2013/01/13 - 2013/01/14
205位(同エリア593件中)
ちびのぱぱさん
- ちびのぱぱさんTOP
- 旅行記278冊
- クチコミ204件
- Q&A回答38件
- 356,188アクセス
- フォロワー31人
熊野古道が世界遺産になったのは、だいぶ前ですが、どこかとらえどころなく感じておりました。
イメージとしては、山伏やカラス天狗がちょうりょうばっこしている感じ。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- レンタカー Peach
-
「だいたい、このくらいまで来ました。」
この家の主は、そう言って下から三つ目の石のところで手のひらを止めました。
おととしの台風による水害は、ほんとうにすごかったそうです。
和歌山に入る頃から、色々なところで崖崩れの痕を見かけ、道路の補修箇所もあちこちにありました。
「自然の力にはかないません。」
漫才師、大助花子の宮川大助さんに似ているご主人は、薪割りの手を休め、切り株に腰を下ろして一服しながら、そうおっしゃいました。
まるで城壁のような石垣に見とれて車を止め、話しかけると気さくに応じてくださったのです。
「このあたりでは、ツジ(辻?)というんですよ。」
「どうして、こんなに立派な石垣を作るんですか。」
「風が強いですからね、このへんは。」
「ご主人のうちの石垣は、いつ頃作られたんですか?」
「さあ、わたしが物心ついたら、もうありましたから。ああ、そこに柿の木がありますでしょ。小さく見えるけど、樹齢200年ですわ。」
ご主人の指す方を見ると、石垣の一部が植え込みになっている、枝振りの良い柿の木が目に入りました。
この「辻」と呼ばれている石垣、風よけにしては立派すぎます。
もしかしたら、ときおり起こる水害に備えてのものかも知れないと思いました。 -
車一台がやっと通れるかという「国道169号」を必死で走っているうちに、いつの間にか吉野川はどこかへ姿を消し、代わって北山川が寄り添っておりました。 -
このあたり、瀞八丁(どろはっちょう)といって、釣りや川遊びのメッカです。
やどのチラシを見たら、ウォータージェット船の再開に伴う半額キャンペーンのことが出ていました。 -
-
-
(北山村に仕掛けられたトリック)
ところで、国道169号線を南下して上北山村をぬけ、続いて北山村に入ったのですが、北山村に入る際に、確か和歌山県を示す道路標識をくぐりました。
このときかすかに、「?」と違和感を感じたのです。
「上北山村と北山村は県が違うのだろうか?」
すぐにその疑問は頭からぬけてゆきましたが、あとからWebで地図を見ているうちに妙なことに気づいたのです。
北山村は和歌山県には「ない」のです。
「あれれれれ?」
上北山村の方は、奈良町の高速餅つきの一件で、奈良県であるということは知っていました。
ということは、やはり北山村も奈良県なのか?
しかし、たしかに、北山村に入るときに「和歌山県」という表示があったはず。
なんだか、狐につままれたような気分になってきました。
ウェブサイトの地図というのは、どうも、県境が分かりづらいのですが、何度見ても、北山村は和歌山県の外にあります。
しかしこの謎は、北山村を検索して調べたときに一気に解けました。
なんと北山村は、日本で唯一、飛び地の自治体なのです!
確かに和歌山県なのですが、奈良県と三重県の中に取り込まれて、和歌山県からは隔絶されているという、不思議な村です(廃藩置県の際に村民自らが和歌山県にはいることを選んだのだそう)。
しかも、「上」北山は奈良県ですしね。
どうも、この辺りは一筋縄ではいきません。 -
北山川が熊野川に合流する地点で、ずいぶん長い付き合いになった169号線と分かれて、168号線に入り、熊野川を遡上します。
そして、熊野神社を横目で見て、日本最古とうたう湯の峰温泉に寄りました。 -
神話の里にふさわしく、細々とした川に沿って、谷間を進む数両の蒸気機関車のように、ひなびた宿が並んでいます。
あちこちから上がる出湯の蒸気が、それに趣を添えていました。 -
道路から見下ろすと、せまい川原に湧出する湯で、人々が卵をゆでています。
硫黄臭のする湯気に見え隠れしながら、卵のゆであがるまでの時間、つかの間のおしゃべりに花を咲かせていました。
なんだか、不思議な眺めだなぁ -
小栗判官の話はご存じでしょうか。
昔話の主人公で、悪いやつに毒を盛られて死にかかったのが、この湯の峰のつぼ湯につかって蘇生したという。 -
ここからは、熊野神社への古道が続いていて、その表示に従って川を渡ると -
そこにつぼ湯があります。
テレビで見たことがあります!
