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<br />1962年3月24日(土)<br /><br />エギーユ・デュ・ミディは、モンブランに接して並び立つ、針のように尖った山である。<br /><br />並び立つとは言っても、1000メートルも低いのだが、それでも富士山より高い。<br /><br />麓のシャモニーからエギーユ・デュ・ミディ山頂駅まで、フランスの誇るロープウェーで、20分で達することが出来る。<br /><br />途中一度乗り換えるが、このスピードで標高差2800メートルを一気に登ると、軽い高山病にかかって、目まいしそうだ。<br /><br /><br />最後の部分では、ほとんど岸壁に沿う感じになり、空中に投げだされた感じもする。<br /><br />山頂駅は、標高3777メートルと書かれている。<br /><br />ほとんど富士山と、同じ高さである。<br /><br /><br />山頂駅の展望台から、しばらくアルプスの山々を鑑賞する。<br /><br />遠くにひときわ目立つ三角形の山は、スイスとイタリアの国境に聳えるマッターホルンだ。<br /><br />ここの風景は、単なる美しさを通り過ぎて、神々しさを感じる。<br /><br /><br />ふと高等学校の学課が終わり、大学入試を待つ間、私はウォーキングが日課だった時を思い出す。<br /><br />金沢の浅野川筋にあった自宅から、小坂神社まで街を歩き、神社の脇から卯辰山の尾根道を通って天神橋に降りるコースである。<br /><br /><br />戦時中の物資統制が残っていて、靴が履けず、朴歯の高下駄を履いていた。<br /><br />散歩の途中にある下駄屋さんのガラス窓に、「運動靴近々入荷、申込み受付中」と張り出されていたのを、感慨深く眺めたことを思い出す。<br /><br />ゴムの統制が、終戦後五年もして、昭和13年以来12年ぶりに解かれたのだった。<br /><br />米の配給制も、解かれたばかりで、平和の到来を実感していた。<br /><br /><br />このコースのハイライトは、卯辰山山頂の近くから眺めた、真っ白に輝く白山連山の景色だった。<br /><br />私はこの光景を、ウットリと見とれたものだ。<br /><br />ちょうど「山の彼方に」と言う歌が流行していて、ひとりでに口ずさんでいた。<br /><br />カール・ブッセの詩「山の彼方の空遠く幸い住むと人の言う・・・」も、好きだった。<br /><br /><br />モンブランは、周辺の山々がとげとげしいのに比べ、どっしり構えている。<br /><br />王者の風格を見る。<br /><br /><br />(2011.1.27 片瀬貴文)<br /><br />「ソフィーさんの旅行記」http://4travel.jp/traveler/katase/<br />「片瀬貴文さんの旅行記」http://4travel.jp/traveler/takafumi/<br />「片瀬貴文さんの記録」http://blog.alc.co.jp/d/2001114<br />

1962年のパリだより【854】モンブランに王者の風格を見る

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1962/03/24 - 1962/03/24

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ソフィ

ソフィさん


1962年3月24日(土)

エギーユ・デュ・ミディは、モンブランに接して並び立つ、針のように尖った山である。

並び立つとは言っても、1000メートルも低いのだが、それでも富士山より高い。

麓のシャモニーからエギーユ・デュ・ミディ山頂駅まで、フランスの誇るロープウェーで、20分で達することが出来る。

途中一度乗り換えるが、このスピードで標高差2800メートルを一気に登ると、軽い高山病にかかって、目まいしそうだ。


最後の部分では、ほとんど岸壁に沿う感じになり、空中に投げだされた感じもする。

山頂駅は、標高3777メートルと書かれている。

ほとんど富士山と、同じ高さである。


山頂駅の展望台から、しばらくアルプスの山々を鑑賞する。

遠くにひときわ目立つ三角形の山は、スイスとイタリアの国境に聳えるマッターホルンだ。

ここの風景は、単なる美しさを通り過ぎて、神々しさを感じる。


ふと高等学校の学課が終わり、大学入試を待つ間、私はウォーキングが日課だった時を思い出す。

金沢の浅野川筋にあった自宅から、小坂神社まで街を歩き、神社の脇から卯辰山の尾根道を通って天神橋に降りるコースである。


戦時中の物資統制が残っていて、靴が履けず、朴歯の高下駄を履いていた。

散歩の途中にある下駄屋さんのガラス窓に、「運動靴近々入荷、申込み受付中」と張り出されていたのを、感慨深く眺めたことを思い出す。

ゴムの統制が、終戦後五年もして、昭和13年以来12年ぶりに解かれたのだった。

米の配給制も、解かれたばかりで、平和の到来を実感していた。


このコースのハイライトは、卯辰山山頂の近くから眺めた、真っ白に輝く白山連山の景色だった。

私はこの光景を、ウットリと見とれたものだ。

ちょうど「山の彼方に」と言う歌が流行していて、ひとりでに口ずさんでいた。

カール・ブッセの詩「山の彼方の空遠く幸い住むと人の言う・・・」も、好きだった。


モンブランは、周辺の山々がとげとげしいのに比べ、どっしり構えている。

王者の風格を見る。


(2011.1.27 片瀬貴文)

「ソフィーさんの旅行記」http://4travel.jp/traveler/katase/
「片瀬貴文さんの旅行記」http://4travel.jp/traveler/takafumi/
「片瀬貴文さんの記録」http://blog.alc.co.jp/d/2001114

旅行の満足度
5.0
観光
5.0

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