2011/06/29 - 2011/07/02
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ANZdrifterさん
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30歳で家郷をはなれ、48年間を旅に暮らして旅に逝った菅江真澄は、長く秋田に滞在し、秋田に没した。秋田では男鹿半島を繰り返し訪れ、時には一年に及ぶ滞在をして、「男鹿の秋風・春風・鈴風・島風・寒風」の男鹿五風と呼ばれる五冊の旅日記を残している。
故郷をうしなって久しい旅人が好んだ男鹿の風を感じるべく男鹿を訪れた。
感想をいうと、神仏習合の修験の地、漢の皇帝の飛来伝説、徐福の神薬探索の伝説などに根ざした混沌の風土と魑魅魍魎が、天明飢饉で、人の心が乾ききった世に生きた旅人をひきとめたのかもしれない。
表紙は20年ほど前に始めた入道崎の名物:石焼き料理。
男鹿半島一周の行程は、羽立(はだち)駅09.30発、2時間の観光タクシーで真山(しんざん)神社(ナマハゲ館のとなり)⇒湯本の星辻神社⇒八望台⇒入道崎で昼食。
午後はもう一度観光タクシーで13.30発。戸賀⇒門前、ここで999段の石段を登って重要文化財の赤神神社五社堂を参詣⇒椿自生北限地をへて⇒男鹿駅。と反時計回りでした。
なお、男鹿市観光協会は信じられないほど親切で、現地の情報入手や二時間二人で 6000円の観光タクシーの予約など、たいへんお世話になった。
真山神社(しんざんじんじゃ):景行天皇の代、武内宿禰の創建とされる神仏習合の社である。慈覚大師は男鹿半島南岸の門前地区と当地のあいだにある真山、本山の二峰を熊野の新宮・本宮、あるいは金剛・胎蔵の両界になぞらえて両地区に寺を創建し、修験霊場としたとされている。
修験道でありながらここ津軽には役行者の影はない。
現在も、真山神社から山を越えた門前にある赤神神社五社堂までの“お山かけ”と称する修験道らしい行事がある。
菅江真澄が寺宝を拝観した大師創建の赤神山光飯寺は、明治の廃仏毀釈で真山神社となったが、いまだに男鹿半島の修験道の拠点であり、山門には仁王像がある。参道脇の狛犬は室町期の木造狛犬をモデルに作られた古い形式の狛犬である。ちかくには真山伝承館、ナマハゲ館、万体佛などがある。
ナマハゲ:漂着した難船の白人が山に隠れ住んだのがナマハゲの始まりという説のほか、飛来した漢の武帝が使役していた五名の鬼が、年緒の休暇に近隣を荒らし回ったのがナマハゲの始まりともいう。約60の集落にナマハゲが居るという。
ほかにも漢の武帝=赤神が天から降臨したとか、始皇帝が派遣した徐福が薬草の採取にきたとか、男鹿には中国の皇帝の伝説がある。
湯本地区には真澄も訪れた坂上田村麻呂が創建した妙見堂が、名前を変えて星辻神社となっている。ご神体の妙見像は田村麻呂の兜にあったものという。なお、南岸の椿地区にも同名の星辻神社がある。
入道崎は日本の夕陽100選の地で、土産屋や食堂が軒を連ねている。ここでは北緯40度のモニュメントが見事。芝生に立つ灯台は登れる灯台、15基のひとつ。
灯台のさきにある水島は平らな岩礁で、真澄は丸木舟で渡り、キサゴ(しただみ)を拾いながら歌う女の子を記録している(鈴風)。
昼食は石焼き専門店の美野幸で、地鯛の石焼き定食2100円をたべた。ほかの店とは材料、調理法で差をつけていて、多くの有名人が訪れている。お勧めできる店。
戸賀の八望台、目の下にある一の目潟はマールとよばれる円形の爆裂火口の湖で、二の目潟、三の目潟もある。
戸賀湾はむかし四の目潟ともよばれた。真澄は1810年4月、戸賀湾入り口の宮島に丸木舟で渡り漁労を見ている。
昔は戸賀から門前までは海岸が絶壁で船で渡ったが、いまは舗装道路である。
慈覚大師は860年に赤神山日積寺をこの地に創建した。門前の名は寺の門前をさす。往時は9寺48坊を数えたが現在は長楽寺のみ残っている。
赤神神社は山麓にあるが、国指定重要文化財の赤神神社五社堂の五棟は山中にある。1710年の建立、正面は入母屋造りで背面は切妻造りになっている。右から三ノ宮堂、客人権現堂、赤神権現堂、八王子堂、十禅師堂で、中央の赤神権現堂には、堂よりも古い室町期の厨子(これも重文)が納められている。ほかにも保存状態のよい円空佛がある。
途中の999段といわれる石段は、一晩で1000段の石段を作れば娘を差し出すが、できねば山に帰ると約束させられたナマハゲが、999段を作ったところで村人が鶏の鳴きまねをして山に追い払ったと伝えられており、門前地区ではいまだに鶏を飼わないという。
ここには、景行天皇の代に漢の孝武帝が天から降りてきたという伝説もある。
男鹿半島の南岸には、門前から東へ、台島、女川(おんながわ)、船川。北岸には西黒沢、北浦と、第三紀中新世の地層名の集落が並んでいて、中新世の地質の模式地がそろっている。
これらに挟まれて、菅江真澄が1804年におとずれた椿地区は椿の北限自生地で、椿にまつわる悲恋伝説がある。星辻神社とか吉祥院とか、由緒ありげな場所がある。