七色に変わる湯だそうです。
-
小栗判官のものがたり -
ひとり750円で、一組30分までと決められた入浴スタイル。 -
入浴はあきらめて、熊野古道に続く石段を上がってゆきます。 -
-
-
-
脇道から忽然と、40代くらいの夫婦が現れたので、びっくりしました。
見れば、しっかりとした装備。
話をすると、これから熊野神社に行くのだという。
なんとなく時計に目をやると、時刻は3時半を廻っていました。
朝からずっと古道を歩き続けているのだとか。
「あなたたちは?」
と尋ねられたので、
「わたしらは、湯の峰から上がってきて、もう戻ります。」
と言って頭をかきました。
なんちゃって熊野古道でした。 -
-
宿を取ったのは、熊野川から大塔川を少しさかのぼったところにある川湯温泉です。
温泉街の一番はずれの「まつや」という宿でして、部屋の窓から、大塔川のガラスのような清流が目を慰めます。 -
-
-
宿から温泉街の方に下ると、川原が賑やかです。 -
この時期だけの「仙人風呂」。
外人さんもちらほら。 -
近くに脱衣所も用意されていますが、そのまま川原で着替えるおとうさんもいて……、隠すべきは隠してほしいと思います。
外人さんもいるし…… -
-
妻は事前に何かで調べていて、ちゃんと水着を用意しておりました。
お湯は柔らかく、場所によって温度が変わります。
「仙人風呂」の看板のある辺りは、ちょうど良い湯加減になっておりました。 -
「まつや」に戻るとすっかり日が暮れました。
部屋で、上北山村のコープで買っておいたサンマ寿司を、夕食代わりにいただきます。
中谷本舗で、430円でした。
美味しかったです。 -
翌朝、川湯のホテルを出発したのは、予定通り午前6時。
まだ外は真っ暗で、雨が降っています。
篠突く雨を手の甲でしのぎ、駐車場の車に乗り込むと、暗闇の中を走り出しました。
川湯の温泉街をぬけるとき、昨日湯浴みをした仙人風呂が、水銀灯にほのかに照らされて湯気を立ち上らせるのが見えました。
朝がとどかぬ峡谷の底を走る私たちの車のフロントガラスに、暗い雨が容赦なくたたきつけます。
雨は、すぐそこに来ているはずの暁を遠ざけ、雨滴と戦うワイパーが陰鬱なリズムを刻んでいます。
やがて朝は闇に打ち勝ち、渓谷に迫る峻険な山影を浮き上がらせ始めました。
ようやく闇から解き放たれた私たちは、乳白色の朝靄にまとわれた山々を見上げ、自分たちがどんな景色の中を走ってきたのかを認識したのです。
熊野川に沿って走ること40分、辺りが明るくなったのは7時近くなってから。
予想していたより、ずっと遅い夜明けでした。
とりあえず、那智の滝を見ようと思います。
このように雨が降りしきる中、はたして滝のところまで行けるものでしょうか。
なにも分からぬまま、カーナビに教えられるままハンドルを右左に切ると、やがて前方に一流の白い筋が、黒い山肌から浮き出るように、どちらかというと、浮遊している感じで視界に入りました。 -
滝の入り口には、数台の車を止めるスペースがあって、さすがの世界遺産もこの雨の中、朝の八時に訪れる者もいません。 -
昔から見慣れている那智の滝の写真は、どれも紅葉の時期に神社などを配して撮影されたもので、今、目の前にある、荒々しくていつ牙をむいてくるか分からぬ野性味を帯びたこの滝は、まるで別物と感じました。
「今日は、やはり雨のせいで水量が多いのでしょうか?」
鳥居近くの神社の販売所の開店作業をしていたご婦人に訊ねると
「そうですね。このままだと、まだまだ水量が増えます。あの滝のおりくちは三筋になっていますが、それが一枚の布のようになってしまいます。」 -
見上げると、たしかに最上部は三筋に分かれています。
そう話されたご婦人は、目鼻立ちのはっきりした美しい顔をしておられます。
しかし、なんといったらいいか、どこか、そう、浮世離れのした感じの話し方をされるのです。
「不思議な感じの人だね。」
妻が、あとでそう話していました。
わたしも同感です。
そして、こんな雨の日の、訪れる人もまれな朝の8時から営業するのかと、感心しました。
蕭々と降り注ぐ雨なのか、
それとも滝しぶきなのか、
明け方のコンビニで調達したビニール傘に、滝のように水が流れ落ちて、まるで自分たちが滝そのものでもあるかのように、膨張するイメージは、那智の滝と渾然一体となって溶けてゆきました。
轟々と流れ下る滝の音と、安物のビニールにはじける雨の音が解け合って、不思議なハーモニーを生み出し、それは悠久の静けさとなって、肌を心地よく刺激しました。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (3)
-
- nakamasananiwaさん 2013/02/18 00:16:18
- ♪
- こんばんはw
からす天狗に反応しちゃいました。
ちょっとナイショなんで説明できないのですが。
日本の山んなかって独特の空気感があってあれですね、おいらちっちゃいころから虫やら川が好きだったんで、けっこう山奥までテント持ってサイクリングに行きました。
夜の賑やかさと朝の静寂。
特に滝のあるとこって色々ありますよね。
- ちびのぱぱさん からの返信 2013/02/18 17:48:42
- RE: ♪
- 紀伊半島は暖かいですね。
北海道は、雪、また雪
シンガポールは言わずもがな……。
どうやらnakamasaさんは、からす天狗さんと、なにか約束がありそうですね。
ベトナムはなぜか女性に人気ですね。
うちのも行きたがっています。
- nakamasananiwaさん からの返信 2013/02/19 02:19:17
- RE: RE: ♪
- だんな、ベトナム、ホーチミンはジャパニーズツーリスト、または駐在員として行ったほが楽しいんじゃないでしょか?
確かに女性の好きそうな雑貨屋さんやらありますが、それやったら日本のほがずっとずっとありそうですし?
道渡るのんも面倒やし、バイクだらけで喉痛くなるし。
ただヤギさん焼肉はなんてゆうか、とってもマッチしてました。あの番号ではじまる屋号や通りの名前、タイでも韓国でもないベトナム独特のみょ〜〜んってした感じがなんともいえずええ感じでした。たぶんマレーシアやシンガで食っても、ってあれ?それでも食いたいかも? いやいや、やっぱりあの低い椅子に雲子すわりしながら食するフォーとこっちできれーなCafeで14ドルも出して食べるんとまたちゃいますもんね、ん〜〜、でもやっぱりヤギさんはあっこに取っときたいですね、わざわざ行って333ビアと一緒におっぱい肉じゅうじゅうやりたいかな?
バインミもはまりますぜw
やっぱりサイゴン好きになったみたいですw おおきに
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
この旅行で行ったホテル
この旅行で行ったスポット
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
3
33