2013/07/12 - 2013/07/21
10位(同エリア17件中)
風神さん
東トルコを一巡りしました。
今回は、カルスから50Km程の所、アルメニアとの国境地帯にに広がるアニ遺跡の紹介です。
アニの詳しい歴史はわかっていません。
トルコとアルメニアの国境であるアルバチャイ川に面した崖に穿たれた横穴には、先史時代から人が住んでいたと考えられています。
古代ローマ帝国時代のアニの記録は見つかっていません。
5世紀ころから記録があり、7世紀にはアラブ人の侵攻がありました。
その後アルメニア人、クルド人などの支配時期もあり、宗教的にもキリスト教に変わりイスラム教中心になった時期もあります。
971年、アルメニアのバグラド朝の王アショカ?が、カルスからアニに遷都することで、さらに992年には、アルメニア教会の司教座がアニに移されたことで急激に発展しました。
経済的基盤は、東西交易の一大中継拠点となったことによる税収や、キャラバンサライの収入が大きかったと推測されます。
11世紀ころの最盛期には、人口10万人以上、千を超える教会があったと伝えられていますが、1045年にはビザンチン帝国の侵攻があり、1064年にはセルジュークトルコに占領されたことで、町はイスラム化します。
1124年にはグルジア王国による再キリスト教化もありましたが、モンゴル帝国等の度重なる侵攻によって衰退化し、さらに1319年の大地震による大崩壊、交易路の変化による収入源の枯渇によって、決定的な衰退、廃墟化と滅びの道を進みました。
アニ遺跡はまだ発掘が行われていません。
地表に立っている遺跡・遺構が見学対象です。しかし地下にはより古い遺構が埋まっている可能性が高く、重層的遺跡群と考えられます。
早急に保全と調査発掘が行われることが期待されます。
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カルスの街です。
ここからアニ遺跡に向かいます。 -
所々に、
アニ遺跡の標識があります。 -
途中の風景です。
放牧場、牧草地が広がる
広大な眺めです。
高い樹は見当たりません。 -
アニ遺跡に着きました。
このライオンの門から入場します。 -
このライオンのレリーフが、
「ライオンの門」の由来です。 -
オスマントルコ語の銘文がはめ込まれている面がオリジナルです。
その上と、覆うように造られている壁は、補修した部分です。 -
入場しました。
これから巡る遺跡と、
緩い起伏が続く、広大な草原が広がっています。
遠くにこれから巡る遺跡が見えます。
一番右の三角屋根が、グルジア教会(聖グレゴリオ教会)
そのすぐ左がキャラバンサライ
ほぼ中央小さい丘のように見えるのが要塞跡
そのすぐ左、塔があるのがエブル(マムラシュのモスク)
一番左、大きな建物が大聖堂(カテドラル)です。 -
大聖堂
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右グルジア教会(聖グレゴリオ教会)と
左キャラバンサライ -
ゾロアスター教(拝火教)寺院跡
遠景右がキャラバンサライ
左が大聖堂 -
その説明板
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グルジア教会遠望
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キャラバンサライを左に見ながら
グルジア教会に徐々に近づきます。 -
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着きました。
グルジア教会は1040年に建てられました。
この教会が、見学可能範囲の西端になります。 -
上部のアップです。
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内部に入りました。
フレスコ画はほとんど失われています。 -
ドーム天井の模様は、彩色ではなく、
色の違う自然石を組み合わせることによって出来ています。
アニ遺跡ではよく見られます。
特にオレンジ色に見える石材がポイントです。 -
グルジア教会のすぐ前から、
アルメニア方向は、アニ遺跡でも特に雄大な風景です。 -
渓谷の底を流れるアルバチャイ川が、トルコとアルメニアの国境で、
その手前には、緩衝地帯を示す鉄条網が延々と続いています。 -
アニではそこらじゅうに遺跡があります。
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何故か高い樹は1本も見当たりません。
遺跡内では羊などの放牧が行われているので、
たまたま生えた樹も、小さいうちに葉を食べられ、
枯れてしまうのかもしれません。 -
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キャラバンサライ(隊商宿)です。
交易の担い手である隊商は、高価な物資を大量に持っているだけでなく、
荷を運んでいるラクダや馬にも経済的価値があります。
従って隊商は野外でのキャンプを避け、厳重な防護・警護が期待できる隊商宿を利用します。
キャラバンサライがしばしば砦や軍隊の駐屯地の様相を呈しているのは、
そのような理由があります。 -
色違いの自然石による天井の模様が見事です。
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少し見にくいのですが、
十字架です。
周囲の細かい彫りは丁寧で、見事です。 -
これも十字架です。
どちらも周りとは異なる石材です。
モスクを教会に転用する際、
後からはめ込んだと推測することも可能ですが、
さらにその後、再モスク化に伴って別の石材で覆われていたものを、
十字架が見えるように、最近覆い石を取り除いたようにも見える造作です。
どちらにしろこの「キャラバンサライ」と呼ばれる遺跡が、モスク、教会、キャラバンサライと少なくとも、3通りに使われた可能性を示しています。 -
要塞跡です。
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エブル(マムラシュのモスク)
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ミナレットの上部が崩れ、
現在は傘のような雨よけの覆いがつけられています。 -
外壁の崩壊も進んでいます。
モスク本体も立派な傘をさしてもらっています。 -
モスクのミフラーブです。
