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ストックホルム到着は午後3時。ホテル(RICA HOTEL KUNGSGATAN)の場所が少し中央駅から離れているように地図では思えたので、中央駅から歩くより空港からタクシーで…などと思ったりしていたが、空港内の荷物受けのターンテーブル近くにあるInformationで聞いてみると、“近い”ということだった。それならと、今日もいくつか観光地を回ることを考えて、2人分の2日分のストックホルムカードと、空港・中央駅間を20分で結ぶアーランダ・エクスプレス(高速列車)の往復切符を購入する。アーランダ・エクスプレスは15分ごとに発車しており、50キロを20分程度なので速い。振動もさしてなく快適に中央駅に到着する。中央駅からは、キルナからの旅行なので、大きくて重い雪靴を履いていたが、除雪をされた道を10分強歩くとホテルの標識が見つかった。半分は歩行者天国を歩くので楽である。帰りがけにわかったのは、ホテルから中央駅は下りになっていたので、中央駅からホテルへは坂を少しずつながら上っていたことになる。ホテルでチェックインし、出発前に”Lonely Planet”の”SWEDEN”から予定していたコースの中で、「ヴァーサ号博物館」への道を聞く。トラムがあるからと教えてくれる。トラムの乗り場を探すのに少し手間取ったが、ストックホルムの中心地の一つが中央駅で、ホテルのある地域のヒュートリエットも代表的な場所、そしてトラムの乗り場近くのセルゲル広場も地下鉄のT-Centralenがあって中心地だし、各々の移動は徒歩で10分程度なので楽である。ストックホルムのトラムは、このセルゲル広場の東側から出て、スカンセンの方へ往復する線しかない。セルゲル広場は賑やかなところでビル等も沢山あってショッピング街にも接しているが、ホテルからの道を歩くと、広場周辺は1階下になる感じで層になっているので少し迷った。この下の道が中央駅の方にも直結しているので、ヒュートリエット地域は相当高くなっていることになる。セルゲル広場の道のさらに1階下に地下鉄の駅があるようだ。いずれにしても、こちらは路面を走るトラムに始発駅から乗る。乗車時にスコットランドカードに乗車時間を記入してもらう。トラムは、「北方民族博物館」近くに停車。ヴァーサ号博物館もここで下車。もう暗くなっていたので入口を見つけるのに苦労したが、両博物館とも水曜は午後8時まで開館している。ヴァーサ号博物館は、日本でいえば江戸時代の1628年に建造されたスウェーデンの戦艦「ヴァーサ号」が出航直後に沈没し、それを1961年に引き上げたもので、最初の姿を残したもの。非常に大きくて、装飾も豊富で面白いものだ。引き上げ時に何人かの乗組員の遺骨も回収され展示されたりもしている。各部分の解説が丁寧に示されているのも面白かった。この解説には、日本語も含まれていた。このあと、北方民族博物館へまわる。ここは、3階建てだったかだが、中央部が吹き抜けなので、どのフロアからも、スウェーデンを独立させたグスタフ・ヴァーサ王の巨像が見えるようになっている。スウェーデンの古くからの生活史(富める階層、普通の階層、物乞いをする貧民と、今も変わらぬ区別が昔からあったことがわかる)、王族の生活、料理の歴史、時計・筆記具・玩具等の各種道具の歴史など面白い展示が多々あった。軽食用のビュッフェも開店していた。トラムでセルゲル広場へ戻り、ホテルまでは徒歩。夕食を探してみたが、あまりないのでホテルから数分のパスタの店に入った。気楽な店で、日本流にいえば”大将“が話しかけながらサービスしてくれる。スェーデン風の魚のスープとパスタということで、安くておいしかった。<br />翌日というか、今回の旅行で街歩きをする最終日の予定は、”Lonely Planet”にある名所をいくつか回り、夜はホテルのごく近くの「コンサートホール」でクラシック音楽を楽しむことだ。朝食後は、まずノーベル賞授賞式後の晩餐会が開催されるので有名な「ストックホルム市庁舎」。