2013/07/03 - 2013/07/09
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kiro184さん
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【サハリンの鉄道について】
2013年7月にロシア・サハリン州サハリン島を旅行した。かつては樺太と呼ばれ、北緯50度以南の南樺太は日本の統治下にあった。日本時代に鉄道が開業し、ロシアに接収された後も延伸や廃線など変化があったが、2013年段階でも日本の規格である軌間1067?で運行されている。
ロシア本土は軌間1520?であり直接サハリンへは乗り入れられない状態が今も続いている。貨車は船で航送されたのちホルムスク(真岡)の台車交換場で広軌⇔狭軌の台車を交換して乗り入れている。旅客車は狭軌規格のものもあるが、大陸の客車に狭軌用台車を履かせて運行している。そんな不便な状態を解消するべく、大陸側と同じ軌間1520?への改軌が始められ2013年現在でも進行中であり、おおむね2016〜2020年頃に完全広軌化を目指しているようだ。日本時代の面影を残す鉄道を記録するには最後のチャンスと思い、今回の旅行を企画すると共に旅行記とは別項で鉄道の現状をお知らせしたい。
以下の記事は、私が2013年7月に現地で見た情報である。いわゆる「見たまま情報」であり、鉄道側の公式な回答を得たものではない。情報の活用は各自の責任で行って頂きたい。
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【旅客列車の運行ダイヤ】
2013年7月8日にユジノサハリンスク(豊原)駅で見たものである。(※時刻は全てサハリン時間)
601列車 ユジノサハリンスク7:10発 → ティモウスク19:20着
6001列車 ユジノサハリンスク8:15発 → ノボデレーベンスカヤ(奥鈴谷)8:46着
6003列車 ユジノサハリンスク16:40発 → ノボデレーベンスカヤ17:11着
603列車 ユジノサハリンスク16:43発 → ノグリキ7:22着
121列車 ユジノサハリンスク17:46発 → トマリ(泊居)22:01着
6121列車 ユジノサハリンスク18:17発 → ブイコフ(内淵)19:59着
1列車 ユジノサハリンスク20:45発 → ノグリキ8:53着(急行サハリン)
※601列車は火曜、木曜運転
2列車 ノグリキ18:00発 → ユジノサハリンスク6:14着(急行サハリン)
6124列車 ブイコフ6:15発 → ユジノサハリンスク7:52着
124列車 トマリ5:10発 → ユジノサハリンスク9:18着
6002列車 ノボデレーベンスカヤ9:02発 → ユジノサハリンスク9:30着
604列車 ノグリキ19:40発 → ユジノサハリンスク10:22着
6004列車 ノボデレーベンスカヤ17:27発 → ユジノサハリンスク17:55着
602列車 ティモウスク7:45発 → ユジノサハリンスク19:57着
6122列車 ブイコフ20:34発 → ユジノサハリンスク22:17着
※602列車は水曜、金曜運転
ホルムスクやネヴェリスク(本斗)付近でも旅客列車が走っているそうだが、ユジノサハリンスクに乗り入れておらず実態は不明である。
2010年頃にユジノサハリンスク〜コルサコフ(大泊)間の旅客営業が復活したらしいが、2013年時点では再び休止したらしく時刻は掲載されていなかった。ノボデレーベンスカヤ方面の列車は冬期間運休と聞いたことがあるが、駅に案内は無く実際のところは分からない。2011年頃にはノグリキ発着の普通列車が不定期運転だったはずだが、ティモウスク発着列車が不定期運転に変更されていた。また、1および2列車のティモウスクでの車両増解結が無くなり全車両ノグリキへ直通している。
ユジノサハリンスクに発着する列車は朝夕に偏っているため、ユジノサハリンスクを起点に日帰り鉄道旅行するには行程が限られる。
画像:午前9時半頃のノグリキ駅の様子。右側がユジノサハリンスクから到着した603列車。荷物車が1両連結されている。 -
【ノグリキ〜オハ間の軽便鉄道について】
現在はノグリキがサハリンの鉄道の最北端になっているが、2006年まではノグリキとオハを結ぶ延長約230Kmの軽便鉄道が走っていた。オハまで途中の集落はほとんど廃村になったため旅客輸送はかなり前に中止され貨物専業になっていたが、全線で8時間程度を要して走ったそうである。また沿線に列車強盗(山賊)が出たという話も聞いた事がある。
軽便鉄道の廃線跡は現在でも確認出来、今回ノグリキ付近の廃線跡を見てきたため報告したい。
←軽便のノグリキ駅があった場所である。中央の客車の辺りが駅だったと思われる。 -
駅跡は自動車解体業者になっており往時の面影は無い。倉庫が機関庫に見えなくもないが、鉄道時代からあるものだろうか。
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駅跡より少し離れた所にある客車。特に活用することなく打ち捨てられており、車体は真中で輪切りにされている。
路盤跡は大型の重機で荒く整地されたような砂だらけの歩きづらい道で、車なら本格的な4WDでなければ通行出来ないだろう。ガイドブック等では未だに枕木やレールが残るような記述をしているものもあるが、それらは一切確認出来なかった。現役のノグリキ駅からノグリキ市街へ路盤跡を歩く場合でも、かなりの重労働になると思われる。 -
【広軌(1520?)への切り替え工事の現状】
冒頭で述べたように、サハリンでは軌間(レール間の寸法)を1067?から1520?へ変更する工事を進めている。在来の列車を運行しながら施工するため、枕木を交換しレールを3本敷く方法で行われている。この進捗状況について、見てきた範囲だけではあるが報告したい。
画像は、コルサコフ駅より500m程ユジノサハリンスク方にて。
3線軌条対応の枕木に交換されているが、広軌で使用する外側の線路は外されてしまっている。おそらく施工直後はレールがあったが、当面使用しないため(盗難防止のため?)後から外してしまったらしい。ちなみにここより100m程離れた場所に短い橋梁があるが、その前後は全くの手付かずで木製枕木が残っていた。
他の地域では、ユジノサハリンスク駅構内、ノグリキ駅構内、ノボデレーベンスカヤ支線全線、ブイコフ支線全線で一切施工されていなかった。旅客専業の支線は工事対象外なのかもしれない。
西海岸のホルムスク付近の状況は不明だが、サハリン全土で広軌のままの貨車が不自由無く走れるようになるのはまだ時間が掛かりそうだ。 -
【サハリンの鉄道の遅延について】
今回の旅行では夜行列車でユジノサハリンスク〜ノグリキ往復、ノボデレーベンスカヤとブイコフの支線に乗車した。遅延が発生したのはノグリキへの往路(1列車)が30分遅れたのみである。その他の列車は時刻通りに走っており(少し早着したりもする)、海外の鉄道にしては時刻は正確なようだ。
画像は、ユジノサハリンスクに留置されていた操重車とその控車の編成。 -
【ユジノサハリンスク子供鉄道の機関車】
2011〜2013年の間に、機関車が新しいものに交換された。
「ТУ10-005」と番号が書かれている。ロシア他都市の子供鉄道で見られるものと同型と思われる。
以上、サハリンの鉄道の簡単な現状およびここ数年間で変わったであろう部分について紹介した。
旅客列車の本数が少なく旅行で利用しようにも限られた行程しか組めないが、将来を見据えた改良が進められているようだ。完全広軌化が完了すると大幅に鉄道の体制も変わると思われるため、日本とロシアが融合したかのような鉄道風景を見られる期間は決して長くは無い。この記事が旅行を検討中の方やロシアの鉄道を研究している方の参考になれば幸いである。
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