韓国冷凍旅行4・古墳は何にも言わないけれど

2013/01/02 - 2013/01/03

もう30年以上前のこと、鯨がまだ髪の毛がたっぷりあった学生のころ。
長い休みにになると、奈良の「山の辺の道」をよく歩いた。

奈良盆地の東、天理から桜井まで20キロもあるだろうか。
田んぼと小さな山の合間に、ひっそりといくつかの村があり、道端に古墳がぽつぽつとあった。

道の終点ともいうべきところに石舞台古墳があった。
現在のように観光地として整備されたものではなく、畑の中にむき出しでぽつんとあったっけ。

近くのユースホステルに、おそらく10泊以上している。
通ううちに、古墳の管理をしている、宮内庁の職員のおじさんと仲良くなった。
60を過ぎた温厚な感じの方だった。

そしてそのおじさんは、若かったワシに、こんな話をしてくれた。

エリア 慶州(韓国)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0

• 交通手段: タクシー 徒歩

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現在の古墳のいくつかは、天皇陵とされ、宮内庁の管理下にある。
といっても、そのほとんどは「後世のこじつけ」であり、実際は江戸時代に治定されたものだ。
治定者は江戸後期の国学者たちだった。

いま日本にある古墳は、実は誰が埋葬されているのかわかっていない。
その古墳たちがつくられた5世紀のころ、日本はまだ文字を持っていなかったから。
文字を持たない日本の王は、朝鮮半島からきた技術者の作った古墳に葬られたのだ。

漢文の古事記が8世紀。日本語で読める万葉集はおそらく9世紀に入ってから。
皮肉なことに、文字が日本に入ってくると、なぜか、古墳の主たちの素性は忘れられたのである。

が、それよりはるかに前の時代に、朝鮮半島では巨大な古墳がつくられていた。
しかも、現在において、埋葬者が特定できる古墳も多い。

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「いつか、そういう古墳も見に行きなさい」

おじさんは、学生だった鯨に、そんな言葉を残してくれた。

「古墳は、単に土を盛っただけのものではないんだよ。当時の土木の最先端技術を駆使した、立派な建造物なんだよ」

そんなことも教えてくれた。

でもこの古墳は「建造物」というよりは「おっぱい」とか「ケツの割れ目」を表現したゲージュツ作品ではないかと思われるが。

大陵苑にいかなくてもいい。

慶州の市街地を歩くと、あちこちに古墳が残っている。
商店の横が古墳になっていたり、通りの向こうに突然古墳だったり。
大きいのも小さいのも。ほとんどが円墳で、前方後円墳はない。

ちなみに前方後円墳は、ほぼ日本のオリジナルなんですね。
韓国にも少しだけ現存するが、造られた時期から考えて、日本から逆輸入したものだという。

写真は天馬塚。大陵苑の中で、ゆいいつ、内部を公開している。

新羅は千年続いた長命の国家だった。
韓民族が現在のように「姓・名」を名乗ったのは、実はこの国が最初だ。
唐の文化を受け入れることにより、その庇護下に入り、百済にも高句麗にも勝ち、生き残った。

その間、都を慶州に置いたのだから、町中が古墳だらけになるのもうなづける。

その中で、フツーにクルマが行きかい、人々が生活している。
なんともはや、不思議な光景だった。

寒風の中、宝の山を歩き回る感覚で古墳を見て回った。
山の辺の道を最初に歩いた、あのときのワクワク感が、足元からよみがえった。

あの宮内庁のおじさんも、きっとこの町に来て、この風景を見たんだろうなとおもった。

ちなみに、配偶者は終始一貫、古墳には無関心なのであった。

「ただの山よね」

などとゆう感じで、足元だけを見て、そろそろと歩いていた。
当日は晴れたものの、氷点下の真冬日であって、散策路はカチカチに凍っていたのである。

入口のゆるキャラ風人形にのみ、興味を示していた。

「さすがペコちゃん」

と、心の中でつぶやく鯨の味噌汁であった。

この旅行記へのコメント （2）

• カスピ海さん 2013/09/14 09:28:10

  はじめまして、こんにちは

  鯨の味噌汁さま
  
  こんにちは。
  「韓国冷凍旅行」記、とても面白く拝読いたしました。
  新羅や古墳の解説も興味深く、参考にさせて頂いて慶州にむかいました。
  ありがとうございます。
  
  >前方後円墳は、ほぼ日本のオリジナルなんですね。
  知らなかったです。確かに、あちらでは円墳しか見なかった。
  あの、古墳の中道、自然にカーブしているところとか、ほんとうに楽しさ爆発しました。桃尻式古墳も。
  
  そして、おすすめの韓式の民宿シラバンに泊まりました！
  楽しかったです。立地も便利なところで、重ねてありがとうございます。
  お目当ての女主人も、たまらなくすてきでした。^ ^
  
  どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。
  カスピ海
  

  鯨の味噌汁さん からの返信 2013/09/16 11:33:59

  RE: はじめまして、こんにちは

  カスピ海さま、
  
  今日は、初めまして！コメントありがとうございます。
  
  > 「韓国冷凍旅行」記、とても面白く拝読いたしました。
  > 新羅や古墳の解説も興味深く、参考にさせて頂いて慶州にむかいました。
  > ありがとうございます。
  
  自分でゆうのもなんですが、「参考になりました」とゆうコメントをいただいたのは史上初とおもわれます。ショーもないムダ話、ヨタ話の連続ですもの。大変光栄です。
  
  > そして、おすすめの韓式の民宿シラバンに泊まりました！
  > 楽しかったです。立地も便利なところで、重ねてありがとうございます。
  > お目当ての女主人も、たまらなくすてきでした。^ ^
  
  お！それは嬉しいです。ワシはメッタに☆5つはつけないんですが、ここは良かったっす！あの薄幸げな女主人、お元気だったでしょうか。プライスレスの笑顔、また逢いたいっす。