ホテルから少し距離もあるし小雪に舞う天候だし、ストックホルムカードを持っているしで、ストックホルム名物の地下鉄を乗り継いで、市庁舎近くまで行くことにする。地下鉄は各駅ごとに違った色やオブジェでデザインされていて、これも北欧を思わせた。市庁舎では丁度10時からのガイドツアーに間に合う。首にメダルをぶら下げて、この大広間(ブルー・ホール)で晩餐会に参加できれば光栄だったろうななどと思ったり、ガイドと話したりしてまわる。あと議長も女性、議員数でも今は女性上位という市議会会議場の屋根がヴァイキング・ルネサンス様式とやらで変っていた。各部屋とも一見以上の価値がある。入場時にはこちらで多いが、入場券代わりに服などに小さなタグを貼りつけている。出口でガイドの女性が「観光客と思われないように、そのタグは取って出て行ったください」という。治安の良い国の代表格のスウェーデンの首都でも?と思ったが、この点は後述する。あと、小雪の中を歩いて橋を渡って、ストックホルム発祥の地域の一つの「ガムラスタン」(Gamla Stan)に向かう。旧市街とも呼ばれている地帯で、「王宮」「大聖堂」「ドイツ教会」等の見どころがあるらしい。王宮のオープンは12時とのことでまだ早かったので、大聖堂をのぞいてみる。聖ジョージと龍の彫刻などで有名な聖堂である。ドイツ教会にも回ったが、オープンの時間帯なのにどこも閉まっている。仕方なく、王宮に戻る。12時からオープンだが、同時に衛兵交代もあるようで準備も進んでいて、観光客も集まっていた。ただ、王宮の案内所で聞くと、大掛かりな交代儀式があるのは、他の曜日(水曜と土曜だったか?)で、今日(木曜)は小規模でそう面白くない交代だと言ってくれた。まあ、それでも少し待っていると、掛け声だけの交代の儀式があった。このあと王宮へ。なかなか壮大な王宮で、2階のロイヤル・アパートメントと3階のゲスト・アパートメントとあといくつかの部分が公開されている。市庁舎のときにも少し説明があったが、スウェーデンの王室で重要なのは「トレー・クロノール(3つの王冠)」(Tre Kronor)で、このいわれが13世紀に建造された要塞が宮殿に発展した時の中心の尖塔にあるとのこと。国王の聴聞の間とか寝室、などや、大規模な晩餐会を開催可能な大きな部屋、歴代の王族の大きな肖像画が壁面を飾る広い通路(おそらくパーティーの会場にもなるだろう)等を見て回る。また、日本でいえば勲位などの位階関連に関する展示もある。思うに、イギリス・ロンドンのバッキンガム宮殿も、ここの王宮も、…と、実際に現在使用されている部分は別として、その他の部分は一般開放されて、観光の目玉になっている。日本の場合も、皇居の開放を考えれば、皇室がより国民の身近にもなり、かつ外国からの観光客の集客にもつながるだろうにと思った(不敬罪かな?)。一旦受付から出て地下に潜ると、「トレー・クロノール博物館」がある。ここは、昔はトレー・クロノール城の台所だったようで、古い遺構が見えたり、壺がころがっていたりする。外にもう一度出て、王宮を回り込むと王家の冠(子供の時から王になる人は3つの王冠を付けた冠をしていたようで、成長につれ頭も冠大きくなる)や刀剣などを展示する宝物館がある。このあと、ガムラ・スタンのレストランで昼食。軽い食事には好都合のレストランが多くあった。<br />ガムラ・スタンでは、大広場(昔、戦争で負けた王が処刑されたという)があり、その側に「ノーベル賞博物館」があったので寄ってみた。今は、マリー・キューリーの展示が大半のようで、日本人を含む他のノーベル賞受賞者はパネルが高いところをまわっているのと、年代別・分野別に各人の紹介や言葉を少し見れるだけで、それほど面白くもなかった。ここから、王宮横に出て、工事中の道を通りながら、王宮と湾を挟んだ対岸にある「スウェーデン国立美術館」へ。2階は閉鎖しているとかで、立派で大きな階段を3階に上がる。スウェーデン絵画から始まるが、このあたりは、ゆっくりながめると面白いだろうが、そう著名な絵画や彫刻もないので素通り。