2012/09/17 - 2012/09/23
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tunacanさん
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私が遠い国へと旅しはじめたずっと昔、訪れた場所で思いがけず聞く戦争の話に、自分の無知、無関心をばつ悪く思ったものです。しかし後になって、それは私の旅の収穫だったのだと気が付きました。
時は経ち、近年外国に住み始めてからは、そこで家族となった人たちが経験した戦争について知りたいと思うようになりました。知らなかった戦争を学び、同じ戦争を角度を変えて見るようにもなりました。
勝った方が正しくなるのが戦争だと思うので、単純に正か否かということではなく、ただ、D-day次第によっては、今の世界は無かったかも知れない、となれば私は大切な人たちと出会えなかったかも知れない、と考えると自然に、ああよかった、と思えてくるのです。
今回のノルマンディーの旅は、その美しさと、それとは対照的に今も随所に残る壮絶な戦争の痕から、あらためて尊い犠牲を想い、今に感謝する、人間としての貴重な経験となりました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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今回は、ジュノ=ビーチに面したキャンプ場、コルスイ=スル=メーを拠点にしました。
必要な物は何でも揃った、なかなか快適なバンガローです。 -
海岸沿いの舗道をサイクリングすると、さっそくドイツ軍の砲台に、同盟軍の国旗が揚がっています。
こういったものが海岸線のまさにいたるところにあります。ここが紛れもない最前線だったことを早くも実感します。 -
ジュノ=ビーチのシンボル、フランスで最初に解放された家。
激しく傷付けられましたが、きれいに修復されて立っています。 -
こういった資料や映像によく出る、有名な家です。
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海岸線を車で西へ向かいます。無数に点在する戦跡と博物館の中からいくつか選び、6日間かけて訪れました。
アロマンシュ。
連合軍が海の上に築いた人口港を絶壁の上から望みます。夕暮れの中、その不自然と自然が調和した不思議な美しさに、しばし絶句です。 -
引き潮の時には、岸近くに打ち寄せられたいくつかの部分が砂浜に現れます。
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その塊の1つ1つがどれほど大きいかは、人と比べてみてようやく分かります。そばに行くと何とも言えない威圧感があります。
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いくつものコンクリート塊で浜を囲むように港が築かれ、浮桟橋を架けて車両や物資を陸揚げしたそうです。想像しがたいスケールです。
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同じ海岸にはドイツ軍の築いたアトランティック=ワォールが。
ここで秩序と緊張の下でのにらみ合いがあったんですね。
思わずすごい棒立ちです。 -
アロマンシェ上陸博物館の外にあった、上陸艇。このボートから、まさに上陸へと踏み出したんですね。
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ロング=スル=メー砲台。
ここには唯一、今なお当時の大砲が残っています。 -
映画にも出てくる、見張り用の建物です。
不気味な物体ですね。こういったコンクリートの壁は、厚さ2mもあったそうです。 -
中に入ってみます。天井が低く、大きなドイツ人にはさぞ窮屈だったことでしょう。
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ポワン=ドウ=ホック。
表紙の写真の美しい岬です。ここは断崖絶壁を米軍が縄梯子でよじ登って攻略しました。映画で米兵がこのバンカーに爆弾を投げ入れたのを見ましたが、実際に天井は焦げていて、心なしかいまだにきな臭い感じでした。
どこへ行ってもこのように見学者が大勢います。年寄りやスクールトリップなど、やはり連合国軍の国籍が多く、中には当事者やその家族も見られました。そしてやはりドイツ人は滅多にいません。アジア人もほとんど見ませんでした。予想通りのアウェイ感、と言うよりもむしろ、向かうところ敵のみ。当初は自分が場違いでないか多少気がかりでしたが、まったく疎外感などなく、いつしかそんな心配も忘れて、年寄りや子供に混ざって熱心に見学していました。 -
あちこちにある大きなクレーターは空爆によるものです。
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古代遺跡を彷彿とさせる、というより、今私は新しい遺跡を見ている、というほうが正しいですね。いつか人類がこれらを古代遺跡として見る日が来るのでしょうか。
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オマハ=ビーチの米軍墓地。
整然と並ぶその墓標の数9000。実によく手入れされています。
併設の博物館では、セキュリティー=チェックがありました。さすがはアメリカ。しかし、そのフランス人警備員たちは、仕事中になぜかチョコレートの話題で白熱していました。さすがはラテン系です。 -
フランスらしい美しい教会もたくさん破壊されました。その中には、破壊後の写真と見事に修復された姿とを比べて説明している教会もありますます。
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サン=メー=イグリース。
米軍のあるパラシュート隊員は、こうして教会の塔に吊り下がってしまうという失敗に見舞われました。彼が生還したからこそですが、映画ではこの場面が笑える所となっています。教会ぐるみでいまだに当時の笑える模様を丁寧に再現しています。 -
教会内には、パラシュート部隊への敬意を込めた特別なステンドグラスがあります。素敵ですね。
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米空軍博物館では、兵士の持ち物をたくさん見ることができました。
仏語や独語のフレーズブック。用意がいいですね。 -
食品も身の回り品も嗜好品も、とにかく何でも有ります。やはり各国の兵士たちがうらやましがったようです。
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映画で米兵がいつも煙草を吸っているのを見るたびに、本当にそんなにたくさんの煙草を戦場に持って行ったのかがいつも疑問でしたが、それもどうやら本当です。
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ちなみにこちらはベルギー兵の持ち物。やはりチョコレートは欠かせないようです。
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本当に何でも有ります。しかもおしゃれです。物質的に勝ち目が無いのを痛感します。
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これにはびっくりしました。2トーンのストッキングって、ここ最近の発明じゃないんですか?
