2010/05/03 - 2010/05/04
1659位(同エリア5603件中)
のうりかさん
台北に一泊して悲願のマッサージに満足し、香港経由で熱帯マレーシアを目指す、ネコオヤジとその飼い主こと女房ニコトラ。
マレーシア市民はクアラルンプールをKLと呼ぶ。日本国市民は何でも略すのがお約束。
ロサンジェルスはロス、シンガポールはシンガ。
僕も同じく合衆国へ行くまではそう言ってました。
しかし、改めるべきは躊躇なく。
ロサンジェルスはLAだし、NYCはニューヨークだし、DCはワシントンDCのことであって、クアラなんて言葉も使わないことにした今回の旅。
(写真は間違いなくKLのランドマークのツインタワー)
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 鉄道 タクシー
- 航空会社
- キャセイパシフィック航空
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-
16:20にゲートへ降り立つ。
熱帯の国にある空港でも今は冷房設備のおかげでどこでも同じ快適な環境だと思う。
唯一違うのは、ボーディング・ブリッジ。
この通路だけはわずかな距離なのに、その国の空気を、初めて、はっきりと感じることができる空間だ。
クアラルンプール国際空港。
http://www.klia.com.my/
(マレーシア市民はKLIAと呼ぶ。なんでも短縮するのは日本国市民と一緒か?)
日本人建築家の黒川記章氏が設計に携わったことで有名。
「森の中の空港、空港の中の森」
Airport in the forest,forest in the airport.
が基本コンセプトだそう。 -
確かにこの国際線専用サテライトビルの中心に大きな熱帯樹木が人工的にレイアウトされているが、オランウータン(おら、うーたん?または、おらん、うーたん)の姿はない。
orangutanは、マレー語とインドネシア語で「森(hutan)の人(orang)」を意味している。 -
2両編成のアエロトレインに乗り込み、メインターミナルへ。
降車して階下へ進むと入国審査。
ここで機内で配布されたオレンジ色の説明書の意味を理解するところとなった。
「プレミア・レーン」
入国審査でビジネスクラス以上の乗客は優先されるという理解に苦しむ制度。
ほかに何かいいことでもあるのか?
スタンプ押してくれること意外に。
確かに最短距離でイミグレーションは通過できるらしい。
相当に勤労意欲を著しく欠落しているオフィシャル等の仕事ぶりは、シンガポールの公僕と対照的に映る。
入国審査からこの国を理解しようとする努力が始まった。 -
バゲージ・クレームへ進むと、青いシャツ着たお兄さんが、看板持って立っている。
「Mr.ネコオヤジ」
KLIAの受付に行くものだとばかり思っていたのに、立て看板で出迎えしていたとは意外だった。
これは、ぜひとも4traに紹介しなければならないKL市内への移動手段。
KLIA Ekspress VIP Service
https://www.vipservice.com.my/vipbooking/index.html
28分で市内へ到着できる。 -
料金が高い!という理由でKLIAエクスプレスを利用しない人には関係ない。
135MYR(約4,000JPY)大人2人、空港からバッグを運ぶポーター付き。
しかもこのポーター君は終点KLセントラル駅まで電車に同乗する。
そしてネコオヤジと飼主を待つリムジンに荷物を入れて、リムジン運転手にクーポンを渡し、笑顔でサヨナラ。
陽気なリムジンの運転手が市内をスイスイと走り、ホテルの玄関までDoor to Door。
これで135MRYを高いと思うか?
マレーシア市民は絶対利用しないだろう。
が、ツーリストにとっては、けっして高額な移動手段だと思わない。
某国の空港から移動する鉄道、リムジンバスの料金はMRYに換算すると約100MYRだ。
http://www.jreast.co.jp/e/nex/index.html
2人なら200MYR。
おや?
