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モスクワ・バレエ劇場への案内 ボリショイ劇場

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2000/02/10 - 2000/02/10

1815位(同エリア1830件中)

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JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

 ロシアに来た事がある人も、ない人も、芸術に興味がある人も、そうでない人も、ロシアと聞いてバレエやオペラ、演劇を思い浮かべる人はそう少なくないはず。ロシアに来た事がある人なら(夏の劇場のシーズンオフ中でなければ)、必ず何かしらの舞台芸術、もしくはサーカスなどを見ているのではないだろうか。今回はその中でも、最もモスクワで有名な劇場、ボリショイ劇場について、とくにバレエを中心に書いてみようと思う。

 ボリショイ劇場は、1766年にウルーソフ伯爵がモスクワに常設の劇場を建てたのが始まりで、火災の為、1780年に現在地にペトロフスキー劇場として再建された。現在の建物は2度の火災の後、1856年に再建されたもので、その後、何度も改修を重ねて今に至っている。

 ボリショイ劇場はその名の通り、とても大きな劇場である。それは外観からもうかがえるが、いったん中に入ると、誰もがその大きさと美しさに驚かされるだろう。客席は6階建てになっていて、その天井はとても高い。白い壁には金の装飾、赤を基調にした緞帳や椅子。天井絵と豪華なシャンデリア。客席2階中央部にはツァールスカヤロージャと呼ばれる大きなBOX席がある。ここには招待客以外は入れず、専用の控え室もついている。舞台の大きさは、間口21m、奥行き37m、高さ28m。その広さは、昔のオペラで舞台奥から馬が駆け出てきたと言われているほど。さらにその大きな舞台の上には、さらに、リハーサル用にほぼ同じ大きさの舞台があるというのだから恐れ入る。

 しかし、近年の建物の傷みはひどく、現在大掛かりな改修を行う予定である。ボリショイ劇場の横の敷地に少し小さい劇場を建設中で、そちらが完成すれば今の建物はしばらく閉鎖され、建物内部の改築を行う予定である。しかし、もう既に何年も前からこの計画は進められているはずで、毎年のように、シーズン初めに「今年いっぱいで改修作業に入る」と言われつづけているのだが、一向に閉まる気配がない。新劇場のほうは外観ではほとんど完成しているようだが、経済危機以降、何度も中止の噂が流れるなど、工事の進み具合はどんなものか。改修後は、パリのオペラ座のように、今ある劇場のほうでは一般的に古典演目やオペラを、この新劇場のほうでは現代作品を上演することになるらしい。

 現在、ボリショイバレエ団所属ダンサーは200名余り。毎年シーズン終わりに昇進テストが行われ、それぞれ来シーズンの契約をかわす。この時に有望なダンサーは一つ上の契約書をもらう事になる。欧米では一般的なこのシステムはワシーリエフが芸術監督になった1995年以降の事である。ソ連時代に約30年間ボリショイ劇場で芸術監督を務めたグリゴローヴィッチから、ワシーリエフ体制になってからは、ダンサーの個人的な国外客演も自由になったと同時に、劇場自ボリショイ劇場体の上演演目もかなり幅が広がった。ヨーロッパ諸国と比べると、現代振り付け作品やモダンバレエ作品はかなり後れを取っていたが、外国から振付け家を呼んで作品を上演したり、近年では才能あるロシア人振りつけ家も多く現れており、これからの活躍が期待される。しかし一方では、著作権の問題で古い良い作品が上演できなくなるなどの問題も抱えている。

 劇場の主なレパートリーとしては、オペラ作品として、「ボリス・ゴドノフ」「スペードの女王」「エフゲーニー・オネーギン」等のほか、「アイーダ」「椿姫」など、月に15?20公演行われている。バレエ作品では「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「ジゼル」「ドン・キホーテ」「眠れる森の美女」「ロミオ&ジュリエット」「バヤデルカ」「スパルターク」「ライモンダ」「シルフィード」などの他、現代振り付け作品として「アニュータ」「バルダ」「不眠」、2月にはサンクト・ペテルブルクのボリス・エイフマン振り付けの「ルースキーガムレット」(RussianHamlet―パーベル1世の物語)を初演して話題を呼んだ。ボリショイ劇場は月曜日が休館日で、それ以外の日はほぼ交互にオペラとバレエを上演している。

 現在ボリショイのダンサーでもっとも有名なバレリーナと言えば、その演劇性と確かなテクニック、愛らしい顔立ちで世界中の観客を魅了するニーナ・アナニアシヴィリだろう。ここ数年はボリショイ劇場所属と言っても、外国で踊る事が多く、モスクワで踊ることは少なかったが、今年はモスクワを拠点として、「くるみ割人形」「バヤデルカ」「ロミオ&ジュリエット」「ドン・キホーテ」等、多くの舞台に出演している。アナニアシヴィリ以外にも、グラチョーワの踊りは妖艶で、表現力に優れている。彼女の踊る「バヤデルカ」のニキヤ、ジゼル、「スパルターク」でのエギナは絶品である。

さらに、知性あふれるヒロイン像と胸のすくような思い切りのいい踊りをするステパネンコなどは、現在のボリショイバレエの顔と呼ぶにふさわしいバレリーナたちである。男性では、その容姿と優雅かつ高いジャンプで、まさに王子役がぴったりなウヴァーロフ、ダイナミックであるが、足先まで神経の行き届いた丁寧な踊りで人気の高いフィーリン。男性ではまれに見るしなやかな踊りで、独特の魅力を持つツィスカリーゼ。この外にも若手の中に、はっとするような魅力を持った注目すべきダンサーが多数存在し、層の厚さがうかがわれる。

 ボリショイバレエ団は約2年に1回くらいの割合で日本公演を行っている。お値段もかなり張るのだが、オーケストラ付きの引越し公演で、モスクワに来なくてもその迫力ある舞台は見る事ができる。しかし、是非、モスクワで、豪華で歴史を感じさせるボリショイの客席に座って、本場の舞台を見ていただきたい。ダンサーも、自分の劇場の広い舞台で伸び伸びと踊っている。日本で観るのとは、また別の、より強い感動が得られるに違いない。


■補足 ― チケットの買い方。

 ボリショイ劇場で実際に公演を見る際に、一番困るのがチケットの入手である。オペラの場合はカッサ(チケット売り場)に行けばたいがいの切符は買えるのだが、バレエの公演となると、ほとんど不可能に近く、ごくまれに、よっぽど運がいい場合は、カッサにチケットが残っている場合もあるが、多くの場合はダフ屋や地下鉄構内、街中のチケット売り場(正規の値段ではない)、から買う事になるだろう。18時近くになると、ボリショイ劇場の最寄の地下鉄出口から劇場前の公園、そして入り口の前では、たくさんのダフ屋がチケットを売っている姿が目に入ってくる。値段は演目や席によって様々だが、だいたいパルテール(1階席)で、30?50ドル、人気のある演目で70ドルくらい。

外国人目当てだからそれなりに吹っ掛けてくるのだけれど、交渉次第で結構値段は下がる。ロシア語ができなくても、値段交渉くらいの英語は通じるので、最初から言い値で買わず、とりあえず交渉してみよう。上のほうの席なら100p?200pくらいでも買える。ただ、上のほうの席なら1列目で、センターよりでないとかなり見難い所があるので気をつけよう。

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