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東西に伸びる入間丘陵の北斜面に位置する諏訪山・高正寺(こうしょうじ、埼玉県入間市仏子)は武蔵七党と呼称される中で村山党の庶流の一派金子余一親範(かねこ・よいち・ちかのり、生誕不詳~1220)の居館に創建された一族の菩提寺です。<br /><br />親範は金子氏の中で最も著名な金子十郎家忠(かねこ・じゅうろう・いえただ、1138~1216)の実弟にあたり、鎌倉時代草創時には源頼朝の下で御家人として兄と共に戦功を挙げています。<br /><br />例えば一ノ谷及び屋島の戦いでも義経に従い兄と共に活躍、とりわけ屋島の合戦では敵将平盛嗣(たいらの・もりつぐ)に向けて戦いを挑み、近範がその強弓をもって盛嗣の鎧を射抜く話が記録があります。<br /><br /><br />2022年10月2日追記<br /><br />境内にセットされた板碑殿には次のような説明がされています。<br /><br />『 高 正 寺 の 板 碑<br />        市指定有形文化財(考古資料)<br />        指定年月日 昭和56年4月20日<br /><br />高正寺は、金子十郎家忠の弟・親範一族の菩提寺である。金子氏は、源平争乱の時に活躍した武蔵武士で、その武勇は「平治物語」「吾妻鏡」など諸資料に明らかである。<br /><br />現在、高正寺には鎌倉時代に作られた合計八基(断片を含む)の板碑(供養塔・いまの卒塔婆)が残されており、うち二基が市指定文化財に指定されている。<br /><br />右から二番目の板碑は、市内に残されている板碑のなかで最大のもので全長255センチメートル、幅67センチメートル、厚さ7センチメートルを測る。下部が剥落しているため、長いこと制作年代が不明であったが平成10年に山口県萩市の金子氏ゆかりの家から紀年銘の残っていた時の状態を記録した資料が見つかり、「寛元4年(1246)1月20日」と分かったことで、制作年代の上でも市内最古の板碑であることが明らかになった。<br /><br />右から四番目の板碑は、全長224.5センチメートル、幅55センチメートル、厚さ12センチメートルで、建長2年(1250)7月29日と紀年銘が残っているものとしては、市内最古の板碑である。<br /><br />日本最古の板碑が、嘉禄3年(1227)のものであるから、二基とも板碑出現期に近いものであり、当時の市内の様相を示すものとして貴重な文化財である。<br /><br />      平成18年3月15日<br />                   入間市教育委員会 』

武蔵入間 武蔵七党村山党庶流で鎌倉御家人である金子親範が一族の菩提寺として居館に開設したという『高正寺』散歩

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2013/11/02 - 2013/11/02

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滝山氏照

滝山氏照さん

東西に伸びる入間丘陵の北斜面に位置する諏訪山・高正寺(こうしょうじ、埼玉県入間市仏子)は武蔵七党と呼称される中で村山党の庶流の一派金子余一親範(かねこ・よいち・ちかのり、生誕不詳~1220)の居館に創建された一族の菩提寺です。

親範は金子氏の中で最も著名な金子十郎家忠(かねこ・じゅうろう・いえただ、1138~1216)の実弟にあたり、鎌倉時代草創時には源頼朝の下で御家人として兄と共に戦功を挙げています。

例えば一ノ谷及び屋島の戦いでも義経に従い兄と共に活躍、とりわけ屋島の合戦では敵将平盛嗣(たいらの・もりつぐ)に向けて戦いを挑み、近範がその強弓をもって盛嗣の鎧を射抜く話が記録があります。


2022年10月2日追記

境内にセットされた板碑殿には次のような説明がされています。

『 高 正 寺 の 板 碑
        市指定有形文化財(考古資料)
        指定年月日 昭和56年4月20日

高正寺は、金子十郎家忠の弟・親範一族の菩提寺である。金子氏は、源平争乱の時に活躍した武蔵武士で、その武勇は「平治物語」「吾妻鏡」など諸資料に明らかである。

現在、高正寺には鎌倉時代に作られた合計八基(断片を含む)の板碑(供養塔・いまの卒塔婆)が残されており、うち二基が市指定文化財に指定されている。

右から二番目の板碑は、市内に残されている板碑のなかで最大のもので全長255センチメートル、幅67センチメートル、厚さ7センチメートルを測る。下部が剥落しているため、長いこと制作年代が不明であったが平成10年に山口県萩市の金子氏ゆかりの家から紀年銘の残っていた時の状態を記録した資料が見つかり、「寛元4年(1246)1月20日」と分かったことで、制作年代の上でも市内最古の板碑であることが明らかになった。

右から四番目の板碑は、全長224.5センチメートル、幅55センチメートル、厚さ12センチメートルで、建長2年(1250)7月29日と紀年銘が残っているものとしては、市内最古の板碑である。

日本最古の板碑が、嘉禄3年(1227)のものであるから、二基とも板碑出現期に近いものであり、当時の市内の様相を示すものとして貴重な文化財である。

      平成18年3月15日
                   入間市教育委員会 』

交通手段
私鉄 徒歩

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  • 高正寺・総門<br /><br />西武鉄道池袋線仏子(ぶし)駅から線路に沿って西進、バス通りから高正寺に入る細い参道があります。