いま、信じられないページを発見した。
外国人パスポート所持者には2千円分のSuicaと成田エクスプレスがついて3,500円だって。
http://www.jreast.co.jp/e/suica-nex/index.html
勝負あったな、日本国民。 -
青い服のお兄さんはカウンターで僕たちのクーポンを取り出し、僕たちの案内を始める。
申告の有無も聞かずに税関を抜けて。
エレベーターを降り。
KLIAエクスプレスのフォームへ。
電車まではすべてが紫地に白の「KLIA Ekspress」なので、深刻な方向音痴の旅行者でもここまで辿り着けるようだ。 -
いちばん前の車両へ。
青服のお兄さんは荷物をラックに格納し、「着いたらまた来ます」と、車両の先頭へ消えた。
数分後、電車は音もなくスタート。
確かにガラガラの車内。 -
車窓の外には濃い緑色が流れていく。
着陸のアプローチで大地に広がっていた低木は、「アブラヤシ」の農園のようだ。
少し進むと熱帯の樹木。
なだらかな丘陵地帯に大学らしい建物。
しばらくすると、プトラジャヤPutrajayaの風景が現れた。
首都機能移転はKLからプトラジャヤへ。
2010年までに完了するらしい。
マレーシア政府は2020年までに先進国入りするという「ヴィジョン2020」を推進している。
が、空港イミグレーションのオフィサーから再教育する必要があるのでは?
もし政府当局がKLタワーの上から釣り糸たれて、「ワタシ、エビ獲ります」などと冗談言っているのでなければの話だ。
それでもPRC(またはCPC政府)http://english.gov.cn/
の国際空港でパスポートぶん投げて返すオフィシャルよりは数十倍まだマシか。 -
市街地の外れに高速道路と小さな空港を発見。
KLIAへアプローチする途中で見つけた空港だとわかった。
Sungai Besi airport
http://www.airliners.net/photo//1042454/L/&sid=684f34cf01fa7e0f6e30cfd35eda2d86 -
KLセントラル駅に到着。
青服のお兄さんがサービスカウンターで送迎車を確認し、外へ案内する。 -
バジェット・タクシーが列をつくる向こう側に並ぶ黒塗りのキャブへ。
青服のお兄さんは運転手に行き先を確認し、ここでお別れ。
ありがとう。お世話になった。 -
タクシーがスタート。
このキャブに2人は広すぎる。
今日のホテルはマンダリン・オリエンタル・クアラルンプール。
http://www.mandarinoriental.com/kualalumpur/
このホテルも1人だったら泊まらないだろうな。 -
タクシーはヒルトンとコンコルドの横から国立博物館を周回して高架の道路へ。
国立モスクの青い屋根。
ここは見学できないらしい。
僕たちは異教徒だから。
マスジッド・ジャメ界隈のムルデカ広場を左に、交差点を右折。
これは観光コースだね。 -
当然、次に現れたのはチャイナ・タウン。
いい感じ。
シンガポールのスタジオ・セット風ではなくて、古色蒼然としているのが良い。 -
ビルの谷間からKLタワーが見え隠れ。
なぜか、唐突にあらわれた「honolulu club」
http://www.alohakl.com/theclub.html
マラッカにもあるって? -
大宇の看板とともに建設中のビル越しに、ツインタワーとマンダリン。
タクシーは車寄せへ。
ホテルに到着。 -
光沢のある黄色地の帽子を被ったベルマンがに案内されてレセプションへ。
レセプションで名乗ってから思い出した。
クラブ・フロアを予約したんだった。
