キナバル公園周辺旅行記(ブログ) 一覧に戻る
 ついに、憧れのキナバル登山に挑戦する日がやってきました。しかも、より難易度の高い「日帰りトレック」。天気はどうなのか、時間内に歩けるのか。食料は十分か、ガイドとはうまくやれるのか。不安要素は尽きませんが、大半は心配してもしょうがないこと。自分の運と体力を信じて突き進むのみです。<br /><br /><br />**情報は、2013年5月のもの。1リンギット=32円で計算。<br /><br />==キナバル山日帰りトレック シリーズ一覧==<br />①戦略編<br />http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10772188/<br />②キナバル公園散策編<br />http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10773115/<br />③登頂編 &lt;==<br />http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10772767/<br />④下山編<br />http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10773108/

キナバル山日帰りトレック、やれんのか! ③登頂編 (ラバンラタ、選ばれし者)

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2013/05/04 - 2013/05/04

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世界攻略者

世界攻略者さん

 ついに、憧れのキナバル登山に挑戦する日がやってきました。しかも、より難易度の高い「日帰りトレック」。天気はどうなのか、時間内に歩けるのか。食料は十分か、ガイドとはうまくやれるのか。不安要素は尽きませんが、大半は心配してもしょうがないこと。自分の運と体力を信じて突き進むのみです。


**情報は、2013年5月のもの。1リンギット=32円で計算。

==キナバル山日帰りトレック シリーズ一覧==
①戦略編
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10772188/
②キナバル公園散策編
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10773115/
③登頂編 <==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10772767/
④下山編
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10773108/

PR

  • [目次] <br /><br /> 当日の朝<br /> 登山手続き<br /> 登山口への道<br /> ルート図<br /> ラバンラタへの道<br /> ラバンラタ<br /> サヤッ・サヤッ小屋への道<br /> 頂上への道<br /> 山頂<br /> 選ばれし者<br /> 下山開始<br /> まとめ

    [目次]

     当日の朝
     登山手続き
     登山口への道
     ルート図
     ラバンラタへの道
     ラバンラタ
     サヤッ・サヤッ小屋への道
     頂上への道
     山頂
     選ばれし者
     下山開始
     まとめ

  • [当日の朝]<br /><br /> さて、いよいよ登山当日。6時に起床した私は、早速今日の準備に取りかかります。トレックに持参するものは、重い順に、食料、水、レインウェア、折りたたみ傘、薄いダウンジャケット、カメラ、日焼け止めクリーム、ヘッドランプ。他にもありますが、基本的にこれだけです。私の場合、日帰りでも泊まりでも、そんなに変わりません。<br /><br /> 残りの荷物を誰もいないフロントに預け(5RM=160円、公園内なら10RM)、すぐ正面にあるキナバル公園へと向かいます。正確に言えば、私は公園外に泊まっているため、昨日購入した入園チケットは使えません。でも、料金係からはなんのお咎めもなし。昨日から何度も出たり入ったりしてるので、すでに顔パス状態なのでしょう。<br /><br /><br />写真: 道路側から見たキナバル公園入口。

    [当日の朝]

     さて、いよいよ登山当日。6時に起床した私は、早速今日の準備に取りかかります。トレックに持参するものは、重い順に、食料、水、レインウェア、折りたたみ傘、薄いダウンジャケット、カメラ、日焼け止めクリーム、ヘッドランプ。他にもありますが、基本的にこれだけです。私の場合、日帰りでも泊まりでも、そんなに変わりません。

     残りの荷物を誰もいないフロントに預け(5RM=160円、公園内なら10RM)、すぐ正面にあるキナバル公園へと向かいます。正確に言えば、私は公園外に泊まっているため、昨日購入した入園チケットは使えません。でも、料金係からはなんのお咎めもなし。昨日から何度も出たり入ったりしてるので、すでに顔パス状態なのでしょう。


    写真: 道路側から見たキナバル公園入口。

  •  ビジターセンターが開くのは朝7時。それまでに朝食を済ませたいいところですが、ロッジ隣のレストランはまだ開いていません。恐らく7時過ぎからの営業。レセプション隣の売店も、営業開始は8時から。唯一期待が持てるのが、園内を少し下った所にあるバルサム・ビュッフェ・レストラン(45RM=1440円)。公式には6:30開始ということになっていますが、実際はどうなんでしょう。<br /><br /> こういうこともあろうかと、わたしは昨日、隣のレストランにある売店で、バナナを一房(11個、2.5RM=80円)買っておきました。これを半分食べて、とりあえずのエネルギー補給は完了です。<br /><br /><br />写真: レセプション向かいの階段を下ったところに、バルサム・ビュッフェ・レストランがあります。

     ビジターセンターが開くのは朝7時。それまでに朝食を済ませたいいところですが、ロッジ隣のレストランはまだ開いていません。恐らく7時過ぎからの営業。レセプション隣の売店も、営業開始は8時から。唯一期待が持てるのが、園内を少し下った所にあるバルサム・ビュッフェ・レストラン(45RM=1440円)。公式には6:30開始ということになっていますが、実際はどうなんでしょう。

     こういうこともあろうかと、わたしは昨日、隣のレストランにある売店で、バナナを一房(11個、2.5RM=80円)買っておきました。これを半分食べて、とりあえずのエネルギー補給は完了です。


    写真: レセプション向かいの階段を下ったところに、バルサム・ビュッフェ・レストランがあります。

  •  まだ時間が早いので、レセプション近くの展望ポイントから、山の天気をチェック。うーん、今日は雲が多いかなー。昨日の朝ほどスカッと晴れていません。でも、これは昨日の夕立の残りカスで、これから雲が消えていく可能性もあります。<br />

     まだ時間が早いので、レセプション近くの展望ポイントから、山の天気をチェック。うーん、今日は雲が多いかなー。昨日の朝ほどスカッと晴れていません。でも、これは昨日の夕立の残りカスで、これから雲が消えていく可能性もあります。

  • [登山手続き]<br /><br /> ビジターセンターに行くと、開館15分前なのに、すでに職員がドアを開け業務の準備をしていました。すぐ外には、日帰りグループのガイドが2,3人ぶらぶら。これは都合がいい、とばかりに中に入り、登山手続きを始めます。ここでは、名前を告げ、すでに用意されているIDタグを受け取り、登山料(100RM)と保険料(7RM)をカウンターで支払います。<br /><br />

    [登山手続き]