時々、「流石に北欧!」と思わすような絵画もあった。スカンディナビアの四季の特別展もあって、四季それぞれの絵画がならべてあった。スウェーデン絵画の中では、ロスリン(Roslin)の“ヴェールの貴婦人”やソーン(Zorn)の“Midsummer Dance”が目を引く。しかし、この美術館ではいくつかのコレクションを引受けたようで、それが展示されている部屋には目を見張った。レンブランド(Rembrandt)の絵画があると、その美術館の価値があがるというが、そのレンブランドの絵画が沢山並んでいる!こうなると、同様に展示されているプッサン(Poussin)、レイン(Rijn)、ヴァトー(Watteau)、セザンヌ(Cezanne)、クールベ(Courbet)、ピサロ(Pissaro)、マネ(Manet)、ルノワール(Renoir)、ゴヤ(Goya)、エル・グレコ(Ei Greco)、ルーベンス(Rubens)、ベリーニ(Bellini)、ゴーギャン(Gauguin)などもなんとなく…くらいになる。こういうのは、確かにヨーロッパだなと思う。こういう絵画の蒐集は、日本ではおそらく不可能で、エルミタージュだ、ルーブルだ、プラドだ、…とも引けを取らない感じがした。帰りに折角だから、この美術館のガイドブックを買って帰りたかったが、とても重くて大きなものしかなく、あとはレンブランドの特化したもの、ロスリンに特化したもの程度しかなかったのは残念だった。<br />もう時間もそこそこになったのでホテルへ戻る。ここも歩いて戻ったが、セルゲル広場へさえ出ればすぐなので、そう難しくはなかった。ホテルで朝食を食べるレストランがあるので、ここで早めの夕食と思ったが、バーになっていて食事はないという。仕方がないので、いいレストランは?と聞くと、近くの店と提携していて宿泊客には割引があるというので行く。しかし超満員。7時までには、コンサートホールへ行かなくてはいけないので、他を探して比較的すいている”STEAKHOUSE”と書いてあるBBQ店へ。スェーデン料理を出していて、結構味も良かったし価格もそう高くはなかった。そのままコンサートホールへ。今日は、ホテルに近いし靴も雪靴でないので、そのままの服装で行く。当然外は寒いからコートを着ていたら、コート預けにコートを預けろといわれた。無料のところは番人がいなくて勝手に自分でかけるだけ。これは少し…と人がいるところへ行くと、1人につき20SEKと言われた。仕方なく40SEK支払う。コンサートホールは、ノーベル賞の授賞式を行うところだが、あまり広くはない。メダルとは縁がないので客席でオーケストラを聴くだけである。客席を見て驚いたのは、ヘルシンキのオペラのプレミアと違って聴衆の服装がラフなこと。座席は価格帯ではトップ(といっても、1人分で350SEK(4千円弱)だったと記憶しているが)だが、ネクタイ姿の男性はチラホラ。2階席や3階席ならもっとラフだろう。さらに、杖を片手の老人なども多い。この身障者の問題は、日本とはかなり違っている。日本より、身障者の方々が自由に出歩ける環境が整っているのはスウェーデンに限らずヨーロッパの多くのところでうらやましいところである。今日の演奏は、フィンランドの指揮者のSakari Oramo指揮によるロイヤル・スコットランド・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、ブラームスの「ヴァイオリン協奏曲1番」とストラヴィンスキーの「火の鳥」(バレー曲)だった。ヴァイオリン協奏曲の方は、グルジア生まれの若手の女性ヴァイオリニストのRisa Batiashviliとの共演で、実に見事な演奏だった。うまくヴァイオリンとオーケストラがマッチしているし、独奏者の技巧も素晴らしいものだった。私は、この曲が大好きなので、よくCDなどで聴いているが、やはり今日のような「生」はいいなとつくづく感じた。火の鳥の方は、オーケストラの調和の良さを強く感じた。いつも思うが、日本のオーケストラに比してヨーロッパのオーケストラは金管が素晴らしい。