
2011/05/08 - 2011/05/08
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Yattokame!さん
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地下鉄の駅に貼られたポスターに写る見事な大藤。力強く左右に伸びる枝からは無数の藤が垂れ下がり、ポスター全体が藤色に埋め尽くされる。それは、足利フラワーパークという公園のポスターだった。そういえば、今(5月上旬)はちょうど藤のシーズン。ウェブで足利フラワーパークのことを調べてみると、園内の大藤は世界一の大きさで今が見ごろだという。連休明けの日曜は晴れるようだし、これは是非行かねば…。足利は東京から少々遠いが、東武を使って十分日帰りで行って帰ってこれる。しかも、足利といえば、室町幕府を開いた足利氏ゆかりの土地で、足利氏の居館があった鑁阿寺(ばんなじ)や坂東の大学と言われた足利学校など、中世の重要な史跡が残る土地。中世史の好きな自分にとってかねてから行きたかった史跡を訪れるいい機会でもある。というわけで行ってきました、栃木県足利市。
- 交通手段
- 私鉄
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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浅草から東武の特急「りょうもう」を利用して足利市まで行きました。東京から足利までは特急で1時間15分ほど。栃木というと随分遠いところと思っていましたが、思ったほど遠くないですね。
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東武の足利市駅を出ると、足利フラワーパーク行きのシャトルバスが待機しており、30分ほどで目的地に到着しました。藤が見ごろとなる期間中はこのシャトルバスが運行されているようです。
ここの入場料は時期によって変わり、藤が見ごろとなる時は1700円になります。この日(5月8日)のお値段は、もちろん1700円。ちょっとばかり高いですが、中に入ってみるとそのお値段に納得。ええ、すごいんです。 -
入口のお土産を売るショッピングハウスを通り抜けると、一面の花の世界。ツツジと藤が満開です。
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見事な白藤の咲きっぷり。
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むらさき藤も見事な花を咲かせています。これらも素晴らしいのですが、これよりももっとすごいものが後に控えているのです…。
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イチオシ
出ました世界一の大きさを誇る大藤。
幹回り5.15メートル
南北35.8メートル
東西37.1メートル
そして、花の長さは最長1.8メートルにもなるそうです! -
こんな藤のシャワー、これまで見たことがありません。
この大藤は「野田長藤」という日本原産の「野田藤」の園芸種で、その名は大阪・野田の地名にちなみます。野田はかつて豊臣秀吉など天下人が花見に訪れるほどの藤の名所でしたが、今は往時のような見事な藤はなく公園などに小さな藤棚が残るだけです。秀吉が見た野田の藤もこのような感じだったのでしょうか。 -
大藤は、もう一本立っています。
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イチオシ
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花の香りに誘われて、ハチがやってきました。藤棚の下は、藤の花の香りが濃厚に漂います。こんなにも濃い藤の香りもはじめての体験です。
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藤が頭上すぐそばまで迫ってきております。
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ルピナスとうすべに藤の橋。
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白藤。
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うすべに藤。
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うすべに藤と白藤。うすべに藤の棚は橋の上に設けられていて、お客は池の上にある藤のトンネルをくぐる趣向になっているのです。
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うすべに橋。
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ハナミズキもまだ咲いていました。ハナミズキは北米原産で、ジョージア州に住んでいた時はこの花をよく見かけました(ジョージア州の州都アトランタの市花がこのハナミズキです)。
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クルメツツジも紅や白など様々な色の花を開かせ、目を楽しませてくれます。
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このころ、シャクナゲも美しい花を咲かせていました。
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こちらもシャクナゲ。
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シャクナゲ。
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これは何と思ったら、エクスバリー・アザレアというアザレアの一種だそうです。オレンジなんて珍しいですね。
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再び藤棚へ。こちらは、大長藤というさきほどとは別の藤。
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立派な白藤ですね。
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イチオシ
青空とよく似合います。
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オオデマリも青空に映えていいですね。
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八重黒龍という八重藤の仲間。こちらもご立派。
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藤の房の形が面白い。
