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山崎豊子 著『華麗なる一族』の万俵家のモデルと噂されているのが岡崎家。その岡崎頭取の屋敷があった場所が植物ゾーン。かの「将軍」と呼ばれた「鯉」が棲んでいた池があった所です。現在その地には鑑賞温室と和庭園、和室があります。<br />神戸で一大財閥を築いた岡崎家は、岡崎汽船を中核に、山陽特殊製鋼、ダイハツ自動車、ニッセイ同和火災などの企業集団を次々に形成していきました。中でも、神戸岡崎銀行は、有力銀行と合併して神戸銀行となり、戦後の都市銀行の一角を占めるに至りました。こうした設定が小説と似ており、いつしか世間が万俵家を現実の岡崎家と重ねたもので、山崎豊子氏は岡崎家モデル説を否定しています。真偽はともかく、夢を誘うお話です。<br />和室は往時の姿を留めて現在も茶室としても利用され、鑑賞温室はもうひとつの洋館跡に建てられました。また、花の広場や花の庭園辺りもかつてのテニスコートや園遊会の芝地だったそうで、今でもその骨格は遺されています。バックヤードの栽培温室のある辺りは従業員の宿舎だったそうです。『華麗なる一族』に思いを馳せながら植物園エリアを散策するのも一興です。

青嵐薫風 須磨紀行④須磨離宮公園<後編>

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2014/04/26 - 2014/04/26

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montsaintmichel

montsaintmichelさん

山崎豊子 著『華麗なる一族』の万俵家のモデルと噂されているのが岡崎家。その岡崎頭取の屋敷があった場所が植物ゾーン。かの「将軍」と呼ばれた「鯉」が棲んでいた池があった所です。 現在その地には鑑賞温室と和庭園、和室があります。
神戸で一大財閥を築いた岡崎家は、岡崎汽船を中核に、山陽特殊製鋼、ダイハツ自動車、ニッセイ同和火災などの企業集団を次々に形成していきました。中でも、神戸岡崎銀行は、有力銀行と合併して神戸銀行となり、戦後の都市銀行の一角を占めるに至りました。こうした設定が小説と似ており、いつしか世間が万俵家を現実の岡崎家と重ねたもので、山崎豊子氏は岡崎家モデル説を否定しています。真偽はともかく、夢を誘うお話です。
和室は往時の姿を留めて現在も茶室としても利用され、鑑賞温室はもうひとつの洋館跡に建てられました。また、花の広場や花の庭園辺りもかつてのテニスコートや園遊会の芝地だったそうで、今でもその骨格は遺されています。バックヤードの栽培温室のある辺りは従業員の宿舎だったそうです。『華麗なる一族』に思いを馳せながら植物園エリアを散策するのも一興です。

旅行の満足度
5.0
同行者
カップル・夫婦
交通手段
私鉄

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  • 鑑賞温室<br />須磨離宮公園の東側、植物園のエリアの中心的施設が「鑑賞温室」です。内部には急勾配の小さな滝が水の流れを作り、熱帯や亜熱帯の樹木、果樹などが見られます。<br />1階のディスプレイゾーン。春を先取りしたディスプレイです。<br />リーガースベゴニア、ガーベラ、マーガレット、ペラルゴニウム、ラベンダー、デンドロビューム、シンビジューム、オンシジューム、カラー、アンスリウム、ダリアなどの目に鮮やかな植物が勢揃いです。<br />

    鑑賞温室
    須磨離宮公園の東側、植物園のエリアの中心的施設が「鑑賞温室」です。内部には急勾配の小さな滝が水の流れを作り、熱帯や亜熱帯の樹木、果樹などが見られます。
    1階のディスプレイゾーン。春を先取りしたディスプレイです。
    リーガースベゴニア、ガーベラ、マーガレット、ペラルゴニウム、ラベンダー、デンドロビューム、シンビジューム、オンシジューム、カラー、アンスリウム、ダリアなどの目に鮮やかな植物が勢揃いです。

  • 鑑賞温室<br />ディスプレイゾーン全体が見下ろせます。<br />小滝の右側に石段があり、滝の上を通ってテラスに出られます。<br />

    鑑賞温室
    ディスプレイゾーン全体が見下ろせます。
    小滝の右側に石段があり、滝の上を通ってテラスに出られます。

  • 鑑賞温室<br />見事なランが展示されています。

    鑑賞温室
    見事なランが展示されています。

  • 鑑賞温室 ウナズキヒメフヨウ<br />アオイ科ヒメフヨウ属の常緑低木。原産地はメキシコ、コロンビア。本州では温室でしか見られませんが、沖縄では自生しています。<br />蕾の時は上を向いていますが、次第に下を向き、花は開ききらずに俯いて咲きます。この花姿が名の由来です。英名はスリーピング・ハイビスカス(眠れるハイビスカス)とかわいらしい命名です。一日で落ちる儚い一日花です。<br />芙蓉のように大きく咲かないので、もったいない気もしますが…。我々人間界も大きく開花しない人がほとんどです。でもそれぞれが立派に社会の一員として役目を果たしています。ふと自分たちを重ね合わせてしまう、そんなナイーヴな花でした。<br />

    鑑賞温室 ウナズキヒメフヨウ
    アオイ科ヒメフヨウ属の常緑低木。原産地はメキシコ、コロンビア。本州では温室でしか見られませんが、沖縄では自生しています。
    蕾の時は上を向いていますが、次第に下を向き、花は開ききらずに俯いて咲きます。この花姿が名の由来です。英名はスリーピング・ハイビスカス(眠れるハイビスカス)とかわいらしい命名です。一日で落ちる儚い一日花です。
    芙蓉のように大きく咲かないので、もったいない気もしますが…。我々人間界も大きく開花しない人がほとんどです。でもそれぞれが立派に社会の一員として役目を果たしています。ふと自分たちを重ね合わせてしまう、そんなナイーヴな花でした。

  • 鑑賞温室 パンダ<br />ラン科バンダ属。原産地は、熱帯アジアやオーストラリア。シンガポールの国花です。<br />バンダの名は、サンスクリット語「Vandaka(まとわりつく)」が語源です。<br />花言葉は「上品な美しさ」。青紫色の網目がエキゾチックで綺麗です。

    鑑賞温室 パンダ
    ラン科バンダ属。原産地は、熱帯アジアやオーストラリア。シンガポールの国花です。
    バンダの名は、サンスクリット語「Vandaka(まとわりつく)」が語源です。
    花言葉は「上品な美しさ」。青紫色の網目がエキゾチックで綺麗です。

  • 鑑賞温室 バンダ<br />驚かれるでしょうが、根が剥き出しにされた状態で栽培されています。<br />元々着生生物のため、熱帯雨林で他の生物に付着して生育する植物なのだそうです。土を必要としないため、空中にバンダの株を吊るした状態で栽培することが多いそうです。<br />そう言われてみると、今までも何となく見てきたような…。

    鑑賞温室 バンダ
    驚かれるでしょうが、根が剥き出しにされた状態で栽培されています。
    元々着生生物のため、熱帯雨林で他の生物に付着して生育する植物なのだそうです。土を必要としないため、空中にバンダの株を吊るした状態で栽培することが多いそうです。
    そう言われてみると、今までも何となく見てきたような…。

  • 鑑賞温室<br />ピンク色のランと女性像の饗宴です。<br />

    鑑賞温室
    ピンク色のランと女性像の饗宴です。

  • 鑑賞温室 カンガルーポー<br />ハエモドルム科。原産地はオーストラリア南西部。<br />先端の開いた筒状の花は表面に細かい毛がびっしり生え、ベルベットのような質感が漂います。その姿をカンガルーの脚に見立てて、カンガルー・ポーの名前があります。正式にはアニゴザントスという名前の植物です。アニゴザントスはギリシア語で「開いた花」の意で、花姿に由来します。<br />花茎を長く直立させて先端に花を咲かせ、花色は赤、ピンク、黄色、グリーン、オレンジなどがあり、鮮やかなツートンカラーになるものもあります。<br /><br />

