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 勤務先の会社の福井の工場に出張することになった。だが、福井は遠いし、仕事が終わって帰りに乗る電車の時間の制約から米原からひかりに乗るしか選択がない。どうすればいいかと同僚に相談すると、行きは日本海周りで福井に行き、帰りは太平洋周りで帰ってくるのが一番よい、とのことであった。<br /> 上越新幹線で越後湯沢に行き、越後湯沢から特急「はくたか」に乗り換え、福井に入る計画を立てた。昼間の時間は金沢までしか行かないので乗り換えになる、とのことで、金沢でいったん別の特急に乗り換えることになった。どうせなら久しぶりに兼六園にでも行こうと思い、金沢で途中下車した。<br /> バスで行こうと思ったが、バス乗り場がわかりずらい。それほど時間に余裕があるわけではないので、タクシーに乗った。入り口まで乗せてくれるのはいいが、小型タクシーで1,250円もかかってしまった。韓国タクシーならボッタクリというところだが、車で行くのは遠回りになる、というのをあとで知った。移動距離的には無理はないので、時間に余裕があるのなら、徒歩で行くべきところだと思う。(前回、来たときどのようにいったのか、まるで覚えていない・・・)<br /> 以前に来たのは、まだ大学院生だった20歳代の時で、学会で金沢を訪れたときだった。もう15年以上はたっているはずだが、以前と印象は大きく違った。以前は「ただの広い庭じゃん」という程度だったが、樹々の苔むした根や池の背景の小山の配置など、山奥でしか見られないような自然の造形を作りこんだすばらしさを感じることができた。<br /> 特に瓢池を金沢城側から翠滝側の山に向かって眺める光景は、京都の寺でよく見る枯山水を水と山で表現するとこのようになるな、というのがよくわかる風景で美しい。<br /> 霞ヶ池の方が有名で観光客が多いが、個人的には瓢池の方が美しいと思った。もっとも、霞ヶ池の方は、平日木曜日という日もあって下品で声の大きい中国人観光客の喧騒や、ところかまわず行う中国人観光客のだらしない、傍若無人の振る舞いで静かな雰囲気が台無しにされてしまっていたのもあるので、幾分差し引く必要があるかも知れない。美しい雰囲気の観光地には中国人観光客がいなくなることを切に願う。<br /> 兼六園を後にして隣接する金沢城址に向かった。天守はすでになく、石垣が遺構として残っている。<br /> 門を入ると虎口になるわけだが、典型的な枡形門になっている。自分は城を見るとき雑兵の視点で見ることにしているのだが、これは怖い。櫓門は木材に鉄板をうち付けただけの構造なので、火をつけることは可能そうだが、その間に虎口で皆殺しにされてしまうだろう。それに兼六園と金沢城は橋で結ばれており、かつての堀のところは道路になっている。その深さが尋常ではない。大砲が戦の主力ではなかった時代では堅牢な城であったことが伺える。<br /> 辰巳櫓から金沢市街を眺めたが、非常に高さがあって眺めがよい。ここに砲台をすえて撃ったら、攻め手は甚大な被害を出すに違いない。二の丸広場からでも本丸は見上げるほと高い。雑兵としては最も攻めたくない城のひとつである、と感じた。<br /> 黒門より金沢駅に向かって歩いて戻ったのだが、黒門を出てすぐに豪姫の館跡があった。豪姫とは関が原の合戦で「裏切った」として有名な宇喜多秀家夫人のことである。前田家が明治になるまで流刑となった宇喜多秀家の子孫を援助し続けた話は知られているが、夫人が八丈島に同行できず、金沢に戻ってきていたことは知らなかった。大手門のすぐ近くなので、ぞんざいな扱いはされていなかったことがわかる。(始祖の娘だからといっても反逆者の娘なのだから、いろいろ幕府に勘ぐられる可能性もあったのに、前田家の家族に対する情愛の深さに心が動かされた)<br />

兼六園と百名城No.35の金沢城(1/100)

