2010/08/09 - 2010/08/09
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ソフィさん
2010年8月9日(月)
バスは、入り組んだ地形の道を左右に方向を変えながら、トリエステに向かう。
この辺りの地形は、石灰岩が浸食を受けて形成されたものなのだろう。
ギリシャ、ローマ、ヴェニス、それぞれの時代で、アドリア海は、オリエント文明と中央ヨーロッパ文明を結ぶ捷路の一つだったに違いない。
それだけ人も、物も、情報も、多種多様で多量のものが、流れたことだろう。
そうした流れには膨大な付加価値が伴い、リスクをも伴っただろう。
この自然は、そうした歴史の流れを刻みながら、地域文化を築いてきたに相違ない。
トリエステには、思い出がある。
始めてトリエステに注目したのは、リエカ(クロアチア)で開かれた、国際会議の席だった。
テーブルの話題がアドリア海の観光資源におよび、トリエステがヨーロッパの窓口であり、交通の要所としての恵まれた立地のゆえに、諸々の文明が入り組んだ複雑な歴史を刻んでいることを知る。
爾来、一度は訪ねたいと思うようになっていた。
そして、トリエステ訪問の機会は、思いのほか早くやってくる。
同じ年の秋日本国鉄が石油のパイプラインに関心を持ち始め、トリエステがパイプラインの現状調査の対象に選ばれたからだった。
しかしはるばる列車を乗り継ぎながら、トリエステに到着した直後ホテルに電報が入り、運輸大臣が明日のパリ視察に案内を希望されているから直ぐパリに戻れ、との内容だった。
パリの輸送問題に誰よりも詳しいと自負している私にとっても、大臣に直接レクチャーできる機会は願ったり叶ったりだった。
当時の運輸大臣は原田さんであり、第一秘書は私の中学の同窓生大桑君だったから、無理を承知の上のことだろう。
「もう少し早く知らせてくれればよかったのに」とは思ったが、直ぐに折返しタクシーでベニス空港に乗り付け、最終便でパリに戻った。
以来ほぼ40年間、この街を訪問する機会はなかった。
そして今日、永年の念願は果たされようとしている。
(片瀬貴文 2011.2.10)
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