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南インド、タミル・ナードゥ州のヒンドゥー寺院を巡る旅5日目。<br /><br />今回の旅もいよいよ実質最終日。<br />2013年の初日の出を観賞したインド亜大陸最南端の町カーニャクマリから、夜行列車で南インドの旅の出発地点チェンナイへ。<br /><br />そしてチェンナイから海沿いに南へ60km下ったところにある世界遺産の町マハバリプラムへ。<br /><br />ここではまず、これまで見てきた南インドのヒンドゥー寺院の様式、ドラヴィダ建築の原型となった7世紀の石彫り寺院“ファイブ・ラタ”を見学。<br /><br />だいぶ浸食が進んでいるとはいえ、1300年前の寺院建築がほぼ原型を留めた姿で残っていることに驚き。<br /><br />インドの石造り建築の伝統を改めて認識することとなった世界遺産観賞となりました。<br /><br /><旅程表><br /> 2012年〜2013年<br /> 12月29日(土) 成田→香港→<br /> 12月30日(日) →チェンナイ→カーンチプラム→チェンナイ→マドゥライ<br /> 12月31日(月) マドゥライ→カーニャクマリ<br />  1月 1日(火) カーニャクマリ(コモリン岬)→<br />○ 1月 2日(水) →チェンナイ→マハバリプラム→チェンナイ<br />  1月 3日(木) チェンナイ→香港→成田

南インド・タミル紀行(7) ドラヴィダ建築の原型 マハバリプラムの5つの石彫り寺院ファイブ・ラタ

52いいね!

2013/01/02 - 2013/01/02

9位(同エリア72件中)

4

37

エンリケ

エンリケさん

南インド、タミル・ナードゥ州のヒンドゥー寺院を巡る旅5日目。

今回の旅もいよいよ実質最終日。
2013年の初日の出を観賞したインド亜大陸最南端の町カーニャクマリから、夜行列車で南インドの旅の出発地点チェンナイへ。

そしてチェンナイから海沿いに南へ60km下ったところにある世界遺産の町マハバリプラムへ。

ここではまず、これまで見てきた南インドのヒンドゥー寺院の様式、ドラヴィダ建築の原型となった7世紀の石彫り寺院“ファイブ・ラタ”を見学。

だいぶ浸食が進んでいるとはいえ、1300年前の寺院建築がほぼ原型を留めた姿で残っていることに驚き。

インドの石造り建築の伝統を改めて認識することとなった世界遺産観賞となりました。

<旅程表>
 2012年〜2013年
 12月29日(土) 成田→香港→
 12月30日(日) →チェンナイ→カーンチプラム→チェンナイ→マドゥライ
 12月31日(月) マドゥライ→カーニャクマリ
  1月 1日(火) カーニャクマリ(コモリン岬)→
○ 1月 2日(水) →チェンナイ→マハバリプラム→チェンナイ
  1月 3日(木) チェンナイ→香港→成田

旅行の満足度
4.0
観光
4.0
グルメ
5.0
交通
2.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
25万円 - 30万円
交通手段
鉄道 タクシー
航空会社
キャセイパシフィック航空
旅行の手配内容
ツアー(添乗員同行なし)
  • 1月2日(水)<br />前日18時にナガルコイルの駅を出発した列車は、およそ700km離れたタミル・ナードゥ州の州都チェンナイを目指して、北へ、北へと走り続けます。<br /><br />7時30分、目が覚めて窓の外を眺めると、こんな田園風景が。

    1月2日(水)
    前日18時にナガルコイルの駅を出発した列車は、およそ700km離れたタミル・ナードゥ州の州都チェンナイを目指して、北へ、北へと走り続けます。