     ビジターセンターに行くと、開館15分前なのに、すでに職員がドアを開け業務の準備をしていました。すぐ外には、日帰りグループのガイドが2,3人ぶらぶら。これは都合がいい、とばかりに中に入り、登山手続きを始めます。ここでは、名前を告げ、すでに用意されているIDタグを受け取り、登山料(100RM)と保険料(7RM)をカウンターで支払います。

  •  その後、自分のガイドを紹介され、彼に128RMの支払い。この料金は、日帰りでも1泊でも同じです。頂上との往復に対して払っているわけですから。逆に一日節約できるので、彼にとってはお得かも。私と今日、行動を共するガイドは、近くの村出身の40才の男性(写真)。がっちりとした体格で若々しく、見た目は30前半くらい。毎週2,3回登山に同行しているとのことなので、ほとんど毎日ですね。

     その後、自分のガイドを紹介され、彼に128RMの支払い。この料金は、日帰りでも1泊でも同じです。頂上との往復に対して払っているわけですから。逆に一日節約できるので、彼にとってはお得かも。私と今日、行動を共するガイドは、近くの村出身の40才の男性(写真)。がっちりとした体格で若々しく、見た目は30前半くらい。毎週2,3回登山に同行しているとのことなので、ほとんど毎日ですね。

  •  各登山者には、首掛けのIDタグが与えられます。表側が、頂上の写真と「世界遺産、キナバル公園へようこそ」のタイトル。一方、裏側はこんな感じで、登山者情報が記載されています。一番上に申請した名前と登山開始の日付。続いて大きな字で、アルファベット2文字のグループID、二桁の日付が続きます。その下にグループ内の番号(1,2,3..)が来て、最後に月を表すアルファベット(1月=A, 2月=B、4月=D..)が加わります。何か、同じ情報ダブってませんか? 私は個人での参加のため、もちろんグループ内番号は、001。

     各登山者には、首掛けのIDタグが与えられます。表側が、頂上の写真と「世界遺産、キナバル公園へようこそ」のタイトル。一方、裏側はこんな感じで、登山者情報が記載されています。一番上に申請した名前と登山開始の日付。続いて大きな字で、アルファベット2文字のグループID、二桁の日付が続きます。その下にグループ内の番号(1,2,3..)が来て、最後に月を表すアルファベット(1月=A, 2月=B、4月=D..)が加わります。何か、同じ情報ダブってませんか? 私は個人での参加のため、もちろんグループ内番号は、001。

  • [登山口への道]<br /><br /> まずは、公園入口からティンポホン登山口まで移動します。レセプション隣のトランスポート・カウンターで、送迎代33RM(1056円、往復)の支払い。ただし、三台あるはずのタクシー運転手はまだ来ておらず、ガイドが自分の車を運転して行くことになりました。その車ですが、なんと、30年以上前の3代目カローラ(写真)! <br /><br /> ここから登山口までは、公園内を4キロの舗装道路が伸びています。歩けない距離ではありませんし、実際昨日歩いています。ただ、数百円ケチって、1時間余計に歩く人などいないでしょう。特に、日帰り組にとって時間はプレミアム。1分たりともムダに出来ません。

    [登山口への道]

     まずは、公園入口からティンポホン登山口まで移動します。レセプション隣のトランスポート・カウンターで、送迎代33RM(1056円、往復)の支払い。ただし、三台あるはずのタクシー運転手はまだ来ておらず、ガイドが自分の車を運転して行くことになりました。その車ですが、なんと、30年以上前の3代目カローラ(写真)!

     ここから登山口までは、公園内を4キロの舗装道路が伸びています。歩けない距離ではありませんし、実際昨日歩いています。ただ、数百円ケチって、1時間余計に歩く人などいないでしょう。特に、日帰り組にとって時間はプレミアム。1分たりともムダに出来ません。

  •  10分ほど車を走らせ、発電所隣にあるティンポホン・ゲート(写真,1866m)に到着です。ゲートの少し手前に、車を数台駐められるスペースがあるので、そこに駐車。このティンポホン・ゲートが、キナバル登山の最初のチェックポイント。IDタグを見せて入山の登録を済ませます。<br /><br /> さて、ここからが登山の始まり。時刻は7時20分で、予定より10分早いスタートです。<br /><br /><br />写真: ティンポホン・ゲート。これは、前日下見した時に撮ったもの。当日は開門したばかりで、職員とポーター以外、誰もいませんでした。 中に売店あり。

     10分ほど車を走らせ、発電所隣にあるティンポホン・ゲート(写真,1866m)に到着です。ゲートの少し手前に、車を数台駐められるスペースがあるので、そこに駐車。このティンポホン・ゲートが、キナバル登山の最初のチェックポイント。IDタグを見せて入山の登録を済ませます。

     さて、ここからが登山の始まり。時刻は7時20分で、予定より10分早いスタートです。


    写真: ティンポホン・ゲート。これは、前日下見した時に撮ったもの。当日は開門したばかりで、職員とポーター以外、誰もいませんでした。 中に売店あり。

  • [ルート図]<br /><br /> 地球の歩き方によると、目安時間は次のようになっています(やや保守的な見積もり)。<br /><br />ティンポホン・ゲート(1866M) - ラヤン・ラヤン小屋(2702M) 3時間<br />ラヤン・ラヤン小屋(2702M) - ラバンラタ・レストハウス(3272M) 3時間<br />ラバンラタ・レストハウス(3272M) - サヤッ・サヤッ小屋(3668M) 1.5時間<br />サヤッ・サヤッ小屋(3668M) - 頂上(4095M) 2時間<br /><br /> 総距離8.7キロ。ゲートから頂上まで9.5時間ということなので、1キロ1時間以上かけて登る計算です。でも、さすがにそれでは遅すぎる。日帰り組は、少なくともその半分、1キロ30分のペースで行かなくてはなりません。<br /><br /><br />地図: ステラのオフィスでもらえる地図。ビジターセンターにも似たような地図が置いてあります。青い点 - 下から公園本部、ティンポホン・ゲート、ラヤン・ラヤン小屋、ラバンラタ、サヤッ・サヤッ小屋、頂上(ロウズ・ピーク)。

    [ルート図]

     地球の歩き方によると、目安時間は次のようになっています(やや保守的な見積もり)。

    ティンポホン・ゲート(1866M) - ラヤン・ラヤン小屋(2702M) 3時間
    ラヤン・ラヤン小屋(2702M) - ラバンラタ・レストハウス(3272M) 3時間
    ラバンラタ・レストハウス(3272M) - サヤッ・サヤッ小屋(3668M) 1.5時間
    サヤッ・サヤッ小屋(3668M) - 頂上(4095M) 2時間

