2012/06/30 - 2012/06/30
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ちびのぱぱさん
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列車の旅が好きです。汽車に詳しいとか、そういうのではなく、旅の一コマとして乗って旅することが楽しいのです。
最近の言葉では「乗り鉄」というのがありますので自分は強いてゆえばこれかな、と思いましたが、妻によると、まだまだ「乗り鉄」道は奥が深く、「安易に名乗ってはいけない」のだそうです。
人間観察が趣味である妻は、今回の旅(朝の6時から夜の8時半まで鈍行列車に乗り続ける)を通して、真の「乗り鉄」と「乗り鉄もどき」の違いを見抜いたようです。
思うに、どうして女性というのは、あれほど人間観察に優れているのでしょう(とにかくよく見ている)。
女性の書いた文章というのは、だからおもしろいのだと思います。
いずれにせよ、「乗り鉄みまん」の私が、相方を道連れに道央圏を一日鈍行に乗り放題というJR北海道のとくとくきっぷ片手に、よりもよって北海道が日本で一番暑かった日に、エアコンのない汽車旅を乗破して参りました。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
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-
JR北海道が出しているトクトクきっぷに「一日散歩きっぷ」というがあって、それを見つけて、「えきから」というサイトで、いろいろ列車の時刻をもてあそんでいたところ、鈍行を乗り継いでぐるっと道央を一周するルートを発見しました。
「できた〜!」
「どうした、なにができた?」
「いや、鈍行だけを乗りついで、ぐるっとつながったんだよね。」
「ちょっと何いってんだかわかんない。」
説明すると長くなりそうなんで適当にごまかしましたが、このきっぷはJRが定めた道央圏を鈍行のみ一日乗り放題になっている、何ともありがたい切符なのです。
しかし、この鈍行の時刻を調べていると、頭をかきむしりたくなってくるんです。
いにしえの昔、JRがまだ国鉄だった頃に、どなたかが列車のダイアを組み、そのうち色々な特急が走るようになって、じゃまな鈍行を野菜の苗の間引きのように適当に引っこ抜き、今でもかろうじて鈍行が情けで走らせてもらっている、そんな感じなのです。鈍行を乗り継ぐ人のことなんか、ちっとも考えちゃくれてません。
だから、鈍行を乗り継ごうとすると、とんでもない非効率的な乗り継ぎ方を強いられるようになる。
その昔、かの「青春18きっぷ」という気恥ずかしい名前の鈍行専用の乗り放題切符が出たとき、何日間も「大時刻表」を枕元においてルートを検索したものです。
今では、もっとひどいことになっている。
「何で5分待てないんだ、この列車は〜!!」
と叫びたくなるような、恐るべきつなぎの悪さなんです。
そうなると、逆に闘志をかき立てられるのが、この手のオタクな人々の習性でしようか、「えきから」という便利なサイトをひねくり回していたのです。
そんな中、札沼線(新琴似ー新十津川)〜根室本線(滝川ー新得)〜石勝線(新得ー新夕張ー夕張ー南千歳)〜千歳線(南千歳ー札幌)〜札沼線(新琴似)と、みごとに一日で乗り継げるルートを発見したのです!!!