    7時30分、目が覚めて窓の外を眺めると、こんな田園風景が。

  • どこまでも続く広大な田園。<br /><br />チェンナイはまだまだ先でしょうか。

    どこまでも続く広大な田園。

    チェンナイはまだまだ先でしょうか。

  • 列車の前方に目を向けると、建設中の道路らしきものも見えてきました。<br /><br />広大な南インド、まだまだ開発し甲斐がありそうですね。

    列車の前方に目を向けると、建設中の道路らしきものも見えてきました。

    広大な南インド、まだまだ開発し甲斐がありそうですね。

  • 8時、外の景色を眺めていたら、太陽に雲が覆いかぶさって何やら幻想的な風景に。

    8時、外の景色を眺めていたら、太陽に雲が覆いかぶさって何やら幻想的な風景に。

  • 田んぼの形がどこか日本の農村のような風景です。<br /><br />水を張った田んぼにおぼろになった太陽が映って趣を感じるのも日本的。

    田んぼの形がどこか日本の農村のような風景です。

    水を張った田んぼにおぼろになった太陽が映って趣を感じるのも日本的。

  • こんなふわっとした景色がしばらく続き・・・。

    こんなふわっとした景色がしばらく続き・・・。

  • 9時を回っていよいよ街が見えてきました。<br /><br />よく見ると、線路を歩いている人が多数・・・。<br /><br />みんな“スタンド・バイ・ミー”の真似事か(笑)。

    9時を回っていよいよ街が見えてきました。

    よく見ると、線路を歩いている人が多数・・・。

    みんな“スタンド・バイ・ミー”の真似事か(笑)。

  • 線路を歩いて行く人の先を見たら、そこはすぐ駅。<br /><br />みなさん線路の上が通勤経路なのね(笑)。

    線路を歩いて行く人の先を見たら、そこはすぐ駅。

    みなさん線路の上が通勤経路なのね(笑)。

  • その駅のホームには、おなじみワイシャツ姿のインドの男性陣が。<br /><br />Tシャツだとインドでは失礼にあたってしまうのでしょうか??

    その駅のホームには、おなじみワイシャツ姿のインドの男性陣が。

    Tシャツだとインドでは失礼にあたってしまうのでしょうか??

  • そんなこんなで9時30分、インド亜大陸の最南端から15時間半かかって、ようやくチェンナイ・エグモア駅に到着。<br /><br />ガイド氏ともどもおつかれさまでした!<br /><br />これまでの人生で最長の列車の旅でした(笑)。<br /><br />とにかくお腹が空いたので(車内で売っている食べ物は美味しくないし、チャイもティーバッグ式でイマイチ)、この時間帯でも開いている駅の食堂へ。

    そんなこんなで9時30分、インド亜大陸の最南端から15時間半かかって、ようやくチェンナイ・エグモア駅に到着。

    ガイド氏ともどもおつかれさまでした!

    これまでの人生で最長の列車の旅でした(笑)。

    とにかくお腹が空いたので(車内で売っている食べ物は美味しくないし、チャイもティーバッグ式でイマイチ)、この時間帯でも開いている駅の食堂へ。

  • モーニングセットを注文すると、出てきたのはやたら水っぽいカレー(笑)。<br /><br />こんな見た目でもインドカレー好きには十分美味しかったです(笑)。

    モーニングセットを注文すると、出てきたのはやたら水っぽいカレー(笑)。

    こんな見た目でもインドカレー好きには十分美味しかったです(笑)。

  • 朝食をとり終え、10時、ガイド氏が車を手配している間に、白と赤を基調とした外観が美しいチェンナイ・エグモア駅をパチリ。<br /><br />玉葱型のドームやアーチ構造のほか、中央のドームの四隅には四阿(あずまや)風のチャトリも見え、インド・イスラム様式の色が強く出ている建築物となっています。<br /><br />・・・ここタミル・ナードゥ州はインドの中でもヒンドゥー色の強い州ですが、マドゥライのティルマライ・ナーヤカ宮殿でも見たように、街の要所要所の建築物にインド・イスラム様式が取り入れられているのですね。<br /><br />それだけインド・イスラム様式に宗教を超えた美しさがあるということなのでしょう。<br /><br />【南インド・タミル紀行(4) マドゥライのティルマライ・ナーヤカ宮殿】<br />http://4travel.jp/travelogue/10834282

    朝食をとり終え、10時、ガイド氏が車を手配している間に、白と赤を基調とした外観が美しいチェンナイ・エグモア駅をパチリ。

    玉葱型のドームやアーチ構造のほか、中央のドームの四隅には四阿(あずまや)風のチャトリも見え、インド・イスラム様式の色が強く出ている建築物となっています。

    ・・・ここタミル・ナードゥ州はインドの中でもヒンドゥー色の強い州ですが、マドゥライのティルマライ・ナーヤカ宮殿でも見たように、街の要所要所の建築物にインド・イスラム様式が取り入れられているのですね。