当然、さらに24階のラウンジでチェックインしてください。とロビーを横切りエレベーターへ案内された。 -
なんだろう?この雰囲気は。
このホテルの外観はあまり感じよくない。
正直そう思う。
しかし、一歩ロビーに足を入れてすぐ、今まで感じたことのない空気を感じた。
それもたぶん、どこかで待っていたような。
いつか滞在したことがあるような錯覚とともに。 -
豪華なエレベーターを24階で降り、チェックイン。
てきぱきとチェックインの手続きをする女性スタッフは、タダものではない目の輝きがあった。 -
「お部屋に入られるまえに、何かお飲み物は召し上がられますか?」
とすすめられて、異存はなく、始まったばかりのカクテル・タイムを2人で貸切状態。
ツインタワーが見える窓際のテーブルを占有したネコオヤジと飼主。
すぐさま、スタッフのお兄さんは「ワインはどうですか?」とやってきた。 -
ここのクラブ・ラウンジが想像以上に広いことがわかった。
記憶をたどっても、今までこんなに広いラウンジにお目にかかったことがない。
シックな色合いの椅子とソファは、少なくともコンテンポラリィを好むゲストに歓迎されないかもしれない。
しかしながら、これだけの広さと雰囲気を持つホテルのラウンジは希少だ。
喫煙できる椅子まである。
飲酒には厳しいが、喫煙には寛容な国なのか。 -
スタッフのお姉さんがテーブルに近づいてきて、
「お部屋の準備ができました。お荷物も運んであります」
とのこと。 -
案内された部屋は27階。
「広い部屋をご用意しました」とお姉さんが言ってはいたが、これは申し分のない広さ。
クラブ・エグゼクティブ・パークビュー。
ツインタワー側の部屋はあまりに「隣」すぎて遠慮した。
目の前に広がる緑がある部屋は落ち着く。
ネコオヤジと飼主にとって。 -
イスラムのお祈りの声が聞こえたような気がした。
?
飼主も聞こえるという。
公園の奥にある丸いドーム。
モスクだ。
スピーカーから流れているのか?
さっそく、繋いだPCで調べてみる。
「イスラム教 礼拝」で検索。
イスラムの礼拝(サラート)は一日に5回。
ファジュルと言われる、日の出の1時間半前から日の出10分前までに行う早朝のお祈り。
正午の15分後から正午から3時間半後までに行う正午過ぎの礼拝はズフル。
日没2時間半前から日没10分前までに行う遅い午後の礼拝がアスル。
日没5分後から日没1時間後に行う日没後の礼拝がマグリブ。
そして、日没1時間半後から深夜に行う就寝前の礼拝、イシャーウ。
礼拝の時刻がきたことを知らせる朗詠を「アザーン」と言うらしい。
二十数年前、パリのホテルで隣の部屋から聞こえたコーランを思い出していた。
日本でも同じようにモスクから流れているのだろうか? -
部屋の豪華さは見た目ではなく、使われている材料によるところが大きい。
ベッドカバーやクッションがそれを主張している。
テーブルにマンダリンが置かれているのは当然というか、納得というか。
でも、美味いよ。この橙は。
写真は食べてしまった残りの3個。
このあとの外出後には補充されていたあたりはデジャヴでも見たような気にさせられるけど。 -
バスルームのマーブルが派手じゃなくてよい。
シャワーブースの下から水が流れないように施されているのには感心した。(あれだけはどうもいただけない) -
再び、ラウンジでコピとクッキーなどをつまむ飼主。
街へ出かける気はあるらしい。
チャイナ・タウンへ行こうと思う。 -
まず、SURIA KLCCの中を地下鉄駅まで。
SURIAはマレーシア語で「太陽」。
もともとはサンスクリットの言葉だろうか?
