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カジュラホには10世紀半ば~12世紀半ば頃までに建造されたヒンドゥ教やジャイナ教の寺院が多数残されており、世界遺産にも登録されています。<br /><br />かつては85の寺院がありましたが、現在は25ほどの寺院が残っています。インドの寺院は大きく北方型と南方型に分けられ、北方型はさらにカジュラホ様式、オリッサ様式(ブバネーシュワル)、西インド様式に三分されますが、カジュラホ様式はシカラ(塔状部)の上昇性が最も強く、約200年という短期間に集中して作られているため様式的な統一感が強いという特徴があります。<br /><br />カジュラホでは寺院は西群、東群、南群にグループ分けされていますが、ここでは寺院群のメインとなる西群の寺院をおおよそ造年代順に紹介します。<br /><br />11世紀以降はカジュラホの様式が確立した大寺院が多いです。

インド北部の旅~カジュラホ 西群の寺院2(11世紀以降の寺院)

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2010/12/15 - 2011/01/01

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ヌールッディーンさん

カジュラホには10世紀半ば~12世紀半ば頃までに建造されたヒンドゥ教やジャイナ教の寺院が多数残されており、世界遺産にも登録されています。

かつては85の寺院がありましたが、現在は25ほどの寺院が残っています。インドの寺院は大きく北方型と南方型に分けられ、北方型はさらにカジュラホ様式、オリッサ様式(ブバネーシュワル)、西インド様式に三分されますが、カジュラホ様式はシカラ(塔状部)の上昇性が最も強く、約200年という短期間に集中して作られているため様式的な統一感が強いという特徴があります。

カジュラホでは寺院は西群、東群、南群にグループ分けされていますが、ここでは寺院群のメインとなる西群の寺院をおおよそ造年代順に紹介します。

11世紀以降はカジュラホの様式が確立した大寺院が多いです。

  • パールヴァティ寺院(11世紀初頭)。<br /><br />建物は本来、祠堂とポーチからなっていましたが、ポーチは完全に失われており、修復された祠堂だけが建っています。<br /><br />ヴィシュワナータ寺院の斜め後方にある小規模寺院。

    パールヴァティ寺院(11世紀初頭)。

    建物は本来、祠堂とポーチからなっていましたが、ポーチは完全に失われており、修復された祠堂だけが建っています。

    ヴィシュワナータ寺院の斜め後方にある小規模寺院。

  • 左のカンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院(1025〜1050年頃)、真ん中の小さなマハーデーヴァ寺院、右奥のジャガダンビー寺院(11世紀初め)<br /><br />これら3つの寺院は同じ基壇を共有しています。

    左のカンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院(1025〜1050年頃)、真ん中の小さなマハーデーヴァ寺院、右奥のジャガダンビー寺院(11世紀初め)

    これら3つの寺院は同じ基壇を共有しています。

  • デーヴィー・ジャガダンビー寺院(11世紀初頭)。<br /><br />大規模寺院では屋根が4つ連なりますが、こちらは3つになっています。<br /><br />外壁の彫刻が優れているとの評価が建築史家たちの本には書いてありますが、私としてはあまりよくわかりませんでした。<br /><br />また、修復された箇所が多い点もやや残念なところです。

    デーヴィー・ジャガダンビー寺院(11世紀初頭)。

    大規模寺院では屋根が4つ連なりますが、こちらは3つになっています。

    外壁の彫刻が優れているとの評価が建築史家たちの本には書いてありますが、私としてはあまりよくわかりませんでした。

    また、修復された箇所が多い点もやや残念なところです。

  • デーヴィー・ジャガダンビー寺院。<br /><br />内部は聖室のまわりに繞道がないため、至ってシンプルで見学もすぐに終わってしまいます。<br /><br />聖室の前に施された彫刻はなかなかのものでした。

    デーヴィー・ジャガダンビー寺院。

    内部は聖室のまわりに繞道がないため、至ってシンプルで見学もすぐに終わってしまいます。

    聖室の前に施された彫刻はなかなかのものでした。

  • チトラグプタ寺院(1000〜1025年頃)。<br /><br />ジャガダンビー寺院と規模も形式も似ており、彫刻などの密度がこちらの方が高いことなどから、こちらの方がやや後に建てられたと推定されています。<br /><br />

