東日本大震災から一ヶ月　その２石巻編

2011/04/11 - 2011/04/16

社会教育ＮＰＯ＜ＳＴＵＤＹＵＮＩＯＮ＞震災復興支援活動
の取り組みです。今回は以下のような行程でした。

＜行程＞長崎−石巻間往復
１１日月　長崎から合流、準備、京都発
１２日火　宇都宮にて買い物追加、情報収集
１３日水　福井県相馬市にて情報収集、視察
　　　　　→４５号線を名取市まで北上
１４日木　石巻市ボランティア参加（民家復旧）
１５日金　石巻市ボランティア参加（避難所設営）
　　　　　→他、情報収集、図書ＢＯＸ等設置
１６日土　松阪市を経て、京都へ

＜人員＞２名
ＳＵ長崎　千代田
ＳＵ京都　関

この旅行記は、１４日以降の石巻編です。
福島県相馬編は下記に。
http://4travel.jp/traveler/sakiyama/album/10559637/

気がついた点や今後の現地への支援案、
そして今後私たちが取り組むべきことについて
書いていきます。

エリア 石巻(宮城)

• 同行者: 社員・団体旅行
• 一人あたり費用: 10万円 - 15万円
• 交通手段: 自家用車
• 旅行の手配内容: 個別手配

＝プロローグ＝

ボランティア元年といわれた阪神大震災。
あの時以降の遺産は今回確実に生かされていた。

今回、これだけ迅速に大規模なボランティアが展開されて
いるのは、過去の悲しい経験のうえにあります。

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１３日（火）夕方
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相馬市を後にして国道を北上。
時折被災現場を目にしたり、あるいは
被災現場に向かったりしながら、名取インターへ。
そこから、石巻専修大学へ向かう。

左は亘理市の被災地のコンビニ。被害は、被災のみ。
コンビニのＡＴＭが窃盗被害に遭っているという報道がなされて、
これがまたもや犯罪「虚数」を上昇させている。

日本では近年、犯罪増加という実感が高まっている。
しかし、犯罪の実数・実態は、その感覚に反している。
何者かが凶悪犯罪や重大犯罪がどんどん増え続けているような
感覚を植え続けている。

犯罪の上昇とそれに対する警戒。そして相互不信。
これを創っているのは私たち自身にあるかもしれない。

そしてこれは被災地の結束さえも蝕んできている。

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１４日（木）個人宅復旧作業
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１３日夜は大学の近くの川縁で車中泊。
翌朝、大街道の個人宅復旧ボランティアに参加。

ボランティアの割り振りは昔の人足割り当てと同じ。
「○○作業に×名要ります〜」
の声に挙手して人が集まり、バスや自家用車で現地へ行く。

この日前後に関しては、毎日朝から約５００名の
ボランティアが集合し、働いていた。

石巻専修大学校内には１００を越えるテントが張られていた。
夜は宴会模様の楽しげなテントもある中、
早晩から暗い、１人用テントも数多くあった。
何の対価もなく、独りで何日も活動をしている。

大街道ヨークベニマル近くのＯさん（７７歳）宅の復旧作業総括。

１台所のシンクの一番上の引き出しを開ける。真っ黒い水が
　なみなみと入っている。床は、泥の層。
２一階の全ての家具、家財、畳までを廃棄。外へ出す。
　思いでの品々まで全て捨て去ろうとするＯさん。止める我々。
３指示に従って道路へだそうとしたら、付近住人から叱責。
　周辺住人の方々と意見を調整する。
４隣家からも運び出しの要請があり、現場判断で受けいれる。
　再び運び出し場所を調整。
５隣家から、現金がなくなったと相談。一人で現金探しを手伝う。
　その後、本人の記憶違いであることが判明。
６ヨークベニマルは通常営業を再開して頑張っているが、その
　駐車場にある支援物資が売り上げを阻害。
７支援物資が現地経済、雇用情勢の復興を妨げている可能性あり。
　被災地支援は、早くも次の段階へ移行としているかもしれない。

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１５日（木）避難所設営作業、他
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なぜか人気がない避難所の設営作業。
清潔そうな軽作業は逆に集まらないという不思議。
１６人で出発。

作業工程は、清掃と消毒が終了している体育館で
ブルーシートとマットを敷き、そのうえに段ボールで
仕切を作っていき、プライバシーが多少は保たれた
避難所を二カ所、造営すること。