     総距離8.7キロ。ゲートから頂上まで9.5時間ということなので、1キロ1時間以上かけて登る計算です。でも、さすがにそれでは遅すぎる。日帰り組は、少なくともその半分、1キロ30分のペースで行かなくてはなりません。


    地図: ステラのオフィスでもらえる地図。ビジターセンターにも似たような地図が置いてあります。青い点 - 下から公園本部、ティンポホン・ゲート、ラヤン・ラヤン小屋、ラバンラタ、サヤッ・サヤッ小屋、頂上(ロウズ・ピーク)。

  • [ラバンラタへの道]<br /><br /> ゲート出発後、少しだけ下って小さな滝(写真)を通過。そこから先は、ラバンラタまでずっと登りの道が続きます。 道は普通の登山道で、日本の山とそう変わりません。幅も広く地面もフラット。石段の生活道という感じではなく、比較的大きな段差の土の道です。

    [ラバンラタへの道]

     ゲート出発後、少しだけ下って小さな滝(写真)を通過。そこから先は、ラバンラタまでずっと登りの道が続きます。 道は普通の登山道で、日本の山とそう変わりません。幅も広く地面もフラット。石段の生活道という感じではなく、比較的大きな段差の土の道です。

  •  途中、500メートルおきに、ゲートからの距離と高度が示されます。これは現在位置を知るのに便利なのですが、「まだ8キロもあるのかよ!」「あと、7.5キロも歩くの?」、と逆に頂上までの距離に気が滅入ります。<br /><br /><br />写真: 2キロ地点の道標と地図。

     途中、500メートルおきに、ゲートからの距離と高度が示されます。これは現在位置を知るのに便利なのですが、「まだ8キロもあるのかよ!」「あと、7.5キロも歩くの?」、と逆に頂上までの距離に気が滅入ります。


    写真: 2キロ地点の道標と地図。

  •  道標に加え、ラバンラタまでの間に、屋根・トイレ・展示パネル付きの休憩スペースが7ヶ所ほど設置されています。これらの場所では、雨水を貯めたタンクから飲み水を補給することも可能..なのですが、どうもその蛇口の位置が怪しんですよね(トイレの横)。<br />

     道標に加え、ラバンラタまでの間に、屋根・トイレ・展示パネル付きの休憩スペースが7ヶ所ほど設置されています。これらの場所では、雨水を貯めたタンクから飲み水を補給することも可能..なのですが、どうもその蛇口の位置が怪しんですよね(トイレの横)。

  •  スタートから1時間15分。ラヤン・ラヤン小屋(2702m)に到着です。ここには、シンプルな休憩所に加え、ポーターやスタッフ用の小屋(写真)も併設されています。場所的には、ほぼ4キロ地点、マシラオ・ゲートからの道が合流する少し手前になります。<br /><br /> 平均的なスケジュールだと、1泊2日で来たトレッカーは、9時頃、ビジターセンターで登録を済ませ、9時半に登山スタート。正午くらいにこのサヤッ・サヤッ小屋を通過しているはずです。ラバンラタまで、まだ残りニキロ。下で手渡されたランチ・パックを食べるには、ちょうどいいタイミングです。

     スタートから1時間15分。ラヤン・ラヤン小屋(2702m)に到着です。ここには、シンプルな休憩所に加え、ポーターやスタッフ用の小屋(写真)も併設されています。場所的には、ほぼ4キロ地点、マシラオ・ゲートからの道が合流する少し手前になります。

     平均的なスケジュールだと、1泊2日で来たトレッカーは、9時頃、ビジターセンターで登録を済ませ、9時半に登山スタート。正午くらいにこのサヤッ・サヤッ小屋を通過しているはずです。ラバンラタまで、まだ残りニキロ。下で手渡されたランチ・パックを食べるには、ちょうどいいタイミングです。

  •  でも、今の私にそんな悠長な時間はなし。展示パネル(写真)と近くにいた鳥の写真だけ撮って、先に進みます。ところで言い忘れましたが、私は0.5キロの道標以降、ガイドの男性を見ていません。というか、振り返ったらいなかった..。ひょっとして、ゲート直後で追い抜いたポーターと話でもしてるのか。それとも、私がこんなに速く歩くとは思っておらず、ゆっくり後ろを歩いているのか。それはわかりませんが、追いついてくれることを期待して、先に進みます。

     でも、今の私にそんな悠長な時間はなし。展示パネル(写真)と近くにいた鳥の写真だけ撮って、先に進みます。ところで言い忘れましたが、私は0.5キロの道標以降、ガイドの男性を見ていません。というか、振り返ったらいなかった..。ひょっとして、ゲート直後で追い抜いたポーターと話でもしてるのか。それとも、私がこんなに速く歩くとは思っておらず、ゆっくり後ろを歩いているのか。それはわかりませんが、追いついてくれることを期待して、先に進みます。

  •  基本的に、キナバル山のガイドは、登山者の後ろを歩きます。道案内というよりは、後見人。道は一本道で迷うことはないし、自分のペースで歩けるので、ほとんどの人はこのスタイルを好むでしょう。<br /><br /><br />写真: 2人のトレッカーと、最後尾のガイド。リュックに刺した大きな傘が、いかにも現地人風です。

     基本的に、キナバル山のガイドは、登山者の後ろを歩きます。道案内というよりは、後見人。道は一本道で迷うことはないし、自分のペースで歩けるので、ほとんどの人はこのスタイルを好むでしょう。


    写真: 2人のトレッカーと、最後尾のガイド。リュックに刺した大きな傘が、いかにも現地人風です。

  •  登山開始から1時間40分。5キロのマークを過ぎると、徐々に森が開けて、キナバル山の姿が見えるようになってきました。と同時に、雲が山の前を流れ始め、内心ちょっと焦ります。やっぱりそうか..。昨日同様、9時には入道雲のような白い雲が、キナバル山周辺を漂い始めます。いくら速く歩いたところで、天気が早く崩れればジ・エンド。これが、日帰り登山の宿命です。<br /><br /> この辺りまで来ると、下山する登山者やガイドとポツポツすれ違い始めます。出発からここまで、ポーターの女性を二人追い抜いだけで、ひとりも登山者を見ていません。これで、後ろを歩いているガイド氏にも私の情報が伝わることでしょう。安心して先に行かせてもらいます(笑)。