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ブドウの房のようですね。
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あしかがフラワーパークから歩いて10分くらいの距離にある栗田美術館。ここの磁器コレクションを一度見たくて、やってきました。
この美術館を開いた栗田英男という人物は、戦後衆議院議員を経て大物総会屋として君臨し勇名をはせる一方、若い時に出会った伊万里焼、鍋島焼の収集に情熱を注ぎ、生涯にわたって集めたコレクションをもって伊万里・鍋島だけを展示する美術館を開きました。
これまで古伊万里や鍋島を展示する美術館をいくつか見ましたが、これほど伊万里・鍋島の歴史をすべて網羅した膨大な数のコレクションを見たことがありません。特に、鍋島はごく初期のものから明治の廃藩置県によって窯が閉鎖されるまでの全時代の作品が展示され圧巻でした。
個人の美術館なので最初は1時間もあれば十分見られると思っていたのですが、優れたコレクションが次々登場するので結局何時間も滞在することになりました。 -
坂東の大学、足利学校。先に訪れた栗田美術館での観賞が長くなってしまい、閉館時間前になんとか入ることができました。
足利学校は室町から江戸時代にかけて栄えた学校です。その創建は、奈良時代の国学の遺制説、小野篁説、足利義兼説などがありますが、記録が残るのは室町時代の関東管領上杉憲実が書籍を寄進し再興を支援したころから。
上杉憲実が生きた室町時代は、京都に幕府が置かれる一方、室町幕府の関東支配の要として鎌倉府が置かれ足利尊氏の子基氏を初代とする鎌倉公方が代々関東を治めます。ところが鎌倉公方は独立志向が強く京都の将軍とはしばしば対立関係にありました。憲実が関東管領を務めた時も、主君の鎌倉公方足利持氏が京都の「籤引将軍」足利義教と対立を深め、憲実は両者の調停に努めますが、穏健な姿勢は却って持氏との確執を生み最終的に持氏は憲実討伐に出ます。憲実は幕府の支援を得て持氏を滅ぼしますが、主君を裏切る結果となったことで深い後悔の念を抱きます。
憲実は学問熱心で、足利学校のほか、金沢文庫も支援するなど文化事業に力を注ぎますが、戦乱が続く中で学問を興し安定した時代が到来することを願っていたのかもしれません。 -
孔子廟。足利学校における教育の中心は儒学であり、孔子を奠る廟もあります。
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この孔子廟は、寛文8年(1668年)に徳川幕府4代将軍家綱のときに造営されたものです。
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足利学校の教育の中心は儒学でしたが、易学や兵学、医学など実学も盛んで、ここで学んだ者が戦国武将に仕官することがしばしばあったといいます。
関東の支配者が関東管領上杉氏から後北条氏に変わった後も、後北条氏は足利学校を保護し最盛期には学生3000人を抱えるほどになり、日本を訪れた宣教師フランシスコ・ザビエルも「日本国中最も大にして、最も有名な坂東の大学」とヨーロッパに紹介しています。
このように室町から戦国時代にかけて栄えた足利学校は、徳川の世になっても幕府の保護を受けて存続しますが、明治になって廃校となり建物の多くは取り壊されてしまいました。現在ある方丈や書院、庭園は、1990年に再建されたものです。 -
イチオシ
方丈。足利学校は、学校と言っても寺院を利用したもので、学生は入学すると同時に僧籍に入ったそうです。
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方丈の庭園と孔子廟。
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足利学校を見た後、鑁阿寺(ばんなじ)まで移動します。鑁阿寺の周りには古い建物や土蔵が残っており、ノスタルジーを感じさせます。
ゆっくり街並みを見たいところですが、日没近くなので鑁阿寺の見学を優先します。 -
鑁阿寺の山門と太鼓橋。
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鑁阿寺は足利氏の居館だったところを寺院にしたもので、寺の周囲に巡らされた土塁と堀は鎌倉時代の武士の館の面影を残しています。
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山門と太鼓橋。太鼓橋は幕末の安政年間に再建されたものですが、山門は室町幕府13代将軍足利義輝の寄進によるものです。このほかにも境内には、鎌倉時代や室町時代の建物が残り、足利氏の氏寺としての繁栄を今に伝えています。
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鑁阿寺の境内。
20年くらい前の大河ドラマ「太平記」で少年時代の尊氏が渡良瀬川で新田義貞とはじめて出会うシーンがありますが、渡良瀬川はここから歩いてすぐの距離。尊氏や弟の直義は、きっとこの境内で遊んで成長したんですね。 -
イチオシ
参道に沿って灯籠が並び、絵になります。
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境内に残る大銀杏。開基足利義兼のお手植と伝えられるが、実際には樹齢550年ほどらしい。
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経堂。これも古く応永14年(1407年)に鎌倉公方足利満兼によって再建されたものだそうです。
鎌倉・室町時代には、ここでしばしば一切経会が行われ、一切経二千巻を所蔵しているといいます。
一切経とは、仏教のあらゆる経典を集めて編纂したお経全書とでもいうようなもので、宋代に国家事業として一切経の印刷が行われ、社会が豊かになった南宋以降は富裕層が功徳を積むために私家版の印刷を行うようになります。鎌倉や室町のころの日本の寺院では、この中国で印刷された一切経を持っていることがステータスの証となったため、有力者はこれを買い求めて自分の氏寺に寄進しています。このお寺も足利氏の氏寺だけあって、古くから一切経を持っているんですね。 -
多宝塔。17世紀に徳川家の寄進により再建されたもの。徳川氏は、新田の末裔を自称し、新田氏は足利庄から新田庄へ分家してできた家であるため、先祖発祥の地に寄進したというわけです。
とてもいい形をした多宝塔。境内の中で一番のお気に入りです。 -
鑁阿寺の本堂。本堂は非常に古く、正安元年(1299年)に再建されたものだそうです。尊氏も実際に見ているのだなと感慨深い気持ちになります(中世史大好きなもので)。
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日が暮れていきます。そろそろ東京に戻らねば。
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鑁阿寺からの帰り道で見かけた石の置物。つい撮ってしまいました。
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