    鑑賞温室 カンガルーポー
    ハエモドルム科。原産地はオーストラリア南西部。
    先端の開いた筒状の花は表面に細かい毛がびっしり生え、ベルベットのような質感が漂います。その姿をカンガルーの脚に見立てて、カンガルー・ポーの名前があります。正式にはアニゴザントスという名前の植物です。アニゴザントスはギリシア語で「開いた花」の意で、花姿に由来します。
    花茎を長く直立させて先端に花を咲かせ、花色は赤、ピンク、黄色、グリーン、オレンジなどがあり、鮮やかなツートンカラーになるものもあります。

  • 鑑賞温室<br />それほど大きな温室ではありませんが、花の密度が高いのがここの魅力です。<br />

    鑑賞温室
    それほど大きな温室ではありませんが、花の密度が高いのがここの魅力です。

  • 鑑賞温室<br />温室の魅力は、非日常的かつ奇想天外な植物が手軽に観られるところです。

    鑑賞温室
    温室の魅力は、非日常的かつ奇想天外な植物が手軽に観られるところです。

  • 鑑賞温室<br />造花かと思えるような派手な葉を持つ植物が勢揃いです。<br />これぞ温室の醍醐味です。

    鑑賞温室
    造花かと思えるような派手な葉を持つ植物が勢揃いです。
    これぞ温室の醍醐味です。

  • 鑑賞温室 ニオイバンマツリ<br />ナス科ブルンフェルシア属の熱帯花木。原産地は南アメリカ。<br />咲き進むにつれ紫から白に変化する花が特徴で、最盛期にはまるでグラデーションのようになり綺麗です。ニオイという名の通り、甘い芳香を放ち、夜に強くなります。<br />ニオイバンマツリを漢字にすると「匂蕃茉莉」。匂は芳香、蕃は外国、茉莉はジャスミン類を指し、「香りのする外国のジャスミン類」となりますが、ジャスミンの仲間ではありません。属名は16世紀ドイツの植物学者ブルンファルスに因みます。<br />

    鑑賞温室 ニオイバンマツリ
    ナス科ブルンフェルシア属の熱帯花木。原産地は南アメリカ。
    咲き進むにつれ紫から白に変化する花が特徴で、最盛期にはまるでグラデーションのようになり綺麗です。ニオイという名の通り、甘い芳香を放ち、夜に強くなります。
    ニオイバンマツリを漢字にすると「匂蕃茉莉」。匂は芳香、蕃は外国、茉莉はジャスミン類を指し、「香りのする外国のジャスミン類」となりますが、ジャスミンの仲間ではありません。属名は16世紀ドイツの植物学者ブルンファルスに因みます。

  • 和室 キモッコウバラ(ロサ・バンクシア・ルテア)<br />須磨離宮公園の春のバラの季節の先駆けとなります。中国中南部産のオールドローズで、江戸時代中期に渡来したと言われています。棘がない蔓性のバラで、開花期は初夏だけで一期性なのが特徴です。<br />花は白か淡い黄色で、それぞれ一重咲と八重咲があり、直径2〜3cmの小さな花を咲かせます。黄花の八重咲にはほとんど芳香がないのが残念なところです。中国名の木香花は、白花の方に芳香があることが名の由来です。<br />

    和室 キモッコウバラ(ロサ・バンクシア・ルテア)
    須磨離宮公園の春のバラの季節の先駆けとなります。中国中南部産のオールドローズで、江戸時代中期に渡来したと言われています。棘がない蔓性のバラで、開花期は初夏だけで一期性なのが特徴です。
    花は白か淡い黄色で、それぞれ一重咲と八重咲があり、直径2〜3cmの小さな花を咲かせます。黄花の八重咲にはほとんど芳香がないのが残念なところです。中国名の木香花は、白花の方に芳香があることが名の由来です。

  • 和室  キモッコウバラ<br />モッコウバラは、秋篠宮家第一女子 眞子内親王の御印に決定してから一躍有名になりました。<br />花言葉は、「幼い頃の幸せな時間」「あなたにふさわしい人」「初恋」「純潔」「純粋」。イメージ通りですね!<br />

    和室  キモッコウバラ
    モッコウバラは、秋篠宮家第一女子 眞子内親王の御印に決定してから一躍有名になりました。
    花言葉は、「幼い頃の幸せな時間」「あなたにふさわしい人」「初恋」「純潔」「純粋」。イメージ通りですね!

  • 和室 チューリップ<br />芍薬を彷彿とさせるような八重咲きの立派なチューリップが未だ健在でした。

    和室 チューリップ
    芍薬を彷彿とさせるような八重咲きの立派なチューリップが未だ健在でした。

  • 和室<br />旧岡崎財閥 岡崎邸の跡地が和庭園となっています。和室は現在も茶会やイベントに使われています。本日は新緑茶会が開催されています。この和室は、岡崎邸の日本家屋を戦災で焼失した後、戦後に急いで普請させたものだそうです。<br /><br />栄枯盛衰のことわりと言いますが、かって栄えた岡崎家の邸内では庭師や運転手、女中ら60人程が働き、小説では女性でしたが実際は男性の執事がおり、冠婚葬祭や宮家の来訪の際、もてなしの準備を指揮したそうです。手入れの行き届いた芝の上で財界人や華族を招いてパーティーが開かれたそうですが、今は市民の憩いの広場になっています。

    和室
    旧岡崎財閥 岡崎邸の跡地が和庭園となっています。和室は現在も茶会やイベントに使われています。本日は新緑茶会が開催されています。この和室は、岡崎邸の日本家屋を戦災で焼失した後、戦後に急いで普請させたものだそうです。

    栄枯盛衰のことわりと言いますが、かって栄えた岡崎家の邸内では庭師や運転手、女中ら60人程が働き、小説では女性でしたが実際は男性の執事がおり、冠婚葬祭や宮家の来訪の際、もてなしの準備を指揮したそうです。手入れの行き届いた芝の上で財界人や華族を招いてパーティーが開かれたそうですが、今は市民の憩いの広場になっています。

  • 和室 リキュウバイ(利休梅)<br />漢字で梅と書きますが、実はバラ科ヤナギザクラ属です。原産地は中国中北部。明治時代末期に渡来しました。花期は、4〜5月頃で、枝先の総状花序に白い花を咲かせます。<br />別名「バイカシモツケ(梅花下野)」や「ウメザキウツギ(梅咲き空木)」とも呼ばれます。<br />利休梅という素晴らしいネーミングは、大阪商人によるものです。ちょうど利休忌の頃に咲くというのが由来です。今ではネーミングのおかげで茶花としても利用され、茶庭にもこの利休梅が植えられるようになっています。茶人好みの白い渋い花ですが、華やかさも秘めています。<br />利休梅でも見ながら花見でもと言う方には、良い酒があります。その名も「利休梅」。大阪の地酒で、蔵元は大門酒造(株)。大阪商人は逞しいですね!<br />花言葉は、「霊感」「ひらめき」「直感」「神秘」。<br />

