常夏の楽園の光と影を追って−−−−−。

2013/12/17 - 2013/12/21

グアムは現在は南の楽園です。

しかし、大航海時代以来歴史に翻弄され、苦難の歴史も併せ持つ島だったようです。

島の史跡めぐりで過去の歴史に、当時の人々に思いを馳せました。

エリア グアム(グアム)

早朝のタモン湾。

今日も晴天のようです。

真夏（というかいつも真夏！？）らしい雲が朝焼けに輝いています。

ホテル ニッコー グアム ホテル

眼下のチャペルと波。

波の立っているところにサンゴ礁のエッジがあります。

ほんの１０分程度佇んでいただけで強烈な朝日が左手背後から射します。

波が朝日に輝きます。

風はそれほどありませんが波立っています。

チャペルの全景はこのような三角形をしています。

岬の突端に立つのがチャペルのようです。

滞在中に結婚式を数回見ましたのでかなり繁盛しているようです（笑）

車をレンタカー会社で調達して島内巡りにでかけます。

最初は最も有名な観光地である恋人岬。

英語名はTwo　Lovers　Pointです。

実はこの命名、決して楽しく華やかなものではありません。

結婚を反対された原住民（チャモロ人）のカップルが髪の毛を結びつけてこの岬の崖から飛び降りたという故事に由来するそうです。

日本の恋人岬のようにキレイ事だけでつくられたものとは重みが違いますーーー。

恋人岬 海岸・海

そして、現世では結婚の聖地。

真っ赤なウエディングドレスの花嫁とずっと地味な花婿がいました（笑）

岬は風が強くnorisa妻、怒ってもいないのに毛を逆立てます（笑）

いや、怒っていたかも？？！（苦笑）

突端には有料の展望台があります。

しかし、本当の迫力はーー。

この、もうひとつの切り立った岸壁にあるようです。

岩肌が白いことから石灰岩主体のようです。

グアム自身は火山島です。しかし、石灰岩はサンゴ礁がやがて岩となり、隆起してきたものが多いのですが、これほどまで高くなったのは断層形成によるものでしょうか？

いえいえ、どうやらこれは火山による全体の底上げのようです。

このグアムはマリアナ諸島最大の島で、海底火山によって造られたそうです。

北部（この恋人岬も北部〜中部に位置します）は珊瑚礁に囲まれた石灰質の平坦な台地で、南部は火山の丘陵地帯とのことです。

つまり溶岩に石灰岩層が一緒に持ち上げられた地形のようです。

もう一方の断崖です。

この岬の名前の由来を知らなそうな若いカップルたちの歓声を聞きながら次の目的地に向かいます。

最初はーー。

ガーンポイントです。（Gaan　Point)

駐車場を降りるとこういう立て札があります。

未だに不発弾など危険なものが多数地面に埋まっており、見つけたらどう対処すべきかが英語と日本語で書かれています。

そう、ここグアムはサイパンほどではありませんが第二次世界大戦の戦場でした。

多くの日本兵、原住民の方が亡くなった島でもありますーーー。

これは対空機関砲です。

もちろん使用可能なものではありませんが、ここは上陸してくる米軍を迎え撃った陣地のひとつです。

こちらは大砲です。

今や日本国旗と米国旗が仲良く立っていますが、過去はそのどちらかを立てるために非常に多くの人々が亡くなったわけです。

第二次世界大戦での日本の戦死者は３００万人以上とのことですが、その数％はこのマリアナ諸島、特にサイパンやグアムあるいはパラオなどで亡くなったことになりますーーー。

このグアム島で有名な横井庄一さんも保護されました。

戦後二十数年も隠れて暮らされていたご苦労はいかばかりだったでしょうーー。

そして、今や全くのどかな海とヤシの木が世界の中でも最も平和な地域を証明しています。

もちろんアメリカの国の一部として、あるいは占領下としてーーー。

ドライブの途中で立ち寄ったのはアガットマリーナです。

アガニアボートベイスンに次ぐグアム第2のボートベイスンで、フィッシングやダイビング等のマリンスポーツのメッカともなっているそうですが、確かに大小さまざまなクルーザーやヨットが並んでいます。