かなり巨大なショッピング・モールとみた。
チェックンの際に、MO LIFESTYLE PROGRAMMEなるホテルのサービスを紹介された。
各店舗でホテルのカードキィを出せば、いろいろな優待サービスがあるらしい。
何も買うつもりはないのだが。 -
飼主こと女房ニコトラは、買い物好きではない。
なぜなら、「物に執着しない」から。
家の中を「片付ける」ことは、「捨てること」だと理解している。
つまり不必要な買い物をしない。
それは旅先でも同じ。
但し、「一生もの」は別だ。
HeirloomとLifetime investmentは彼女にとって同じ価値を持つ。
これは、彼女のお母さんが筋金入りの「お嬢様」だったことに影響が大きい。
(初めてお母さんをハワイにお連れしたとき、日航のサクラ・ラウンジを『貴賓室ね』と、こともなげにおっしゃいまして、僕は100mくらいぶっとびましたから)
「ハレとケ」を知らない人は、いつもハレの状態であらねばならないと信じて、金銭と時間を浪費する。
その多くは自分の内面にではなく、他人から見られている自分の外見に対して。
人は雑多な煩悩をコントロールすることにしばしば失敗する。
それが物欲であれば最悪と言っていい。 -
さて、この地下鉄。
券売機がクセモノ。
http://www.rapidkl.com.my/tickets-fares/rail-fares
1.6MYR。大きな紙幣は受け付けない。
窓口にローカルの人たちと一緒に並ぶ。
ここで何と言って買おうか?考えること数秒。
ネコオヤジの番がきて、被りものをしたお姉さんとご挨拶。
「パサール・スニ!チャイナタウン!」
はっきりと指を2本と10MYRを差し出す。
ガラス越しに、チケットが2枚とお釣り。
マレーシアの言葉を知らないネコオヤジ。
Apa khabar ?くらいは覚えても、発音がいまいち。
ゆえに、駅名のアナウンスもさっぱりパリ。
手ごわいぞ!マレーシア。
退勤の時間帯らしく混雑する車内。
この電車は無人で運転しているらしく、ブレーキの掛け方がどうも生理的に合わない。
約10数分でパスール・スニ駅へ到着。 -
この駅は高架だ。
ホームからチャイナタウンが目の前に。
電車のドアを出たら何も見えない。
温度差が大きく、眼鏡が白く曇った。
まず、東へ進むと「マンダリン・パシフィック」なるホテルが現れる。
http://www.mandpac.com.my/facilities.htm
マンダリン・オリエンタルと似た名前だな。 -
交通量の多いスルタン通りを渡って、路地を北へ。
どうも、途中スリ・マハ・マリアマン寺院
http://www.flickr.com/photos/mmulibra/112906067/
を通り越してしまったらしい。
トゥンH・S・リー通り。
中華レストランと言うべきか、屋台というべきか。
飼主はこういった店はアウトだらしい。
その理由もネコオヤジが「ポンポン壊すと困る」といったもの。
飼主には飼主の責任があるのか。 -
突如出現した「関帝廟」。
横浜だって中華街に建ってるよ。などとと寝ぼけている場合ではない。
「レッド・クリフ」の
http://redcliff.jp/index.html
映画監督が誰かを言える人でも、「三国志」あるいは「三国志演義」の作者が誰か?
を知っている人はいないはずだ。
なぜなら作者は不詳だからね。
そういう人は劉備なんて名前も知らない。
同じ「クリフ」でも「ポニョ」くらいは思いつくか。
信義と義侠心に厚く、かの国のいしえで活躍した武将は世界中のチャイナタウンで神と祀られ、そこに住人々の信仰を集めている。
商売と無縁か?というと、そうではないあたりが中国文化。
なんと言っても、関羽は塩の密売で蓄財し、そろばんを発明したと伝説にはある。 -
Jalan Hang Lekir
Jalanは「ジャラン」、通りを意味するらしい。道とか歩くとか。
ジャラン・ジャラン。だと「お散歩」になると言う。
あの旅行予約サイトの「じゃらん」
http://www.jalan.net/jalan/doc/nyalan/summer2007/index.html
はどうなの?やっぱりマレーシア語なの?