    和室 リキュウバイ(利休梅)
    漢字で梅と書きますが、実はバラ科ヤナギザクラ属です。原産地は中国中北部。明治時代末期に渡来しました。花期は、4〜5月頃で、枝先の総状花序に白い花を咲かせます。
    別名「バイカシモツケ(梅花下野)」や「ウメザキウツギ(梅咲き空木)」とも呼ばれます。
    利休梅という素晴らしいネーミングは、大阪商人によるものです。ちょうど利休忌の頃に咲くというのが由来です。今ではネーミングのおかげで茶花としても利用され、茶庭にもこの利休梅が植えられるようになっています。茶人好みの白い渋い花ですが、華やかさも秘めています。
    利休梅でも見ながら花見でもと言う方には、良い酒があります。その名も「利休梅」。大阪の地酒で、蔵元は大門酒造(株)。大阪商人は逞しいですね!
    花言葉は、「霊感」「ひらめき」「直感」「神秘」。

  • 和室 自然石燈籠<br />戦火のために脆くなった大燈籠や沓脱石も痛々しく、歴史の生き証人となっています。<br />これも本鞍馬石製のようです。

    和室 自然石燈籠
    戦火のために脆くなった大燈籠や沓脱石も痛々しく、歴史の生き証人となっています。
    これも本鞍馬石製のようです。

  • 春の山野草展 千島ウスユキソウ<br />市民愛好家グループ 北須磨山草会「ゼフィルスの庭」が協力されている「春の山野草展」が開催されていました。可憐で清楚な風情を持つ珍しい山野草が間近で鑑賞できます。<br />特に今回は「高嶺の花」のウスユキソウの特集をしていました。期間は4月12日〜5月6日までで、ゴールデンウィーク中は無休です。<br />場所は、植物園 講習室(観賞温室横)。<br /><br />キク科ウスユキソウ属の多年草。北方領土の色丹島や択捉島などに分布し、岩場などに自生します。花期は7〜10月で、茎先に小さな黄色い頭花を付けます。白い星形の花のように見えるのは苞です。名前は、高山型で葉の表面に生える灰白色の綿毛があたかも降り積もった雪のように見えることが由来です。<br />属名の Leontopodium はギリシャ語の「leon(ライオン)+podion(小足)」からきています。綿毛の密生した葉と頭花をライオンの足首に見立てたものです。

    春の山野草展 千島ウスユキソウ
    市民愛好家グループ 北須磨山草会「ゼフィルスの庭」が協力されている「春の山野草展」が開催されていました。可憐で清楚な風情を持つ珍しい山野草が間近で鑑賞できます。
    特に今回は「高嶺の花」のウスユキソウの特集をしていました。 期間は4月12日〜5月6日までで、ゴールデンウィーク中は無休です。
    場所は、植物園 講習室(観賞温室横)。

    キク科ウスユキソウ属の多年草。北方領土の色丹島や択捉島などに分布し、岩場などに自生します。花期は7〜10月で、茎先に小さな黄色い頭花を付けます。白い星形の花のように見えるのは苞です。名前は、高山型で葉の表面に生える灰白色の綿毛があたかも降り積もった雪のように見えることが由来です。
    属名の Leontopodium はギリシャ語の「leon(ライオン)+podion(小足)」からきています。綿毛の密生した葉と頭花をライオンの足首に見立てたものです。

  • 春の山野草展 早池峰(ハヤチミネ)ウスユキソウ<br />岩手県早池峰山特産で、山頂部の蛇紋岩地の礫地に自生します。花巻、遠野、宮古市の境にある日本百名山で、花の百名山でもあります。早池峰山を登山者が訪れる理由の一つが早池峰ウスユキソウです。早池峰山固有種のウスユキソウであり、最もエーデルワイスに近いと言われています。しかし、よく似た種類にミネウスユキソウがあり、注意が必要です。違いは、花のように見える部分(総苞片)が早池峰ウスユキソウの方が大きく、また表面の毛が長いことです。見比べないと分からないようですが…。<br />ウスユキソウの花言葉は、「尊い記憶」「大切な思い出」「純潔」。<br />同属のエーデルワイス(セイヨウウスユキソウ)を直訳すると「高貴な白」になるそうです。

    春の山野草展 早池峰(ハヤチミネ)ウスユキソウ
    岩手県早池峰山特産で、山頂部の蛇紋岩地の礫地に自生します。花巻、遠野、宮古市の境にある日本百名山で、花の百名山でもあります。早池峰山を登山者が訪れる理由の一つが早池峰ウスユキソウです。早池峰山固有種のウスユキソウであり、最もエーデルワイスに近いと言われています。しかし、よく似た種類にミネウスユキソウがあり、注意が必要です。違いは、花のように見える部分(総苞片)が早池峰ウスユキソウの方が大きく、また表面の毛が長いことです。見比べないと分からないようですが…。
    ウスユキソウの花言葉は、「尊い記憶」「大切な思い出」「純潔」。
    同属のエーデルワイス(セイヨウウスユキソウ)を直訳すると「高貴な白」になるそうです。

  • 春の山野草展 シコタンハコベ(色丹繁縷)<br />ナデシコ科 ハコベ属。北海道や長野の高山の岩場に自生します。初夏に白い小さな花を咲かせ、白い花びらに赤い葯が際立って美しい。5枚の花びらは深く2裂し、10枚のように見えます。<br />千島列島の色丹で最初に発見されたことから、シコタンハコベの名が付いています。別名「ネムロハコベ」とも呼ばれます。<br />

    春の山野草展 シコタンハコベ(色丹繁縷)
    ナデシコ科 ハコベ属。北海道や長野の高山の岩場に自生します。初夏に白い小さな花を咲かせ、白い花びらに赤い葯が際立って美しい。5枚の花びらは深く2裂し、10枚のように見えます。
    千島列島の色丹で最初に発見されたことから、シコタンハコベの名が付いています。別名「ネムロハコベ」とも呼ばれます。

  • 春の山野草展 エゾイソツツジ<br />ツツジ科イソツツジ属の高山植物。北海道の湿原や火山灰地に自生します。花期は6〜7月。 いくつもの小さな花が枝先に手鞠のように集まって咲きます。地元では通称「白ツツジ」と呼んでいます。<br />群生地として有名なのは、北海道弟子屈町の硫黄山。アイヌ語でアトサヌプリ(裸の山)と呼ばれ、今なお噴煙をたなびかせる黄色い山肌は見るからに威圧的です。それとは対照的にひっそりとつつましやかに白いエゾイソツツジが咲いている光景は絵になります。

    春の山野草展 エゾイソツツジ
    ツツジ科イソツツジ属の高山植物。北海道の湿原や火山灰地に自生します。花期は6〜7月。 いくつもの小さな花が枝先に手鞠のように集まって咲きます。地元では通称「白ツツジ」と呼んでいます。
    群生地として有名なのは、北海道弟子屈町の硫黄山。アイヌ語でアトサヌプリ(裸の山)と呼ばれ、今なお噴煙をたなびかせる黄色い山肌は見るからに威圧的です。それとは対照的にひっそりとつつましやかに白いエゾイソツツジが咲いている光景は絵になります。

  • 春の山野草展 二色風鈴オダマキ<br />キンポウゲ科オダマキ属の多年草。中国の中部、青海省からチベット自治区に分布。「セイヨウオダマキ」の近縁で、標高1800〜3500mの草原や潅木帯に自生します。花期は、4〜6月頃。紫と白のコントラストが絶妙な二色咲の風鈴のような可憐な花を俯きかげんに咲かせます。俯くいじらしさが何とも言えません。<br />

    春の山野草展 二色風鈴オダマキ
    キンポウゲ科オダマキ属の多年草。中国の中部、青海省からチベット自治区に分布。「セイヨウオダマキ」の近縁で、標高1800〜3500mの草原や潅木帯に自生します。花期は、4〜6月頃。紫と白のコントラストが絶妙な二色咲の風鈴のような可憐な花を俯きかげんに咲かせます。俯くいじらしさが何とも言えません。