    それだけインド・イスラム様式に宗教を超えた美しさがあるということなのでしょう。

    【南インド・タミル紀行(4) マドゥライのティルマライ・ナーヤカ宮殿】
    http://4travel.jp/travelogue/10834282

  • 駅構内の通路にもインド・イスラム様式風のアーチ構造が。<br /><br />思わず反応して写真を撮ってしまいます(笑)。

    駅構内の通路にもインド・イスラム様式風のアーチ構造が。

    思わず反応して写真を撮ってしまいます(笑)。

  • 10時10分、ガイド氏が見つけた車に乗り込み、次の目的地、チェンナイから海に沿って南に60km行ったところにある世界遺産の街マハバリプラムに向けて出発。<br /><br />車窓から見えるチェンナイの街なかは、最近のインドの経済成長を反映していい車も多いですが、庶民の足としての黄色のオートリクシャーもいまだ健在です。

    10時10分、ガイド氏が見つけた車に乗り込み、次の目的地、チェンナイから海に沿って南に60km行ったところにある世界遺産の街マハバリプラムに向けて出発。

    車窓から見えるチェンナイの街なかは、最近のインドの経済成長を反映していい車も多いですが、庶民の足としての黄色のオートリクシャーもいまだ健在です。

  • こんな年季の入った味のあるバスも走っています。

    こんな年季の入った味のあるバスも走っています。

  • 新しいもの、古いものが入り混じったチェンナイの街なかを抜けて・・・。

    新しいもの、古いものが入り混じったチェンナイの街なかを抜けて・・・。

  • 左手にビーチの見える真っ直ぐな道を突っ走って、一路マハバリプラムまで。

    左手にビーチの見える真っ直ぐな道を突っ走って、一路マハバリプラムまで。

  • 道路を飛ばしに飛ばして11時40分、マハバリプラムの世界遺産、“5つの石彫り寺院”(ファイブ・ラタ、Five Rhatas)の入口に到着。<br /><br />ここは世界遺産都市だけあって、これまでのカーンチプラムやマドゥライ、カーニャクマリではほとんど見かけなかった欧米系の旅行者があちらこちらに。<br /><br />外国人向けのヒンドゥーの神々の像などの民芸品を売る店も多いです。<br /><br />やはり“世界遺産”のネームバリューというのは大きいのですね。<br /><br />外国人観光客が多い分、こちらもインド特有のディープさから解放されて、少し息がしやすくなった思いです(笑)。

    道路を飛ばしに飛ばして11時40分、マハバリプラムの世界遺産、“5つの石彫り寺院”(ファイブ・ラタ、Five Rhatas)の入口に到着。

    ここは世界遺産都市だけあって、これまでのカーンチプラムやマドゥライ、カーニャクマリではほとんど見かけなかった欧米系の旅行者があちらこちらに。

    外国人向けのヒンドゥーの神々の像などの民芸品を売る店も多いです。

    やはり“世界遺産”のネームバリューというのは大きいのですね。

    外国人観光客が多い分、こちらもインド特有のディープさから解放されて、少し息がしやすくなった思いです(笑)。

  • チケットを買って、早速ファイブ・ラタへ。<br /><br />柵で囲まれた赤い砂地の上に建つ世界遺産に、ゲートを通って近づいて行きます。

    チケットを買って、早速ファイブ・ラタへ。

    柵で囲まれた赤い砂地の上に建つ世界遺産に、ゲートを通って近づいて行きます。

  • 砂地を踏みしめながら進み、見えてきたのは、“ファイブ・ラタ”という名のとおり、5つの寺院建築を中心とし、それを守護するように獅子や牛、象の彫刻が立ち並ぶ石彫りの遺跡群。<br /><br />実はこれらの遺跡群、ひとつの巨大な花崗岩をくり抜いて作られたもの。<br /><br />7世紀半ばのパッラヴァ朝(3世紀後半〜893年)の時代、このマハバリプラム(マーマッラプラム)の街の名の由来である“マーマッラ”(Mamalla、偉大なる戦士)と呼ばれた王、ナラスィンハヴァルマン1世(Narasimhavarman ?、在位:630-668年)が建造させた寺院群で、“ドラヴィダ様式”といわれる南インドのヒンドゥー寺院建築の原型となる貴重なものとして、世界遺産にも登録されているものです。