     登山開始から1時間40分。5キロのマークを過ぎると、徐々に森が開けて、キナバル山の姿が見えるようになってきました。と同時に、雲が山の前を流れ始め、内心ちょっと焦ります。やっぱりそうか..。昨日同様、9時には入道雲のような白い雲が、キナバル山周辺を漂い始めます。いくら速く歩いたところで、天気が早く崩れればジ・エンド。これが、日帰り登山の宿命です。

     この辺りまで来ると、下山する登山者やガイドとポツポツすれ違い始めます。出発からここまで、ポーターの女性を二人追い抜いだけで、ひとりも登山者を見ていません。これで、後ろを歩いているガイド氏にも私の情報が伝わることでしょう。安心して先に行かせてもらいます(笑)。

  • [ラバンラタ]<br /><br /> ティンポホン・ゲートから2時間15分で、ラバンラタ(3272m)に到着。ここまで約6キロ。この一帯には、メインのラバンラタ・レストハウス(写真)を中心として、小さな山小屋が5軒ほどあります。<br />

    [ラバンラタ]

     ティンポホン・ゲートから2時間15分で、ラバンラタ(3272m)に到着。ここまで約6キロ。この一帯には、メインのラバンラタ・レストハウス(写真)を中心として、小さな山小屋が5軒ほどあります。

  •  ラバンラタまで来ると、景色が完全に開けて、山の上部にある岩壁やピークがよく見えます。どうも、雲の上を越えたようで、見通しも悪くありません。ここから先は、森ではなく、主に岩盤の地形が続きます。だから、ロッジはまとまってこの場所にある訳ですね。<br /><br /> 私はここで休憩してガイドを待つこともできます。でも、メインのロッジが登山道から少し離れているため、行き違いになるのが心配。うーん、どうしよう。山頂の天気が心配なので、やはり先に進むことにします。ちょっと、後ろめたいですけどね。<br />

     ラバンラタまで来ると、景色が完全に開けて、山の上部にある岩壁やピークがよく見えます。どうも、雲の上を越えたようで、見通しも悪くありません。ここから先は、森ではなく、主に岩盤の地形が続きます。だから、ロッジはまとまってこの場所にある訳ですね。

     私はここで休憩してガイドを待つこともできます。でも、メインのロッジが登山道から少し離れているため、行き違いになるのが心配。うーん、どうしよう。山頂の天気が心配なので、やはり先に進むことにします。ちょっと、後ろめたいですけどね。

  •  時刻は9時40分。ほとんどのご来光登山者は、すでにラバンラタに戻っている時間です。でも上を見上げると、一部まだ下山中の人がいます。しかも、すごい場所歩いてる!<br /><br /> これは、次の旅行記で紹介するビア・フェラータを進む人達で、私がこれから歩く一般登山道とは全くの別ルートです。そのため、他の登山者の渋滞に巻き込まれることはありません。<br /><br />

     時刻は9時40分。ほとんどのご来光登山者は、すでにラバンラタに戻っている時間です。でも上を見上げると、一部まだ下山中の人がいます。しかも、すごい場所歩いてる!

     これは、次の旅行記で紹介するビア・フェラータを進む人達で、私がこれから歩く一般登山道とは全くの別ルートです。そのため、他の登山者の渋滞に巻き込まれることはありません。

  • [サヤッ・サヤッ小屋への道]<br /><br /> ラバンラタ・レストハウスの後、しばらく段差の大きい木の階段が続きます。

    [サヤッ・サヤッ小屋への道]

     ラバンラタ・レストハウスの後、しばらく段差の大きい木の階段が続きます。

  •  最後のグンティン・ラガダン小屋を過ぎた後も、さらに木の階段。ラバンラタを抜けるだけでも一苦労です。

     最後のグンティン・ラガダン小屋を過ぎた後も、さらに木の階段。ラバンラタを抜けるだけでも一苦労です。

  •  しばらくすると、ロープの張られた岩場が始まります。こう写真で見ると大変そうですが、実際にロープを掴んで登るのは、最初の方だけ。大半の場所では、普通に歩いて登れます。ロープはただの道案内と考えればいいでしょう。特に、霧が出て視界が悪い時に役立ちます。<br />

     しばらくすると、ロープの張られた岩場が始まります。こう写真で見ると大変そうですが、実際にロープを掴んで登るのは、最初の方だけ。大半の場所では、普通に歩いて登れます。ロープはただの道案内と考えればいいでしょう。特に、霧が出て視界が悪い時に役立ちます。

  •  この手の岩場ルートの問題は、前の人を抜きにくいこと。幸い、この時間誰も登山していないので助かります。これがもし、大人数が一斉に登る御来光登山だったら...。間違いなく、あちこちで渋滞が起きていることでしょう。<br /><br /> 傾斜がきつくなると、自然と歩行ペースが落ちてきます。急に息が切れ始めるのもこの辺り。それは、私も例外ではありません。

     この手の岩場ルートの問題は、前の人を抜きにくいこと。幸い、この時間誰も登山していないので助かります。これがもし、大人数が一斉に登る御来光登山だったら...。間違いなく、あちこちで渋滞が起きていることでしょう。

     傾斜がきつくなると、自然と歩行ペースが落ちてきます。急に息が切れ始めるのもこの辺り。それは、私も例外ではありません。

  •  岩場をある程度登り切った後、左側に見えているサヤッ・サヤッ小屋(写真、3668m)までトラバース。ここは登山道最後の建物で、トイレとチェックポイント、簡易宿舎などがあります。時間帯の関係か、私がここに来た時、窓口には誰もいませんでした。というわけで、そのままノーチェックで通過。<br /><br /> 「個人登山禁止」、「キャンプ禁止」などいろいろルールがうるさいキナバル公園ですが、その管理に関しては結構ユルユル。ここまでガイドなしでも何の問題もありませんでした。首にかけたIDタグが、印籠的な役割でも果たしているのかな。

     岩場をある程度登り切った後、左側に見えているサヤッ・サヤッ小屋(写真、3668m)までトラバース。ここは登山道最後の建物で、トイレとチェックポイント、簡易宿舎などがあります。時間帯の関係か、私がここに来た時、窓口には誰もいませんでした。というわけで、そのままノーチェックで通過。

     「個人登山禁止」、「キャンプ禁止」などいろいろルールがうるさいキナバル公園ですが、その管理に関しては結構ユルユル。ここまでガイドなしでも何の問題もありませんでした。首にかけたIDタグが、印籠的な役割でも果たしているのかな。