  • 春の山野草展 オダマキ ・コルベット(黄花カナダオダマキ)<br />カナダオダマキという小型のオダマキの改良種です。優しげなレモンシャーベット色というか薄いクリーム色の花が何ともチャーミングです。<br />距の方は白っぽくグラデーションになっています。<br />因みに、「コルベット(Corbett)」という名が付けられていますが、この花が発見されたアメリカ・メリーランド州にある小さな街の名前です。カナダには近いけれどアメリカで発見されたのですね。

    春の山野草展 オダマキ ・コルベット(黄花カナダオダマキ)
    カナダオダマキという小型のオダマキの改良種です。優しげなレモンシャーベット色というか薄いクリーム色の花が何ともチャーミングです。
    距の方は白っぽくグラデーションになっています。
    因みに、「コルベット(Corbett)」という名が付けられていますが、この花が発見されたアメリカ・メリーランド州にある小さな街の名前です。カナダには近いけれどアメリカで発見されたのですね。

  • 春の山野草展 リトルランタン<br />カナダのノバ・スコシア半島からロッキー山脈以東のテキサス州にかけて自生します。日本には明治末期に渡来しました。<br />数個の花を茎の上から下向きに咲かせ、花びらのように見えるのは萼片で濃赤色から黄色を帯びた赤色をしています。<br />名前の通り、小さな赤いランタンに明かりが灯った様子を彷彿とさせる可憐な花です。

    春の山野草展 リトルランタン
    カナダのノバ・スコシア半島からロッキー山脈以東のテキサス州にかけて自生します。日本には明治末期に渡来しました。
    数個の花を茎の上から下向きに咲かせ、花びらのように見えるのは萼片で濃赤色から黄色を帯びた赤色をしています。
    名前の通り、小さな赤いランタンに明かりが灯った様子を彷彿とさせる可憐な花です。

  • 春の山野草展 アクイレギア・ララミー<br />アメリカ西部ワイオミング州南中部にあるララミー山脈の最高峰ララミー峰の下を流れるコットンウッド渓谷の森の木陰の湿ったレキ地に咲く、楚々とした白系オダマキです。小さな花ですが、透き通ったような白色が印象に残ります。

    春の山野草展 アクイレギア・ララミー
    アメリカ西部ワイオミング州南中部にあるララミー山脈の最高峰ララミー峰の下を流れるコットンウッド渓谷の森の木陰の湿ったレキ地に咲く、楚々とした白系オダマキです。小さな花ですが、透き通ったような白色が印象に残ります。

  • 春の山野草展 ライラックワンダー(バッケリー)<br />可憐で小さな原種系のチューリップです。クレタ島に自生します。同じクレタ島北部で見られるチュリパ・サクザティリスに似ていますが、それよりも色が濃いのがバッケリーの特徴です。花はライラックパープルで底部は黄色。ツートンカラーのお洒落な花ですが、大輪の園芸種とは異なり、ナチュラルな雰囲気が魅力です。

    春の山野草展 ライラックワンダー(バッケリー)
    可憐で小さな原種系のチューリップです。クレタ島に自生します。同じクレタ島北部で見られるチュリパ・サクザティリスに似ていますが、それよりも色が濃いのがバッケリーの特徴です。花はライラックパープルで底部は黄色。ツートンカラーのお洒落な花ですが、大輪の園芸種とは異なり、ナチュラルな雰囲気が魅力です。

  • 春の山野草展 クロユリ<br />ユリ科バイモ属の多年草高山植物。花期は6〜8月。日本の中部地方以北に自生します。花びらの形から本州に咲く「ミヤマクロユリ」と思います。花には黄色の細かい斑点があり、特に花全体が黄色のものをキバナクロユリと呼ぶこともあります。また、クロユリの花には2種類、両性花と雄花があります。写真のものは、めしべがないので雄花です。別称はエゾクロユリ(蝦夷黒百合)。石川県の「郷土の花」に指定されています。<br />アイヌ民族の間では、思い人の身近にこの花をそっと置いておき、相手が手に取れば恋が叶うというロマンチックな伝説があります。<br />もう一つは恐ろしい伝説。<br />大名 佐々成政は、寵愛する側室 早百合の浮気を疑って惨殺しました。早百合は「立山に黒百合咲かば、佐々の家は滅しよう」と呪いの言葉を叫びながら息絶えました。その後、成政は秀吉に取り入ろうと正室寧々に珍しいクロユリを贈りました。寧々はそのクロユリを淀に自慢するのですが、淀は密かにこのことを知り、沢山のクロユリを取り寄せてどこにでもある花と見せかけたため、寧々は大恥をかかされました。寧々の恨みをかったためか、その後、佐々家は断絶となりました。以来、クロユリは人を不仲にして家を滅ぼす呪いの花となったといいます。<br />花言葉は、ずばり対極の「恋」と「呪い」。<br />クロユリ伝説の主人公が佐々成政というのは意外でした。織田信長の鉄砲奉行を務め、長篠の戦の功労者であり、豊臣秀吉のお伽衆として兵法をレクチャーしていた知将です。さっそく調べた所、「歴史は勝者によって改竄される」の典型でした。小百合騒動は事実のようですが、実は正室あるいは他の側室が嫉妬心から謀った、事実無根の浮気騒動だったそうです。しかし大名たる者は、「分国法」を重んじ、姦通の噂が広がった以上、無実であっても処罰せざるを得ない立場でした。こうした事実に反して成政を短気で猜疑心の塊のような極悪非道の暴君として広めたのが、彼の宿敵 前田家の企てのようです。<br />短絡的に「勝者論」に乗る歴史家も少なくないのですが、彼の功績には、川の氾濫を防ぐ佐々堤や厳冬の北アルプス越えなど、人知を超えたものがあります。富山県が存在するのも彼の功績と豪語される方も多いようです。極めつけは、彼の名を冠した銘酒が存在することです。領地の民衆を守るために命を賭し、地元の人々から愛されてきた人物像が浮かんできます。<br />詳しくは、遠藤和子 著「史伝 佐々成政」(学研M文庫)を参照してください。<br /><br />

    春の山野草展 クロユリ
    ユリ科バイモ属の多年草高山植物。花期は6〜8月。日本の中部地方以北に自生します。花びらの形から本州に咲く「ミヤマクロユリ」と思います。花には黄色の細かい斑点があり、特に花全体が黄色のものをキバナクロユリと呼ぶこともあります。また、クロユリの花には2種類、両性花と雄花があります。写真のものは、めしべがないので雄花です。別称はエゾクロユリ(蝦夷黒百合)。石川県の「郷土の花」に指定されています。
    アイヌ民族の間では、思い人の身近にこの花をそっと置いておき、相手が手に取れば恋が叶うというロマンチックな伝説があります。
    もう一つは恐ろしい伝説。
    大名 佐々成政は、寵愛する側室 早百合の浮気を疑って惨殺しました。早百合は「立山に黒百合咲かば、佐々の家は滅しよう」と呪いの言葉を叫びながら息絶えました。その後、成政は秀吉に取り入ろうと正室寧々に珍しいクロユリを贈りました。寧々はそのクロユリを淀に自慢するのですが、淀は密かにこのことを知り、沢山のクロユリを取り寄せてどこにでもある花と見せかけたため、寧々は大恥をかかされました。寧々の恨みをかったためか、その後、佐々家は断絶となりました。以来、クロユリは人を不仲にして家を滅ぼす呪いの花となったといいます。
    花言葉は、ずばり対極の「恋」と「呪い」。
    クロユリ伝説の主人公が佐々成政というのは意外でした。織田信長の鉄砲奉行を務め、長篠の戦の功労者であり、豊臣秀吉のお伽衆として兵法をレクチャーしていた知将です。さっそく調べた所、「歴史は勝者によって改竄される」の典型でした。小百合騒動は事実のようですが、実は正室あるいは他の側室が嫉妬心から謀った、事実無根の浮気騒動だったそうです。しかし大名たる者は、「分国法」を重んじ、姦通の噂が広がった以上、無実であっても処罰せざるを得ない立場でした。こうした事実に反して成政を短気で猜疑心の塊のような極悪非道の暴君として広めたのが、彼の宿敵 前田家の企てのようです。
    短絡的に「勝者論」に乗る歴史家も少なくないのですが、彼の功績には、川の氾濫を防ぐ佐々堤や厳冬の北アルプス越えなど、人知を超えたものがあります。富山県が存在するのも彼の功績と豪語される方も多いようです。極めつけは、彼の名を冠した銘酒が存在することです。領地の民衆を守るために命を賭し、地元の人々から愛されてきた人物像が浮かんできます。
    詳しくは、遠藤和子 著「史伝 佐々成政」(学研M文庫)を参照してください。