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2013/06/13 - 2013/06/13

3610位(同エリア4931件中)

旅行記グループ 百名城(北陸東海)

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スネフェル

スネフェルさん

 勤務先の会社の福井の工場に出張することになった。だが、福井は遠いし、仕事が終わって帰りに乗る電車の時間の制約から米原からひかりに乗るしか選択がない。どうすればいいかと同僚に相談すると、行きは日本海周りで福井に行き、帰りは太平洋周りで帰ってくるのが一番よい、とのことであった。
 上越新幹線で越後湯沢に行き、越後湯沢から特急「はくたか」に乗り換え、福井に入る計画を立てた。昼間の時間は金沢までしか行かないので乗り換えになる、とのことで、金沢でいったん別の特急に乗り換えることになった。どうせなら久しぶりに兼六園にでも行こうと思い、金沢で途中下車した。
 バスで行こうと思ったが、バス乗り場がわかりずらい。それほど時間に余裕があるわけではないので、タクシーに乗った。入り口まで乗せてくれるのはいいが、小型タクシーで1,250円もかかってしまった。韓国タクシーならボッタクリというところだが、車で行くのは遠回りになる、というのをあとで知った。移動距離的には無理はないので、時間に余裕があるのなら、徒歩で行くべきところだと思う。(前回、来たときどのようにいったのか、まるで覚えていない・・・)
 以前に来たのは、まだ大学院生だった20歳代の時で、学会で金沢を訪れたときだった。もう15年以上はたっているはずだが、以前と印象は大きく違った。以前は「ただの広い庭じゃん」という程度だったが、樹々の苔むした根や池の背景の小山の配置など、山奥でしか見られないような自然の造形を作りこんだすばらしさを感じることができた。
 特に瓢池を金沢城側から翠滝側の山に向かって眺める光景は、京都の寺でよく見る枯山水を水と山で表現するとこのようになるな、というのがよくわかる風景で美しい。
 霞ヶ池の方が有名で観光客が多いが、個人的には瓢池の方が美しいと思った。もっとも、霞ヶ池の方は、平日木曜日という日もあって下品で声の大きい中国人観光客の喧騒や、ところかまわず行う中国人観光客のだらしない、傍若無人の振る舞いで静かな雰囲気が台無しにされてしまっていたのもあるので、幾分差し引く必要があるかも知れない。美しい雰囲気の観光地には中国人観光客がいなくなることを切に願う。
 兼六園を後にして隣接する金沢城址に向かった。天守はすでになく、石垣が遺構として残っている。
 門を入ると虎口になるわけだが、典型的な枡形門になっている。自分は城を見るとき雑兵の視点で見ることにしているのだが、これは怖い。櫓門は木材に鉄板をうち付けただけの構造なので、火をつけることは可能そうだが、その間に虎口で皆殺しにされてしまうだろう。それに兼六園と金沢城は橋で結ばれており、かつての堀のところは道路になっている。その深さが尋常ではない。大砲が戦の主力ではなかった時代では堅牢な城であったことが伺える。
 辰巳櫓から金沢市街を眺めたが、非常に高さがあって眺めがよい。ここに砲台をすえて撃ったら、攻め手は甚大な被害を出すに違いない。二の丸広場からでも本丸は見上げるほと高い。雑兵としては最も攻めたくない城のひとつである、と感じた。
 黒門より金沢駅に向かって歩いて戻ったのだが、黒門を出てすぐに豪姫の館跡があった。豪姫とは関が原の合戦で「裏切った」として有名な宇喜多秀家夫人のことである。前田家が明治になるまで流刑となった宇喜多秀家の子孫を援助し続けた話は知られているが、夫人が八丈島に同行できず、金沢に戻ってきていたことは知らなかった。大手門のすぐ近くなので、ぞんざいな扱いはされていなかったことがわかる。(始祖の娘だからといっても反逆者の娘なのだから、いろいろ幕府に勘ぐられる可能性もあったのに、前田家の家族に対する情愛の深さに心が動かされた)