    高正寺・総門

    西武鉄道池袋線仏子(ぶし)駅から線路に沿って西進、バス通りから高正寺に入る細い参道があります。

  • 高正寺・寺標<br /><br />入口に建立の社標に「漕洞宗諏訪山高正寺」と彫られています。

    高正寺・寺標

    入口に建立の社標に「漕洞宗諏訪山高正寺」と彫られています。

  • 高正寺・六地藏像廟<br /><br />山門に入る手前には地蔵が並立しています。

    高正寺・六地藏像廟

    山門に入る手前には地蔵が並立しています。

  • 高正寺・六地蔵像廟

    高正寺・六地蔵像廟

  • 高正寺・子育地蔵尊<br /><br />山門右手に子育地蔵尊の廟が見えます。

    高正寺・子育地蔵尊

    山門右手に子育地蔵尊の廟が見えます。

  • 高正寺・総門

    高正寺・総門

  • 高正寺総門・扁額<br /><br />「諏訪山」と揮毫された扁額が掲示されています。

    高正寺総門・扁額

    「諏訪山」と揮毫された扁額が掲示されています。

  • 高正寺・鐘楼門<br /><br />左右の石垣に囲まれ石段を登って本堂に向かいますが、石段を登り切った所に二層の山門があり、上層には鐘楼が乗せられています。

    高正寺・鐘楼門

    左右の石垣に囲まれ石段を登って本堂に向かいますが、石段を登り切った所に二層の山門があり、上層には鐘楼が乗せられています。

  • 高正寺・十六羅漢像<br /><br />石段途中の両側に羅漢像の並座した姿が見えます。

    高正寺・十六羅漢像

    石段途中の両側に羅漢像の並座した姿が見えます。

  • 高正寺・十六羅漢像

    高正寺・十六羅漢像

  • 高正寺・本堂<br /><br />本堂には近範の持念秘仏及び虚空蔵菩薩が安置されています。

    高正寺・本堂

    本堂には近範の持念秘仏及び虚空蔵菩薩が安置されています。

  • 高正寺・扁額<br /><br />本堂には「満願殿」の扁額が掲示されています。

    高正寺・扁額

    本堂には「満願殿」の扁額が掲示されています。

  • 高正寺・鐘楼門<br /><br />本堂から鐘楼門を見渡します。

    高正寺・鐘楼門

    本堂から鐘楼門を見渡します。

  • 高正寺・板碑<br /><br />鎌倉時代作製の板碑8基が残されており、内2基が入間市指定文化財となっています。右から2つ目は全長255Cm、幅67Cm、厚さ7Cmで寛元4年(1246)1月20日の作製、右から4つ目は全長224Cm、幅55Cm,厚さ12Cmで建長2年(1250)7月29日作製とそれぞれ銘記され入間市最古の板碑となっています。

    高正寺・板碑

    鎌倉時代作製の板碑8基が残されており、内2基が入間市指定文化財となっています。右から2つ目は全長255Cm、幅67Cm、厚さ7Cmで寛元4年(1246)1月20日の作製、右から4つ目は全長224Cm、幅55Cm,厚さ12Cmで建長2年(1250)7月29日作製とそれぞれ銘記され入間市最古の板碑となっています。

  • 高正寺・板碑説明板

    高正寺・板碑説明板

  • 高正寺・釈迦如来足跡碑

    高正寺・釈迦如来足跡碑

  • 高正寺・釈迦如来足跡碑説明板

    高正寺・釈迦如来足跡碑説明板

  • 高正寺・招福殿<br /><br />大黒天を祀る明るい配色のお堂です。

    高正寺・招福殿

    大黒天を祀る明るい配色のお堂です。

  • 高正寺・湧水池<br /><br />高台の墓地から境内を望み、一部は湧水池となっています。

    高正寺・湧水池

    高台の墓地から境内を望み、一部は湧水池となっています。

  • 高正寺・石燈籠<br /><br />不明ながら古風な石燈籠を捉えます。

    高正寺・石燈籠

    不明ながら古風な石燈籠を捉えます。

  • 高正寺・歴代住職墓

    高正寺・歴代住職墓

  • 高正寺・鐘楼門<br /><br />上層部には鐘楼が設置されています。

    高正寺・鐘楼門

    上層部には鐘楼が設置されています。

  • 高正寺・市街展望<br /><br />高台の墓地群からの遠望は見事です。この一望から高正寺全体が往時の近範一族の居館だったと思わせます。

    高正寺・市街展望

    高台の墓地群からの遠望は見事です。この一望から高正寺全体が往時の近範一族の居館だったと思わせます。

  • 高正寺・市街展望<br /><br />更に奥まった位置から再度市街展望を試みます。丘陵の中腹からの展望は抜群です。

    高正寺・市街展望

    更に奥まった位置から再度市街展望を試みます。丘陵の中腹からの展望は抜群です。

  • 高正寺・境内石碑<br /><br />歳月経過の為か刻されている文字が読めません。

    高正寺・境内石碑

    歳月経過の為か刻されている文字が読めません。

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