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<br />1957年2月1日(金)<br /><br /><br />奥只見の冬は、雪の本場だけあって、これでもかこれでもかと、雪が降り続く。<br /><br />まるで空の底が抜けたかのようだ。<br /><br />窓の隙間から吹き込む粉雪は枕元の机上に積り、ミカンは凍ってしまう。<br /><br /><br />遊びに出かけるところもなく、毎日寝室、食堂、工事区を、雪を掻き分けながら往き来するだけだ。<br /><br />そうした単調な日常の中で、雪崩やトンネル現場の落盤で死亡事故が相次ぐ。<br /><br /><br />当時工事現場の事故死は、工事費1億円当たり1人と言われた。<br /><br />私の担当する第二工区でも、ひと冬に合計5人が死んだ。<br /><br /><br />楽しみは、宿の妙齢の娘さん相手の、カルタ取りだった。<br /><br />力量が伯仲しているので、負けてはならじと、真剣勝負だった。<br /><br /><br />この辺りは桐の産地で、取り札も桐で出来ている。<br /><br />それを「ハイ」と、広い座敷の壁にまで飛ばすものだから、もの凄い迫力である。<br /><br /><br />突貫工事は、豪雪にめげることなく、着々と進められた。<br /><br />しかし隣工区の作業現場の立会人はサボって、吹雪を避け、こっそりと飲み屋で焼酎を傾けているという噂を耳にする。<br /><br /><br />だがそれを注意しようとする人は、誰もいない。<br /><br />毎日の雪にウンザリして、元気を失っているからだ。<br /><br /><br />隣工区には、静岡県の秋葉ダム工事現場で、全国に悪名を売った前科者ばかりの飯場が来ていて、飲み屋まで秋場ダムからそっくりやって来ていた。<br /><br />そんな暗く閉ざされた日常生活に、朗報が近付いていた。<br /><br />第3工区のトンネルの開通が、間近に迫って来たのだった。<br /><br /><br />開通祝いに何がいいだろうかと皆で相談の末、スキヤキに一決する。<br /><br />スキヤキの肉は、会津坂下まで出て、最上級のものを買うことに決まった。<br /><br /><br />この記事は「ソフィーさんのマイページ」(訪問59カ国、文章1,750件 写真8,000枚)、には掲載されません。<br />http://4travel.jp/traveler/katase/<br /><br />スイスの写真が美しい「片瀬貴文さんのマイページ」(文章625件 写真2,400枚)マッターホルンは、ゴルナーグラート鉄道の各駅で下車しながら、移りゆく姿を捕らえました。<br />http://4travel.jp/traveler/takafumi/<br /><br />ブログの作成日順に並んでいる、文章主体の「片瀬貴文の記録」(文章1,800件)<br />http://blog.alc.co.jp/d/2001114<br /><br />旅行記以外の記事は「ソフィーさんのマイページ」に掲載せず、このブログに載せますので、ご来訪をお待ちします。<br /><br />(片瀬貴文 2010.12.16)<br />

奥会津の冬旅−雪に閉ざされ単調な「本名(ほんな)」の味わい

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1957/02/01 - 1957/02/01

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ソフィ

ソフィさん


1957年2月1日(金)


奥只見の冬は、雪の本場だけあって、これでもかこれでもかと、雪が降り続く。

まるで空の底が抜けたかのようだ。

窓の隙間から吹き込む粉雪は枕元の机上に積り、ミカンは凍ってしまう。


遊びに出かけるところもなく、毎日寝室、食堂、工事区を、雪を掻き分けながら往き来するだけだ。

そうした単調な日常の中で、雪崩やトンネル現場の落盤で死亡事故が相次ぐ。


当時工事現場の事故死は、工事費1億円当たり1人と言われた。

私の担当する第二工区でも、ひと冬に合計5人が死んだ。


楽しみは、宿の妙齢の娘さん相手の、カルタ取りだった。

力量が伯仲しているので、負けてはならじと、真剣勝負だった。


この辺りは桐の産地で、取り札も桐で出来ている。

それを「ハイ」と、広い座敷の壁にまで飛ばすものだから、もの凄い迫力である。


突貫工事は、豪雪にめげることなく、着々と進められた。

しかし隣工区の作業現場の立会人はサボって、吹雪を避け、こっそりと飲み屋で焼酎を傾けているという噂を耳にする。


だがそれを注意しようとする人は、誰もいない。

毎日の雪にウンザリして、元気を失っているからだ。


隣工区には、静岡県の秋葉ダム工事現場で、全国に悪名を売った前科者ばかりの飯場が来ていて、飲み屋まで秋場ダムからそっくりやって来ていた。

そんな暗く閉ざされた日常生活に、朗報が近付いていた。

第3工区のトンネルの開通が、間近に迫って来たのだった。


開通祝いに何がいいだろうかと皆で相談の末、スキヤキに一決する。

スキヤキの肉は、会津坂下まで出て、最上級のものを買うことに決まった。


この記事は「ソフィーさんのマイページ」(訪問59カ国、文章1,750件 写真8,000枚)、には掲載されません。
http://4travel.jp/traveler/katase/

スイスの写真が美しい「片瀬貴文さんのマイページ」(文章625件 写真2,400枚)マッターホルンは、ゴルナーグラート鉄道の各駅で下車しながら、移りゆく姿を捕らえました。
http://4travel.jp/traveler/takafumi/

ブログの作成日順に並んでいる、文章主体の「片瀬貴文の記録」(文章1,800件)
http://blog.alc.co.jp/d/2001114

旅行記以外の記事は「ソフィーさんのマイページ」に掲載せず、このブログに載せますので、ご来訪をお待ちします。

(片瀬貴文 2010.12.16)

交通手段
JRローカル
旅行の手配内容
個別手配

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