  • 春の山野草展 チャボリンドウ(矮鶏竜胆)<br />リンドウ科リンドウ(ゲンティアナ)属の多年草。「アルプスの3大名花」のひとつに数えられる「高嶺の花」で、アルプス山脈やピレネー山脈などに分布する高山植物です。花期は5〜8月。目を瞠るほどの濃青色をした釣鐘型の花が印象的で、緑色の斑点があります。<br />属名の Gentiana は紀元前のイリリア王「ゲンティウス(Gentius)」の名に因みます。ゲンティウスは、大流行したペストに頭を悩ませていました。そこで山に入り神に祈りを捧げて矢を放っと、その矢はリンドウの根を貫きました。王はこれを神の啓示と信じ、リンドウを薬として人々に投与したところ、たちどころに効果があったそうです。<br />一方、霜枯れの野を紫に彩るリンドウは、群生せずに一本ずつ、静寂に包まれてひっそりと美しく咲きます。こんな姿からも花言葉が生まれています。<br />リンドウの花言葉は、「勝利を確信する」「あなたの悲しみに寄りそう」「悲しんでいるあなたを愛する」「淋しい愛情」「誠実」「正義」。<br /><br />

    春の山野草展 チャボリンドウ(矮鶏竜胆)
    リンドウ科リンドウ(ゲンティアナ)属の多年草。「アルプスの3大名花」のひとつに数えられる「高嶺の花」で、アルプス山脈やピレネー山脈などに分布する高山植物です。花期は5〜8月。目を瞠るほどの濃青色をした釣鐘型の花が印象的で、緑色の斑点があります。
    属名の Gentiana は紀元前のイリリア王「ゲンティウス(Gentius)」の名に因みます。ゲンティウスは、大流行したペストに頭を悩ませていました。そこで山に入り神に祈りを捧げて矢を放っと、その矢はリンドウの根を貫きました。王はこれを神の啓示と信じ、リンドウを薬として人々に投与したところ、たちどころに効果があったそうです。
    一方、霜枯れの野を紫に彩るリンドウは、群生せずに一本ずつ、静寂に包まれてひっそりと美しく咲きます。こんな姿からも花言葉が生まれています。
    リンドウの花言葉は、「勝利を確信する」「あなたの悲しみに寄りそう」「悲しんでいるあなたを愛する」「淋しい愛情」「誠実」「正義」。

  • 春の山野草展 オニイワタバコ<br />イワタバコ科オニイワタバコ属の多年草。原産地は、スペインとフランス国境のピレネー山脈。青紫色の花びらに黄色の雄しべがチャームポイント。すくっと立った花の俯きかげんが気をそそります。<br />和名「イワタバコ」の由来は、根際から生える楕円形の葉が大きく、「煙草」の葉に似ているところからきています。でも「鬼」というのがイメージできません。葉に毛が目立ちゴワゴワした感じがあり、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)があります。裏面は特に毛深く、鬼の体毛を彷彿とさせます。ここから「オニ」と言われるのかもしれません。<br />

    春の山野草展 オニイワタバコ
    イワタバコ科オニイワタバコ属の多年草。原産地は、スペインとフランス国境のピレネー山脈。青紫色の花びらに黄色の雄しべがチャームポイント。すくっと立った花の俯きかげんが気をそそります。
    和名「イワタバコ」の由来は、根際から生える楕円形の葉が大きく、「煙草」の葉に似ているところからきています。でも「鬼」というのがイメージできません。葉に毛が目立ちゴワゴワした感じがあり、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)があります。裏面は特に毛深く、鬼の体毛を彷彿とさせます。ここから「オニ」と言われるのかもしれません。

  • 春の山野草展 クロバナフウロ(黒花風露)<br />フウロソウ科ゲラニウム属の多年草。原産地は、日本、アジア、ヨーロッパ、アフリカ。花期は5〜7月。黒色とは言えませんが、黒紫色から紫褐色の珍しい色をしています。花弁が反り返り、やや俯いて咲きます。小さな黒紫色の花が春風にそよぐ姿は可愛いらしい限りです。<br />胃腸に効く民間薬として名高いフウロソウ科「ゲンノショウコ(現の証拠)」や窓辺を飾る元気者「ゼラニウム」も同じ仲間です。<br />フウロ草の名の由来は、出入り口が1箇所だけで周囲が木で囲まれている草刈場を「フウロ野」と呼び、フウロ(ソウ)は草刈場に生える草という意味だそうです。「フウロ」は風呂、風炉、風穴、袋などに通じる方言だそうです。<br />フウロ草の花言葉は、「変わらぬ信頼」「陽気」「慰める」「妬み」。

    春の山野草展 クロバナフウロ(黒花風露)
    フウロソウ科ゲラニウム属の多年草。原産地は、日本、アジア、ヨーロッパ、アフリカ。花期は5〜7月。黒色とは言えませんが、黒紫色から紫褐色の珍しい色をしています。花弁が反り返り、やや俯いて咲きます。小さな黒紫色の花が春風にそよぐ姿は可愛いらしい限りです。
    胃腸に効く民間薬として名高いフウロソウ科「ゲンノショウコ(現の証拠)」や窓辺を飾る元気者「ゼラニウム」も同じ仲間です。
    フウロ草の名の由来は、出入り口が1箇所だけで周囲が木で囲まれている草刈場を「フウロ野」と呼び、フウロ(ソウ)は草刈場に生える草という意味だそうです。「フウロ」は風呂、風炉、風穴、袋などに通じる方言だそうです。
    フウロ草の花言葉は、「変わらぬ信頼」「陽気」「慰める」「妬み」。

  • 春の山野草展 隠岐シャクナゲ<br />ツツジ科ツツジ属 無鱗片シャクナゲ亜属、無鱗片シャクナゲ節の総称です。<br />花びらの先だけが淡いピンク色に染まり、楚々とした優しい感じがするシャクナゲです。<br />蕾はこんなに赤いのに花を咲かせると色が淡くなるのですね!色の魔術師とでも称えておきましょうか?

    春の山野草展 隠岐シャクナゲ
    ツツジ科ツツジ属 無鱗片シャクナゲ亜属、無鱗片シャクナゲ節の総称です。
    花びらの先だけが淡いピンク色に染まり、楚々とした優しい感じがするシャクナゲです。
    蕾はこんなに赤いのに花を咲かせると色が淡くなるのですね!色の魔術師とでも称えておきましょうか?