  •  登山口からここまで約7キロ。標高は3668メートルで、富士山に迫る高さです。ラバンラタから1キロ歩いただけなのに、かなりペースが落ちてきました。なぜだろう。息が続かないのは、水分補給が足りてないからに違いありません。そう思い、ペットボトルの水を飲み干した後、小屋にある雨水タンク(写真)から水を補給。念のため浄水剤も投入し、この先必要とされる水分を確保します。<br /><br /> なぜだか知りませんが、マレーシアには1Lサイズのペットボトルが売られていません。500-600MLか、馬鹿でかい1.5Lの二択。そのため、私は600MLしか水を持参せず、ちょっと早めにバテてしまったのです(人のせいにするな!)。

     登山口からここまで約7キロ。標高は3668メートルで、富士山に迫る高さです。ラバンラタから1キロ歩いただけなのに、かなりペースが落ちてきました。なぜだろう。息が続かないのは、水分補給が足りてないからに違いありません。そう思い、ペットボトルの水を飲み干した後、小屋にある雨水タンク(写真)から水を補給。念のため浄水剤も投入し、この先必要とされる水分を確保します。

     なぜだか知りませんが、マレーシアには1Lサイズのペットボトルが売られていません。500-600MLか、馬鹿でかい1.5Lの二択。そのため、私は600MLしか水を持参せず、ちょっと早めにバテてしまったのです(人のせいにするな!)。

  • [頂上への道]<br /><br /> 気を取り直して、再び歩行開始。サヤッ・サヤッ小屋から先は、くの字を描くように、山頂部まで登りが続いています。もちろん岩の道。<br /><br /> 登山道に関しては、ラバンラタ前とラバンラタ後では、全くの別物です。前者では数カ所あったトイレや休憩所も、ラバンラタ以降だと、ここ一ヶ所だけ。雨が降ろうが高山病になろうが、その辺の岩場の上で休むしかないのです。<br /><br /><br />写真: サヤッ・サヤッ小屋とサウスピーク(左上)。その間の白っぽい部分が道。

    [頂上への道]

     気を取り直して、再び歩行開始。サヤッ・サヤッ小屋から先は、くの字を描くように、山頂部まで登りが続いています。もちろん岩の道。

     登山道に関しては、ラバンラタ前とラバンラタ後では、全くの別物です。前者では数カ所あったトイレや休憩所も、ラバンラタ以降だと、ここ一ヶ所だけ。雨が降ろうが高山病になろうが、その辺の岩場の上で休むしかないのです。


    写真: サヤッ・サヤッ小屋とサウスピーク(左上)。その間の白っぽい部分が道。

  •  少しなだらかな場所を歩いた後、右上へと続く長い斜面エリアに突入。一直線に伸びる案内ロープは、まるで天国にでも繋がっているようです。<br /><br /> 左上に見えている山が、サウス・ピーク(写真、3933m)。ここが頂上なら助かるんですが..ただ側を通過するだけです。

     少しなだらかな場所を歩いた後、右上へと続く長い斜面エリアに突入。一直線に伸びる案内ロープは、まるで天国にでも繋がっているようです。

     左上に見えている山が、サウス・ピーク(写真、3933m)。ここが頂上なら助かるんですが..ただ側を通過するだけです。

  •  少しずつ登って、サウスピークが見下ろせる位置まで移動しました。この写真、どこかで見覚えありませんか? そう、旅行パンフレットに必ず載っている、キナバル山を代表する景色です。<br /><br /> 標高が高いこともあり、アスファルトの坂道を登るようなこのコースは、見た目以上に疲れます。少しジグザグに歩いては息を整え、また歩く。その繰り返しです。標高はすでに3900メートル。いつの間にか富士山の高さ(3776m)を超えています。前日に1550Mの宿に泊まっただけの私は、ほとんど高度順化ができていません。3時間も歩き続けて、お腹もペコペコ。一向にペースが上がらないので、初めて腰を下ろしての休憩にしたいと思います。

     少しずつ登って、サウスピークが見下ろせる位置まで移動しました。この写真、どこかで見覚えありませんか? そう、旅行パンフレットに必ず載っている、キナバル山を代表する景色です。

     標高が高いこともあり、アスファルトの坂道を登るようなこのコースは、見た目以上に疲れます。少しジグザグに歩いては息を整え、また歩く。その繰り返しです。標高はすでに3900メートル。いつの間にか富士山の高さ(3776m)を超えています。前日に1550Mの宿に泊まっただけの私は、ほとんど高度順化ができていません。3時間も歩き続けて、お腹もペコペコ。一向にペースが上がらないので、初めて腰を下ろしての休憩にしたいと思います。

  •  確かにしんどい。でも、この長い長い岩の斜面は、言ってみればキナバル登山のハイライト的な区間。景色はどこよりも良く、下は麓の景色または雲海。両サイドには、ユニークな形をしたピークが次々と現れます。写真は、右手側のドンキーイヤーズ・ピーク(ロバの耳)。<br />

     確かにしんどい。でも、この長い長い岩の斜面は、言ってみればキナバル登山のハイライト的な区間。景色はどこよりも良く、下は麓の景色または雲海。両サイドには、ユニークな形をしたピークが次々と現れます。写真は、右手側のドンキーイヤーズ・ピーク(ロバの耳)。

  •  スニッカーズを二本頬張り、再び歩行開始。8キロの道標(3929m)を過ぎたあたりで、案内ロープが目の前のピークに繋がっているのに気づきます。そうか、あれが山頂か..。ついにゴールが見えて来ました。残りわずか700メートル。<br /><br />

     スニッカーズを二本頬張り、再び歩行開始。8キロの道標(3929m)を過ぎたあたりで、案内ロープが目の前のピークに繋がっているのに気づきます。そうか、あれが山頂か..。ついにゴールが見えて来ました。残りわずか700メートル。

  •  ここから急に体が軽くなり、あとは頂上まで一直線。まずはセントジョーンズ・ピーク(写真)を左に見ながら、前進。

     ここから急に体が軽くなり、あとは頂上まで一直線。まずはセントジョーンズ・ピーク(写真)を左に見ながら、前進。

  •  ややなだらかな道を歩いた後、ロウズ・ピークの登り始め地点に到達。ここから頂上までは、道というよりは、デコボコした岩場が続きます。あとひと頑張り。 ロープを目安にしながら岩をテンポよく登って行き、数分後、ついに頂上に到着しました。

     ややなだらかな道を歩いた後、ロウズ・ピークの登り始め地点に到達。ここから頂上までは、道というよりは、デコボコした岩場が続きます。あとひと頑張り。 ロープを目安にしながら岩をテンポよく登って行き、数分後、ついに頂上に到着しました。