「にゃらん!」なんてのも飼っているようだけど。 -
Jl. Cheng Lock
ここで左へ。交通量多し。
雨がパラついてきた。 -
Jl. Hang Kastuiに出ると、セントラル・マーケットを確認。
http://www.centralmarket.com.my/index.php?cat=1
このマーケット。もともとは市場なのだろうけど、内部がおもしろい。 -
マレー、中国、インドの通りに分かれていたり、とにかくお土産ものが圧倒的に多いのに、なぜかしらまとまった雰囲気がある。
「まとまっている」というのは、コンセプトというか、これがマレーシアの混沌というのか。
香港のテンプル・ストリートの猥雑とは異にする雰囲気。
大部分の店は高価なものを陳列していない。
しかし、ここもまた飼主の琴線に触れるようなスーヴェニアは置かれていないと思われるのだった。 -
セントラル・マーケットに来た理由がもうひとつ。
ガイドブックにのっていた「プレシャス・オールド・チャイナ」
http://www.oldchina.com.my/pocindex.htm
に食指が動いたから。
適当にお客さんがいる店内。
ネコオヤジと飼主はカウンター前のテーブルに座る。
「つい立て」の奥もダイニング・スペースがあるのだが満席のようだ。
壁側にアンティークの調度品がこれでもか、と並んでいる。
雰囲気はわるくない。(良いとも言いたくない) -
Webのメニューに
Must-try: Precious Sambal Belacan (Spicy Shrimp Paste), Nyonya Laksa & Nasi Lemak.
とある。
「ニョニャ・ラクサ」は・・・?と
スタッフがくれたメニューを探せば、すぐに日本で雑誌に紹介された記事を何枚もPPコーティングして、
「どうぞ、どうぞ」のお兄さん。
どうしてもKL市民から一発で日本人と見破られるネコオヤジとその飼主。
カールスバーグと料理が運ばれてきた。
ココナッツ・ミルクのまったりとした味にやみつきになる旅行者も多いというが、僕も飼主もあまり好きではない。
肉じゃがのよーな、Ayam Pong Teh (Nyonya-style Braised Chicken with Potatoes)
これがthe most popular dish? -
たぶん3日も滞在すれば慣れて美味しいと思うのだろう。
それと口から火を噴く辛い食材。
韓国料理を考えればどうってことないはずなのだ。
なぜなのか?
ここが「熱帯」だから?
お勘定は63.85MYRなり。
旅行先で現地のものを食す。
これ以上の満足感はないと、カールスバーグとココナッツミルクの混在した、なんとも言いがたい「噫気」がそれを物語っていた。 -
マーケットの外に出ると、湿度がものすごい。
それもそのはず、スコールがあがったところ。
広場のステージにはダンスの練習を続けるグループあり。
道路の水溜りをブラシで掃き出す清掃スタッフ。
雨はまだ完全にやんではいないようだ。 -
パサール・スニ駅から電車で帰る。
マレーシアの女性の特徴である「被りもの」
スカーフのようなもの「トゥドゥンTudung」と呼ばれているらしい。
地下鉄の構内の壁面にはこのトゥドゥンを被った女性のモデルが、それっぽい衣服をコーディネイトしてポーズをとるポスターも多い。
http://www.fareedascarf.com/
トゥドゥンのモデルコンテストまであるという。
http://fareeda-beritamedia.blogspot.com/
ムスリム女性のおしゃれ感覚、というか、お洒落の表現もなかなか奥が深いと見た。 -
「不思議と同じコーディネイトをしていないのよね。どこで買うのかしら?」
とは、飼主が漏らした感嘆の言葉。
仏のサルコジが「男女差別だ」と、妄言を吐いている「ブルカ」については、また別の機会にコメントしようと思う。
実はこの「ブルカ」。
個人的に非常に興味深い。
一番の謎は空港の「入国審査」だな。
パスポートに顔写真が当然あるとして、どうやって、係官の前で顔を見せるのだろうか?