と、説明したところで、妻の共感など得られるはずもなく、
「なんか、おもしろいことあんの?」
という、疑念に満ちたまなざしを受けただけです。
鉄道なんか、まして鈍行なんかにはぜんぜん興味ない人にあえて説明しますと(たぶん、こんな長い文章ほとんど読んでませんね)、松葉カレイのような形をした北海道の中央部を、大きめのヒレのような形にくるっと回る。
もうちょっとわかりやすく言うと、日本列島をタツノオトシゴとすると、その頭に当たる北海道に耳があったとすれば、その耳の形にくるっと回る……、ああ、もうどうでも良くなってきた。
この4traには、「いってきま〜す」という機能がありますが、だれが、どんな動機で使うのかよく分からないまま、ほんのちょっと気になっていました。
そこで、誰にも伝えられないこの喜びを訴えるべく、今回の旅の動機を書いてみました。
そしたら、4traから「いってらっしゃ〜い」というメールが前日に届いて、自動で出されているとは思いつつ、ちょっとうれしかったのであります。 -
結局、今にも路線廃止されそうな、貴重な札沼線に乗るのは、今回は断念しまして(途中の待ち時間がちょっと長すぎるんです)、
-
6時58分札幌発の滝川行き普通列車に乗るべく、我が家を6時前に出て、途中の知り合いの家に車を預けて、15分ほど歩いて学園都市線(札沼線)に乗り……
-
待ち受けていたのは、昭和44年からこの路線を走っている「クハ711電車」でした。
色がかわいいですね(わからないかなあ)。 -
-
コースとしては、札沼線(学園都市線)新琴似〜函館本線(札幌ー滝川)〜根室本線(滝川ー新得)、以下先ほど述べたのと同じコースです。
総延長542.8キロ。
総乗車時間9時間10分。
所要時間12時間8分。
新幹線なら2時間で走る距離ですな。 -
これが、朝6時15分に新琴似駅で2200円で買った「一日散歩きっぷ」です。
どの範囲が乗り放題なのか、分かるように図が入っています。
鈍行専用ですが、鈍行が走っていない新得ー新夕張間の91kmは、特急に乗れるんです。
これもちょっと楽しみなんですね。
何せ、北海道が世界に誇る振り子特急ですから。 -
土曜ですが、この程度の入り。
ちなみに、このきっぷ、土日祝日しか使えません。
明日から7月ですから、そうなると18きっぷという強敵が現れますね。 -
途中24時間営業のスーパーで、朝食を仕入れました。
斜め向かいの60代くらいの女性二人連れは、出発前から自前で用意したおにぎりやら総菜やら漬け物やらでいっちゃってます。
はやる心を抑えて、せめて走り出し、田園風景の中をこの列車が風を切って進む頃……。
「バリバリ!!」
「あれっ、もういっちゃうの?」
「おなかすいちゃってね。」
女性陣には、この論法は通用しないようです(涙)。 -
この車内扇風機……。
涙が出そう -
今日は、暑くなるという予報でしたが、朝肌寒かったのが、そろそろ気温が上がってきました。
7時46分、岩見沢着。
ここで、8分の停車です。
妻を車内に残し、ひとっ走り駅を見てきます。 -
この駅は2000年に火事になって全焼した以前の駅舎に変わって2009年にリニューアルし、その年のグッドデザイン賞を受賞したと、ネットで知りました。
そうか、前の駅は燃えちゃったんだっけ……。 -
ここは33年前の冬の日、まだ関東の大学に通っていた頃、ワイド周遊券を握りしめて渡道した際に、ひとときを過ごした思い出があります。
駅前には100円でラーメンを食べさせる店があって、寂れた駅前でそこだけがにぎわっていました。
「当店、小銭扱い商につき、一万円札お断り。」
そう大書した、墨痕鮮やかな手書きの札が、なぜか自信に満ちあふれておりました。
冬期割引と学割で、半額近い一万円ちょっとになっていた周遊券。
四人がけにひとり体をくの字にして、夜行急行で宿泊費を浮かせ、札幌と地方を行ったり来たりして、車窓に広がる雪景色に見とれ、無為に時間をやり過ごしました。
それにしても思うのは、今から33年前に汽車旅をした頃、なぜ、それほど岩見沢で時間つぶしをしたのか(実は、その旅行でもう一回同じような時間待ちを岩見沢でしている)ということ。
当時の時刻表など、とうに残っていませんが、ちょうどその頃の本に「時刻表2万キロ」(宮脇俊三著)というものがあります。
いわずと知れた鉄道文学に燦然と輝く名著なんですが、それを何気なく見ていたら、つぎのような一文を見いだしました。
「北海道では、札幌を別にすれば名寄と岩見沢に泊まると具合のよいスケジュールができやすい。」
当時は、今とは全く違う列車がたくさん走っていたのは覚えています。
今では考えられないことですが、函館発網走行き、とか、函館発釧路行き、なんていうのもありました。
いつだったか、それも廃止されたのです。
「そうか、やっぱり当時の運行スケジュールじょう、岩見沢で汽車待ちをすることが多かったのか。」
と、ひとり納得いたしました。
いつか、1979年の冬号の時刻表をどこかで見つけたら、その頃の旅をもう一度よみがえらせてみたい、と思うのです。 -
「どうだった……。」
「うん、ずいぶん変わったね。」
「そう。」
岩見沢を過ぎると、車窓にはどこまでも水田が広がります。
北海道に来た頃、なんでこんなにまずい米を無理して作るんだろう、と、当の米作農家の方に、それとは知らずに、無情な疑問をぶつけてしまいました。
温泉の湯船の隣で、その方は、怒りでも、落胆でもない、不思議な表情でうつむいておりました。
今は、押しも押されぬ北海道米。