これらはどう見ても現地のチャモロ人の持ち物というよりも米軍の高級将校やアメリカ人ビジネスマンの所有物のようです。

南国の優雅な暮らしの象徴でもあります。

次に車を停めたのは、これも有名なスペイン古橋。

その橋からの眺めも美しいものです。

有名なわりには本当に小さな橋ですが、今から４００−５００年程度昔のもののようですから納得します。

現在は修復されています。

そしてグアム島西端にあるウマッタック湾の駐車場に車を停めます。

この十字架は説明書きがなかったのでわかりませんが、海に臨む十字架、何とも悲しげです。

午後のウマタック湾。

波も少なく、風も穏やかです。

そして、湾沿いに歩いて行くとーー。

ガジュマルのようなねじれた巨木が林立しています。

この島は1521年にあの有名なポルトガルの探検家マゼランがヨーロッパ人として初めてグアム島に到達して歴史と地図にその名前を残しはじめました。

その上陸記念碑がここに鎮座しています。

この湾沿いにある巨木は、また多くの寄生植物を育んでもいます。

その巨木の脇に立つ人物(norisa）からその高さを想像してください（笑）

そして車を走らせると、このウマタックに首都が置かれていたスペイン統治時代を彷佛させるアーチ状の橋がウマタック湾沿いに2つ並んでいます。

そう、この湾沿いの土地はスペインの統治府があったところですーー。

さらに車を走らせると奇妙な岩が望めます。

もう島の最南端を過ぎ南東部にいます。

その名も熊岩。

かなり大きな熊ですね。数十ｍもの高さでしょうか。

そこを通り過ぎると全く波のない隔絶した海があります。

イナラハン天然プールで海水が溶岩でせき止められできた天然のプールというわけですから静かなのは当然です。

そして、今のグアムはこのプールのように平和そのものです。

しかし、歴史を見るとこれは長い長い苦難の後の補償金のような平和です。

この南の楽園も他の島々童謡悲しい歴史を背負っています。

このグアム島に人類が住み着いたのはB.C.3000年〜2000年頃で、東南アジア系民族チャモロ人がマレーシアやインドネシア、フィリピンから航海カヌーに乗って移住してきたことに始まるとのことですが、このチャモロ人、本当に陽気でひとなつっこい人種のようです。

しかし、マゼラン上陸後スペイン人1565年にレガスピが来島してスペインの領有を宣言し植民地としたそうですが、昔は列強が勝手に乗り込んで植民地宣言するだけで領土となったのですから、いい加減と言えばいい加減です。

（まー、隣国も勝手に上陸して防衛施設を造って「わが領土」宣言をしていますからこのあたりのモラルは昔も今も全く進歩も向上もしていないようですーーー）

悲劇はここからです。

スペインは宣教師が祖霊崇拝を始めとするチャモロ人の伝統的な習慣や文化を厳しく禁止したため、不満を持つチャモロ人は1669年にスペイン・チャモロ戦争を起こします。

もちろん火器をもつスペイン人に勝てるはずもなく、キリスト教に反抗的な村は全て焼き払われ、10万人いたとされるチャモロ人が5000人以下に激減してしまったそうです。
（誠に宗教はキリスト教もイスラム教も戦国時代の仏教も罪なことをしてきたものですーー。）

その後1898年にアメリカとスペインの間で勃発した米西戦争にアメリカが勝利し、グアム島はフィリピン、プエルトリコとともにアメリカ合衆国に割譲され、植民地支配下におかれました。
（アメリカも今は人権外交を標榜していますが、過去は全く反省していませんので他国にとやかくは言いにくいのではないかと勘繰りますが、事実は真逆です（苦笑））

さらに1941年から1944年までは日本軍が占領統治し、グアムの原住民の方は三か国からの支配を受けた、いや今も受けています。

そしてーーやっとホテルにもどりました。

さて、じっくりと島めぐりをした後は夕食です。

チャモロ人の悲劇は自覚していますが食欲は別です（汗）

ここはホテルニッコーの１Fにあるビュッフェレストランです。

その名前もーーーマゼランーーー、皮肉な名前です。

相変わらずの少量多品種主義で取るので見た目は最低です（笑）

ビール飲み放題に釣られてやってきました！

ドライブで史跡や名所を見てきました。

今や年間100万人以上の観光客が訪れるが、観光収入の9割以上が日本からの観光客によるもので、日本への依存度が高いそうです。

最近は中韓の観光客も増加しいよいよ楽園として脚光を浴びています。

しかし、昔のチャモロ人の苦難を知り、スペイン、アメリカ、日本の兵隊さんたちの悲劇も忘れてはいけませんーー。



穏やかな夕日に少々悲しみを感じたnorisa夫妻でしたーーーー。

穏やかに沈む夕日に

この旅行記へのコメント （17）

• tanichanさん 2014/01/28 12:27:28

  こんにちは

  norisaさん　「こにちは」
  
  「恋人岬」、「スペイン古橋」懐かしいですね、もう４０年前「古ぅ（*^_^*）」に成りますが初の海外旅行（アメリカ統治期の沖縄を除く）で新婚旅行がグアムでした。
  
  当時は羽田発着で羽田空港の傍の東急羽田に前泊しまし、レートも３６０円の固定で確か海外持ち出し制限が確か５００ドルでしたね、某旅行会社のツアーで当時の金額でツアー代金が一人２３万円で３泊４日だったです。
  