    砂地を踏みしめながら進み、見えてきたのは、“ファイブ・ラタ”という名のとおり、5つの寺院建築を中心とし、それを守護するように獅子や牛、象の彫刻が立ち並ぶ石彫りの遺跡群。

    実はこれらの遺跡群、ひとつの巨大な花崗岩をくり抜いて作られたもの。

    7世紀半ばのパッラヴァ朝(3世紀後半〜893年)の時代、このマハバリプラム(マーマッラプラム)の街の名の由来である“マーマッラ”(Mamalla、偉大なる戦士)と呼ばれた王、ナラスィンハヴァルマン1世(Narasimhavarman ?、在位:630-668年)が建造させた寺院群で、“ドラヴィダ様式”といわれる南インドのヒンドゥー寺院建築の原型となる貴重なものとして、世界遺産にも登録されているものです。

  • 5つの寺院群のうち、いちばん北(入口側)にある寺院は、“ドラウパディー・ラタ”といい、三角屋根の素朴な印象。<br /><br />茅葺き・寄棟屋根の民家をもとにしたものと言われ、部屋は正方形で、一層の単純なかたちをしています。<br /><br />外壁には、南インドの強烈な日射しや風雨にも耐え、1300年後の現代にも引き継がれた艶っぽい女神の像が彫られていますが、さらに内部をのぞいてみると・・・。

    5つの寺院群のうち、いちばん北(入口側)にある寺院は、“ドラウパディー・ラタ”といい、三角屋根の素朴な印象。

    茅葺き・寄棟屋根の民家をもとにしたものと言われ、部屋は正方形で、一層の単純なかたちをしています。

    外壁には、南インドの強烈な日射しや風雨にも耐え、1300年後の現代にも引き継がれた艶っぽい女神の像が彫られていますが、さらに内部をのぞいてみると・・・。

  • 内部だけに、より原型を留めたかたちで残った、女神を中心とする神々の像が。<br /><br />中央の女神は、南インドの土着神で、北方からやってきたシヴァ神の妻パールヴァティーと同一視されるに至ったミナクシ女神なのでしょうか。<br /><br />それとも、この寺院の名前のとおり、インドの古代叙事詩“マハーバーラタ”に登場する絶世の美女で、主役級のパーンダヴァ5兄弟の共通の妻となったドラウパディーのことなのか。

    内部だけに、より原型を留めたかたちで残った、女神を中心とする神々の像が。

    中央の女神は、南インドの土着神で、北方からやってきたシヴァ神の妻パールヴァティーと同一視されるに至ったミナクシ女神なのでしょうか。

    それとも、この寺院の名前のとおり、インドの古代叙事詩“マハーバーラタ”に登場する絶世の美女で、主役級のパーンダヴァ5兄弟の共通の妻となったドラウパディーのことなのか。

  • 続いては、南北に並んでいるこれらの寺院群の裏(東)側にある小高い丘に登って、反対側からパチリ。<br /><br />この時間帯はこちらの方が順光になっており、写真を撮りやすいです。