これと弦とがうまくマッチしていい音楽を作り出している。こういう演奏を聴けるチャンスが多いことはうらやましい限りだ。<br />これで今回の旅行も最終工程で、ストックホルムのアーランダ国際空港からコペンハーゲンを経由してスカンジナビア航空で日本(成田)へを残すのみ。朝食後は、もう道に迷う心配もなく下り道を中央駅へ。すぐに、アーランダ・エクスプレスがあって空港へ。空港では、またもエコノミー・エクストラの特権で、荷物を預けるところは誰も待っていなかったのでサッサと片付く。コペンハーゲンからの便のゲートは最も端の方で延々と歩く。日本人が非常に沢山待っておられた。観光客もビジネスの方も多様なようだった。あとは、オーロラシートでオーロラでも眺めながら一路日本へだ。最後になったが、ストックホルムで異様に思ったことがある。2日とも歩行者天国的な商店街をそう歩き回ってはいないが、少なくとも5組以上の物乞いする人たちを見た。福祉大国と言われているスウェーデンの首都で、いくらキルナ等より暖かだといっても、0℃前後の路上に座り込んで、両手で拝んだり片手を出したりしている人たちが目立つ。市庁舎でガイドが観光客と思われないようにタグを外せと言っていた意味に関係しているのかもしれない。この人たちがスウェーデン人だとは統計資料から思えないが、ひょっとすると統計の落とし穴というのはどこの政府にもあるのかもしれない。まあ、そではないとしても、おそらく他国(東ヨーロッパ等)からの入国者なのだろう。しかし、世界がこういう状態になっていくと、将来はどうなるのか余計に不安にもなった。

素晴らしいオーロラを見て、世の中を考える⑤(ストックホルム:Stockholm)

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2012/01/19 - 2012/01/28

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PK_PKさん

ストックホルム到着は午後3時。ホテル(RICA HOTEL KUNGSGATAN)の場所が少し中央駅から離れているように地図では思えたので、中央駅から歩くより空港からタクシーで…などと思ったりしていたが、空港内の荷物受けのターンテーブル近くにあるInformationで聞いてみると、“近い”ということだった。それならと、今日もいくつか観光地を回ることを考えて、2人分の2日分のストックホルムカードと、空港・中央駅間を20分で結ぶアーランダ・エクスプレス(高速列車)の往復切符を購入する。アーランダ・エクスプレスは15分ごとに発車しており、50キロを20分程度なので速い。振動もさしてなく快適に中央駅に到着する。中央駅からは、キルナからの旅行なので、大きくて重い雪靴を履いていたが、除雪をされた道を10分強歩くとホテルの標識が見つかった。半分は歩行者天国を歩くので楽である。帰りがけにわかったのは、ホテルから中央駅は下りになっていたので、中央駅からホテルへは坂を少しずつながら上っていたことになる。ホテルでチェックインし、出発前に”Lonely Planet”の”SWEDEN”から予定していたコースの中で、「ヴァーサ号博物館」への道を聞く。トラムがあるからと教えてくれる。トラムの乗り場を探すのに少し手間取ったが、ストックホルムの中心地の一つが中央駅で、ホテルのある地域のヒュートリエットも代表的な場所、そしてトラムの乗り場近くのセルゲル広場も地下鉄のT-Centralenがあって中心地だし、各々の移動は徒歩で10分程度なので楽である。ストックホルムのトラムは、このセルゲル広場の東側から出て、スカンセンの方へ往復する線しかない。セルゲル広場は賑やかなところでビル等も沢山あってショッピング街にも接しているが、ホテルからの道を歩くと、広場周辺は1階下になる感じで層になっているので少し迷った。この下の道が中央駅の方にも直結しているので、ヒュートリエット地域は相当高くなっていることになる。