    チトラグプタ寺院(1000〜1025年頃)。

    ジャガダンビー寺院と規模も形式も似ており、彫刻などの密度がこちらの方が高いことなどから、こちらの方がやや後に建てられたと推定されています。

  • チトラグプタ寺院<br /><br />周囲には沢山の彫刻が施されており壮観です。<br />

    チトラグプタ寺院

    周囲には沢山の彫刻が施されており壮観です。

  • ヴィシュワナータ寺院(1002年)<br /><br />カジュラホ様式の発展した寺院形態の要素をすべて備えているとされる寺院で、カジュラホ様式の全盛時代の跡を留めているとされています。本来は寺院本体の他に4つの祠堂をもつ五堂形式の寺院でしたが、現在は小祠堂のうち2基が失われています。<br /><br />後のカンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院と比較してシカラの周囲の小シカラが少なく、こちらの方がシンプルになっています。<br />

    ヴィシュワナータ寺院(1002年)

    カジュラホ様式の発展した寺院形態の要素をすべて備えているとされる寺院で、カジュラホ様式の全盛時代の跡を留めているとされています。本来は寺院本体の他に4つの祠堂をもつ五堂形式の寺院でしたが、現在は小祠堂のうち2基が失われています。

    後のカンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院と比較してシカラの周囲の小シカラが少なく、こちらの方がシンプルになっています。

  • ヴィシュワナータ寺院<br /><br />この寺院の外壁の彫刻にはミトゥナ像が多かったように思います。その幾つかを掲載しておきます。

    ヴィシュワナータ寺院

    この寺院の外壁の彫刻にはミトゥナ像が多かったように思います。その幾つかを掲載しておきます。

  • ヴィシュワナータ寺院<br /><br />こうしたミトゥナ像は確かにヒンドゥ教寺院に特徴的でジャイナ教寺院にはないし、仏教寺院にも多分ないと思うし、イスラームのモスクにはあるはずもなく、キリスト教の教会にも思い当たるものは見受けられませんが、宗教思想としては性的な結合と神との神秘的合一を(時には比喩的に)重ね合わせて考える思想は大抵の宗教に見られるものです。<br /><br />インドではデリー・サルタナット(13-15世紀頃)にイスラームのスーフィズムが北インドで広まりを見せ、15世紀頃にはヒンドゥのバクティ信仰が流行するようになっており、両者は時期的に重なっています。<br /><br />チャンデッラ朝がカジュラホを支配していた10-13世紀はそれよりも時期的には古い時代に属し、地理的にもやや東にずれていますが、類似した考え方が既にここである程度受け入れられていたのであれば、興味深いことだと思います。

    ヴィシュワナータ寺院

    こうしたミトゥナ像は確かにヒンドゥ教寺院に特徴的でジャイナ教寺院にはないし、仏教寺院にも多分ないと思うし、イスラームのモスクにはあるはずもなく、キリスト教の教会にも思い当たるものは見受けられませんが、宗教思想としては性的な結合と神との神秘的合一を(時には比喩的に)重ね合わせて考える思想は大抵の宗教に見られるものです。

    インドではデリー・サルタナット(13-15世紀頃)にイスラームのスーフィズムが北インドで広まりを見せ、15世紀頃にはヒンドゥのバクティ信仰が流行するようになっており、両者は時期的に重なっています。

    チャンデッラ朝がカジュラホを支配していた10-13世紀はそれよりも時期的には古い時代に属し、地理的にもやや東にずれていますが、類似した考え方が既にここである程度受け入れられていたのであれば、興味深いことだと思います。

  • ヴィシュワナータ寺院<br /><br />三段の彫刻のうち上段と中段の真ん中にあるのがミトゥナ像になっています。

    ヴィシュワナータ寺院

    三段の彫刻のうち上段と中段の真ん中にあるのがミトゥナ像になっています。

  • ヴィシュワナータ寺院に併設されているナンディ堂。<br /><br />ヴィシュヌ神に献じられた寺院の場合、ヴィシュヌ神の乗り物であるナンディという牡牛の像が寺院の前に置かれますが、大寺院の場合はこの寺院のように堂にされるものです。<br /><br />寺院の前に相対して建っています。

    ヴィシュワナータ寺院に併設されているナンディ堂。

    ヴィシュヌ神に献じられた寺院の場合、ヴィシュヌ神の乗り物であるナンディという牡牛の像が寺院の前に置かれますが、大寺院の場合はこの寺院のように堂にされるものです。

    寺院の前に相対して建っています。

  • ヴィシュワナータ寺院のナンディ堂の内部。<br /><br />堂の内部にはナンディの像があり、その周囲にはベンチのようになっており、休憩するのに絶好の場所となっています。<br /><br />私がここを訪れていた時はちょうど風邪をひいて酷い寒気がしていたときだったので、日の当たる側にいて少しばかり休憩をしました。

