌を斜めに流れる滝は美滝でもある。日本の滝100選にも選ばれている。
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20分ほど、滝見物をしたあとは、今宵の宿、ウトロの「民宿たんぽぽ」へ。
知床のような”僻地”では、中途半端にホテルに泊まるより、民宿の方が安くておいしい料理が期待できるので、今回は迷わず民宿にした。屋久島に行ったときの教訓を活かしたのである。
以下、北海道旅行記(12)に「続く。
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