だがしかし・・・。

現地に到着すれば、清掃さえも終わっていない体育館。

そして指示は、なんと＜その場待機＞。
しかし、この指示はどう考えてもおかしい。
言いようのないストレスをためる我々。
・・・そこで独自に指示系統を作る。

韓国から来ていただいた３０名ほどのボランティア
とも合流し、総勢５０名弱で共同作業。

清掃作業のやり直しをお願いしたり、
予定されていない靴箱清掃なども。
あと、休憩時間の変更や追加作業の指示・・・・。



写真は２時５０分で止まったままの時計。

午前の遅れを取り戻し、なんとか作業終了に。
みなさん、お疲れさん！

そうそう。
現地でリーダーをやられる方へ。
ボランティアは、終わりの挨拶が重要です。
流れ解散は絶対に避けて下さい！



写真は、
もう会うことはないであろうみんなで
一緒に眺めた円環虹。

今のボランティアの課題。３点だけ。

１　優秀な現場リーダー。
１０人程度のボランティアの方々の志気を高め、
効率よく作業が進むように取りはからえる、
そんな能力・意志を持った人が絶対的に不足。

２　人員管理
ボランティアの人の適材適所を行うべき。
ボランティアには、プロが混じっている
こともあるのに、全く生かされる機会がない。

３　情報の管理
政府・役所の組織の横の連携は欠落している
のが常識。これを補うような情報系列を、
ボランティアは用意できていない。
　

この小学校、中学校の校庭には、汚泥が数十センチ、
層を成していたらしいが、一ヶ月で完全に現状復旧。
壁面の汚泥流の跡さえもない・・・・。

感心していたら、この神のごとき作業は、米軍と自衛隊
が行ったそうである。

本当に、本当に、神業！

写真は、唯一被災地だったことが分かる倒れてずれた
サッカーゴール。

石巻東ロータリークラブ会長さんと連絡が取れた。
夕刻、石巻グランドホテルへ。
まだ営業していないホテルでお話を聞く。

話をまとめると以下のとおり。

１まだ会員の安否状況を把握しきっていないが、石巻南ＲＣの次年度幹事　　さん、石巻東ＲＣの会長さんがお亡くなりになられた。
２石巻東の会長さんは、４月１１日月曜に発見され、宮城県は火葬場がいっ　ぱいだったため、隣の山形県の片道３時間のところまで自力で運んだ。（霊柩車からは拒否された）
３石巻市役所は翌日でも腰上までの浸水であった。
４ラジオもない状況だったので、被災当時は情報が全くなかった。
５グランドホテルにも２００名以上の被災者がいたし、今でも残っているた　め、営業再開が難しい。
６家や会社、家族を流されたロータリアンも少なからずいる模様で、新年度　の会費が払えないため、退会者が増えるのではないか、とのこと。
７支援物資は既にあるので、望むとすれば現金か、商取引である。

石巻市内被災地を少し回ってから、
用意してきたミニ図書館の設置に。

市役所へ連絡すると「それは○○へ」
を次々に繰り返すという、想定どおりの対応。
行政の方々も、本当に疲弊しきっている。

またもや独自で動くことに。

通りかかった高校に行き、現地のスタッフに交渉。
喜んで迎えられる。

ささやかな図書館（三段ＢＯＸに６０冊程度の本）が、
避難所の方に、なにかお役に立ちますように。

かかった経費は、総額１３万円ほど。

「この金額を、義援金にした方がいい」
そう思われる方も多いはず。

それは、一つの正解。

そして、
わざわざ現地に行き、言葉を交わし、
あるいは
共に作業を行い、「またな」と声を掛け合い・・・

こういう見えないささやかな出来事が、
社会に蓄積され、
次のボランティアを産み出すかも・・・。

こういう発想にかけるのも
また一つの正解。

この旅行記へのコメント （4）

• poemyさん 2011/05/01 13:06:18

  新しいボランティアを生む活動…

  はじめまして、崎山さん。
  
  日々の活動、お疲れ様です。
  崎山さんと共に活動されたボランティアの方が、その行動力、判断力から学び、また、現場で生きた活動のできるボランティアの方を生んでいかれることと思います。
  
  いろいろと学ばせて頂ける旅行記でした。
  
  　　poemy

  関浩成さん からの返信 2011/05/03 15:03:01

  RE: 新しいボランティアを生む活動…

  poemyさん、コメントありがとうございます。
  またやらねば！と思い直しました。
  
  現在、支援計画第二弾を考えています。
  仕事の合間を縫って何とか６月末に
  でも実行できれば、と思っています。
  
  しかし・・・つくづく、僕の会社の
  社員の方々と妻には申し訳なく思っています。
  みなさん、ごめんなさいね。

• リアルさん 2011/04/25 12:44:34

  いろんな答え

  貴重なレポートありがとうございます！
  崎山ワタルさんの行動も絶対にひとつの正解だと思いました。
  

  関浩成さん からの返信 2011/04/26 00:14:32

  RE: いろんな答え

  そういっていただけると、救われる気がします。
  わざわざコメント、有り難うございます。