    続いては、南北に並んでいるこれらの寺院群の裏(東)側にある小高い丘に登って、反対側からパチリ。

    この時間帯はこちらの方が順光になっており、写真を撮りやすいです。

  • 北(入口側)から2番目の位置にある寺院、“アルジュナ・ラタ”を裏側からパチリ。<br /><br />最初に見た、素朴な印象だった一層構造のドラウパディー・ラタと違い、こちらは階段状の屋根を持つ三層構造で、装飾的なかたちをしています。<br /><br />これは初期ドラヴィダ建築の典型的なかたちとされ、その後の8世紀初頭に建造されたカーンチプラムのカイラーサナータ寺院の小祠堂にも取り入れられています。<br /><br />【南インド・タミル紀行(1) カーンチプラムのカイラーサナータ寺院の小祠堂】<br />http://4travel.jp/photo?trvlgphoto=31135590<br /><br />あわせてこのアルジュナ・ラタは、ミトゥナ像(抱擁する男女の像)などの壁面のレリーフも見事です。<br /><br />ちなみに、この寺院の名前ともなっている“アルジュナ”とは、インドの古代叙事詩“マハーバーラタ”に登場するパーンダヴァ家の英雄で、他の4兄弟とともに、先に見た寺院の名前の由来ともなった絶世の美女“ドラウパディー”の共通の夫ともなっています。

    北(入口側)から2番目の位置にある寺院、“アルジュナ・ラタ”を裏側からパチリ。

    最初に見た、素朴な印象だった一層構造のドラウパディー・ラタと違い、こちらは階段状の屋根を持つ三層構造で、装飾的なかたちをしています。

    これは初期ドラヴィダ建築の典型的なかたちとされ、その後の8世紀初頭に建造されたカーンチプラムのカイラーサナータ寺院の小祠堂にも取り入れられています。

    【南インド・タミル紀行(1) カーンチプラムのカイラーサナータ寺院の小祠堂】
    http://4travel.jp/photo?trvlgphoto=31135590

    あわせてこのアルジュナ・ラタは、ミトゥナ像(抱擁する男女の像)などの壁面のレリーフも見事です。

    ちなみに、この寺院の名前ともなっている“アルジュナ”とは、インドの古代叙事詩“マハーバーラタ”に登場するパーンダヴァ家の英雄で、他の4兄弟とともに、先に見た寺院の名前の由来ともなった絶世の美女“ドラウパディー”の共通の夫ともなっています。

  • アルジュナ・ラタの裏側にはシヴァ神の乗り物、聖なる牛のナンディーが。<br /><br />このナンディー、時代が下っても立ちあがったりせず、ずっと同じ座った姿のままですね(笑)。<br /><br />【南インド紀行(1) カーンチプラムのカイラーサナータ寺院(8世紀)のナンディー】<br />http://4travel.jp/photo?trvlgphoto=31135258<br /><br />【南インド紀行(3) マドゥライのミナクシ寺院(17世紀)のナンディー】<br />http://4travel.jp/photo?trvlgphoto=31388873

    アルジュナ・ラタの裏側にはシヴァ神の乗り物、聖なる牛のナンディーが。

    このナンディー、時代が下っても立ちあがったりせず、ずっと同じ座った姿のままですね(笑)。

    【南インド紀行(1) カーンチプラムのカイラーサナータ寺院(8世紀)のナンディー】
    http://4travel.jp/photo?trvlgphoto=31135258

    【南インド紀行(3) マドゥライのミナクシ寺院(17世紀)のナンディー】
    http://4travel.jp/photo?trvlgphoto=31388873

  • 続いてアルジュナ・ラタの南隣に建つ3番目の寺院は、“ビーマ・ラタ”。<br /><br />横に長い長方形のかたちをした寺院で、切妻式の屋根は、最初に見たドラウパディー・ラタと同じく民家に由来するものであると言われています。<br /><br />このビーマ・ラタは、カーンチプラムやマドゥライなどで見たゴープラム(塔門)の原初形と言われ、現在2層しかないこの構造を多層化することで、あの天高くそびえるゴープラムの形状に発展していったと考えられています。<br /><br />【南インド・タミル紀行(3) マドゥライのミナクシ寺院のゴープラム】<br />http://4travel.jp/photo?trvlgphoto=31383368<br /><br />なお、この寺院の名前となっている“ビーマ”とは、マハーバーラタに登場するアルジュナの兄で、超人的な怪力の持ち主でもある英雄のこと。<br /><br />この寺院の横に長い重厚感からこの名前がつけられたものと思われます。

    続いてアルジュナ・ラタの南隣に建つ3番目の寺院は、“ビーマ・ラタ”。

    横に長い長方形のかたちをした寺院で、切妻式の屋根は、最初に見たドラウパディー・ラタと同じく民家に由来するものであると言われています。

    このビーマ・ラタは、カーンチプラムやマドゥライなどで見たゴープラム(塔門)の原初形と言われ、現在2層しかないこの構造を多層化することで、あの天高くそびえるゴープラムの形状に発展していったと考えられています。