セルゲル広場の道のさらに1階下に地下鉄の駅があるようだ。いずれにしても、こちらは路面を走るトラムに始発駅から乗る。乗車時にスコットランドカードに乗車時間を記入してもらう。トラムは、「北方民族博物館」近くに停車。ヴァーサ号博物館もここで下車。もう暗くなっていたので入口を見つけるのに苦労したが、両博物館とも水曜は午後8時まで開館している。ヴァーサ号博物館は、日本でいえば江戸時代の1628年に建造されたスウェーデンの戦艦「ヴァーサ号」が出航直後に沈没し、それを1961年に引き上げたもので、最初の姿を残したもの。非常に大きくて、装飾も豊富で面白いものだ。引き上げ時に何人かの乗組員の遺骨も回収され展示されたりもしている。各部分の解説が丁寧に示されているのも面白かった。この解説には、日本語も含まれていた。このあと、北方民族博物館へまわる。ここは、3階建てだったかだが、中央部が吹き抜けなので、どのフロアからも、スウェーデンを独立させたグスタフ・ヴァーサ王の巨像が見えるようになっている。スウェーデンの古くからの生活史(富める階層、普通の階層、物乞いをする貧民と、今も変わらぬ区別が昔からあったことがわかる)、王族の生活、料理の歴史、時計・筆記具・玩具等の各種道具の歴史など面白い展示が多々あった。軽食用のビュッフェも開店していた。トラムでセルゲル広場へ戻り、ホテルまでは徒歩。夕食を探してみたが、あまりないのでホテルから数分のパスタの店に入った。気楽な店で、日本流にいえば”大将“が話しかけながらサービスしてくれる。スェーデン風の魚のスープとパスタということで、安くておいしかった。
翌日というか、今回の旅行で街歩きをする最終日の予定は、”Lonely Planet”にある名所をいくつか回り、夜はホテルのごく近くの「コンサートホール」でクラシック音楽を楽しむことだ。朝食後は、まずノーベル賞授賞式後の晩餐会が開催されるので有名な「ストックホルム市庁舎」。ホテルから少し距離もあるし小雪に舞う天候だし、ストックホルムカードを持っているしで、ストックホルム名物の地下鉄を乗り継いで、市庁舎近くまで行くことにする。地下鉄は各駅ごとに違った色やオブジェでデザインされていて、これも北欧を思わせた。市庁舎では丁度10時からのガイドツアーに間に合う。首にメダルをぶら下げて、この大広間(ブルー・ホール)で晩餐会に参加できれば光栄だったろうななどと思ったり、ガイドと話したりしてまわる。あと議長も女性、議員数でも今は女性上位という市議会会議場の屋根がヴァイキング・ルネサンス様式とやらで変っていた。各部屋とも一見以上の価値がある。入場時にはこちらで多いが、入場券代わりに服などに小さなタグを貼りつけている。出口でガイドの女性が「観光客と思われないように、そのタグは取って出て行ったください」という。治安の良い国の代表格のスウェーデンの首都でも?と思ったが、この点は後述する。あと、小雪の中を歩いて橋を渡って、ストックホルム発祥の地域の一つの「ガムラスタン」(Gamla Stan)に向かう。旧市街とも呼ばれている地帯で、「王宮」「大聖堂」「ドイツ教会」等の見どころがあるらしい。王宮のオープンは12時とのことでまだ早かったので、大聖堂をのぞいてみる。聖ジョージと龍の彫刻などで有名な聖堂である。ドイツ教会にも回ったが、オープンの時間帯なのにどこも閉まっている。仕方なく、王宮に戻る。12時からオープンだが、同時に衛兵交代もあるようで準備も進んでいて、観光客も集まっていた。ただ、王宮の案内所で聞くと、大掛かりな交代儀式があるのは、他の曜日(水曜と土曜だったか?)で、今日(木曜)は小規模でそう面白くない交代だと言ってくれた。まあ、それでも少し待っていると、掛け声だけの交代の儀式があった。このあと王宮へ。なかなか壮大な王宮で、2階のロイヤル・アパートメントと3階のゲスト・アパートメントとあといくつかの部分が公開されている。市庁舎のときにも少し説明があったが、スウェーデンの王室で重要なのは「トレー・クロノール(3つの王冠)」(Tre Kronor)で、このいわれが13世紀に建造された要塞が宮殿に発展した時の中心の尖塔にあるとのこと。