考え出すと夜も眠れないほどだ。 -
KLCCへ戻って地下をホテルへ向かっていたはずなのに、いつの間にか水族館の出口から地上に出てしまった。
雨上がりの夜空に浮かび上がる、ツインタワーとマンダリン・オリエンタル。
27階の角が僕らの部屋だ。 -
バンケット・ホール用の玄関からホテルへ入り、ロビーを横切ってエレベーターへ。
-
部屋へ帰る前にラウンジでお茶を飲む。
窓いっぱいに迫るツインタワーの白く怪しい輝き。
これは夜だけでいいわ。昼間はいらない。 -
何回か旅行記に書いているが、僕は是が非でも「高い所」へ登ってその街を俯瞰したいという気持ちがない。
「ナントカとケムリは・・・」と揶揄するつもりもない。
飼主も同じ考え。
興味がないだけだ。
ゆえに、明日はツインタワーのブリッジもKLタワーにも行かない。
ツインタワーのどっちが日本の大手ゼネコンで、
もう一方が韓国の建設会社が建てたとか、最後にブリッジの接合部分が数センチ合わなかったとか、だから何なの?
そんなこと知りたくてこの街まできたのではない。 -
ツインタワーを眺めながら、熱帯の夜の街を歩いて疲れたはずの飼主ニコトラが意外なことを言う。
「世界が平和でありますように、と思ったわ」
(世界が虫歯じゃなくてね)
飼主いわく、ムスリムの人々はけっして過激な思想の持ち主ではなく、一人一人は日々平和を祈る宗教に敬虔な人たちなのだと。
そうでなければ、一日に5回も遠く離れた聖地に向かって礼拝などしない。 -
部屋に帰る。
既にターンダウンされていた。 -
デスクの引き出しにあった聖書が二冊。
聖書は聖書でも、一冊は聖典「コーラン」だった。 -
異文化と出会いは、何歳になっても貴重だ。
二十歳代にはアメリカ合衆国に何の魅力も感じなかった。
うんざりするような大自然も、常にカメラの露出を間違えて写したような西海岸の風景も、ニューヨーク・シティの汚いゴミ缶が壊れているのと同じように。
しかし、二十年も後になってその思いは変わる。
実際に訪れてみると、本当は合衆国が好きだったのだ。という自分に驚く。
なぜなら、この地球に住まう人たちを「愛しい」と思えるようになったから。
ここで「じゃあ、なたの嫌いな中国は?」とツッコまれて当然だが。
僕は国家を否定はしていない。その体制を嫌う。
だが、たとえ中華人民共和国であっても、合衆国であっても、そこには人々の暮らしがあり、けっしてどこへ行っても同じものがあるわけもなく、鄙びた田舎の街角にも酒を飲ませる店があり、日本で言うなら
「トウキョウにいるときゃー、シノブとよばれたのー」
という大昔にお嬢さんだった大ババさまがいたりするのだ。
そして、「文革」以来インフラもままならぬ中国大陸の辺境で、映画「初恋のきた道」(我的父親母親)
http://www.sonypictures.jp/archive/movie/roadhome/
そのままにチャン・ツィイーのような少女が、やはりまだ存在していると思えてならないのだ。
(チャン・イーモウがどれほどの監督かはコメントを控えるが、チャン・ツィイーは、大袈裟に着ぶくれし、全編にわたって明らかに変な走りのフォームを続ける、ほとんど台詞のないこの作品で、確実に大女優の一歩を踏み出したと言ってよい)
http://www.youtube.com/watch?v=48ivIU6Szok&feature=related
昨年の1月に、どうしようもなく牛と草地だけが広がる、アラバマのハイウェイをフォード・エクスプローラーで走りながら、つくづくそう思った。 -
飼主はシャワーもお風呂も入ってご満悦。
飼主の眠りに落ちる速さは超人的だ。
海外向NHKやBBCのチャンネルを繰りながら、しばし拙宅のベッドルームとの違いを楽しむ。
ネコオヤジも12時前には眠りについた。
「KLの休日 ③」 ~アブラ椰子とコーランと(KL観光編)へ続く。
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