  • [山頂]<br /><br /> やったぜ、一番乗り! この場所は、ローズ・ピーク(Low&#39;s Peak)と呼ばれるキナバル山の最高地点(4095m)。英国植民地時代に、ヒュー・ロー(Hugh Low)さんが最初に登ったとされるため、こんな矛盾した名前がついています。キナバル山には、細かなピークがいくつもあるので、頂上というよりは、たまたま一番高い岩の山ってイメージです。<br /><br /> 時刻は11時半を回ったばかり。ここまでの純粋な歩行時間は3時間35分。休憩(10分)、写真ストップなど(25分)含めると、合計4時間10分。いやー疲れました!<br /><br />

    [山頂]

     やったぜ、一番乗り! この場所は、ローズ・ピーク(Low's Peak)と呼ばれるキナバル山の最高地点(4095m)。英国植民地時代に、ヒュー・ロー(Hugh Low)さんが最初に登ったとされるため、こんな矛盾した名前がついています。キナバル山には、細かなピークがいくつもあるので、頂上というよりは、たまたま一番高い岩の山ってイメージです。

     時刻は11時半を回ったばかり。ここまでの純粋な歩行時間は3時間35分。休憩(10分)、写真ストップなど(25分)含めると、合計4時間10分。いやー疲れました!

  •  山頂の天気はまずまず。ラバンラタ以降、何度か雲の塊が山の上部を通過し、寒く感じることがありました。でも、結局は悪化することなく持ちこたえれくれました。そのおかげで、お昼近い時間にもかかわらず、イメージ通りの景色を見ることができます。ただ、一部のピークがまだ雲に覆われているので、バナナを食べながら天気の変化を見守ることにします。<br /><br /><br />写真: サウスピーク(左、3933m)とセントジョーンズ・ピーク(右、4090m)。<br />

     山頂の天気はまずまず。ラバンラタ以降、何度か雲の塊が山の上部を通過し、寒く感じることがありました。でも、結局は悪化することなく持ちこたえれくれました。そのおかげで、お昼近い時間にもかかわらず、イメージ通りの景色を見ることができます。ただ、一部のピークがまだ雲に覆われているので、バナナを食べながら天気の変化を見守ることにします。


    写真: サウスピーク(左、3933m)とセントジョーンズ・ピーク(右、4090m)。

  •  ここから一番大きく見えるのが、山頂とサウスピークの間にあるセントジョーンズ・ピーク(写真、4090m)。頂上に石積みのようなものが確認できますが、登れそうな道は見当たりません。一方、サウスピークの方は、簡単に上まで行けそう。でも、許可なしで登っちゃいけないそうです。一見さんは、ローズピークで我慢。<br />

     ここから一番大きく見えるのが、山頂とサウスピークの間にあるセントジョーンズ・ピーク(写真、4090m)。頂上に石積みのようなものが確認できますが、登れそうな道は見当たりません。一方、サウスピークの方は、簡単に上まで行けそう。でも、許可なしで登っちゃいけないそうです。一見さんは、ローズピークで我慢。

  •  こちらは、頂上から見て北西側にあるピーク群。キナバル山は、山頂付近がやや台地状になっており、そこに複数のピークがボコボコ突き出している感じです。

     こちらは、頂上から見て北西側にあるピーク群。キナバル山は、山頂付近がやや台地状になっており、そこに複数のピークがボコボコ突き出している感じです。

  •  おもむろに携帯電話を取り出して、電波状況をチェック。普通のGSMフォンですが、一瞬、「緊急」と出た後、私が使っている「Digi」と表示されました。つまり、大手三社のうち、Digiと少なくとももうひとつのキャリアの電波が届いているというわけです。ひょっとして、山腹にあった電波塔のようなやつ、携帯電話のアンテナも混ざってた?<br /><br /> 3Gの状況はわかりませんが、2Gの電波が来ているのなら、富士山頂のように「登頂報告」が可能です。「おとうさ〜ん、今山頂〜っ」。早朝、絶対誰かやってそうですね。<br /><br /><br />** 万が一遭難したら、地図の裏に記載されている緊急連絡先に電話。

     おもむろに携帯電話を取り出して、電波状況をチェック。普通のGSMフォンですが、一瞬、「緊急」と出た後、私が使っている「Digi」と表示されました。つまり、大手三社のうち、Digiと少なくとももうひとつのキャリアの電波が届いているというわけです。ひょっとして、山腹にあった電波塔のようなやつ、携帯電話のアンテナも混ざってた?

     3Gの状況はわかりませんが、2Gの電波が来ているのなら、富士山頂のように「登頂報告」が可能です。「おとうさ〜ん、今山頂〜っ」。早朝、絶対誰かやってそうですね。


    ** 万が一遭難したら、地図の裏に記載されている緊急連絡先に電話。

  • [選ばれし者]<br /><br /> 南側の景色を眺めていると、私の後を追っていたトレッカーとそのガイドが、ロウズ・ピークの少し下で休憩していました。頂上をすぐ前にして休憩するほど、サヤッ・サヤッ小屋からの道はしんどいのです。<br /><br /> いかにも登山慣れしていそうな彼らは、カリフォルニアから来ている二人組。登頂寸前で目が合い、私が「疲れたでしょ(Exhausted?)」と声をかけると、親指を立てて微笑みながらゴール。私より15分遅れでの到着ですが、彼らは私とほぼ同じペースで歩いてきたはずです。出発が少しだけ遅く、休憩が長かっただけの違い。このスピードで登るのがどれだけ大変か、お互いよくわかっているからこそ、言葉を交わすまでもなく気持ちがシェアできるのです。<br /><br /><br />写真: 青い線 - 8キロの道標(赤い点)から頂上までのルート。上から見ると、すごいところ歩いてますね。

    [選ばれし者]

     南側の景色を眺めていると、私の後を追っていたトレッカーとそのガイドが、ロウズ・ピークの少し下で休憩していました。頂上をすぐ前にして休憩するほど、サヤッ・サヤッ小屋からの道はしんどいのです。

     いかにも登山慣れしていそうな彼らは、カリフォルニアから来ている二人組。登頂寸前で目が合い、私が「疲れたでしょ(Exhausted?)」と声をかけると、親指を立てて微笑みながらゴール。私より15分遅れでの到着ですが、彼らは私とほぼ同じペースで歩いてきたはずです。出発が少しだけ遅く、休憩が長かっただけの違い。このスピードで登るのがどれだけ大変か、お互いよくわかっているからこそ、言葉を交わすまでもなく気持ちがシェアできるのです。