  • 春の山野草展 ラショウモンカズラ(羅生門蔓)<br />シソ科ラショウモンカズラ属の多年草。花期は4〜6月で、唇形の鮮やかな紫色の花を数段に着けます。日本原産のシソ科では最大級の花で、長さが4〜5cmもあります。細長い筒状の花で色は紫色、下唇には濃い紫色の斑点が入っています。大きな花の形を羅生門で渡辺綱が切り落とした鬼女の腕に見立てた命名です。おどろおどろしい名前ですが、京都の羅生門のあたりに数多く咲いていたからこの名が付いたという説もあり、こちらの方が腑に落ちます。<br />花言葉は、「復讐」「油断大敵」。鬼女の腕説由来なのでしょうね!

    春の山野草展 ラショウモンカズラ(羅生門蔓)
    シソ科ラショウモンカズラ属の多年草。花期は4〜6月で、唇形の鮮やかな紫色の花を数段に着けます。日本原産のシソ科では最大級の花で、長さが4〜5cmもあります。細長い筒状の花で色は紫色、下唇には濃い紫色の斑点が入っています。大きな花の形を羅生門で渡辺綱が切り落とした鬼女の腕に見立てた命名です。おどろおどろしい名前ですが、京都の羅生門のあたりに数多く咲いていたからこの名が付いたという説もあり、こちらの方が腑に落ちます。
    花言葉は、「復讐」「油断大敵」。鬼女の腕説由来なのでしょうね!

  • 春の山野草展 カッコウセンノウ(郭公仙翁)<br />ナデシコ科センノウ属の多年草。原産地はヨーロッパアルプス。ナデシコ科の花の特徴の、細く深い切れ込みのある花びらが広がった様子から、カッコウが飛翔する姿を彷彿とさせます。<br />センノウ(仙翁)というのは京都府嵯峨にある仙翁寺という寺の名前で、ここに中国から伝わった花に寺名が付けられた経緯があります。仙翁花(せんのうげ)とも呼ばれ、秘花の扱いを受ける同種の花もあります。この花にカッコウ(郭公)の修飾語が付くのは、カッコウの鳴く季節に咲く、あるいは花の形がカッコウの羽を広げた姿であるといった解説が見られます。

    春の山野草展 カッコウセンノウ(郭公仙翁)
    ナデシコ科センノウ属の多年草。原産地はヨーロッパアルプス。ナデシコ科の花の特徴の、細く深い切れ込みのある花びらが広がった様子から、カッコウが飛翔する姿を彷彿とさせます。
    センノウ(仙翁)というのは京都府嵯峨にある仙翁寺という寺の名前で、ここに中国から伝わった花に寺名が付けられた経緯があります。仙翁花(せんのうげ)とも呼ばれ、秘花の扱いを受ける同種の花もあります。この花にカッコウ(郭公)の修飾語が付くのは、カッコウの鳴く季節に咲く、あるいは花の形がカッコウの羽を広げた姿であるといった解説が見られます。

  • 春の山野草展 ヒメキバナアズマギク<br />キク科ムカシヨモギ属の多年草。北アメリカ原産。花期は4〜5月。小さな花ですが、独特のペールイエローが印象的です。

    春の山野草展 ヒメキバナアズマギク
    キク科ムカシヨモギ属の多年草。北アメリカ原産。花期は4〜5月。小さな花ですが、独特のペールイエローが印象的です。

  • 春の山野草展 チングルマ<br />バラ科ダイコンソウ属の高山植物。東日本、アリューシャン列島、カムチャツカ半島に分布し、高山の雪渓周辺の草地や砂礫地に自生します。花期は6〜8月。<br />チングルマは、どちらかというと花が咲いた後の姿がもてはやされるのですが、花もなかなか可憐です。<br />和名のチングルマは、この実の形が子供の風車に見えたことから稚児車から転じて付けられました。花言葉 は「可憐」。ピッタリですね!<br />驚くことにチングルマは木本植物、いわゆる「木」です。木本植物とは「木を形成する組織が発達し、多年生の地下茎がある植物」。では年輪があるかというと、しっかりあって、マッチ棒程の太さで既に10年選手です。地面からの高さが10cmのものは30年選手というから驚きです。という訳で、チングルマの群落は「チングルマの森」と形容できることになります。<br /><br />

    春の山野草展 チングルマ
    バラ科ダイコンソウ属の高山植物。東日本、アリューシャン列島、カムチャツカ半島に分布し、高山の雪渓周辺の草地や砂礫地に自生します。花期は6〜8月。
    チングルマは、どちらかというと花が咲いた後の姿がもてはやされるのですが、花もなかなか可憐です。
    和名のチングルマは、この実の形が子供の風車に見えたことから稚児車から転じて付けられました。花言葉 は「可憐」。ピッタリですね!
    驚くことにチングルマは木本植物、いわゆる「木」です。木本植物とは「木を形成する組織が発達し、多年生の地下茎がある植物」。では年輪があるかというと、しっかりあって、マッチ棒程の太さで既に10年選手です。地面からの高さが10cmのものは30年選手というから驚きです。という訳で、チングルマの群落は「チングルマの森」と形容できることになります。

  • 春の山野草展 バイカカラマツ(梅花落葉松)<br />キンポウゲ科バイカカラマツソウ属の多年草。和のテイストを持った可憐な可愛い花ですが、れっきとした北アメリカ東北部原産の山野草です。日本には昭和初期に渡来しました。花期は4〜5月。カラマツソウの仲間に似た草姿で、一重の花はウメに似た花を咲かせることが名の由来です。<br />花言葉は、「小さな恋人」「さりげない優しさ」。

    春の山野草展 バイカカラマツ(梅花落葉松)
    キンポウゲ科バイカカラマツソウ属の多年草。和のテイストを持った可憐な可愛い花ですが、れっきとした北アメリカ東北部原産の山野草です。日本には昭和初期に渡来しました。花期は4〜5月。カラマツソウの仲間に似た草姿で、一重の花はウメに似た花を咲かせることが名の由来です。
    花言葉は、「小さな恋人」「さりげない優しさ」。

  • 春の山野草展 イカリソウ(碇草)<br />キンポウゲ目メギ科イカリソウ属の多年草。北海道と東北地方北部、それに近畿地方以北の本州の日本海沿岸、朝鮮半島に分布します。花期は、4〜5月。花びらは4枚、萼片は8枚、雄しべは4本あります。<br />強壮剤として使われた薬用植物です。<br />花言葉は、「人生の出発」「君を離さない」。

    春の山野草展 イカリソウ(碇草)
    キンポウゲ目メギ科イカリソウ属の多年草。北海道と東北地方北部、それに近畿地方以北の本州の日本海沿岸、朝鮮半島に分布します。花期は、4〜5月。花びらは4枚、萼片は8枚、雄しべは4本あります。
    強壮剤として使われた薬用植物です。
    花言葉は、「人生の出発」「君を離さない」。

  • 春の山野草展 キバナイカリソウ(黄花碇草)<br />イカリソウとの違いは色だけです。<br />花の形が船の錨に似ているというのが名前の由来です。現代の船の錨は、二本爪で船体に密着する形です。先人達は何故、四本の爪が有るように見える花を錨と見立てたのでしょうか?それは中国で使われていた四本爪鉄製アンカー型碇が安土桃山時代には日本に渡来していたようで、実際に四本爪の錨が使われていたからです。<br />尚、二本爪の錨は、欧州で発展したものです。<br />

    春の山野草展 キバナイカリソウ(黄花碇草)
    イカリソウとの違いは色だけです。
    花の形が船の錨に似ているというのが名前の由来です。現代の船の錨は、二本爪で船体に密着する形です。先人達は何故、四本の爪が有るように見える花を錨と見立てたのでしょうか?それは中国で使われていた四本爪鉄製アンカー型碇が安土桃山時代には日本に渡来していたようで、実際に四本爪の錨が使われていたからです。
    尚、二本爪の錨は、欧州で発展したものです。

  • 春の山野草展 ユキモチソウ(雪餅草)<br />サトイモ科テンナンショウ属の多年草。本州(奈良、三重、静岡)、四国にのみ分布。葉は通常二枚、三小葉または鳥足状に五小葉を付けます。花期は4〜5月。仏炎苞の質はやや厚く、外面は褐紫色、内面は黄白色、舷部は倒卵形でほぼ直立し、先は細く、内曲しています。付属体は白色、棍棒状で先端が著しく膨らむものもあります。花の名は、白いこん棒状の付属体の先端が雪のように白く、つきたての丸餅のように見えることが由来です。雪見大福のようにも見えますが、当方の第一印象はビーナスの誕生。<br />乱獲のために絶滅する恐れがあり、日本版レッドデータカテゴリーの絶滅危惧II類に分類されています。<br />花言葉は「苦難の中での力」。花名の雪と餅から、雪の中で餅をつくことを連想したものでようか?

