ジャール平原周辺旅行記(ブログ) 一覧に戻る
ここへ来るまで、ジャール平原の正確な意味は理解していなかった。それは単なる土地の呼称で、ラオス語の何等かの意味があるのか、或いはここを植民地として支配していたフランス人が勝手に名づけた地名かと思っていた。今日ガイドの説明により、「ジャール平原のジャール」とは即ち英語の「Jar」、日本では魔法瓶などに使われる「ジャー」、「壺」のことで、「Jar=ジャー」は英語読みだが、それをフランス語の発音にすると「ジャール」になる、とのことだった。<br /><br />そうした説明のさ中に見せられたのは、夥しい数の石の壺で、なだらかに起伏する斜面に重なって並んでいたり、一列状に列を作ったりと、平原をパッと見た限りでも、数百の単位を越え、千の単位はあろうかと思われた。そうして、次に説明を受けたのは、この石壺は元々はここに住んでいた古代民族の「石棺」で、死後のお墓としてここに葬られたとのことである。<br /><br />地面に大きな穴ぼこがあちこち残っているが、これは米軍の爆撃機による爆弾投下の跡で、ラオス内戦時、民族戦線(パテトラオのこと)のゲリラがこの石壺の中に逃げ込み、それを米軍が空から叩いた、との説明だった。そうすると、その爆撃機は昨日見たバンビエンの飛行場跡から飛び立ったものに違いない。爆弾の跡は風化により既に穴ぼこの周辺は崩れているが、その大きさから言っても、1トン爆弾以上の相当威力のあるものに思えた。<br /><br />数年前、カンボジアの奥地、クメール文明の初期の頃、6−9世紀の遺跡群があるジャングルの中でも同じ様な光景を見たのを思い出した。あそこでも、民族戦線、クメールルージュが古代のサンボー遺跡の中に逃げ込み、それを米軍爆撃機が空から叩いたのだ。その時の爆撃機は、タイのウドンタニやコンケーンから出撃していた。(「写真の無いブログ」悲しみのカンボジア(14)サンボー遺跡。http://4travel.jp/travelogue/10308398参照)<br /><br />歴史は繰り返す。相当高度な文明を作り上げたクメール・サンボーも何等かの事情で打ち捨てられ廃墟となり、ここジャールでも、これだけ多数の石棺を作り上げた古代種族も何等かの事情で離散し、元の平原に戻ったが、ここ近年、恰好の隠れ場として脚光を浴び、再び攻撃され、又元の廃墟に戻ってしまった。陽光の降り注ぐ波打つ平原を眺め、人間の繰り返される営為を思った。

ラオス北部紀行(37)ジャール平原の「ジャール」の意味。

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2012/12/25 - 2013/01/10

22位(同エリア43件中)

2

12

ちゃお

ちゃおさん

ここへ来るまで、ジャール平原の正確な意味は理解していなかった。それは単なる土地の呼称で、ラオス語の何等かの意味があるのか、或いはここを植民地として支配していたフランス人が勝手に名づけた地名かと思っていた。今日ガイドの説明により、「ジャール平原のジャール」とは即ち英語の「Jar」、日本では魔法瓶などに使われる「ジャー」、「壺」のことで、「Jar=ジャー」は英語読みだが、それをフランス語の発音にすると「ジャール」になる、とのことだった。

そうした説明のさ中に見せられたのは、夥しい数の石の壺で、なだらかに起伏する斜面に重なって並んでいたり、一列状に列を作ったりと、平原をパッと見た限りでも、数百の単位を越え、千の単位はあろうかと思われた。そうして、次に説明を受けたのは、この石壺は元々はここに住んでいた古代民族の「石棺」で、死後のお墓としてここに葬られたとのことである。

地面に大きな穴ぼこがあちこち残っているが、これは米軍の爆撃機による爆弾投下の跡で、ラオス内戦時、民族戦線(パテトラオのこと)のゲリラがこの石壺の中に逃げ込み、それを米軍が空から叩いた、との説明だった。そうすると、その爆撃機は昨日見たバンビエンの飛行場跡から飛び立ったものに違いない。爆弾の跡は風化により既に穴ぼこの周辺は崩れているが、その大きさから言っても、1トン爆弾以上の相当威力のあるものに思えた。