    写真: 青い線 - 8キロの道標(赤い点)から頂上までのルート。上から見ると、すごいところ歩いてますね。

  •  しばらくすると、一部の雲が流れ、南東側にあるアグリーシスターズ・ピーク(写真左)が半分ほど見えてきました。<br /><br /> そして、アメリカ人から遅れること15分、ドミトリーで同室だったフランス人の若者2人組がやってきました。山頂5メートル前で息を整える彼に対し、「あとちょっとだよ(Almost!)」と声をかけると、「これ、半端ねーっすね(This is no joke)」と呟きながらゴールイン。彼らも、何だかんだで5時間を切りました。<br /><br />

     しばらくすると、一部の雲が流れ、南東側にあるアグリーシスターズ・ピーク(写真左)が半分ほど見えてきました。

     そして、アメリカ人から遅れること15分、ドミトリーで同室だったフランス人の若者2人組がやってきました。山頂5メートル前で息を整える彼に対し、「あとちょっとだよ(Almost!)」と声をかけると、「これ、半端ねーっすね(This is no joke)」と呟きながらゴールイン。彼らも、何だかんだで5時間を切りました。

  •  この日、日帰りトレックに挑戦した登山者は、全部で4組7人。そのうち制限時間内(1PM)に登頂できたのは、今ここににる5人だけ。結果は、日本(金)、アメリカ(銀)、フランス(銅)。頂上で国旗掲揚でもしたい気分です。ところで、7分の5って、すごい確率ですよ。恐らく、1泊2日の行程で来ている150人強の人がトライしても、成功するのは数人程度でしょう。<br /><br /> そもそも、自ら日帰り登山に志願するということは、よほど自分の体力に自信があるということ。その上、天気が崩れる前にきっちり登って有言実行。これは、言うほど簡単なことではありません。そう、今ここにいるトレッカー達は、いわば選ばれし者なのです。(誰も選んでないけど..)<br /><br /><br />写真: 赤い点、下からラバンラタ、サヤッ・サヤッ小屋、サウスピーク、ロバの耳(右)、セントジョーンズ・ピーク(左)、ロウズ・ピーク。

     この日、日帰りトレックに挑戦した登山者は、全部で4組7人。そのうち制限時間内(1PM)に登頂できたのは、今ここににる5人だけ。結果は、日本(金)、アメリカ(銀)、フランス(銅)。頂上で国旗掲揚でもしたい気分です。ところで、7分の5って、すごい確率ですよ。恐らく、1泊2日の行程で来ている150人強の人がトライしても、成功するのは数人程度でしょう。

     そもそも、自ら日帰り登山に志願するということは、よほど自分の体力に自信があるということ。その上、天気が崩れる前にきっちり登って有言実行。これは、言うほど簡単なことではありません。そう、今ここにいるトレッカー達は、いわば選ばれし者なのです。(誰も選んでないけど..)


    写真: 赤い点、下からラバンラタ、サヤッ・サヤッ小屋、サウスピーク、ロバの耳(右)、セントジョーンズ・ピーク(左)、ロウズ・ピーク。

  •  選ばれし者の恍惚となんちゃらかんたら。ちょっと思い出せませんが、そういうことです。そのご褒美は、もちろん山頂からの雄大なパノラマ(写真、クリックで拡大)。下は雲が多いですが、南側のピークはすべて見えています。<br /><br /> もしこれが早朝登山なら、暗闇の中、ロープ道を200人が歩き、この大して広くもない山頂付近に200人がたむろして日の出を待つ..。良かれ悪かれ、全く違う体験になっていたはずです。

     選ばれし者の恍惚となんちゃらかんたら。ちょっと思い出せませんが、そういうことです。そのご褒美は、もちろん山頂からの雄大なパノラマ(写真、クリックで拡大)。下は雲が多いですが、南側のピークはすべて見えています。

     もしこれが早朝登山なら、暗闇の中、ロープ道を200人が歩き、この大して広くもない山頂付近に200人がたむろして日の出を待つ..。良かれ悪かれ、全く違う体験になっていたはずです。

  • [下山開始]<br /><br /> 残念ながら、東側にあるロウズ・ガリーと呼ばれる谷の方だけは、最後まで霧が取れませんでした。でも、メインのピークはすべて見ているので、これで十分。山頂で45分ほど過ごした後、下山開始です。<br /><br /><br />

    [下山開始]

     残念ながら、東側にあるロウズ・ガリーと呼ばれる谷の方だけは、最後まで霧が取れませんでした。でも、メインのピークはすべて見ているので、これで十分。山頂で45分ほど過ごした後、下山開始です。


  •  少し下ると、私のガイドがロウズ・ピークの下で座って待っていました。「おーっ」とお互い手を振り再会を喜び合う2人。ちゃんと後を追ってきてくれたんですね。ただ、頂上まで来るのが面倒なので、下で待っているのがしたたかです。でも、これは他のガイドも同じ。毎日のように登っている場所に、貴重な体力を使いたくありません。<br /><br /> 彼の勧めで、ロウズ・ピークをバックに記念撮影。うーん、やはりこの山は見栄えしないですね。どうせならサウス・ピークを背景に写真撮っとくべきでした。<br /><br /> この後、いろいろ寄り道しながら、登山口まで下山。その日のうちにコタキナバルに戻りました。下山時の様子は、次の旅行記で紹介する予定です。<br />

     少し下ると、私のガイドがロウズ・ピークの下で座って待っていました。「おーっ」とお互い手を振り再会を喜び合う2人。ちゃんと後を追ってきてくれたんですね。ただ、頂上まで来るのが面倒なので、下で待っているのがしたたかです。でも、これは他のガイドも同じ。毎日のように登っている場所に、貴重な体力を使いたくありません。

     彼の勧めで、ロウズ・ピークをバックに記念撮影。うーん、やはりこの山は見栄えしないですね。どうせならサウス・ピークを背景に写真撮っとくべきでした。

     この後、いろいろ寄り道しながら、登山口まで下山。その日のうちにコタキナバルに戻りました。下山時の様子は、次の旅行記で紹介する予定です。

  • [まとめ]<br /><br /> 何だかんだで、日帰りトレックあっさり成功しちゃいました。この旅行記を参考に、他の日本人の方々があとに続いてくれれば、幸いです。必要なのは、1万円前後の予算と、時間内に登り切る体力だけ。他の登山者たちとは全く違う流れの中、朝からすごい勢いで登って、頂上を占有する少数の精鋭たち。これ、かっこいいと思いませんか? <br /><br /> 選ばれし者の恍惚と不安、2つ我にあり。登山前の漠然とした不安は登頂と共に消え去り、恍惚と達成感のみが体に残りました。チャレンジするということは、いつも不確実で、それゆえ素晴らしい。この日の出来事は、私に何か大きなものを残してくれた気がします。<br />

    [まとめ]

     何だかんだで、日帰りトレックあっさり成功しちゃいました。この旅行記を参考に、他の日本人の方々があとに続いてくれれば、幸いです。必要なのは、1万円前後の予算と、時間内に登り切る体力だけ。他の登山者たちとは全く違う流れの中、朝からすごい勢いで登って、頂上を占有する少数の精鋭たち。これ、かっこいいと思いませんか? 