今回は左回りに巡ったが、男鹿市の観光パンフレットは右回りで、南磯⇒西海岸⇒入道崎⇒真山となっている。もちろん寒風山や男鹿温泉も紹介されている。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- タクシー 新幹線 JRローカル 徒歩
-
真山神社の大鳥居。
ヤマボウシの白い花が こぼれるように咲いていた季節でした。 -
万体佛。昔は真山神社の境内にあったという。
万体佛の堂には柱に藁が巻きつけられていた -
堂の内側。壁といわず天井といわず 杉の木片で刻んだ小さな地蔵?らしき仏像が貼り付けられている。まさに万体佛である。
手の届く範囲は願い事を書いた紙が、地蔵の首に巻きつけられていた。 -
真山神社の山門。
両側に仁王様ががんばっている。 神仏習合の見本のようだ。 -
真山神社の参道は石段で平成3年?の台風でこわれて、5年に改修された。
狛犬は拝殿の奥にあった室町期の木造狛犬をモデルにして、石段の改修と同時に平成5年ころに作られた古い形式の狛犬である。 -
丸木舟が展示されていた。
東南アジアの丸木舟に比べて 重厚である。 -
真山神社を少し上から見ました。
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真山神社。 本殿は山の上、山頂にある。
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真山神社の境内にある薬師堂の薬師如来像。
神仏習合時代の光飯寺の本尊で南北朝時代の作と見られるという。
現在も篤く崇敬されているが、歴史ある本尊を自由に写真を撮れるなんて、信じられない感じ。 -
湯本地区にある昔の妙見堂。現在は星辻神社。珍しく木の鳥居である。
通称 北辰神社 とか 妙見堂常楽院とも。
坂上田村麻呂が創建したといわれ、天之御中主命などアマツカミが祀られている。ご神体の妙見像は田村麻呂の兜の正面にあったものという。
真澄はここ、妙見堂を訪れている。 -
昼食をとったレストラン。
「おいしい石焼きの店を知っていますか?」と聞いたら、タクシーの運転手は「知っています」とだけ返事をした。素直な会話だったが「教えてください」と言うまで店の名前はでなかった。 -
この店は地の鯛を使った石焼き料理に特化している。
写真を撮りやすいように 焼いた石を机の上で桶に入れてくれた。 -
北緯40°のモニュメント。
遠くの石にも40°のスリットが刻まれている。 -
上の写真の反対側にも こんなモニュメントがある。
海中の岩礁は真澄が丸木舟で渡った「水島」で、女の子が歌いながらキサゴ(しただみ)を拾っていたと書いている。
天明の飢饉のあとなので、楊枝でつついて食べるような小さな貝も食用にしていたのかもしれない。 -
八望台の下に見える一の目潟(?)。
遠くは戸賀湾で、門前とを結んでいる船が唯一の交通手段だった。
往古は船が入ると宿の各部屋に 誰とも判らぬ夜伽の女性がきて夜が明ける前に帰っていったという。 -
五社堂に登る999段の石段が終わりに近づくと 姿見の井戸がある。
水面に映る自分の顔が不明瞭ならば命が長くないといわれる。
訪問した日の前日が豪雨だったので 覗くのをやめた。 -
999段の石段を登ると 突然明るくなって五社堂があらわれる。
江戸中期の社寺建築としては保存状態がよく、1710年という建築年代や修理の経歴も記録されているのも貴重。
17世紀の絵図では、右から普賢菩薩、十一面観音、釈迦・阿弥陀、千手観音、地蔵菩薩と書かれている。 -
観光案内に使われるアングル。
撮影者の後ろに社務所らしき建物があって、無人だが窓は鍵が開けてあり、説明パンフレットなどがおいてある。
俳句の投稿用紙もあった。 -
中央の赤神権現堂。
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赤神権現堂のなかに安置されている厨子。
お堂よりも古く、室町期の作といわれる。これも単独で国の指定を受けている重要文化財。 -
山ろくの池のほとりにある 宝キョウ印塔。
台座の石の隙間には 日本ミツバチが巣をつくっていた。
その先の石塔は菅江真澄の絵図から復元した「徐福塚」。
除福については「徐福伝説」で検索するとおもしろい。 -
麓にある赤神神社。この右側が999段の石段の開始点。
慈覚大師創建の日積寺・九寺のうち、唯一残った長楽寺はこの後ろにある。
五社堂への登りは長楽寺の駐車場から歩くので、このあたりの石段には草がはえている。 -
椿集落の能登山は 椿自生北限地として天然記念物になっている。
見ごろは4月。
菅江真澄はここの椿の葉が細いことを記録し 絵に描いている。
椿を植えて歩いた八百比丘尼の伝説は北緯38度までで、それより北(安東水軍の勢力圏?)の伝説では船乗りの男が種子を持ち込んでいる。
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