    【南インド・タミル紀行(3) マドゥライのミナクシ寺院のゴープラム】
    http://4travel.jp/photo?trvlgphoto=31383368

    なお、この寺院の名前となっている“ビーマ”とは、マハーバーラタに登場するアルジュナの兄で、超人的な怪力の持ち主でもある英雄のこと。

    この寺院の横に長い重厚感からこの名前がつけられたものと思われます。

  • そしてビーマ・ラタの隣り、いちばん南側に建つ4番目の寺院は、“ダルマラージャ・ラタ”。<br /><br />ピラミッドのような階段状の屋根を持つ四層構造となっており、ここにある5つの寺院の中でいちばんの高さを誇っています。<br /><br />このピラミッド状の屋根、2番目に見たアルジュナ・ラタと同様に、ドラヴィダ様式の祠堂建築の典型として、その後の南インド一帯に広まっていくことになります。<br /><br />そういう意味でも、この5つの石彫り寺院は世界遺産に登録されている意義があるというものです。<br /><br />ちなみにこのダルマラージャ・ラタ、直訳すれば“法の王”という意味ですが、これは、マハーバーラタに登場するパーンダヴァ5兄弟の長兄“ユディシュティラ”の別名なのだそうです。

    そしてビーマ・ラタの隣り、いちばん南側に建つ4番目の寺院は、“ダルマラージャ・ラタ”。

    ピラミッドのような階段状の屋根を持つ四層構造となっており、ここにある5つの寺院の中でいちばんの高さを誇っています。

    このピラミッド状の屋根、2番目に見たアルジュナ・ラタと同様に、ドラヴィダ様式の祠堂建築の典型として、その後の南インド一帯に広まっていくことになります。

    そういう意味でも、この5つの石彫り寺院は世界遺産に登録されている意義があるというものです。

    ちなみにこのダルマラージャ・ラタ、直訳すれば“法の王”という意味ですが、これは、マハーバーラタに登場するパーンダヴァ5兄弟の長兄“ユディシュティラ”の別名なのだそうです。

  • 第4の寺院、ダルマラージャ・ラタに近づいてパチリ。<br /><br />こちらも1300年後の現代まで残っている神々のレリーフが見事です。

    第4の寺院、ダルマラージャ・ラタに近づいてパチリ。

    こちらも1300年後の現代まで残っている神々のレリーフが見事です。

  • その横にある獅子の列柱も、その後の南インドの寺院建築には欠かせない要素となっています。<br /><br />【南インド・タミル紀行(2) カーンチプラムのヴァイクンタ・ペルマール寺院(8世紀)の獅子の列柱】<br />http://4travel.jp/photo?trvlgphoto=31239336<br /><br />ちなみに、こんなに外側のレリーフは素晴らしいのに、なぜか内部のレリーフは未完成。<br /><br />建設途中で政変でも起こって工事が中止されてしまったのでしょうかね。

    その横にある獅子の列柱も、その後の南インドの寺院建築には欠かせない要素となっています。

    【南インド・タミル紀行(2) カーンチプラムのヴァイクンタ・ペルマール寺院(8世紀)の獅子の列柱】
    http://4travel.jp/photo?trvlgphoto=31239336

    ちなみに、こんなに外側のレリーフは素晴らしいのに、なぜか内部のレリーフは未完成。

    建設途中で政変でも起こって工事が中止されてしまったのでしょうかね。

  • 3番目の寺院のビーマ・ラタも南側の外面は工事が粗く、未完成の様相。<br /><br />まさかこちら側だけ後世の浸食が激しかったというのも、意匠を凝らした屋根を見れば、それは違うということが分かると思います。<br /><br />やはり建設途中で建設を命じた王の身に何かあったのでしょう。<br /><br />古代のミステリーですね(笑)。