偶像崇拝を否定するイスラム教では、聖地メッカの方向に礼拝します。
ミフラブはその方向を示し、モスクには絶対的に欠かせないものです。
このミフラーブ非常にシンプルですが、ミフラブの最低条件メッカの方角を示していること、縦長であること、凹んでいること、上部が尖っているか丸くなっていることの総てを満たしていて、ミフラブの原型とも思えます。 -
しかしこのミフラーブ、凹んでいる部分は表面がきれいで、
新しいものです。
基部は明らかに最近の補修です。
また2005年頃の写真にはこのミフラーブが見当たりません。
従って、ミフラーブの痕跡に細工して新しく造ったか、
全く新しく「でっち上げた」可能性が否定できません。 -
建物中心の天井です。
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その拡大です。
オレンジ色の石材を十字に加工し、
黒い石材にはめ込んでいます。 -
このモスクからのアルバチャイ川と、
アルバニア方面の展望も雄大です。
また国境緩衝地帯であることと、足場の悪さに阻まれて、
実際には行けない遺跡の見学ポイントでもあります。 -
マルコポーロも渡ったとされる橋の跡。
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国境緩衝地帯を示す鉄条網も見えます。
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遠く、画面左上には、聖マリア修道院も見えます。
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ここは目抜き通り、商店街です。
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カテドラル(大聖堂)に向かいます。
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カテドラルは、10世紀にシンバット?の命で着工、
完成は11世紀になった1001年です。
1064年アニがセルジュークトルコに占領された以後は、
モスクとして使われ、13世紀になって再び教会として使われました。
現在の建築はこの時のものです。 -
大きいです!
主祭壇の正面に当たるのは、西向きのこちらの入り口です。
上部の丸い穴は、主祭壇を西日で神々しく照らすための、
バラ窓の跡かもしれません。 -
見学の際使う入り口は・・・
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南向きのこちらの入り口です。
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ドームの天井は、
14世紀の地震によって崩落しました。 -
西向きの内壁です。
上部の丸窓は、やはりバラ窓の雰囲気です。 -
主祭壇があった場所と思われます。
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フレスコ画はほとんど失われ、
着衣や顔の輪郭がわかる程度です。 -
天井の一部です。
漆喰が剥がれ落ちて下地が見えています。
自然石にレリーフを施したか、
模様を付けた素焼き板のような物に、
白い線で彩色したように見えます。 -
聖パトリック教会(救世主教会)
1034年の大地震と落雷により・・・ -
こうなってしまいました。
約10年前の写真では、もっと壊れているので、
これでも大規模修復した結果だと思います。 -
ハマム跡。
火を焚いて黒くなった部分も残っています。 -
これはもうひとつの聖グレゴリオ教会。
アニ遺跡群の東端にあたります。 -
アニ遺跡群の基本的な地面より、
一段低い川よりの場所に建っています。 -
1215年アニがまだグルジアの勢力下にあったころに建てられました。
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ここは正面入り口。西向きです。
教会内部と一部外側に、
キリストの生涯と聖グレゴリオの生涯を描いたフレスコ画が残っています。 -
北の外壁。
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東の外壁。
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入り口の右上に、
磔のキリストが描かれています。 -
内部です。
入り口から入って正面、東向き壁です。
傷んではいますが、一面のフレスコ画が見事です。
下半分、茶色に横たわって見える絵が、聖母マリアの死です。
スメラ僧院のフレスコ画にも良く似たものがあります。
別旅行記で紹介する予定です。 -
東壁の最も高い位置です。
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聖母マリアと幼子キリスト。
前の画像、縦長窓の右斜め下にあります。 -
前の画像の部分。
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ドームの下部、12使徒です。
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いつまで見ていても見飽きません。
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ライオンの門に戻ります。
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戻りながら、
違った遺跡や・・・ -
風景を楽しめます。
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ライオンの門の両側には、
城壁と城壁と一体となった比較的大きな遺跡が残っていますが、
どれもひどい傷み方です。 -
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これなどは、ある程度原型が想像できるので、
まだましな部類です。 -
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ライオンの門の内側です。
ここから外に出て、ホテルへ直行です。
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