帰りの特急の中にあったJRの車内誌を手に取ると、その稲作にかけた人々の熱い戦いの様子が、この近くにある空知川首頭工から流れる灌漑用水を中心に繰り広げられたことを知りました。
北海道を開拓した先人たちの、米に対する思いの程をはしなくも知ったのです。 -
特急が、無礼なほどの速度で通り過ぎてしまう、小さな駅が、一つ一つ目の前に現れます。
中には、もう少しで朽ち果ててしまいそうなものもあります。
「補修しないのかね。」
「ほとんど人が乗り降りしないんだろうね。」
「こうして、だんだんホームが崩れて、そのうちに形がなくなった頃、汽車も停まるのをやめて、駅がその役割を終えてその生涯を閉じるのかな。」
「なに言ってんの?」 -
午前8時35分、終点の滝川駅に到着しました。
「まだ、朝の八時半なんて信じられないね。」
なんて言いながら、次の釧路行きが出る9時37分までの一時間を、町歩きします。 -
そう、この根室本線には、てっちゃんてつ子垂涎の日本一の鈍行列車が走るのです。
何が日本一かって、距離×走る時間……かな。
まあ、とにかく滝川から釧路までの308キロを8時間もかけて走り抜ける。
走り抜けるっていう割には、ゆっくりなんですが……、そこがいいらしいです。
全部乗ったら証明書をくれると書いてあります。
残念ながら、今回は新得までしか行けないから、証明書はもらえません。
ちなみに、ポスターの汽車の色が違ってますね。
元は、赤い色だったんでしょうね。 -
ホームに泊まっている、この赤いのは、私らがたった今乗ってきたM形の電車に残されていますね。
北海道の列車はおおかた、白地にグリーンのラインに塗り替えられています。
映画「ぽっぽや」で使われたのは、もちろん赤い方です。 -
駅にも美味しそうな立ち食いそばがありますが、少し歩いた国道12号沿いに、(安くて)有名なそば屋がありますので、ちょっとがんばっちゃいます。
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駅前に、町内会の地図が。
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まちなみ
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歩くこと12分で、目的のそば屋さんに到着。
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何でもかんでも280円のおもしろいそば屋さん。
鰹のだしの良い香りが立ちこめています。 -
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駅の近くに戻ってきたら、裏通りにこんな店を発見。
滝川はおもしろそうな街ですね。 -
もう、釧路行きが入線しているはずです。
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彼方には、残雪の暑寒別が碧く広がっています。
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キハ40です。
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ああ、疲れてきたから、北海道限定のサッポロクラシックをキオスクのおばさんから買いました。
「なんか、あついですね。」
「そう?」
「おもてで働いている人は、大変です。」
「そうね。」
「天気予報で、今日はずいぶん、暑くなるって言ってました。」
「そう?」
口数は少ないけど、笑顔がかわいい60才くらいのご婦人でした。 -
ああ、ホントに疲れてきたから、富良野のくくりで書いているのに、富良野に着く前に、一回やめます。
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この旅行記へのコメント (2)
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- ねんきん老人さん 2017/08/07 19:17:08
- 乗り鉄そのものではありませんか!
- いやはや、これを乗り鉄と言わずして何と言うべきでしょうか?
緻密なリサーチとプラニングで一人悦に入っている旦那様と、それをちょっと斜めに見て、それでも同行する奥様との掛け合いの妙がなんとも温かくて、失礼ながら「こういう夫婦っていいなあ」と羨望を覚えます。
文章が小気味よいリズムで、所々ユーモラスなひねりがあって、なんとも楽しい旅行記ですが、それも底に鋭い観察があってのことだと思います。
こういう旅、こういう文章をものにしたら、さぞかし楽しいだろうと思いながら拝読しました。
このあとも色々読ませていただきます。よろしくお願いいたします。
ねんきん老人
- ちびのぱぱさん からの返信 2017/08/08 08:04:49
- RE: 乗り鉄そのものではありませんか!
- ねんきん老人さま
ご訪問、有り難うございます。
最近なにかと忙しくしていて、ブログの更新もままならないのですが、過分のお褒めの言葉に励まされ、また書こうという気になってきました!
ブログ仲間からの励ましは、いいですね。
ねんきん老人さまのブログにもおじゃましたいと思います。
ちびぱぱ
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