数年前、カンボジアの奥地、クメール文明の初期の頃、6−9世紀の遺跡群があるジャングルの中でも同じ様な光景を見たのを思い出した。あそこでも、民族戦線、クメールルージュが古代のサンボー遺跡の中に逃げ込み、それを米軍爆撃機が空から叩いたのだ。その時の爆撃機は、タイのウドンタニやコンケーンから出撃していた。(「写真の無いブログ」悲しみのカンボジア(14)サンボー遺跡。http://4travel.jp/travelogue/10308398参照)

歴史は繰り返す。相当高度な文明を作り上げたクメール・サンボーも何等かの事情で打ち捨てられ廃墟となり、ここジャールでも、これだけ多数の石棺を作り上げた古代種族も何等かの事情で離散し、元の平原に戻ったが、ここ近年、恰好の隠れ場として脚光を浴び、再び攻撃され、又元の廃墟に戻ってしまった。陽光の降り注ぐ波打つ平原を眺め、人間の繰り返される営為を思った。

旅行の満足度
5.0
  • これからジャール平原第1サイトの丘に向かう。

    これからジャール平原第1サイトの丘に向かう。

  • 奇妙な形をした大きな石がゴロゴロしている。

    奇妙な形をした大きな石がゴロゴロしている。

  • ああ、外人の観光客も来ている。初めて会った。

    ああ、外人の観光客も来ている。初めて会った。

  • この辺が第1サイトの丘の上だ。

    この辺が第1サイトの丘の上だ。

  • ああ、ジャールとは「Jar」、壺のこと。これは古代の石棺だったのだ。

    ああ、ジャールとは「Jar」、壺のこと。これは古代の石棺だったのだ。

  • ジャールの前での記念撮影。高原の土地で気温も低く、長そでを着てきた。

    ジャールの前での記念撮影。高原の土地で気温も低く、長そでを着てきた。

  • 遥かに見えるジャール平原の岡波。

    遥かに見えるジャール平原の岡波。

  • ここにはこんな大きな爆弾の跡がある。

    ここにはこんな大きな爆弾の跡がある。

  • なだらかな大地で、北海道の高原を見ているようだ。

    なだらかな大地で、北海道の高原を見ているようだ。

  • あれ、水辺で遊んでいるのは、水牛か??

    あれ、水辺で遊んでいるのは、水牛か??

  • 稲刈りの終えた後の田んぼを牛が放牧されている。かなり痩せているが・・

    稲刈りの終えた後の田んぼを牛が放牧されている。かなり痩せているが・・

  • このバイクに乗って、第1〜第3サイトを回った。

    このバイクに乗って、第1〜第3サイトを回った。

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この旅行記へのコメント (2)

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  • motogenさん 2016/06/06 13:35:21
    ジャール平原
     ジャール平原ってどこなのか、グーグルマップを見ると『Plain of Jars』という地点があり、もしかしたらここなのでしょうか。
     ポーンサワンの町から3〜4Kmほどの所で、近くに飛行場もあります。
     ここならば、歩いても行けるのではないでしょうか。
     自力で行けるならば、ゆったりと自由に行動できると思うのですが。

    ちゃお

    ちゃおさん からの返信 2016/06/06 14:23:01
    RE: ジャール平原
    Motogenさん、当方ブログにも出ていますが、「ジャール平原」とは「Jar」、日本語の「ポット」、「魔法瓶」のことですよ。フランス語で「ジャー」、英語で「ジャール」ですね。
    現場へ行けば、大きな「甕」(かめ)が平原にごろごろしています。(当方ブログに沢山写真をのせてあります。)
    街から歩いて行けない距離ではないですが、日中、この辺を歩いている人はいませんね。周辺は、人家も何もない原野です。


    >  ジャール平原ってどこなのか、グーグルマップを見ると『Plain of Jars』という地点があり、もしかしたらここなのでしょうか。
    >  ポーンサワンの町から3〜4Kmほどの所で、近くに飛行場もあります。
    >  ここならば、歩いても行けるのではないでしょうか。
    >  自力で行けるならば、ゆったりと自由に行動できると思うのですが。

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