国王の聴聞の間とか寝室、などや、大規模な晩餐会を開催可能な大きな部屋、歴代の王族の大きな肖像画が壁面を飾る広い通路(おそらくパーティーの会場にもなるだろう)等を見て回る。また、日本でいえば勲位などの位階関連に関する展示もある。思うに、イギリス・ロンドンのバッキンガム宮殿も、ここの王宮も、…と、実際に現在使用されている部分は別として、その他の部分は一般開放されて、観光の目玉になっている。日本の場合も、皇居の開放を考えれば、皇室がより国民の身近にもなり、かつ外国からの観光客の集客にもつながるだろうにと思った(不敬罪かな?)。一旦受付から出て地下に潜ると、「トレー・クロノール博物館」がある。ここは、昔はトレー・クロノール城の台所だったようで、古い遺構が見えたり、壺がころがっていたりする。外にもう一度出て、王宮を回り込むと王家の冠(子供の時から王になる人は3つの王冠を付けた冠をしていたようで、成長につれ頭も冠大きくなる)や刀剣などを展示する宝物館がある。このあと、ガムラ・スタンのレストランで昼食。軽い食事には好都合のレストランが多くあった。
ガムラ・スタンでは、大広場(昔、戦争で負けた王が処刑されたという)があり、その側に「ノーベル賞博物館」があったので寄ってみた。今は、マリー・キューリーの展示が大半のようで、日本人を含む他のノーベル賞受賞者はパネルが高いところをまわっているのと、年代別・分野別に各人の紹介や言葉を少し見れるだけで、それほど面白くもなかった。ここから、王宮横に出て、工事中の道を通りながら、王宮と湾を挟んだ対岸にある「スウェーデン国立美術館」へ。2階は閉鎖しているとかで、立派で大きな階段を3階に上がる。スウェーデン絵画から始まるが、このあたりは、ゆっくりながめると面白いだろうが、そう著名な絵画や彫刻もないので素通り。時々、「流石に北欧!」と思わすような絵画もあった。スカンディナビアの四季の特別展もあって、四季それぞれの絵画がならべてあった。スウェーデン絵画の中では、ロスリン(Roslin)の“ヴェールの貴婦人”やソーン(Zorn)の“Midsummer Dance”が目を引く。しかし、この美術館ではいくつかのコレクションを引受けたようで、それが展示されている部屋には目を見張った。レンブランド(Rembrandt)の絵画があると、その美術館の価値があがるというが、そのレンブランドの絵画が沢山並んでいる!こうなると、同様に展示されているプッサン(Poussin)、レイン(Rijn)、ヴァトー(Watteau)、セザンヌ(Cezanne)、クールベ(Courbet)、ピサロ(Pissaro)、マネ(Manet)、ルノワール(Renoir)、ゴヤ(Goya)、エル・グレコ(Ei Greco)、ルーベンス(Rubens)、ベリーニ(Bellini)、ゴーギャン(Gauguin)などもなんとなく…くらいになる。こういうのは、確かにヨーロッパだなと思う。こういう絵画の蒐集は、日本ではおそらく不可能で、エルミタージュだ、ルーブルだ、プラドだ、…とも引けを取らない感じがした。帰りに折角だから、この美術館のガイドブックを買って帰りたかったが、とても重くて大きなものしかなく、あとはレンブランドの特化したもの、ロスリンに特化したもの程度しかなかったのは残念だった。
もう時間もそこそこになったのでホテルへ戻る。ここも歩いて戻ったが、セルゲル広場へさえ出ればすぐなので、そう難しくはなかった。ホテルで朝食を食べるレストランがあるので、ここで早めの夕食と思ったが、バーになっていて食事はないという。仕方がないので、いいレストランは?と聞くと、近くの店と提携していて宿泊客には割引があるというので行く。しかし超満員。7時までには、コンサートホールへ行かなくてはいけないので、他を探して比較的すいている”STEAKHOUSE”と書いてあるBBQ店へ。スェーデン料理を出していて、結構味も良かったし価格もそう高くはなかった。そのままコンサートホールへ。