2014/07/20 - 2014/07/27
157位(同エリア926件中)
極楽人さん
トスカーナの丘、凝灰岩の断崖にそそり立つ孤高の村々。ローマからもフィレンツッエからも決して遠くないが、アクセスが悪くてなかなか行き着けない。ここは文句なしの秘境、絶景である。
数年前オリビエートに滞在した折には断念した。今回はその再チャレンジになる。
ピティリアーノへの入り口となるグロッセートに1泊、ピティリアーノに3泊して周辺の村を周ったあと、ローマに1泊してトルコ航空便で帰国の途についた。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 15万円 - 20万円
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス
- 航空会社
- ターキッシュ エアラインズ イージージェット
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
LCCでアテネからローマへ。
12:25 フェウミチーノ空港到着。出発が一時間遅れたため、余裕の筈の列車への接続がきつくなった。喧騒のローマはパスしてグロッセート直行をめざすが、列車はTERMINI(ローマ中央駅)で乗り換えとなる。次の列車まで、ごった返しの駅で3時間ほど時間を潰した。 -
ローマ・テルミニ駅から普通列車で約2時間、ティレニア海に面した古都グロッセートには夕方到着した。旧市街は中世の香り漂う堂々の建築物。メジャーな観光地ではないため人通りも少なく、静かで落ち着いた雰囲気を保っている。
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荘厳な大聖堂、華麗な市庁舎広場。16世紀に建設された城壁は今も無傷のまま街を囲んでいる。高い場所から眺めてみたいが、街に2本ある尖塔はどちらも開放されていなかった。
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ここを出発点に選んだのは、街の魅力もさることながら、ピティリアーノへのバス便が少なくとも1日3便確認できたことによる。シエナやヴィテルボを経由するよりはるかに都合がいい。
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11:30 この日2本目のピティリアーノ行きバスが駅前から出発する。
幸運にも直行便だったが、不運な場合は3本乗り継ぐことになり、その覚悟はしていた。 -
バスは30分ほど海沿いを南下してアルビーニャの町へ。
そこから東に進路を変えて、トスカーナの丘陵地帯へと踏み込む。 -
グロッセート出発から1時間40分、最後のカーブを曲がると、左の車窓にいきなりピティリアーノが全貌を現す。もっともこのときは激しい雷雨でよく見えず、写真はその後に雨上がりのバス道路を歩いて戻ったときのもの。
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圧巻の光景、思わず息を呑む。しばらく動けない。
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「………」
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町へは一本道。古い石橋を渡って、
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急坂を登りつめると、
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ここが入り口。
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バスが止まるのもここ。ピティリアーノ中央。
時刻表では PITIGLIANO C.leと記載される。 -
汚れ具合がまたいい。壁のシミは生活が描き出した名画の一部だ。
不便をいとわず暮らし、町を維持してきた人々に敬意を表したい。 -
ローマ風の巨大な水道橋(15世紀建造)が町に独特のアクセントをつけている。
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そのお陰か、広場や道端のあちこちに噴水や水飲み場が。
旅行者のためのインフォメーションも、この広場の端にある。ほとんどがイタリア国内からの旅行者だ。外国人はたまに旅好きのドイツ人くらいで、アジア系はまずお目にかからない。めずらしいから「昨日、ソラーノであんたを見たよ」などと声をかけられる。悪いことはできない -
ピティリアーノは、短靴の形をしている。バスが止まったのは、ちょうど"かかと"のあたりだ。
気候はいわゆる高原型で、ローマあたりより3℃ほど低くて涼しい。天気は安定せず、滞在中は昼ごろにひと雨来ることが多かった。 -
広場から町の先端まで、3本の道が平行している。
町中は比較的平坦で、上り下りに苦労することも少ない。 -
ただ、時おりのぞく路地には、やっぱり起伏が。
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こちらは下り。