    ヴィシュワナータ寺院のナンディ堂の内部。

    堂の内部にはナンディの像があり、その周囲にはベンチのようになっており、休憩するのに絶好の場所となっています。

    私がここを訪れていた時はちょうど風邪をひいて酷い寒気がしていたときだったので、日の当たる側にいて少しばかり休憩をしました。

  • カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院(1025〜1050年頃)<br /><br />高さが約30.5メートルある、カジュラホの建築の中では最も大きく背が高い寺院。平面はポーチ、マンダパ、マハーマンダパ、聖室で構成され、聖室のまわりには繞道が巡り、全部で5カ所の奥行きの深いバルコニーが突き出ています。

    カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院(1025〜1050年頃)

    高さが約30.5メートルある、カジュラホの建築の中では最も大きく背が高い寺院。平面はポーチ、マンダパ、マハーマンダパ、聖室で構成され、聖室のまわりには繞道が巡り、全部で5カ所の奥行きの深いバルコニーが突き出ています。

  • カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院の内部。<br /><br />奥に聖室と本尊であるシヴァリンガが見えます。

    カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院の内部。

    奥に聖室と本尊であるシヴァリンガが見えます。

  • カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院。<br /><br />カジュラホの寺院の中でも最大の寺院であるこの寺院では、聖室を囲む繞道が他の寺院よりも広くゆったりした造りになっています。<br /><br />とはいえ、イスラーム建築やキリスト教の教会堂などのような内部空間を重視した建築と比べると、内部空間は狭小で、壮大さなども感じられませんが…。

    カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院。

    カジュラホの寺院の中でも最大の寺院であるこの寺院では、聖室を囲む繞道が他の寺院よりも広くゆったりした造りになっています。

    とはいえ、イスラーム建築やキリスト教の教会堂などのような内部空間を重視した建築と比べると、内部空間は狭小で、壮大さなども感じられませんが…。

  • カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院のミトゥナ像は割と有名なようなので一応掲載しておきます。

    カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院のミトゥナ像は割と有名なようなので一応掲載しておきます。

  • カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院のミトゥナ像。

    カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院のミトゥナ像。

  • カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院の最大の見所は何と言ってもシカラ(塔状部)です。<br /><br />小シカラが84も積み重なる様はかなりの壮観で、ここで完成されたシカラの姿が、以後の中インドから西インドにかけてのシカラのモデルとされていくのです。<br /><br />シカラとシカラの間からも小さなシカラの一部が顔を出しており、あたかも内部からそれが生まれ出ようとしているかのようにも見えます。<br /><br />この寺院はカジュラホの寺院群の中でも最も完成度が高いとされ、中央インドの建築の中での最高傑作であるとさえ言われることがあるほどで、確かにそうした評価のとおり見ごたえがある建築でした。

    カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院の最大の見所は何と言ってもシカラ(塔状部)です。

    小シカラが84も積み重なる様はかなりの壮観で、ここで完成されたシカラの姿が、以後の中インドから西インドにかけてのシカラのモデルとされていくのです。

    シカラとシカラの間からも小さなシカラの一部が顔を出しており、あたかも内部からそれが生まれ出ようとしているかのようにも見えます。

    この寺院はカジュラホの寺院群の中でも最も完成度が高いとされ、中央インドの建築の中での最高傑作であるとさえ言われることがあるほどで、確かにそうした評価のとおり見ごたえがある建築でした。

  • 西群の寺院群の中で明らかに異質な感じのする寺院。<br /><br />寺院の名称も不明でガイドブックや建築史の本にも情報がないので建立年代等も不明ですが、チャトリや前室ドーム屋根、側面のアーチ型の装飾などから見てイスラーム化がある程度進展した後に建てられたものと考えられます。

    西群の寺院群の中で明らかに異質な感じのする寺院。

    寺院の名称も不明でガイドブックや建築史の本にも情報がないので建立年代等も不明ですが、チャトリや前室ドーム屋根、側面のアーチ型の装飾などから見てイスラーム化がある程度進展した後に建てられたものと考えられます。

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