今日は、ホテルに近いし靴も雪靴でないので、そのままの服装で行く。当然外は寒いからコートを着ていたら、コート預けにコートを預けろといわれた。無料のところは番人がいなくて勝手に自分でかけるだけ。これは少し…と人がいるところへ行くと、1人につき20SEKと言われた。仕方なく40SEK支払う。コンサートホールは、ノーベル賞の授賞式を行うところだが、あまり広くはない。メダルとは縁がないので客席でオーケストラを聴くだけである。客席を見て驚いたのは、ヘルシンキのオペラのプレミアと違って聴衆の服装がラフなこと。座席は価格帯ではトップ(といっても、1人分で350SEK(4千円弱)だったと記憶しているが)だが、ネクタイ姿の男性はチラホラ。2階席や3階席ならもっとラフだろう。さらに、杖を片手の老人なども多い。この身障者の問題は、日本とはかなり違っている。日本より、身障者の方々が自由に出歩ける環境が整っているのはスウェーデンに限らずヨーロッパの多くのところでうらやましいところである。今日の演奏は、フィンランドの指揮者のSakari Oramo指揮によるロイヤル・スコットランド・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、ブラームスの「ヴァイオリン協奏曲1番」とストラヴィンスキーの「火の鳥」(バレー曲)だった。ヴァイオリン協奏曲の方は、グルジア生まれの若手の女性ヴァイオリニストのRisa Batiashviliとの共演で、実に見事な演奏だった。うまくヴァイオリンとオーケストラがマッチしているし、独奏者の技巧も素晴らしいものだった。私は、この曲が大好きなので、よくCDなどで聴いているが、やはり今日のような「生」はいいなとつくづく感じた。火の鳥の方は、オーケストラの調和の良さを強く感じた。いつも思うが、日本のオーケストラに比してヨーロッパのオーケストラは金管が素晴らしい。これと弦とがうまくマッチしていい音楽を作り出している。こういう演奏を聴けるチャンスが多いことはうらやましい限りだ。
これで今回の旅行も最終工程で、ストックホルムのアーランダ国際空港からコペンハーゲンを経由してスカンジナビア航空で日本(成田)へを残すのみ。朝食後は、もう道に迷う心配もなく下り道を中央駅へ。すぐに、アーランダ・エクスプレスがあって空港へ。空港では、またもエコノミー・エクストラの特権で、荷物を預けるところは誰も待っていなかったのでサッサと片付く。コペンハーゲンからの便のゲートは最も端の方で延々と歩く。日本人が非常に沢山待っておられた。観光客もビジネスの方も多様なようだった。あとは、オーロラシートでオーロラでも眺めながら一路日本へだ。最後になったが、ストックホルムで異様に思ったことがある。2日とも歩行者天国的な商店街をそう歩き回ってはいないが、少なくとも5組以上の物乞いする人たちを見た。福祉大国と言われているスウェーデンの首都で、いくらキルナ等より暖かだといっても、0℃前後の路上に座り込んで、両手で拝んだり片手を出したりしている人たちが目立つ。市庁舎でガイドが観光客と思われないようにタグを外せと言っていた意味に関係しているのかもしれない。この人たちがスウェーデン人だとは統計資料から思えないが、ひょっとすると統計の落とし穴というのはどこの政府にもあるのかもしれない。まあ、そではないとしても、おそらく他国(東ヨーロッパ等)からの入国者なのだろう。しかし、世界がこういう状態になっていくと、将来はどうなるのか余計に不安にもなった。

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
ホテル
5.0
グルメ
4.5
ショッピング
3.0
交通
4.0
同行者
カップル・夫婦(シニア)
一人あたり費用
30万円 - 50万円
交通手段
高速・路線バス タクシー 徒歩 飛行機
航空会社
スカンジナビア航空
旅行の手配内容
その他

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