    3番目の寺院のビーマ・ラタも南側の外面は工事が粗く、未完成の様相。

    まさかこちら側だけ後世の浸食が激しかったというのも、意匠を凝らした屋根を見れば、それは違うということが分かると思います。

    やはり建設途中で建設を命じた王の身に何かあったのでしょう。

    古代のミステリーですね(笑)。

  • いちばん南側のダルマラージャ・ラタから北側を見ると・・・もうひとつ、並んでいる4つの寺院から体ひとつ西に突き出たところに、最後の5番目の寺院がありました。

    いちばん南側のダルマラージャ・ラタから北側を見ると・・・もうひとつ、並んでいる4つの寺院から体ひとつ西に突き出たところに、最後の5番目の寺院がありました。

  • 5番目の寺院に行く前に、3番目のビーマ・ラタの西側の列柱群をパチリ。<br /><br />こちらも4番目のダルマラージャ・ラタと同様、柱に獅子の姿が刻まれていますね。<br /><br />ちなみに内部のレリーフはやはり未完成です。

    5番目の寺院に行く前に、3番目のビーマ・ラタの西側の列柱群をパチリ。

    こちらも4番目のダルマラージャ・ラタと同様、柱に獅子の姿が刻まれていますね。

    ちなみに内部のレリーフはやはり未完成です。

  • そしてようやく最後の5番目の寺院までたどり着きました。<br /><br />“ナクラ・サハデーヴァ・ラタ”です。<br /><br />この寺院の名前も、マハーバーラタに登場するパーンダヴァ家の5兄弟の名前から採られていて、双子であり絶世の美男子とされる“ナクラ”と“サハデーヴァ”の名前を組み合わせたものとなっています。<br /><br />・・・12時をまわり、国内外からの観光客も増えてきました。<br /><br />このナクラ・サハデーヴァ・ラタ、三層構造をしていて装飾的な屋根を持つことでは2番目に見たアルジュナ・ラタと同じですが、決定的に異なるところがひとつ・・・。

    そしてようやく最後の5番目の寺院までたどり着きました。

    “ナクラ・サハデーヴァ・ラタ”です。

    この寺院の名前も、マハーバーラタに登場するパーンダヴァ家の5兄弟の名前から採られていて、双子であり絶世の美男子とされる“ナクラ”と“サハデーヴァ”の名前を組み合わせたものとなっています。

    ・・・12時をまわり、国内外からの観光客も増えてきました。

    このナクラ・サハデーヴァ・ラタ、三層構造をしていて装飾的な屋根を持つことでは2番目に見たアルジュナ・ラタと同じですが、決定的に異なるところがひとつ・・・。

  • それは、寺院の後方の部分が円形をしているところ。<br /><br />しかも、5つの寺院で唯一、入口が南側を向いています(ほかの4つの寺院はすべて西向き)。<br /><br />このひとつだけ違う方角を向いている寺院も南インド古代史のミステリーですかね(笑)。<br /><br />ちなみに、この寺院の後方が円形をなしているのは、仏教の礼拝堂のかたちを受け継いでいるからとも言われます。<br /><br />実際、イメージが湧きませんが・・・。