  また当時も新婚旅行のメッカでツアー客は全員「新婚さん、いらっしゃい」状態です。
  
  norisaさんの旅行記を拝見させて頂きまたのんびりと行ってみたいですね。
  

  norisaさん からの返信 2014/01/28 13:27:34

  RE: こんにちは

  tanichanさん、
  
  ご訪問やご投票ありがとうございました。
  
  40年も前にグアムに行かれたのですか！！
  それでは現在とはずいぶん風景も建物も変わっているのでしょうね。
  しかも羽田発、レートは360円ですか！
  
  現在は日本人も多いのですが中国、韓国の旅行者が多くて少々落ち着かないかもしれません。
  でも海の美しさやチャモロ人の素朴さは変わらないかもーー。
  
  今後ともよろしくお願いいたします。
  
  norisa

• わんぱく大将さん 2014/01/10 09:41:26

  norisa殿の旅行記を追って。。。。。。。

  norisa殿
  
  昨年の貴殿の旅行記で一番多く使われた言葉は“翻弄”という言葉ではなかったでしょうか？？　わからんけど。　とにかくこの翻弄＝noirsa殿なので、ショートパンツで木の背の高さを比べられてる人は、だれぞ？！と
  言う感じです。
  
  勝てば正しいとも思ってるんでしょうかね。それが正義の味方なのでしょうか？　今年の５月、まさにイスラムＶＳキリスト教のお祭りを見にいってまいります。
  
  　大将

  norisaさん からの返信 2014/01/10 13:05:13

  RE: norisa殿の旅行記を追って。。。。。。。

  大将閣下、
  
  旅行記をさかのぼって頂き恐縮です。
  
  そういえば昨年は中欧訪問で弱小各国の大国に泣かされた歴史を多数見たので「翻弄」が多かったかもしれません。
  
  日本も他国に翻弄され、翻弄したわけですが島国故被害は少なかったと感謝しています。
  
  大木の下の貴公子？！誰じゃい！？？（笑）
  
  norisa

• moonさん 2014/01/04 17:49:15

  こんばんわ

  norisaさんへ
  あけましておめでとうございます。
  12月は胃が痛くなる仕事の日々で、足を運べなかったのですが、いっぱいUPされてるー。
  ゆっくり読ませていただきますね。
  本年も細々と参加していきますのでよろしくお願い致します。
  
  moonより

  norisaさん からの返信 2014/01/04 20:09:24

  RE: こんばんわ

  moonさん、
  
  こんばんわ！
  
  今年もよろしくお願いいたします。
  
  moonさんの我が道を行く感覚の旅の醍醐味を教えていただける旅行記、非常に興味深く拝見しています。
  今年も楽しみです。
  
  新作お待ちしております！！
  
  norisa

• 琉球熱さん 2014/01/03 22:47:03

  あけましておめでとうございます

  norisaさん
  あけましておめでとうございます。
  今年もよろしくお願いします。
  
  東アジアが不穏な空気を孕んでいる現在、ひとたび何か起これば割を食うのはこのような小さな国や島。
  平穏な景色を眺めて、誰もが「この風景を永遠に」と思えば争いも減るのでしょうが…
  
  私も沖縄に行くたびに、その思いを強くしています。
  今月下旬、また本島にフラッと行ってきます。

  norisaさん からの返信 2014/01/04 07:22:52

  RE: あけましておめでとうございます

  琉球熱さん、
  
  あけましておめでとうございます。
  
  またまた沖縄行かれるのですか？
  
  良いですね、暖かくて沖縄は！
  今年は石垣にしようかと思っていますーー（笑）
  
  norisa

• frau.himmelさん 2014/01/01 23:38:37

  あけましておめでとうございます。

  昨年中は大変お世話になりました。
  
  年末年始とバタバタしていまして、やっとフォートラを覗く時間が持てました。
  
  きれいなグアムの海、そして高所恐怖症の私は卒倒しそうな高い崖。
  その美しい島に悲しい歴史がいろいろとあったのですね。
  特に、第二次世界大戦の戦場となって、多くの地元民や日本兵がなくなった島。
  日本兵の中には遺骨どころか、肩身の品も戻ってこなかった人もいるでしょう。
  悲しいですね。一国の首相がそれらの御霊が祀られている神社をお参りしても、近隣諸国にいちゃもんつけられるなんて・・。
  