    春の山野草展 ユキモチソウ(雪餅草)
    サトイモ科テンナンショウ属の多年草。本州(奈良、三重、静岡)、四国にのみ分布。葉は通常二枚、三小葉または鳥足状に五小葉を付けます。花期は4〜5月。仏炎苞の質はやや厚く、外面は褐紫色、内面は黄白色、舷部は倒卵形でほぼ直立し、先は細く、内曲しています。付属体は白色、棍棒状で先端が著しく膨らむものもあります。花の名は、白いこん棒状の付属体の先端が雪のように白く、つきたての丸餅のように見えることが由来です。雪見大福のようにも見えますが、当方の第一印象はビーナスの誕生。
    乱獲のために絶滅する恐れがあり、日本版レッドデータカテゴリーの絶滅危惧II類に分類されています。
    花言葉は「苦難の中での力」。花名の雪と餅から、雪の中で餅をつくことを連想したものでようか?

  • 春の山野草展 フロックス・プルビナータ・ブルー<br />ツツジ目ハナシノブ科フロックス属の多年草。原産地は北アメリカ・ユタ州。つまり、ロッキー山脈の3000m級高山礫地に生える小型のシバザクラです。<br />属名の「フロックス(Phlox)」はギリシア語の「phlox、またはphlogos(炎、火焔)」の意で、炎のような鮮やかなシバザクラの花色から付けられたとされます。フロックスの正確な名前は、この花の発見者であるドラモンドに因んで「phlox drummondii(フロックス ドラモンディ)」といわれます。<br />花言葉は、「あなたを喜ばせようとすること」「温和」「あなたの望みを受けます」「同意」「不活発」「協調」「合意」。

    春の山野草展 フロックス・プルビナータ・ブルー
    ツツジ目ハナシノブ科フロックス属の多年草。原産地は北アメリカ・ユタ州。つまり、ロッキー山脈の3000m級高山礫地に生える小型のシバザクラです。
    属名の「フロックス(Phlox)」はギリシア語の「phlox、またはphlogos(炎、火焔)」の意で、炎のような鮮やかなシバザクラの花色から付けられたとされます。フロックスの正確な名前は、この花の発見者であるドラモンドに因んで「phlox drummondii(フロックス ドラモンディ)」といわれます。
    花言葉は、「あなたを喜ばせようとすること」「温和」「あなたの望みを受けます」「同意」「不活発」「協調」「合意」。

  • レストハウス横から俯瞰する庭園<br />ヨーロッパの宮殿の庭園に迷い込んだような感覚に浸れます。<br />庭園様式は、自然の風景画を並べたイギリス式庭園の典型と称されるヴェルサイユ宮殿の庭園を彷彿とさせます。眼下に遠く瀬戸内海を借景にするなどは、ベルサイ宮殿の庭園に広がるグラン・カナル(大運河)を意識しています。尚、噴水など水に関わるものは、デンマークのチボリ公園を意識したと設計指揮者の手記が残されています。<br />噴水公園の周りの植え込みは、「王侯貴族のバラ園」と呼ばれる、王や女王、王妃、芸術家などの名を冠した品種180種、4000株が植えられた神戸随一のバラ園です。バラの季節を想像しながら写真を楽しんでいただければ幸甚です。<br /><br /><br /><br />

    レストハウス横から俯瞰する庭園
    ヨーロッパの宮殿の庭園に迷い込んだような感覚に浸れます。
    庭園様式は、自然の風景画を並べたイギリス式庭園の典型と称されるヴェルサイユ宮殿の庭園を彷彿とさせます。眼下に遠く瀬戸内海を借景にするなどは、ベルサイ宮殿の庭園に広がるグラン・カナル(大運河)を意識しています。尚、噴水など水に関わるものは、デンマークのチボリ公園を意識したと設計指揮者の手記が残されています。
    噴水公園の周りの植え込みは、「王侯貴族のバラ園」と呼ばれる、王や女王、王妃、芸術家などの名を冠した品種180種、4000株が植えられた神戸随一のバラ園です。バラの季節を想像しながら写真を楽しんでいただければ幸甚です。



  • レストハウスを見上げる<br />「平面幾何学式庭園」「風景式庭園」「日本庭園」等の要素からなり、往時イギリスで流行した設計法を採用していることが窺えます。<br />テラスの3面に流れるカスケードは、清涼感を醸します。

    レストハウスを見上げる
    「平面幾何学式庭園」「風景式庭園」「日本庭園」等の要素からなり、往時イギリスで流行した設計法を採用していることが窺えます。
    テラスの3面に流れるカスケードは、清涼感を醸します。

  • 海神ポセイドン像<br />1970年開催の大阪万国博覧会ギリシア館にあった海神ポセイドン像が贈呈されています。このブロンズ像は、1926年にエーゲ海の底から発掘された貴重なもので、作者不詳ですが紀元前5世紀の作品だそうです。<br />ギリシア政府から贈呈された理由は、1968年に「夜(光)・風・水」の3つの主要テーマを掲げ、招待形式で「須磨離宮公園現代彫刻展」が始められ、その後ビエンナーレ展として宇部「現代日本彫刻展」と交互に現代彫刻家の登竜門となってきたことを称えてのことだそうです。しかし残念なことに、幾多の偉才を輩出したこの彫刻展も全国で類似の彫刻展が開かれるようになり、当初の使命を終えたとして新世紀への礎をテーマに開催された1998年の第15回で幕を閉じています。<br />

    海神ポセイドン像
    1970年開催の大阪万国博覧会ギリシア館にあった海神ポセイドン像が贈呈されています。このブロンズ像は、1926年にエーゲ海の底から発掘された貴重なもので、作者不詳ですが紀元前5世紀の作品だそうです。
    ギリシア政府から贈呈された理由は、1968年に「夜(光)・風・水」の3つの主要テーマを掲げ、招待形式で「須磨離宮公園現代彫刻展」が始められ、その後ビエンナーレ展として宇部「現代日本彫刻展」と交互に現代彫刻家の登竜門となってきたことを称えてのことだそうです。しかし残念なことに、幾多の偉才を輩出したこの彫刻展も全国で類似の彫刻展が開かれるようになり、当初の使命を終えたとして新世紀への礎をテーマに開催された1998年の第15回で幕を閉じています。

