レーモンド建築の魅力を求めて ② ー グリーンハウス（旧藤澤カントリー倶楽部 クラブラウンジ）

2010/12/21 - 2010/12/21

神奈川県藤沢市善行にある「グリーンハウス」（旧藤澤カントリー倶楽部 クラブハウス）を訪ねる機会がありました。今は藤沢市の体育施設として使われていますが、かつてはゴルフクラブのクラブハウスとして内外の著名人がプレイをし、社交の場所として利用されました。

このクラブハウスはチェコ出身のアントン・レーモンド(1888～1976）によって建てられたもので、現在ではかなり痛みが激しく修復が必要になってきていますが、神奈川県からの援助もなく、急速な対策が急がれている状態です。

エリア 藤沢・江ノ島(神奈川)

小田急江の島線善行駅を降りスポーツセンターを通って歩いて行くと、10分位でグリーンハウスに着くことができます。

グリーンハウスの正面玄関です。

この階段を上がると、かつてのクラブラウンジがあります。

階段上から下を見てみました。

２階に上がると、広いスペースの食堂がありますが、昔はラウンジだったところです。近隣の体育施設の職員やスポーツをしている方々がよく利用しているようです。

せっかくグリーンハウスに来たので、食事をすることにしました。これはこの日私が注文した昼食です。イカフライ定食を食べました。イカフライとともに、ご飯（量が多かったです）、味噌汁、サトイモ、漬物など、金額の割には充実していました。

食堂で働いている従業員の方々です。カメラを向けると、気さくに応じてくれました。

ラウンジの壁にはよく教会で見ることができるバラ窓があります。

天井は梁がそのままで、鉄骨で出来た梁が独特な景観を醸し出しています。

３階から見たラウンジです。

階段を上がったラウンジ入口の床にはこのようなタイルが敷れていますが、これはレーモンド夫人のデザインによるものです。

ラウンジの床をよく見ると、モザイクで描かれた絵がいくつもあります。これらもレーモンド夫人によってデザインされたものです。

他にもまだありました。ひとつに纏めてみました。

らせん状の階段とタイルが素晴らしいです。一段一段移動する度に、まるでぐるぐる動いているような感じで、見事というほかありません。

３階の一番奥にこのような和室があります。今はただ畳が敷かれただけの部屋ですが、昔はゴルフに来られた華族や著名人のご婦人方の休憩所あるいは着替えの場として使われたそうです。

ここは１階で、天井を見上げたところです。この階にはかってロッカー室やシャワー室がありました。

建物を南側から撮ったものです。

２階ラウンジのドアがあるところです。

１階を見ると、かつての更衣室があったところのようですが、今では壁の塗装が落ち、保存状態がよくありません。

搭のような部分は階段室のあるところです。

以前は１階ラウンジからゴルフ場に向かう吊り橋がありましたが、今は取り外され、ロ−プだけが残されています。

これもかつてあった吊り橋の一部です。

建物のあちこちをよく見ると、かなり傷んでいるのが分かります。

屋根はスペイン瓦を用いています。

野良猫でしょうか、敷地内をうろうろしていました。

外階段ですが、今では封鎖されて使用できません。

夕暮れが迫ってきました。建物には灯りがともり、人の姿もほとんど見えなくなると、半世紀も経たグリーンハウスがわびしげに見えてきました。

最近（2011年2月）、『グリーンハウス物語　戦禍に消えた名門ゴルフ場ー「藤澤カントリー倶楽部」と面影を残す倶楽部ハウス」』という小冊子が発行されました。グリーンハウスについての歴史とここにまつわる様々な人々の証言が詳細に記録されています。興味をお持ちの方は、次のところに問い合わせるとよいでしょう。

　＊ 善行雑学大学（代表　宮田英夫）〒251−0875　神奈川県藤沢市本藤沢3−14−2