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こらえていましたが、ついに初めて、「かっこいい...」と言ってしまいました。
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ドイツ軍墓地。
その犠牲の数は13000にものぼりますが、ほんの一部分しか無い遺体も多いのでしょう、何人か連名の墓標が目立ちました。 -
ノルマンディーの博物館はどこもとてもよく管理されていますが、その中でもカーン記念博物館は特別です。規模も内容も最高で、たっぷり4時間ほど費やしました。
日本の教科書には載らないであろうポスター。
各国のプロパガンダ広告は見ごたえがありました。 -
第1次大戦から現在までを追った展示形式で、珍しいところでは、東ドイツ産、プラスティック=ボディーの自動車、トラバント。その後ろにはベルリンの壁。ソ連のミグなどが見られました。
ただ、最後まで見て分かったのは、残念ながら、どうやら人は忘れる生き物らしい、ということでした。
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この旅行記へのコメント (5)
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- angieさん 2012/11/04 17:14:24
- 凄い!!!大魔神もまっつぁお!
- こんなの初めて見ました!
まるで映画のポスターばりの出来栄えですね。
このポスターはどこでどいういう風に使われる為に作られたものなんでしょう?
大きさは?大きいものなんですか?
他にも色々ありましたか?見てみたいです。
angie
- tunacanさん からの返信 2012/11/04 19:54:13
- RE: 凄い!!!大魔神もまっつぁお!
- ね、なんかすごいでしょ!?
これは日本軍のコーナーにあったんですが、説明がなくて、私としては日本産の外国(アジア諸国)向けプロパガンダという感じがするんですが、真相は分からないんです。大きさはまさに映画のポスターといった感じでしたよ。
私は昔初めてソビエトの赤い広告を見て以来、あのゾクゾクする感じがくせになってしまい、プロパガンダ広告を見るのが大好きなんです(変態?笑)。他にも色んな国の広告が見られて、フランスのものがロートレック風だったり、北米がハリウッド風だったりと、芸術品としてもとても興味深いなぁとあらためて思いました。
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- むんさん 2012/10/13 19:15:35
- ノルマンディー海岸
- tunacanさん、こんにちは。
はじめまして。
ノルマンディー海岸。
今もD-day当時の建物等がたくさん残っているんですね。
旅行記拝見して初めて知ったことばかり。
とても勉強になりました。
- tunacanさん からの返信 2012/10/14 17:18:08
- RE: ノルマンディー海岸
- むんさん
はじめまして。投票と書き込みをありがとうございます。
むんさんのホーチミン編、とても共感しました。
ベトナムはもう長年、いつか行きたい場所なのですが、戦争をまだつい最近のことと思うがために、カンボジア同様いまだに行けずにいます。子供の頃、自分より幼い子供たちが枯葉剤の被害を受けているのを見ていましたし、またベトナム出身の人に会うたび、とても明るくいい人たちばかりなのにもかえって切なくさせられたりして...。
でもきっと、現地に行ってみたら、復興した街の様子や、彼らの前向きなエネルギーに触れて、いくらかプラスの方向に考えられるようになるのかも知れませんね。
ノルマンディーでも、戦争の爪痕とは対照的な、人の温かさが印象的でした。きっと土地柄、痛みの分かる人たちなのでしょうね。たくさんの見るもの、感じるものがある場所です。機会があれば、ぜひ訪れてみてください。
むんさんの家族旅行の様子がとても温かくて、楽しく拝見しています。
これからも娘さんたちとよい旅を。
そしてまたこれからもよろしくお願いします。
- むんさん からの返信 2012/10/14 18:23:31
- RE: ベトナムの人々の姿!
- tunacanさん、返信ありがとうございます。
そして、ベトナム旅行記ご覧いただき、
ありがとうございました。
ホーチミンを訪れてみて、ベトナムの印象がすごく変わりました。
それまではベトナム戦争の激戦の地のイメージが強かったんですが、
明日に向けて、たくましく生きる現地の人々。
今を大切に明るく生きる姿を目の当たりにして、
戦争は決して起こしてはいけないこととともに、
常に前向きに生きることの大切さを痛感しました。
ノルマンディーの人々も、きっと同じ気持ちだったに違いないですね。
また、tunacanさんの旅行記にお伺いしますので、
これからもどうぞよろしくお願いします!
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