  本年もnorisaご夫妻にとってよい年でありますように。
  
  himmel
  

  norisaさん からの返信 2014/01/02 14:15:44

  RE: あけましておめでとうございます。

  frau himmelさん、
  
  あけましておめでとうございます。
  
  早々にご挨拶頂き恐縮しております。
  
  内外情勢は緊迫していますが、旅はリラックスしたいもの。
  
  しかし、過去の歴史も同時に勉強する必要があり、frau　himmelさんの海外旅行記はとても学習できます！
  
  今年も深い、ときにはトラブる旅行記をお待ちしています！（失礼！）
  
  よろしくお願いいたします。
  
  norisa
  

• ガブリエラさん 2013/12/30 13:11:26

  歴史、とっても勉強になりました(*^_^*)

  norisaさん☆
  
  こんにちは♪
  またまた、ご無沙汰しちゃってて、本当にごめんなさい<(_ _)>
  年末までに、訪問させていただこうと、やっと今日来られました(*^_^*)
  
  norisaさんの旅行記では、いつも知識が増えて、とても楽しいです！
  学生時代は、嫌でも勉強しなきゃならなかったけど、大人になると、もっと勉強したかったーと思います♪
  
  チャモロ族のこと、全然知りませんでした。
  やっぱり、旅行をする時は、その国の歴史は勉強していかなくっちゃ！と、改めて思いました(^O^)
  
  来年は、もっと４トラ頑張りますので、よろしくお願いいたします(*^_^*)
  よいお年をおむかえ下さいね♪
  
  ガブ(^_^)v

  norisaさん からの返信 2013/12/30 17:40:10

  RE: 歴史、とっても勉強になりました(*^_^*)

  ガブ様、
  
  お久しぶりです。
  
  ご訪問ご投票ありがとうございました。
  
  グアムは今や天国ですが過去は暗いんですね。
  ご存知と思いますがハワイの歴史もオーストラリアの歴史も原住民にとってはとてつもなく暗いものです。
  でもそれらをはねのけて今があるのですねーー。
  
  さて、日本は全国的に寒いですね。
  グアムとは雲泥の差です（泣）
  是非ご自愛ください！
  
  では良いお年をお迎えください。
  
  norisa

• 潮来メジロさん 2013/12/29 23:50:21

  チャモロ人の悲劇・・・。(T-T)

  norisaさん、こんばんは！　ヾ(^o^)
  毎度、訪問＆投票ありがとうございました。
  
  > もちろん火器をもつスペイン人に勝てるはずもなく、キリスト教に反抗的
  > な村は全て焼き払われ、10万人いたとされるチャモロ人が5000人以下に激
  > 減してしまったそうです。
  > （誠に宗教はキリスト教もイスラム教も戦国時代の仏教も罪なことをして
  > きたものですーー。）
  
  10万人いたチャモロ人が、わずか5000人だけになったのですか・・・。(T-T)
  殺戮された人々は、皆が抵抗した人だけではなかったんでしょうね。
  恐らく、女性や子供も無差別に殺戮したんでしょうね。
  愛を唱えるキリスト教を信仰する人々が、なぜ、こんな虐殺ができるんでしょうね。
  
  日本も南京虐殺事件など、過去に暗い事件を起こしているので、決して他人事ではないですよね。
  
  いろいろ勉強になりました。ありがとうございました。
  ではまた・・・。(^o^)／~~~
  　　（潮来メジロ）

• pedaruさん 2013/12/29 07:28:03

  大航海時代

  norisaさん　お早うございます。
  
  昔　大航海時代、今　大後悔時代ならいいのですが・・・
  
  今年もお陰様で楽しく過ごせました。norisaさんのコメントに一喜一憂の年でした。(大将さんもついでに・・・ついでで怒るかな？）
  良いお年を・・・
  
  pedaru

  norisaさん からの返信 2013/12/29 17:10:17

  RE: 大航海時代

  pedaruさん、
  
  なるほど大後悔時代ですか！？
  彼ら列強は全く反省している風はありませんがーー。
  
  さて、今年一年本当にありがとうございました。
  コメントをしっかり読んでいただける数少ないお客様、これからは座布団も用意させて頂きます（笑）
  
  良いお年をお迎えください！
  
  norisa

• りぃべさん 2013/12/28 19:42:12

  苦難の歴史…

  norisa様
  
  
  こんばんは（*＾＾*）
  今回もとても勉強になりました。
  
  グアムは“ビーチリゾート”のイメージがありましたが、意外と沢山の歴史的見所もあるんですね！　それから東南アジアの国々同様、複数の国々から支配されていたとは、本当に苦難の歴史を歩んできたんだなと感じました…（＞＜）
  
  それが今や赤いウェディングドレスを来た花嫁（笑）が挙式する位平和（多分？）な島になったといいますか…。　そんな複雑な歴史と見所が多いグアムに、私も行ってみたいなと思いました。
  
  
  りぃべ

  norisaさん からの返信 2013/12/29 07:14:01

  RE: 苦難の歴史…

  りぃべさん、
  
  おはようございます。
  
  そちらのディープな旅に比べてお気楽リゾートで申し訳ありません。
  でもその歴史は壮絶です。
  人口の減少がそれを物語ります。
  
  歴史を知りながらデッキチェアで寝転んでいると現在の日本や自分の幸せがさらに実感できますーーー。
  
  norisa