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「ビアンコ・ディ・ピティリアーノ(Bianco di Pitigliano)」という極上の白ワイン産地でもある。後に訪れるソラーノもそうだが、やわらかい凝灰岩は洞窟が掘り易く、家々の地下はワインに適した常温8℃の貯蔵庫となっているそうだ。
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それで、ワイン屋さんが多い。
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ここも。
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ユダヤ礼拝堂の地下も、ご覧の通り。
かつて、キリスト教の迫害を避けてこの地に移り住んだ名残りのシナゴーグ。「イタリアのエルサレム」と呼ばれた時期もあったという。入場5ユーロで、ラビ(ユダヤ聖職者)の黒い帽子を被って見学する。帽子はデポジット1ユーロ。 -
バス道路を戻らなくても、全景を見渡せるが場所がある。
停留所から少しあがった崖沿いが、格好の公園になっている。 -
ここが気に入って何度か来てみたが、いつも地元の老人たちと鉢合わせになった。木陰のベンチで、何を話すともなく集い合っている。この町で生まれていたら、確実にあの仲間だった。
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夜は、控えめなライトアップ。
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さて、町の反対側はどうなっているのか。
これがなかなか、いい場所が見つからなかったのだが・・・
家並みの切れ目にある空き地から、一部分だけ見える。 -
同じ場所、夕暮れ。
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さらに進むと、SOVANAへ向かう道路の脇にそれらしい公園跡への上り口を見つけた。
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ここがベストポイントらしい。
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宿泊した宿(ピンクの建物)は、その公園の近く。
町から300mほど離れているだけだが、"郊外"の雰囲気に満ちていた。
写真の道路の先がピティリアーノの中心、戻る方向に進めば隣村ソヴァーナにたどり着く。 -
宿は家族経営で、農家に下宿した気分が味わえた。
この界隈でいちばん安かったこともあるが、選んだ理由はもうひとつあった。 -
それは、すぐ横がバスターミナルだということだ。
時刻表では PITIGLIANO AUTOSTAZIONE と表記されているのがここ。RAMA社の本拠地だ。あちこち出かけるにはきわめて便利な場所で、出発時刻も正確だ。この一帯の交通は殆どがRAMA社のバスに支えられている。車体の色は青のほか、白・赤いろいろある。 -
バスの時刻はINFOでも教えてくれない。HPで調べていくか、ぶ厚い時刻表を借りて自分で調べることになる。はっきりしたことは、路線は多いが便が少なくて1日一ヶ所しか行けないことだ。
チケットは車内で買えない場合もある。乗車前に停留所近くのBARか新聞スタンドで買って乗り、車内で刻印する。一度、降り際にお金を払おうとしたら「次のときでいいよ」と言われた。 -
この日は、ソラーノ(SORANO)をめざした。
草原を揺られること20分、見下ろす谷間の緑の中にソラーノが出現した。
ピティリアーノより小振りで、繊細な感じがする。 -
村の入り口は下の方だが、すぐ下りるのが勿体なくてしばらく高台に留まった。
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雲の切れ目から陽が射し、また翳るごとに表情が変わる。
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入り口はここ。
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町中は起伏が多く、ピティリアーノほど簡単には進めない。
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突き当たりに展望台があって、
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見えたのはこんな景色。
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断崖に切れ込む家々。
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展望台から、下に橋が見えたので降りてみた。
清流が流れ、森の上にソラーノの村が覆いかぶさるように聳えていた。 -
『洞窟こっち』の看板を見つけた。イタリアの先住民族エトルリア人の住居跡らしい。近いなら、と歩いてみたがなかなか着かない。途中すれ違ったドイツ人父娘から「ずっと先だよ」といわれて、断念した。似たような洞窟はいくつも見たが。
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一度下りると、上るのが大変だ。やっとの思いで村へ戻ると、おばさん達に声をかけられた。