    それは、寺院の後方の部分が円形をしているところ。

    しかも、5つの寺院で唯一、入口が南側を向いています(ほかの4つの寺院はすべて西向き)。

    このひとつだけ違う方角を向いている寺院も南インド古代史のミステリーですかね(笑)。

    ちなみに、この寺院の後方が円形をなしているのは、仏教の礼拝堂のかたちを受け継いでいるからとも言われます。

    実際、イメージが湧きませんが・・・。

  • ドラウパディー・ラタとアルジュナ・ラタのすき間からはナンディーが顔をのぞかせています。<br /><br />まるで生きている牛のように写実的ですね。

    ドラウパディー・ラタとアルジュナ・ラタのすき間からはナンディーが顔をのぞかせています。

    まるで生きている牛のように写実的ですね。

  • そしてナクラ・サハデーヴァ・ラタの隣にはこれまた写実的な象。<br /><br />立つ場所からして、これら5つの寺院の守護獣のようです。

    そしてナクラ・サハデーヴァ・ラタの隣にはこれまた写実的な象。

    立つ場所からして、これら5つの寺院の守護獣のようです。

  • 最後に、5つの寺院すべてが見えるスポット(と言ってもやや木が邪魔・・・)で全景をパチリ。<br /><br />ここで欧米系の団体旅行客に出会い、5つの寺院をバックに自分の写真を撮ってもらいましたが、どこから来たのか尋ねるとギリシャからとのこと。<br /><br />お互い借金の多い国だけどがんばろう!<br /><br />さて、時計を見ると12時20分。<br /><br />こんな小さな観光スポットですが、古い遺跡はなんだかんだで見どころが多く、40分も時間を費やしてしまいました。<br /><br />まだまだマハバリプラムには見るべき場所が多いので、お昼は後回しにして、次の観光スポットへと足を運びます!<br /><br />(引き続きマハバリプラム観光=最終回へ続く。)

    最後に、5つの寺院すべてが見えるスポット(と言ってもやや木が邪魔・・・)で全景をパチリ。

    ここで欧米系の団体旅行客に出会い、5つの寺院をバックに自分の写真を撮ってもらいましたが、どこから来たのか尋ねるとギリシャからとのこと。

    お互い借金の多い国だけどがんばろう!

    さて、時計を見ると12時20分。

    こんな小さな観光スポットですが、古い遺跡はなんだかんだで見どころが多く、40分も時間を費やしてしまいました。

    まだまだマハバリプラムには見るべき場所が多いので、お昼は後回しにして、次の観光スポットへと足を運びます!

    (引き続きマハバリプラム観光=最終回へ続く。)

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  • konomiさん 2014/01/27 22:03:13
    かわいい象さん
    南インドはいつかは行ってみたいところ

    でも、胃腸に自信がありません・・・
    シンガポールでさえ、耐えられなかったこの胃腸・・・。
    インドの絶景を見る日は来るのか・・・・?

    エンリケ

    エンリケさん からの返信 2014/02/08 21:34:55
    ご訪問ありがとうございます。
    konomiさん

    こんばんは。ご訪問ありがとうございます。

    konomiさんはインドは未訪問なのですね。

    インドでも最近は経済成長とともにこぎれいなお店が増えていますから、そういうところを選んで食事をすれば、それほど問題はないと思いますよ。

    konomiさんはチュニジアにも行ってらっしゃるようですし、今度はインドにもぜひチャレンジしてみてください!
  • 川岸 町子さん 2014/01/19 23:05:56
    こちらも
    エンリケさん、こんばんは

     長旅お疲れ様でした。
     すごーい長距離で、いい思い出になりましたね(笑)。
     車窓からの風景を楽しまれる余裕、さすがですねー!!
     
     こちらも私の妄想のコースに入っている所でした(笑)。
     チェンナイから60kmも離れているのですね。

     有名な世界遺産ですので、観光客にも人気ですよね。
     侵食が進む前に行かなくちゃ!

     いつも拝見して感じるのですが、今までに旅された所と、うまく比較なさって、思い出や経験を深めていらっしゃいますね。
     エンリケさんならではの、旅行記の素晴らしさだとずっと思っていました。

     大きなバターボール(?)をこの後、押したのでしょうか?
     転がりましたか(笑)?

                              町子

     

    エンリケ

    エンリケさん からの返信 2014/01/25 19:59:07
    いつもご訪問ありがとうございます。
    川岸 町子さん

    こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます!

    マハバリプラム、さすが世界遺産がある町だけあって、インド特有のディープさがちょっと薄れたところでした(笑)。

    > いつも拝見して感じるのですが、今までに旅された所と、うまく比較なさって、思い出や経験を深めていらっしゃいますね。
    > エンリケさんならではの、旅行記の素晴らしさだとずっと思っていました。

    お褒めいただき恐縮です。
    旅をしている最中は時間がなくて写真を撮っただけで終わってしまうスポットでも、こうして旅行記を作成しているときに改めてその場所について調べてみると、旅行中は気付かなかった新たな発見があったりと、さらに旅を楽しめますよね!

    > 大きなバターボール(?)をこの後、押したのでしょうか?
    > 転がりましたか(笑)?

    さすがインド好きの町子さん、次の展開を読んでいますね(笑)。

    また新たな発見をしながら旅行記をつくってまいりますので、結果はもう少々お待ちください!

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