旅行の満足度
4.5
観光
4.5
同行者
一人旅
一人あたり費用
1万円 - 3万円
交通手段
新幹線 JR特急
旅行の手配内容
個別手配
  • 桂坂よりはいるといい感じの古木がお出迎え

    桂坂よりはいるといい感じの古木がお出迎え

  • 割と新しいのかとおもいきや、日本最古の噴水だそうです。

    割と新しいのかとおもいきや、日本最古の噴水だそうです。

  • 瓢池脇の古木。根の張り方に年月の流れを感じます。

    瓢池脇の古木。根の張り方に年月の流れを感じます。

  • 瓢池。眺めていて飽きません。木陰からの木漏れ日も涼しげです。

    瓢池。眺めていて飽きません。木陰からの木漏れ日も涼しげです。

  • 霞ヶ池。晴天の青とそれを写す水面のコントラストが美しい

    霞ヶ池。晴天の青とそれを写す水面のコントラストが美しい

  • 山崎山より降りた平地部分の風景。一見すると奈良公園の様に気持ちの良い木陰が形成されています。

    山崎山より降りた平地部分の風景。一見すると奈良公園の様に気持ちの良い木陰が形成されています。

  • 眺望。金沢の街が一望できます。

    眺望。金沢の街が一望できます。

  • 金沢城石川門

    金沢城石川門

  • 石川門から入ると完璧な枡形門。雑兵だったらここで討ち死にです。

    石川門から入ると完璧な枡形門。雑兵だったらここで討ち死にです。

  • 遺構はほぼ石垣のみで、天守閣はありません。

    遺構はほぼ石垣のみで、天守閣はありません。

  • 金沢城内で、数少ない残された建築物である鶴丸倉庫。本丸へ通じる道の途中にあります。手入れがよいので、一見すると真新しい建物の様に見えます。

    金沢城内で、数少ない残された建築物である鶴丸倉庫。本丸へ通じる道の途中にあります。手入れがよいので、一見すると真新しい建物の様に見えます。

  • 辰巳櫓より市街を望む。非常に高い位置にあるため、城下が丸見えです。雑兵の立場だったら狙い撃ちされてしまう・・・

    辰巳櫓より市街を望む。非常に高い位置にあるため、城下が丸見えです。雑兵の立場だったら狙い撃ちされてしまう・・・

  • 金沢城内で、数少ない残された建築物である三十間長屋。本丸から二の丸に降りる途中にあります。これも保存状態は良好です。

    金沢城内で、数少ない残された建築物である三十間長屋。本丸から二の丸に降りる途中にあります。これも保存状態は良好です。

  • 城内が一時軍隊も駐屯地になっていたこともあり、第六旅団の司令部の建物が残っています。旅団司令部にしては小さい・・・

    城内が一時軍隊も駐屯地になっていたこともあり、第六旅団の司令部の建物が残っています。旅団司令部にしては小さい・・・

  • 黒門を出るとすぐに豪姫の館跡があります。

    黒門を出るとすぐに豪姫の館跡があります。

  • おまけ。<br />道路に描かれてる自転車レーンの表示。前カゴがついたママチャリの様に見えます。

    おまけ。
    道路に描かれてる自転車レーンの表示。前カゴがついたママチャリの様に見えます。

  • おまけ。<br />金沢駅東口の巨大オブジェ(鼓門)。味気ない鉄筋コンクリートではなく、和のテイストがふんだんに盛り込まれていますし、大きさに圧倒されます。外国人観光客は鼓門の前で記念撮影をしていました。<br />一見の価値あり。<br />

    おまけ。
    金沢駅東口の巨大オブジェ(鼓門)。味気ない鉄筋コンクリートではなく、和のテイストがふんだんに盛り込まれていますし、大きさに圧倒されます。外国人観光客は鼓門の前で記念撮影をしていました。
    一見の価値あり。

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