     選ばれし者の恍惚と不安、2つ我にあり。登山前の漠然とした不安は登頂と共に消え去り、恍惚と達成感のみが体に残りました。チャレンジするということは、いつも不確実で、それゆえ素晴らしい。この日の出来事は、私に何か大きなものを残してくれた気がします。

  • [リンク集]<br /><br />==マレーシア旅行記一覧==<br />http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&amp;level1=1&amp;level2=499&amp;level3=&amp;sort=when<br /><br />==海外旅行記一覧==<br />http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&amp;sort=when&amp;view_mode=list<br /><br />==国内旅行記一覧==<br />http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/?dmos=dm&amp;sort=when&amp;view_mode=list

    [リンク集]

    ==マレーシア旅行記一覧==
    http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&level1=1&level2=499&level3=&sort=when

    ==海外旅行記一覧==
    http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&sort=when&view_mode=list

    ==国内旅行記一覧==
    http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/?dmos=dm&sort=when&view_mode=list

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この旅行記へのコメント (5)

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  • wtbさん 2014/02/05 13:28:01
    日帰り登頂の許可について
    キナバル山攻略記、大変参考になりました。
    さて、世界攻略者さんが登られたのは13年5月4日の土曜日となっています。週末は公園のセンターが閉まっていると海外のブログで見たのですが、日曜日のパーミッションを取ることは可能かどうか、覚えてらっしゃいますでしょうか(waiting listのようなものに日曜日の待機者がいたようなご記憶はありますでしょうか)。
    また、もしご存じでしたら、4グループ/日という制限がどの程度厳密そうか教えていただければと思います。こちらも海外ブログに10名くらいチャレンジしていたという記載があったもので...

    世界攻略者

    世界攻略者さん からの返信 2014/02/07 06:46:02
    RE: 日帰り登頂の許可について
    wtbさん こんにちは、

     基本的に、私の旅行記に付いている日付は、旅行記を順番に並べる為に適当に付けているものなので、正確ではありません。もし、海外旅行記でそのように書かれているのであれば、実際にそうなのだろうと思います。私は前日に登山許可を取りましたが、前日までに取ればいい話ので、実際の登山日がどの曜日であろうと、関係ないと思われます。もちろん、許可を取りに行く日は、管理事務所が開いている日でないと、意味がありません。

     4グループ/日の厳密さについては、わかりません。私が登った日はぴったり4グループでした。各グループのサイズですが、1泊する場合だと、ガイドは最大6人まで引率できます。ただ、手持ちの資料によると、日帰りの場合、どうも2人がマックスのようです。これらを考え合わせると、10人登った日は、1グループおまけしてもらえたか、それとも、ひとりのガイドが2人位上連れていたかのどちらかだと思います。最終的には、レンジャーがトレッカーを見て判断するので、現場では柔軟に運用されているのだろう、というのが私の予想です。

     、
    > キナバル山攻略記、大変参考になりました。
    > さて、世界攻略者さんが登られたのは13年5月4日の土曜日となっています。週末は公園のセンターが閉まっていると海外のブログで見たのですが、日曜日のパーミッションを取ることは可能かどうか、覚えてらっしゃいますでしょうか(waiting listのようなものに日曜日の待機者がいたようなご記憶はありますでしょうか)。
    > また、もしご存じでしたら、4グループ/日という制限がどの程度厳密そうか教えていただければと思います。こちらも海外ブログに10名くらいチャレンジしていたという記載があったもので...

    wtb

    wtbさん からの返信 2014/02/07 14:27:13
    RE: 日帰り登頂の許可について
    ありがとうございます。
    内容承知しました。
    現地入りして土日しか登頂できる日が無いのですが、ダメ元でトライしたいと思います。貴重な情報ありがとうございました。

    wtb

    wtbさん からの返信 2014/06/15 09:21:15
    日帰り登頂成功しました
    こんにちは。
    世界攻略者さんの情報のおかげで、昨日無事日帰り登山に成功しました。
    情報的な点では、
    ・値段や手続きなど2014年現在も同じです
    ・管理事務所は土日休みで9時〜17時。土曜行くと月曜まで待つ必要があります。
    ・4グループ制限は緩和されたのかもしれません。私の時はやはり5組10名の参加者が居ました。1グループ3名の組もあった模様です。もしかしたら、その前々日からずっと天候がわるく(私は木曜に申請を出したのですが金曜は天候不良で見送り土曜決行としました)Waiting Listにたくさん溜まっていたのを処理したかったということかもしれません

    さて、私のスタートは7:30、ラバン・ラタが9:50、頂上が11:50でした。
    午後は天候悪化のおそれということで、頂上には5分ほどしか滞在せず速攻下山です。とはいえ帰りは雲が切れる瞬間もあり、写真タイムや宿泊登山者の下山者の渋滞もあってゲート戻りは15:20頃でした。
    登り、ラバン・ラタまではほぼ世界攻略者さんと同じペースでしたが、その後の30度くらいありそうな木の階段群で心を折られました。思い起こしても岩の斜面よりあっちがきつかった...。練習しても3時間は切れそうにないです。やっぱり世界攻略者さんは超人ですね!
    他の外国人ブログがどうもいまいち役に立たない中、世界攻略者さんの旅行記はたぶん日帰り登山について世界一詳しい情報だと思います。ありがとうございました。

    世界攻略者

    世界攻略者さん からの返信 2014/06/19 09:50:47
    RE: 日帰り登頂成功しました
    wbtさん、

     登頂お疲れ様でした。いろいろとスケジュール的な制約がある中、大変でしたね。私も、予想外に長い木の階段のところで、しんどい思いをしました。まだまだ日帰りトレックに関する情報が少ない中、最新状況の報告ありがとうございました。

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