「どこから来たの?」「ワインは飲んだの?」
そのあと遅い昼食をとり、夕方ピティリアーノに戻った。 -
もちろん、ビールの後に自慢の白ワインもいただいて・・・
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次の日は、"意を決して"ソヴァーナへ行った。
なぜ"意を決した"かというと、村には写真の広場しかないからだ。バスは、到着後6時間来ない。正面の時計塔(現在はPOST)広場周辺に、レストランとカフェが数軒。観光は20分あれば十分で、あとはどう時間を潰しても潰しきれない。 -
広場を貫く通りは一本、正味200mあるかないかを行ったり来たり。
たしかに、旅行サイトには「何もないところがいい」とは書いてあったが…
ときおり訪れる観光客はマイカーか観光バスで、30分経つといなくなる。 -
公共交通機関で移動する辛さ。
いっそ歩いて戻ろうかとも考えたが、炎天下に知らない道はきびしい。 -
地元の、同じ子供と何度もすれ違って照れくさい。
向こうも、気の毒がってか目をそらしたりする。
本も持ってきたが、適当な木陰がない。 -
一応、対策は講じてきた。「ひまわり」「道」「ブーべの恋人」…アルバムにサントラ、歌謡曲「ローマの奇跡」から「思い出のカテリーナ」まで、家にあるイタリア関連曲をすべてタブレットに入れてある。バス停(写真)にしゃがみ込んで、片っ端から聴きまくったのだが…
旅とは待つこと、と見たり! -
ピティリアーノでの3泊4日、美味しい味にもめぐり合った。
絶品アーティチョーク(右上)が食べたくて、2晩同じレストランへ。イチジクは宿の朝食で採れたてを出してくれて気に入った。どちらもシンプルでいい。 -
滞在4日目の午後、13:30 のバスでピティリアーノを離れた。宿のおばさんはイタリア式に頬をくっつけて別れを言い、心は通じたがちょっと気持ち悪かった。
鉄道駅のあるアルビーニャ(ALBINIA)まで、一時間とちょっと。 -
アルビーニャ駅は無人。カード専用の自販機で切符を買う。カードを持たないハンガリーの兄妹が困っていたので一緒に買ったら、3人用切符が一枚出てきて苦笑い。旅は道連れだ。
車中で音楽を聞いていた二人が、一度だけ車窓に目を向けた。海だ。ハンガリーには海がない。
夕刻、テルミニ駅で兄妹と別れて駅近のホテルに荷を置いた。 -
帰国便まで、夜をはさんで丸一日のローマ滞在。さて、どうするか。
ふらりとスペイン階段まで歩いてみたが、暑さと人ごみで参った。
この夜は早々に就寝を決め込んだ。 -
翌朝、荷物をホテルに預けて、最後の散策に出かけた。
コロッセオの先から、テヴェレ川に沿ってサンタンジェロ城までゆっくり歩く。涼しくて空いていて、我ながらいいコースだった。そこからナヴォーナ広場、ヴェネツィア広場、共和国広場と周ってホテルに戻る。寄り道したトレヴィの泉は改修中で水がない。 -
すさまじきは中国パワーで、観光名所はもちろん、駅にも通りにも。かつては米国旅行者が、次いで成長期の日本団体客が浴びた冷ややかな視線を、今は彼等が浴びている。
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暑い。で、三越の地下ロビー。買うものはないが、冷水サービスがありがたい。
驚いたことに、客もスタッフもほとんど中国になっていた。次に来るときは、放映中の『ローマの休日』が中国語吹き替えになっているだろう。再見! -
夕方の便でローマを発った。イスタンブール乗継ぎは撃墜事件の影響か、空港が混乱していた。成田便もウクライナ上空を通過する同じようなルートだ。搭乗ゲートが頻繁に変わり、乗り込んだ後に機体交換。出発が5時間遅れて、成田の筈が深夜の羽田に着陸した。
最終バスでYCATまで、そこからタクシーに乗り継いで、翌日の未明に疲れ果てて自宅にたどり着いた。とにかくこれで旅は終わった。
おしまい
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この旅行記へのコメント (2)
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- キャッツアイさん 2014/09/01 12:25:16
- はじめまして
- はじめまして。
旅行記、楽しく拝見させていただきました。
私も、今年の5月にはピティリアーノに行きたくて
マレンマで1週間ホームステイしながら
車で案内をお願いしてソバーナ、ソラーノ、ピティリアーノと・・
極楽人さんの旅行記やお写真を拝見しながら
懐かしい景色を再び味わうことが出来、二度旅行した気分です。
見逃していた場所もあったことにも気がつきました。
でも、極楽人さんの旅行記で穴埋めできて、よかったです!
あんなに不便なところに
バスでお一人でいかれたことに、尊敬と羨ましさを感じました。
旅行記これからも楽しみにしております。
突然の書き込みで失礼しました。
キャッツアイ
- 極楽人さん からの返信 2014/09/02 07:05:18
- RE: はじめまして
- こんにちは。
ピティリアーノで食べた丸ごとのアーティチョークが忘れられず、
通販で捜してみましたが同じものが見つかりません。
また食べに行くには、ちょっと遠いですね(笑)
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