  • テラス式庭園<br />時折聞こえてくる小鳥の囀りや爽やかに吹き上げる潮風に、時間がゆっくりと流れていきます。<br />

    テラス式庭園
    時折聞こえてくる小鳥の囀りや爽やかに吹き上げる潮風に、時間がゆっくりと流れていきます。

  • 噴水広場<br />庭園のランドマークの噴水広場は、水をモチーフにした美しい欧風庭園です。<br />宮殿を模したレストハウスから湧き出た水は、メインフォールとなってカスケードを下り、最後はキャナルに設けられた美しい弧を描く大噴水となって吹き上がります。その周りにはバラ園が幾何学的に配置され、近代的ながら欧州庭園の伝統様式を備えています。ヨーロッパの宮殿を彷彿とさせる前庭、噴水越しに見下ろす瀬戸内海の穏やかな海、そこをゆっくりと滑って行く船影、そして水脈。かつての離宮の面影を一部に遺し、賛沢な空間が広がっています。<br />

    噴水広場
    庭園のランドマークの噴水広場は、水をモチーフにした美しい欧風庭園です。
    宮殿を模したレストハウスから湧き出た水は、メインフォールとなってカスケードを下り、最後はキャナルに設けられた美しい弧を描く大噴水となって吹き上がります。その周りにはバラ園が幾何学的に配置され、近代的ながら欧州庭園の伝統様式を備えています。ヨーロッパの宮殿を彷彿とさせる前庭、噴水越しに見下ろす瀬戸内海の穏やかな海、そこをゆっくりと滑って行く船影、そして水脈。かつての離宮の面影を一部に遺し、賛沢な空間が広がっています。

  • カスケード<br />パルテノン神殿を彷彿とさせる白亜のレストハウスまで何基もの噴水が直列し、その正面には堂々たる小滝が何段も流れ落ちています。<br />絶え間なく流れ落ちるカスケードの水とその音は、心身を癒す演出効果満点です。

    カスケード
    パルテノン神殿を彷彿とさせる白亜のレストハウスまで何基もの噴水が直列し、その正面には堂々たる小滝が何段も流れ落ちています。
    絶え間なく流れ落ちるカスケードの水とその音は、心身を癒す演出効果満点です。

  • キャナル<br />噴水の水しぶきが恋しい季節がもうすぐそこまで来ています。<br />

    キャナル
    噴水の水しぶきが恋しい季節がもうすぐそこまで来ています。

  • プリンセス・アイコ<br />唯一咲いていたバラがこの一輪です。<br />愛子内親王の誕生を記念して命名されたバラです。<br />気品に満ち溢れたその姿には、夢や希望が膨らんでいます。<br />

    プリンセス・アイコ
    唯一咲いていたバラがこの一輪です。
    愛子内親王の誕生を記念して命名されたバラです。
    気品に満ち溢れたその姿には、夢や希望が膨らんでいます。

  • 花しょうぶ池<br />菖蒲の季節には少し早く、竹林の木陰ではタケノコがすくすくと育っていました。<br />菖蒲園辺りは、マリーアントワネットが愛した田舎屋の雰囲気を醸しており、のんびりと散策するのにピッタリです。新緑が放つマイナスイオンをたっぷり吸収できます。

    花しょうぶ池
    菖蒲の季節には少し早く、竹林の木陰ではタケノコがすくすくと育っていました。
    菖蒲園辺りは、マリーアントワネットが愛した田舎屋の雰囲気を醸しており、のんびりと散策するのにピッタリです。新緑が放つマイナスイオンをたっぷり吸収できます。

  • 八重ヤマブキ<br />バラ科ヤマブキ属の多年草。八重咲のヤマブキは、おしべが花びらに変異したもので、花粉を持たないので実がならず、子孫を残すことができません。これを歌に詠んだのが醍醐天皇の皇子 中務卿 兼明親王。<br />「七重八重 花は咲けども 山吹の みのひとつだに なきぞあやしき」。<br />太田道灌の逸話「山吹の里」で有名な歌です。道灌は、鷹狩りの最中に俄か雨に遭い、とある農家に立ち寄って蓑を貸して欲しいと頼みました。すると、その家の少女は、庭に咲いていた今を盛りの山吹の一枝を折って黙って捧げました。道灌は、訳が分かわからぬまま、不快の思いで雨中を帰館しました。後に、老臣から、その少女は古歌「山吹の歌」に事寄せたのだと諭されました。<br />「みのひとつだに」は、「実の一つだに」と「蓑一つだに」の掛詞。「なきぞあやしき」は、「無いことが申し訳ない」。つまり、少女は、家が貧しく、蓑さえ持ち合せがないことを奥床しく伝えようとしたのでした。<br />道灌は、山吹に込められた少女の真意を知り、己の無学を深く恥じ入り、それ以来、和歌の道に励み、その道の達人になったというお話です。<br />その続きがあり、その後道灌は、その落武者の娘 紅皿(べにざら)を江戸城に呼び、和歌の友としたそうです。そして、道灌が亡くなった後、紅皿は、大久保に庵を建てて尼となり、死後、その地に葬られたそうです。新宿区大聖院の境内には紅皿の碑が建てられているそうです。<br />ヤマブキの名の由来は、元々は「弥芽吹く木(いやめぶくき)」と呼ばれていたのですが、春いち早く芽を出すので「ヤメブキ」 ⇒ 「ヤマブキ」 と変化したと言われています。<br />花言葉は、「気品」「崇高」「待ちかねる」「金運」。往々にして小判の色を山吹色に例えるそうです。<br /><br />最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。恥も外聞もなく、備忘録も兼ねて徒然に旅行記を認めてしまいました。当方の経験や情報が皆さんの旅行の参考になれば幸甚です。どこか見知らぬ旅先で、見知らぬ貴方とすれ違えることに心ときめかせております。<br />

    八重ヤマブキ
    バラ科ヤマブキ属の多年草。八重咲のヤマブキは、おしべが花びらに変異したもので、花粉を持たないので実がならず、子孫を残すことができません。これを歌に詠んだのが醍醐天皇の皇子 中務卿 兼明親王。
    「七重八重 花は咲けども 山吹の みのひとつだに なきぞあやしき」。
    太田道灌の逸話「山吹の里」で有名な歌です。道灌は、鷹狩りの最中に俄か雨に遭い、とある農家に立ち寄って蓑を貸して欲しいと頼みました。すると、その家の少女は、庭に咲いていた今を盛りの山吹の一枝を折って黙って捧げました。道灌は、訳が分かわからぬまま、不快の思いで雨中を帰館しました。後に、老臣から、その少女は古歌「山吹の歌」に事寄せたのだと諭されました。
    「みのひとつだに」は、「実の一つだに」と「蓑一つだに」の掛詞。「なきぞあやしき」は、「無いことが申し訳ない」。つまり、少女は、家が貧しく、蓑さえ持ち合せがないことを奥床しく伝えようとしたのでした。
    道灌は、山吹に込められた少女の真意を知り、己の無学を深く恥じ入り、それ以来、和歌の道に励み、その道の達人になったというお話です。
    その続きがあり、その後道灌は、その落武者の娘 紅皿(べにざら)を江戸城に呼び、和歌の友としたそうです。そして、道灌が亡くなった後、紅皿は、大久保に庵を建てて尼となり、死後、その地に葬られたそうです。新宿区大聖院の境内には紅皿の碑が建てられているそうです。
    ヤマブキの名の由来は、元々は「弥芽吹く木(いやめぶくき)」と呼ばれていたのですが、春いち早く芽を出すので「ヤメブキ」 ⇒ 「ヤマブキ」 と変化したと言われています。
    花言葉は、「気品」「崇高」「待ちかねる」「金運」。往々にして小判の色を山吹色に例えるそうです。

    最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。恥も外聞もなく、備忘録も兼ねて徒然に旅行記を認めてしまいました。当方の経験や情報が皆さんの旅行の参考になれば幸甚です。どこか見知らぬ旅先で、見知らぬ貴方とすれ違えることに心ときめかせております。

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